NORIKUMAです。
昨日は、久しぶりに支部の判例研究会へ。すごい、坐るところがないくらいの盛況ぶり。相変わらずうちの支部は、勉強好きがそろっています。
昨日のお題は、「評価通達によらない評価」ということで、その中の「底地」の評価にスポットを当てました。
通常、相続税などの場合に、貸宅地の評価は地主さんは「底地評価」となります。借りている人には「借地権」があるからね。国税庁の財産評価基本通達25では、貸宅地の評価は、自用地評価額から借地権の価格を控除して計算するとしています。この評価方法を「借地権価格控除方式」と言います。
例えば、借地権割合が70%の地域の場合、底地部分は、自用地評価額の30%での評価。
これが通達による評価方法。
でも、相続税法22条は「財産の価格は、その取得時の時価」とあるので、本来は通達での評価でなく、時価がわかれば時価で評価するのが正しい方法。
借地権付き分譲マンションの敷地をこの通達による借地権評価方法で当初相続税の申告書を提出したが、割合方式と収益還元方式による価格の双方を調整した鑑定評価額で更正の請求をして、国税不服審判所で争った事案がある。
通達による評価では、土地の相続税評価額、127,280,095円
鑑定評価額 20,000,000円
この金額の差は・・・・・。
最終的に、国税不服審判所は評価額を通達による方法ではなく、鑑定評価額に近い3000万円とした(H9.12.10)。
その理由はこちら。
「一般的な底地価額については、地代徴収権に相応する価格を中心に将来期待される更新料、条件変更承諾料等の一時金及び借地権と一体化することにより完全所有権に復帰する期待性を加味して形成されるものであり、評価手法としては実際支払賃料に基づく純収益を還元して得た価格及び比準価格を関連付けて決定されるものとされているが、都心部等の借地権の取引慣行が成熟している地域では、底地価額は、単に地代徴収権に着目したものではなく、むしろ、将来、借地権を併合して完全所有権とする潜在価値に着目して価格形成されているところである。このような場合には、更地価額から借地権価額を控除した残余の部分が底地価額相当額となる。
しかし、本件は借地権付のマンションに対応する底地であり、多数の借地権者が存在し、借地権は、建物の専有部分と一体となり、各区分所有権の目的となっているため借地権と底地とが併合される可能性は低く、また、当分の間は、名義変更料、建替承諾料等の授受も期待できないこと及び借地権と底地は別個の市場を有していること等から、更地価額から借地権価額を控除した残余の部分が底地価額となるとは限らないこととなる。
したがって、これらのことを総合勘案すれば、割合方式による価格と収益還元方式による価格の双方を調整の上評価した■■■■■■鑑定評価額は相当と認められるので、同鑑定評価額に基づき、本件宅地の本件相続開始日の価額は30,000,000円であると認めるのが相当である」。
今回の借地権付き分譲マンションは、総戸数16戸である。通常の場合、借地権者が底地を買い取ることを念頭に置けば、「借地権と一体化」として考え通達の評価方法が妥当。ただし、今回のは「一体化」が見込めないが、地主は契約から60年は、安定した土地の賃料が入る。それであれば、逆に収益還元法の評価の方が、その土地の評価としては妥当と判断された。
この更正の請求を行ったM税理士は、不動産鑑定士の肩書を持ち、有名な方。しかし、結構勇気いるね。金額でかい。よほどの自信と通達行政に不満がなければできないだろう。
しかし、この裁決が先例となり、同様のケースでは、通達の評価によらない評価が認められた。
この裁決は、残念ながら非公開。TAINSでは読めます。
なんで非公開にするのかね。こんないい裁決を。
この裁決文には、このような文章もあります。
「通達は、上級行政庁の下級行政庁に対する命令であって法規たる性質を有さず、それ自体は納税者を拘束するものではなく、納税者は、通達に示されている行政庁の解釈に当然従わなければならないものではないから、相続財産である土地の価額が路線価等を下回ることが証明されれば、評価基本通達の定め又は路線価等を適用しなくてもよいことはいうまでもない」。
不服審判所で、この裁決文は、エライ!![]()
NORIKUMA![]()


