NORIKUMAです。

 

 

 

 

ほとんどTVドラマは見ないが、最近「虎に翼」の土曜日のダイジェスト版は見ている。昔は女性が男性と同じことをすることさえも難しかったんだね・・しみじみ感じます。

 

 

 

 

さて、本日は、所得税。早速、事案の概要から。

本件は、審査請求人が、2件の年金保険契約(年金総額保証付終身年金)に基づく一括受領金を雑所得に計上して所得税等の確定申告を行った後、当該一括受領金は一時所得に該当するとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、当該一括受領金は一時所得ではなく雑所得に該当するとして、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたのに対し、請求人が、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

 

 

 

 

一括受領金したのだから一時所得か。いや、きっとそんな単純な話ではないのだろう。えー

 

 

 

 

ここでいう2件の年金保険契約とは、保険契約者、被保険者及び年金受取人をいずれも請求人とする積立利率金利連動型年金(豪ドル建)保険の契約(年金の種類は年金総額保証付終身年金。即時払年金特約を付加し、支払保証期間は28年である。)だ。

 

 

 

 

これら年金保険契約における年金の支払方法は年12回払いとされており、請求人は、保険会社から、平成28年3月27日から平成29年6月27日までの間に毎月年金を受領し、そのうち、同年1月27日から同年6月27日までの期間に受領した年金の合計は9,881,976円(本件既払年金)だった。

ただ、請求人は、平成29年7月4日、保険会社に対し、特約約款第5条に基づく年金の一括支払の請求を行い、平成29年7月7日、保険会社から、408,669,818円を受領した。

 

 

 

なんか、年金というからもっと金額が少ない話かと思ったが、4億とかでかい。下世話な話だが、請求人が支払った保険料合計447,389,460円という。

 

 

 

うん、どこのどの保険でしょうか。4億は手元にありませんが、こんなにいい保険なら、NORIKUMAもやりたいですので、教えていただけますか。残念ながら、裁決書には、保険会社のところはマスキングされています。

 

 

 

 

税金の話に戻るが、この場合、所得税基本通達35-3《年金に代えて支払われる一時金》の適用となる。ここでは、本文において、所得税法施行令第183条第1項の規定の対象となる年金の受給資格者に対し当該年金に代えて支払われる一時金のうち、当該年金の支払開始日以前に支払われるものは一時所得の収入金額とし、同日後に支払われるものは雑所得の収入金額とする旨定め、ただし書において、同日後に支払われる一時金であっても、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものは、一時所得の収入金額として差し支えない旨定めている。

 

 

 

では、一時所得でええんやないの。一時所得で認めてあげなはれ。えー

 

 

 

 

原処分庁は、「本件年金保険契約は、即時払年金特約が付加されていることから、契約日と年金支払開始日が一致しており、普通約款第15条第1項の定めにより、解約することができない。そうすると、請求人は、本件年金保険契約に係る年金の受給開始後に支払請求を行い、受取保証部分の受け取りに代えて、受領金を受け取っているのであるから、当該受領金は単なる年金の繰上げ受給であり、その所得源泉も年金受給権である。したがって、本件受領金に係る所得は、その所得の基礎に源泉性が認められるから、雑所得に該当する。」と主張している。

 

 

 

 

年金の繰上げ受給・・・そう来たか。

 

 

 

 

国税不服審判所は、次のように判断をして、請求を棄却している(R1.8.27 TAINS:F0-1-1547)。

 

① 法令解釈

 

「当該年金の支払に代えて一時金として支払われる場合の当該一時金に係る取扱いについては、所得税法及び所得税法施行令には明文の規定がない。

 もっとも、この点に関しては、本件通達(所得税基本通達35-3)に定めがあり、本件通達は、生命保険契約等に基づく年金が、その受給開始日後に一時金として支払われた場合、その一時金は、飽くまで当該年金を繰り上げて受給したというべき性質のものであるから、臨時偶発的な一時の所得ではなく、雑所得に該当するものの、当該年金の受給開始日以前に年金支払に代えて一時金が支払われた場合には、その一時金が一時所得として取り扱われることとされているため、その場合との税負担の均衡を考慮し、当該年金の受給開始日後に一時金が支払われた場合であっても、それが将来の年金給付の総額に代えて支払われた一時金である限り、一時所得として取り扱うことを許容したものであるところ、これらの取扱いは、所得税法が担税力の相違を踏まえて所得を区分した上でその課税方法を定めた趣旨並びに課税の公平及び適正にかなうものであるから、当審判所も相当と認める。

 そして、上記の本件通達の趣旨等に照らすと、本件通達に定める「将来の年金給付の総額に代えて支払われる」一時金とは、当該一時金の支払により年金を給付する原因となる契約が消滅し、当該一時金の支払後の年金給付がない場合をいうものと解すべきである。」

 

 

 

 

② 本件への当てはめ

 

「請求人は、本件年金保険契約における年金の受給開始後、本件支払請求を行い、受取保証部分に市場価格調整を適用して計算した金額を本件受領金として受領しており、本件受領金は、毎月支払われることを予定していた年金を繰り上げて受給したというべきものである。

 そして、請求人が本件受領金を受領しても、令和26年(西暦2044年)1月28日(本件年金保険契約の締結日から支払保証期間である28年間が経過した日)以降に請求人が生存している場合は、特約条項により、本件年金保険契約に基づく年金の支払が再開されることとなるのであって、本件年金保険契約は、請求人が死亡するまで消滅することはない。」

 

 

 

「そうすると、本件受領金は、雑所得である年金を繰り上げて受領したというべきものである一方で、一時金の支払により年金を給付する原因となる契約が消滅し、当該一時金の支払後の年金給付がない場合には当たらないことから、本件通達のただし書が定める「将来の年金給付の総額に代えて支払われるもの」には当たらず、一時所得に該当しない。よって、本件受領金は、雑所得に該当する。」

 

 

 

 

審判所も年金の繰り上げ受給と判断した。もちろん判断の決め手は、年金保険契約の締結日から支払保証期間である28年間が経過した日以降に請求人が生存している場合は、特約条項により、本件年金保険契約に基づく年金の支払が再開されるという点であろう。そう考えると、繰り上げ受給の判断は納得する。

 

 

 

ただ、繰り上げ受給をしてもなお年金の支払いが再開される・・・え、この保険、めっちゃよくない。結局いくら支払われるのさ。

 

 

 

外貨は為替の影響を受けるからな・・・。

 

 

 

 

NORIKUMAクマ