あらためて書いてみる ~ 「太陽のパスタ、豆のスープ」 | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

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大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

むかしむかし、まだ私が若かった頃、
手に入れたいものを10個書いたことがあります。

  - あら、モノがひとつもないのね。

それを見た、これもまたまだ若かった妻のサマンサに言われてはじめて、
書いた私も気づきました。

もう全部を覚えてなんかいませんが、うろ憶えながら、
長い休暇とか、適度な緊張感がともなう仕事とか、ゆったりした暮らし etc.
といったモヤっとしたことをリストに挙げた記憶があります。

     

今、またリストを書いたとしても、当時とあまり変わらないような気がします。
違うことが加わるとしたら、

「6億円の当たりくじ」が当落ラインでしのぎをけずるかもしれません。

     

そんなリストのことを「ドリフターズ・リスト」と呼ぶそうです。
漂流者が海に漂う状況に絶望せず、
明日に希望をつなぐために書くリストといったところです。

これが作者が登場人物に適当に言わせたのなら、
なかなかイケている呼び方です。

太陽のパスタ、豆のスープ / 宮下 奈都 (集英社文庫)
 ¥525 Amazon.co.jp

     

結婚式直前に婚約を破棄された明日羽(あすわ)は、
気がつけばひとり涙を流しているような日々をおくっていました。

  どこ、ボールペンとか鉛筆とか 

そんなあすわに叔母のロッカ(六花)さんはこんな調子で
「ひとりになりたい」
とあすわの言葉をドリフターズ・リストの頭に勝手に書きとめます。
しかも書いたのは、ちぎった広告の余白です。

ロッカさんは、言うことは頼りになりそうでも、
振る舞いはどこかいい加減です。

     

やりたいことなどひとつも浮かびそうもないと思っていたのに、
ロッカさんの押しつけがましさを煩わしく思いながらも、
あすわはあらためてやりたいことをリストに書きなおします。

  一、食べたいものを好きなだけ食べる、
  二、髪を切る、
  三、ひっこし、
  四、おみこし、
  五、たまのこし

一~三は、「ほう、なるほどね」と思いえますが、
「おみこし」はわけがわかりません。
その次の「たまのこし」ともなるともう語呂合わせ?

実行したら横棒を書いて消し、思い浮かべば書き加え、違うと思ったら消し、
書いたり消したりのくりかえしです。

     

あすわ、どうなっていくんでしょうね。
ロッカさん、頼りにしていいんでしょうか。不安ですよね。

本のタイトルが「太陽のパスタ、豆のスープ」。料理の名です。
なんだか元気になれそうな兆しを感じます。

このうちひとつはロッカさんの作る料理です。へいきかなあ?


[end]


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