作家の作品が書かれた時期で時間軸においてみながら、
それを思いうかべながらその作者の書いたエッセイを読むと、
エッセイのみを読んだ時に比べて、
小説の作品が繰り広げられるスタジアムの場外に、
もうひとつ楽しみが待っていたような、お得感がでてきます。
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象が踏んでも―回送電車〈4〉/堀江 敏幸
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堀江敏幸さんのエッセイ"回送電車シリーズ"の第4弾。
40編をこえるエッセイがおさめられています。
著者の接した小説や評論、身の周りモノにまつわるこだわりや
心のひっかかりが、"もうひとつ奥"まで探る視線で綴られています。
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堅実な時刻表のなかで限定された融通無碍をめざす回送電車主義。
こうコラムを書く姿勢をたもちつづけながら、
最初の1冊とくらべるとさらりとした文体がふえ、
多くの人に読みやすくなっている感じです。
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取りあげられる題材も、
作家の他に大学で教える著者の学者仲間や研究生たちとの様子や、
「河岸忘日抄」や「雪沼とその周辺」「めぐらし屋」といった小説の
うまれた背景やその頃のようすが
とりあげられ、守備範囲のひろがりを感じます。
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作家である著者の変貌ぶりとともに、
主義を貫きながら書かれるエッセイの変化を追うのも、
シリーズ型エッセイの楽しみです。
シリーズ型の唯一の難点は、
私の読み手としての成長がおぼつかないこと。
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