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産科麻酔では多くの症例で脊髄幹麻酔

(Neuraxial anesthesia)が実施される。

 

脊髄くも膜下麻酔(Single Shot Spinal A)

硬膜外麻酔(Epidural A)

硬膜外併用脊髄くも膜下麻酔(Combined Spinal and Epidural A)

 

の総称であり、

日本では硬膜外併用脊髄くも膜下麻酔

(Combined Spinal and Epidural A)が多い。

 

 

脊髄幹麻酔の実施時には、

交感神経ブロックによる循環抑制が問題となる。

 

対策としては、

 

1.子宮左方転位 

 

15~30度程度とされることが多いが、

Effect of lateral tilt angle on the volume of the abdominal aorta and inferior vena cava in pregnant and nonpregnant women determined by magnetic resonance imaging.

Anesthesiology. 2015 Feb;122(2):286-93.

子宮がずれる感じがあれば良い。

手術台ごと斜めにしても良いのだが、

患者にとっては不安が募るだろうから、

腰枕を入れるのがオススメ。

用手的に子宮をずらすのも良い。

Part 12: cardiac arrest in special situations: 2010 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care.

Circulation. 2010 Nov 2;122(18 Suppl 3):S829-61.

 

個人的には一緒に下大静脈も潰しそうで、

実はあまりやりたくない。

 

2.急速輸液

 

産科麻酔的にはHES製剤が望ましい。

Effects of crystalloid and colloid preload on blood volume in the parturient undergoing spinal anesthesia for elective Cesarean section.

Anesthesiology. 1999 Dec;91(6):1571-6.

 

HES製剤が使用しにくい状況としては、

・妊娠高血圧(血管透過性が亢進)

・心疾患合併妊娠

・腎機能障害

・凝固障害、など

 

3.昇圧剤

 

最近の第一選択はphenylephrine。

HR60以下ならephedrineを選択するというのがエキスパートオピニオン。

血圧は上がるが、血管収縮するため子宮胎盤循環が良くなるわけではない。

Hemodynamic effects of ephedrine, phenylephrine, and the coadministration of phenylephrine with oxytocin during spinal anesthesia for elective cesarean delivery.

Anesthesiology. 2009 Oct;111(4):753-65.

phenylephrineと比較すると、ephedrineは帯血pH がアシドーシスに傾く傾向がある。

A quantitative, systematic review of randomized controlled trials of ephedrine versus phenylephrine for the management of hypotension during spinal anesthesia for cesarean delivery.

Anesth Analg. 2002 Apr;94(4):920-6, table of contents.

この原因としては、ephedrineの胎盤移行性が良いため、胎児頻脈を誘発するせいと考えられている。

Placental transfer and fetal metabolic effects of phenylephrine and ephedrine during spinal anesthesia for cesarean delivery.

Anesthesiology. 2009 Sep;111(3):506-12.

 

Spinal Aで管理した産科症例の心停止例を検討した結果、

血圧低下→徐脈→心停止となっていた症例が目立った。

Behold- Jarsch反射と呼ばれる現象かもしれない。

 

血圧が低下した時、頻脈にならずに徐脈になってくるようなら、早めにアドレナリン、ノルアドレナリンを使用した方がいいかもしれない。

Randomized double-blinded comparison of norepinephrine and phenylephrine for maintenance of blood pressure during spinal anesthesia for cesarean delivery.

Anesthesiology. 2015 Apr;122(4):736-45.

 

 

 

産科麻酔では硬膜外に挿入したカテーテルが血管内に迷入することが多い。

妊娠子宮による下大静脈圧迫が原因で、

硬膜外静脈が怒張しているせいかもしれない。

無痛分娩でも、最初はいいが、途中から血管内に迷入することもよくあるらしい。

妊婦は局所麻酔薬の必要量も少ない。

感受性の問題だけでなく、静脈拡張による硬膜外腔が物理的に狭くなっていることも原因かもしれない。

そのため、妊婦に局所麻酔薬を投与する時、

特に無痛分娩などでは、

その都度、吸引テストを実施し、

いつもテストドーズのつもりで、少量分割投与を心がける。

 

硬膜外麻酔実施時によく行われるtestで使用されるdoseだが、

北米のスタンダードとしては、

局所麻酔薬3ml

アドレナリン15μg

なことが多い。

 

test doseが血管内投与されると、

HRは79±44→111±15bpm程度に上昇する。

アドレナリンなしでは、

68%の症例で耳鳴りや傾眠など症状が出現する。

これは32%の症例では症状が発生しないということであり、

アドレナリンなしではカテーテルの血管内迷入を見逃すということもありうる。

The components of an effective test dose prior to epidural block.

Anesthesiology. 1981 Dec;55(6):693-6.

 

吸引テスト

カテーテルが多孔式ならほとんどの血管内誤留置を発見できる。

 

硬膜外カテーテルは血管内に迷入するだけでなく、

脊髄くも膜下腔にも迷入することがある。

testの局所麻酔薬3mlを投与すると、3分もすれば症状の発現が確認できる。

ただし、ロピバカインはすこし時間がかかり、8分ぐらいらしい。

The limitations of ropivacaine with epinephrine as an epidural test dose in parturients.

Anesth Analg. 2001 Jun;92(6):1529-31.

 

testの局所麻酔薬だけであっという間に呼吸困難が発生し、pin prickでC2まで上がってしまった症例報告もある。

Bag mask換気が必要だったというから恐ろしい。

Accidental total spinal block: a complication of an epidural test dose.

Can J Anaesth. 1992 Dec;39(10):1058-60.

 

機材が整っている手術室での出来事ならまだなんとかなるかもしれないが、

産科病棟などawayだったら恐ろしい。

awayで硬膜外麻酔をする時は、陽圧換気や挿管ができる準備をしてから開始しよう!

 

 

分娩後の頭痛としてよく知られているのはPDPH。

羞明、耳鳴り、動眼神経麻痺など、

随伴症状もあるのでチェックすること。

出産後、患者はいろいろ忙しいので、

早期から自己血パッチを実施してあげるといいかもしれない。

ただし、原因はそれだけではない。

他にもいろいろあるので要確認。

 

産科症例では、

抗凝固薬・抗血小板薬を投与されていることが多い。

そもそも妊婦は凝固機能が亢進しているし、

抗リン脂質症候群や、Protein S欠損症、Protein C欠損症など、不育症治療に活用されていることも多い。

脊髄幹麻酔の適応はガイドラインをよく参考にする必要がある。

[Effect of heparin on the activated partial thromboplastin time in parturients receiving combined spinal and epidural anesthesia for caesarean section].

Masui. 2008 Aug;57(8):959-62.

 

 

合併症としては他にも、

神経障害として馬尾症候群や一過性神経障害、

chlorhexidineによる?癒着性クモ膜炎、

Severe adhesive arachnoiditis resulting in progressive paraplegia following obstetric spinal anaesthesia: a case report and review.

Anaesthesia. 2012 Dec;67(12):1386-94.

 

The sting in the tail: antiseptics and the neuraxis revisited.

Anaesthesia. 2012 Dec;67(12):1305-9.

 

硬膜外膿瘍などあり、

襟を正して脊髄幹麻酔を実施するべし。

 

2017日本区域麻酔学会

第4回学術集会

麻酔科領域講習1

産科麻酔における脊髄幹麻酔の合併症と対策

〜安全に行うために〜

の聴講メモより

 

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