「旅」11月号とニュー・ムーン・プディング | ・・・夕方日記・・・

「旅」11月号とニュー・ムーン・プディング

旅 2008年 11月号 [雑誌] 旅 2008年 11月号 [雑誌]


少し前になってしまいますが、先月の「旅」2008年11月号(新潮社)。

特集が『赤毛のアン』の舞台の、カナダのプリンスエドワード島だったので

レジへふらふらと進んでしまいました。


グリン・ゲイブルズをはじめ、物語にちなんだ場所が詳しく紹介されています。

写真も多いけれど、実用的な情報もたくさん載っており、

リンド夫人の家のモデルとなったホテルなども出てきて、

実際に旅をしているような感覚で楽しく読みました。


びっくりしたのは、島の「住人の七割がケルトのルーツを持つ(p.54)」ということ。

『パットお嬢さん』には、アイルランドのお城にいたことのある

お話の上手なジュディというばあやが登場するのですが、

そのあたりが何となくつながった気がしました。


36-37ページでは、お菓子のレシピが三種類、紹介されていました。

なかでも目を引いたのが、ニュー・ムーン・プディング!

ルーシー・モード・モンゴメリがレシピを残しているお菓子です。


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実はさかのぼること12年前、学生だったワタクシは

1996年に出版された

Aunt Maud's Recipe Book: From the Kitchen of L.M. Montgomery

という本を購入しておりまして、これにニュー・ムーン・プディングが載っていたのです。


・・・夕方日記・・・-Aunt Maud's Recipe Book表紙

Aunt Maudとは、モンゴメリのこと。


モンゴメリはかなり料理に造詣が深かったらしく

If I had not been a poor devil of an auther I think I would have made an excellent cook.

と述べています。

(かなり意訳ですが、「私が作家などという因果な仕事に就いてなかったら、

私は腕利きの料理人になれたのにと思います」という感じでしょうか?)


・・・夕方日記・・・-Aunt Maud's Recipe Book裏表紙


これはモンゴメリが残したレシピノートを、

親戚のCrawford家のElaineさん(母)とKellyさん(娘)が、本にしたもの。

おばあちゃんにあたるMarionさんの名前が入った、Marion's Orange Cakeも載っています。


表紙はモンゴメリが撮ったキッチンの写真、裏表紙が本人です。

8章からなり、それぞれコース料理の献立に、説明や思い出などが書き足されています。


当時はお菓子作りへの興味はまるでなく、モンゴメリの著作が単純に好きだったのと、

茶色と赤とクリーム色の装丁がきれいで、なんとなく手許に置きたかったという理由です。

見返しには自筆ノートの文字が。


・・・夕方日記・・・-Aunt Maud's Recipe Book内表紙    ・・・夕方日記・・・-Aunt Maud's Recipe Book見返し

その頃は課題のための読書ばかりになっていて、

勉強に関係のない本を読むと、脳内でつっこみ小人合唱団が

「ほかに読まなきゃいけないものが山ほどあるだろ」と歌い出し

なんだかさぼっているようで苦しくなる始末で、

「本を読むこと」が趣味として機能しなくなっておりました(弱


なのでもともと読めない本(=洋書)、しかも散文(=小説や評論)でないレシピ本なら、

否応なく何も考えずにページをめくることができる、

「本をながめる」ことができる!と思ったのです(ビバ単細胞


そんなわけで本棚のオブジェとなったこの本。

ときどきぱらぱらめくっていて、目についたもののひとつが

この「New Moon Pudding」でした。


第二章のA Gracious Formal Dinnerのメニューの一番下(p.22)に

Maud's Lemon Pieと並んで載っており、

エミリーシリーズ(詳しくはこちら: )の主人公、エミリーの暮らす農場の名前がニュー・ムーンなので

何かつながりがあるのかなと思ったのです。


ただ、写真が一切ないためイメージが全くつかめなかったこともあり、

実際に自分に作れる(作ってみよう)などとは夢にも思わず干支が一周。


思わぬところで再会?しました。

こんなお菓子だったのねー(感動


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というわけで、作ってみました!

材料の表記は「1ホール分」…1ホールって、直径いくらの型のことデスカー!苦笑


・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding1

卵が6個使ってあったので、

すべて6で割って(小数点以下四捨五入)、卵1個分で作りました。

直径6~7㎝×深さ4~5㎝のココット型で、4個できました。


・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding2   ・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding3   ・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding4

粉の代わりにパン粉を使い、卵黄や牛乳、レモン汁、砂糖などと混ぜて1時間焼き、

焼き上がったら固く泡立てたメレンゲを上にこんもりのせて焼き目をつける、シンプルな作り方です。


・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding5

ベースとなる部分の焼き上がりはきれいな卵色。

これは…お月さまだ!と気づいて目からウロコでした。


・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding6   ・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding7   ・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding8

満月のような丸いケーキの上に、白いメレンゲをのせてすべて隠してしまうのです。

だから新月、New Moonなのかと、さすがの命名センスに感動の嵐。


本当は本のように、焦げ目がきれいに入ると映えるのですが

うちのオーブンではこれ以上やるとただの黄土色な物体になってしまうのでこのへんで。


洋書の方を見ると、冷やして食べてねとあったので、冷蔵庫に入れて落ち着かせました。


・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding9   ・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding10

いただきます。


メレンゲにも土台にもレモンが入っているので、さわやかな風味でした。

メレンゲはさっくり、土台のケーキは味は軽いのですが、食感はしっとりしっかり、

どこかもっちりした感じも…おいしいけれど、これで合っているのかな?;


本には「ライスプディングのようなやわらかな食感で、

味わいはレモンスフレのよう」とあるのですが

ライスプディングもレモンスフレも食べたことアリマセンー!!(獏いや爆

これで作ろうと思ったのが間違いとも…;


・・・夕方日記・・・-NewMoonPudding11    ・・・夕方日記・・・-ルクルーゼ・バターディッシュ

本物をご存じの方、もしいらっしゃいましたらつっこみお待ちしています(滝汗


サッポロポテトが入っているのはルクルーゼのバターディッシュ。

グリン・ゲイブルズに無理やり引っかけてみました。




<参考文献>

Aunt Maud's Recipe Book: From the Kitchen of L.M. Montgomery Aunt Maud's Recipe Book: From the Kitchen of L.M. Montgomery


調べてみると、すでに絶版になっているようです…

とってもいい雰囲気の本なのに、残念。


今改めて見ると、かなりココロ惹かれるメニューがたくさん載っていますし

説明の部分もちゃんと読めばとても興味深く読めそうです。

少しずつ読んで、できれば作ってみたいなと思います。