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2016-06-24 22:43:49

from Andy's Photo Journey VI まほろば

テーマ:ブログ

「いやぁ、お父さんに声がそっくりになってきたね。」


十何年ぶりに会う「ペアレント」はそう言って迎えてくれた。



父の面影を探りながら、あちこちだいぶ遠回りをした。



箱庭の中を走る小さな電車。

鄙びた温泉街。



青春18きっぷを片手に、ローカル線を乗り継いでたどり着いた、

信州の懐に抱かれたその小さなユースホステルは



あの頃と何一つ変わっていなかった。



































極めてパーソナルな想い出だとは思うのです。

信州大の繊維学部だった父の、いくつか上の先輩夫婦が営む、ちいさなユースホステル。


おのずと小さい頃、旅行と言えば信州になることが多く、

写真では見たことがあるけれど記憶にはないくらい小さい頃から

ここにはお世話になっていたようです。


人見知りで気の弱かった自分は、父の世代のように日本中のユースを

またにかけて旅をするような若者にはならなかったけれど、それでも

「まほろば」のペアレントはいつでも優しく迎えてくれました。



父の亡き後、時が経ってからも時々、その面影をたどりたい、その面影を知る人に

会いたい、という衝動に駆られることがあり、この度もそんな旅でした。



青春18きっぷを片手に、中央本線~小海線とたどる前に明野のひまわりへ立ち寄ったのは、

最期の年に、湯治をするために母と二人、増富温泉へと向かう途中にきっと見たであろう

ひまわりを見ておきたいなという気持ちからでした。

そのあと小海線を小諸へ。すっかり鄙びたかつての信越本線をくだり、上田まで来れば、

懐かしの上田交通別所線です。あとは箱庭のような路線を駆け抜けて別所温泉へ

一直線。



「変わっていない」というのは記憶の美化で、その日の宿泊客は自分ひとりでした。

かつては宿泊客同士の自己紹介から始まるにぎやかな夕食でした。



虎の子の焼酎を出してくれて、定番の野沢菜をつまみに親父さんと飲み明かしました。


当時学生の間でユースホステルが大人気だったこと。

卒業してすぐに始めたこと。

当時ワンゲルだった父から聞いたこととはまた少し違った、あの頃の

信州や学生のことが目の前によみがえるように繰り広げられます。


今は民話の研究や普及に熱中されているとか。

そんな楽しい話に聞き入っているうちにあっという間に夜が更けていきました。


思ったほど父の話は出てこなかったのだけれど、

僕の知らない若かりし頃の父や仲間達の熱気を見ているようで

ワクワクしたものです。



このシリーズを見ながら、ご自身のホステラー時代の想い出を熱く語ってくれた方がいらっしゃいました。

極めてパーソナルな想い出から生まれた作品が、別の人の想い出を呼び覚ましてくれる。

こんなことも写真の醍醐味なのかもしれません。






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2016-06-19 23:07:19

from Andy's Photo Journey VI 外泊

テーマ:ブログ

お兄ちゃん、

明日の朝は何時くらいに出るん?



うちわ海老に舌鼓を打ちつつコップのビールを煽っていると

女将さんにふと声をかけられた。



今日はお客さんもあんた一人やし、病院に行く用事があるから、

城辺のバスターミナルまで一緒に行こうか、と。



瀬戸内の穏やかな潮風が

やさしい音を立てて石垣の間を抜けてゆく。





石蕗の花揺れる外泊の夜は、静かに更けてゆく。

























外泊と書いて「そとどまり」と呼びます。

愛媛県は南予地区。宇和島からバスでさらにたしか1時間半ほど。


山を切り開いて畑を作り、そこで出た石を積み上げた高い石垣で

家々は強い海風から守られています。


「野良積み」と呼ぶそうで、石垣の上のほうを触るとグラグラして

不安定な感じがしますが、これがかえって揺れや風を吸収して崩れ

にくいとか。


家を守る石垣には海側に一か所切り欠きがあり、そこから海を眺め

漁に出た船に乗る家族の帰りを待ったのだとか。



民宿にはその日、宿泊客は自分ひとりでした。


名物女将だった先代のことや、この石垣を守る活動のこと、

海外で仕事をしていて日本に帰る度に寄ってくれるお医者さんのこと、

などなど話は尽きません。



いつかまた、うちわ海老をつつきコップのビールを煽りながら

とりとめのないおかみさんの話に耳を傾けたいなぁ。



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2016-06-15 22:37:27

from Andy's Photo Journey VI プロローグ

テーマ:ブログ

深夜のプラットホームから

滑り出してゆく夜行列車を見送る、遠い日の記憶。



つまるところ僕は



あの日伝えられなかった、

そして今はもう伝えられない思いを、今でも抱えて



旅を続けているのだろう。










2016年5月に開催した「Andy's Photo Journey VI」を少しずつ振り返ります。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



今はもう夜行列車が発車することのない上野駅特急ホーム。

かつてここから北陸へ向かう夜行列車がありました。


寝台特急北陸と夜行急行能登。

お金がない学生の帰省はもちろん急行能登です。


遠ざかる列車と見送る自分。



僕にとっては「乗る夜行列車」よりも「見送る夜行列車」なのかもしれません。




写真は、1枚目は東京駅で出発を待つ「サンライズ出雲・瀬戸」

夜行列車の旅もおしゃれになったものです。


2枚目は上野駅。いまはもう昔の「寝台特急北陸」の車窓からです。



列車が変わり、駅が変わり、街が変わっても、

いまでも昔の記憶を探しながら、旅を続けているのかもしれません。





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