『週刊 マンガ世界の偉人 諸葛孔明』 | 呉下の凡愚の住処

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春秋戦国の楚国、三国志の孫呉にすべてを捧げて生きています。
現在はあまり更新していませんが、
何も持っていなかった過去の自分が想定読者でした。
詳細はプロフィールをご覧ください。

という本が本屋に置いてありました。
表紙で吹きそうになりました。何かのドッキリかと思った……
※苦情は勘弁してください

サブタイトル:神の頭脳を持った古代中国の天才軍師


はあ。 <相槌

朝日新聞出版 最新刊行物 週刊 マンガ世界の偉人
http://125.206.126.35/~publications/ijin/


立ち読みしてみました。
まじめにこんなことを書くのはかなり大人気ないと思うのですが、
思ったことを思ったように書きますね。

サブタイトルから推測できるように、内容は『三国志演義』が元になっています。
彼ら(←誰)が得意とするいつものパターンです。
その『三国志演義』での諸葛亮を
“世界の偉人”として扱っているのが、私には無理でした。
いや、諸葛亮さんが世界の偉人であることは別にいいんですよ。
知名度では確実に世界の偉人ですし。そこは誰もが認めるところと思います。

しかしですね、このシリーズのラインナップを見てみると……
(↑公式サイトで見られます)
どうも諸葛亮さんは浮いている気がするんです。
他の方々は、確かに世の中に影響を与えた方々だと思うんですよ……
“偉人”かどうかは個人の感じ方で変わるでしょうが。
でも『三国志演義』って、あくまで物語ですよね。
『三国志演義』自体は世の中に影響を与えた書籍ですが、
書籍の内容から“世界の偉人”を作っちゃって大丈夫なんでしょうか?

不自然ですよね……
このシリーズのコンセプトから外れてると思うんです。
“世界の偉人”の中に“シャーロック・ホームズ”“ハリー・ポッター”
が入っていたら「あれ?」って感じますよね。
確かにすごく有名だし、各界に影響を与えた立派な人たちだけど、
君たち想像上の人間だよね? っていう。
「諸葛孔明 神の頭脳を持った古代中国の天才軍師」は、
まさにその“想像上の人物像”だと思うんです。

民間伝承ではありますが、「饅頭やそろばんの生みの親」としてなら
立派な偉人として扱えると思いますが、この本はそうじゃないんです。
完全に『三国志演義』の登場人物の一人として出てきてるんです。
それってどうなのかなと……
2012/05/12追記:
諸葛亮さんはそろばん作ってないですね。関羽さんでしたね。

公式サイト内・「ラインナップ」のページには
> 情熱と信念を持って生き抜き、世界を動かした偉人を厳選しました。困難にめげず、大事を成し遂げた彼らの人生を通して、(中略)感動を子どもに伝え、「自分もこんな人間になりたい」という気持ちにさせます。
と書いてあります。

三国志の人物から一人出そう、っていうのはいい考えだと思います!
でも「諸葛孔明」じゃなくてよかったんじゃないかと思うわけで……
個人的には、趙雲か関羽にしておけばよかったんじゃないかと思うわけで……
うん、「なんで孫呉の人じゃないの!?」とは1ミリも思ってないです。
このシリーズの中に「周瑜」「陸遜」があっても首をかしげていたでしょう。
だから問題はそこじゃないんです。
諸葛亮が「世界を動かして大事を成し遂げた」のは演義の中の話だよね?
それっておかしいよね? って言いたいんです。

趙雲・関羽なら、大事を成し遂げていると思うんですよ……正史でも。
(↑厳密には注に記載のある内容だったりしますが許してね)
趙雲が長坂で阿斗様救出するところとか、
関羽が官渡で活躍して劉備の元に戻るところとか、は、
事実である上に、「情熱と信念を持って困難にめげなかった」感じがありますよね。
しかも漫画としてすごく絵になると思うんです!
「子供を“自分もこんな人間になりたい”という気持ちにさせる」だけのことを
あの二人はしていると思いますよ……

って私がまじめに語り始めるくらい
「諸葛孔明」というチョイスはどうかと思ったのでした。
※苦情は勘弁してください


『週刊 マンガ世界の偉人』で諸葛孔明(2012年5月1日) - 三国志ニュース
http://cte.main.jp/newsch/article.php/2311

『三国志ニュース』さんが憂いておられたとおりの展開になってしまいました……