かふぇ・あんちょび

このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。


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 当時日本と中国を結ぶ航路には、横浜・神戸―上海、神戸―天津、長崎―上海 があった。
九州人の僕は当然のごとく長崎からの船を選んだ。
 交通手段が航空機に代わった現在でも、いにしえより続く大陸航路は健在であり、出稼ぎの中国人や、大きな荷物を抱えた運び屋たちでごったがえす埠頭から船に乗り込み、冒険の旅は華々しく幕を開ける――。というのが思い描くスタートであった。
ところがフタを開けると実際には乗船口は閑散としており、船旅を共にする乗客は数えるほどであった。
日本人、中国人合わせて30人もいたであろうか。
(その後の一泊の短い船旅の間に、僕はそのほとんどの人と言葉を交わすことになる。)
 まあとにかく、なにもかもが初めての経験である。
にぎやかであろうがなかろうが、旅の始まりにいやがおうでも胸は高鳴る。
 そして出国審査。
いかにもお役人的無愛想な係員は、満面の笑みを浮かべる僕の顔をちらりと確認し、真新しいパスポートの適当なページを開くと、真ん中に、しかも逆さまに、日本出国のスタンプを押すのであった。
  
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 計画らしい計画は何も持ち合わせていなかった。
海外旅行の経験もなく、旅費の相場もさっぱり見当がつかない。
 まあ、もともと楽観的な性格ではある。
それなりに必死で受験勉強して軌道に乗せた医師への道を諦めたわけだが、大陸に渡るというイメージは僕のヒロイズムを大いに満足させ、現実逃避という事実の苦々しい敗北感を薄めてくれた。
 旅の間、頭の中で流れていたテーマソングは、
幼い頃に観たNHKシルクロードのテーマ、久保田早紀の異邦人。
そして、ドリフターズの人形劇西遊記のテーマ 西へ向かうぞニンニキニキニキニン。
 この時点では、僕が学生時代にアルバイトで貯めていたお金はアジアでは途方もない大金であり、旅がこれほど長引くとは、そしてその旅の経験は、僕を全くの別人にかえるほどの圧倒的なものであるとは予想だにしていなかった。
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 旅の始まりの事は鮮明に覚えている。
覚えてはいるが、それを理解しているのかというとはなはだ疑問である。
その後何度となく、いろいろな人に長い旅の理由、動機を尋ねられたが、その都度僕は適当な答えをしてきた。
決して嘘をついたおぼえはないが、すっきりと答えられたためしもない。 

 それは寒い冬の日の事だった。
地方医科大学に通い、留年を繰り返していた僕は、その日も冴えない結果で後期試験のひとつを終え、徹夜明けでぼんやりとしたまま、ポンコツの中古車で寒々しいアパートへと向かっていた。
立ち寄ったスーパーマーケットの駐車場で、きしむ車のドアをバタンと閉めたときに、それが起こった。
 なにもかも放り出して旅に出よう。
 翌日から僕は試験を放り出し、友人たちに満足な説明のできぬまま退学届を出し、二ヵ月後には上海行の貨客船に乗り込んでいた。
 1995年5月のことである。
 

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