僕のことを個人的に知ってる方は、僕が「政治」について語ることがほとんどないことをご存知と思います。糸井重里もそうだったみたいですが、僕も18歳の時だけ、政治活動しました。寮委員長選に反民青として立候補し、惜敗して、「革マル」のレッテルを貼られ、住んでいた寮の裏で同じ新入生が、僕も行こうかと考えていた集会の帰り道に内ゲバで中核派に殺されて、その時点で辞めました。その何年後かに深夜のテレビ番組で反民青の寮委員長が誕生して、(元中核派系の)加藤登紀子と共に出ていたのは感慨深く見てましたが。
それ以来、その反動で政治、特に日本の政治についてはわざと見ないようにして来た気がします。日本の投票権もありますが、投票したのは今まで1、2回だけ。
ところが、震災以来の日本を見てると、「これはマジでやばい」と感じられ、必然的に政治に目が向くことになりました。日本という国の近代での転換点は言うまでもなく明治維新と終戦ですが、今回の震災とTPPは3つ目の転換点になる可能性があります。逆に言えば、これを転換点にしない努力が必要とされている。
という訳で、以下、今思っていること。
震災の処理で問題なのは被災財(ガレキとも言います)、地元の復興、原発です。まず、神戸の時にやらなかった被災財の広域処理は利権の結果以外の何者でもない。陸前高田市長の「ガレキ処理プラント」建設の提案は岩手県に門前払いされたのに、今度は処理施設を愛知県に作ろうとしてる。神戸の被災財は2000万トン、今回は2300万トン。現在、土地が足りない訳ではなく、東北地方の首長の過半数は「ガレキは問題ではない」と言ってます。仮置き場への搬入は福島県以外は90%以上。被災財のせいで復興が進まないというのはウソ。地元が被災財を埋め立てに使いたいと申請しても却下されている。一部の人は最初から言ってましたが、広域処理の理由は環境省、産廃、土建、セメント、運送業者などの利権。
被災財の広域処理についての新聞広告に何億円とかけてる反面、地元の復興は大幅に遅れている。地元が望む最も重要な産業基盤(例えば港)の整備などに手がつけられていない。政府は「ガレキの撤去が終わっていないから」と言うが、例えば港の整備に関して、ガレキの処理はとっくに終わっているのは、地元に行けば一目瞭然。
原発はここ2ヶ月が勝負。5月初めに北電の泊原発が停止すると運転中がゼロになる。代替燃料の一番手である天然ガスはシェールガスの掘削のおかげで世界的に安値傾向。日本の電力会社は今支払っている長期契約価格の恐らく1/3で買うことができる。ただ、電力会社は独占企業なので、コストを下げる理由がない。原料価格を電力価格に上乗せできるので、逆に原料が高い方が儲かる、という訳の分からない構造。東電だって、普通に考えればとっくに破産・国有化するべき。送発電を分離して、債務の支払い用に送電分野を民間に売却するのが当然。
日本の将来に一番大きな禍根を残すのは、今協議されているTPPがアメリカの主張通りに決まった場合。TPPは単なる経済協定ではなく、保険、金融、医療のあり方などにアメリカンスタンダードを導入しようとする、いわば国家主権に関する取り決め。だからTrans-Pacific Partnershipのどこにも「経済」とか「通商」という文字がない。アメリカに29年住んでいての実感を言えば、対等な場での競争で、日本のビジネスがアメリカに勝てるとは思えない。
日本という国のあり方、それ以上に日本人の日常生活にとって、TPPは日米安保条約並み、もしくはそれ以上の影響を与える可能性がある。それほど重要な案件を、国民に対するきちっとした説明や総選挙で信を問うこともなく決定しようとしているという野ダメ政権の非常識さには呆れ返る他ない。
これまで自民党でも民主党でもそれほど変わらないと思って来たし、今もその考えは変わらない。ただ、今の野田さんの「増税に政治生命をかける」とか「TPPはビートルズと同じ」とかの言説は、狂ってるとしか思えない。個人的には好きではないけど、小沢さんの「増税反対」の方がよほどまとも。
原発利権への依存率の高い自民党、主に野田さんのせいお話にならない民主党、ここで「反原発」を掲げれば野党は大躍進ができるのに、それを仕掛けているのが政治の素人、橋下徹。大阪市の職員に対するアンケートは明らかな憲法違反だし、「維新の会」のやろうとしているのはサッチャーやレーガンがやって貧富の差を大きくした極端な新自由主義。ちょっとでもものの分かってる人は、本当に橋下を怖れてます。この人の政策は、それくらい、不可逆的な変化を日本の社会にもたらしてしまう。
さらに恐いのは、この人、多分自分の政策がどういう結末を迎えるかわかっていないと思われる点。ここが小沢さんや石原さんとは違う点で、これはホントに恐い。という訳で、ここ1年は日本の将来が決まる重要な時期だと思う。
願わくば、二度と政治について考えずにすむことを。


