小学生のころ、僕らの間では野球が流行っていました。
流行っていた、というよりは、
おとこしはたいてい、野球をやっていました。
プロ野球選手に憧れていたのもあっただろうし、
周囲の皆がやっていたからというのもあったと思います。
ともあれ、皆がこぞって野球野球。
猫もバットを持って野球野球でした。
少しでも上手くなりたかった僕は、
学校から帰ってくると、
一人で練習をしていました。
勿論、皆で練習する日もあったし、
たいていは試合をしたりして、
けっこうビジーな放課後ライフを送っていたのですが、
たまに「今日は練習なし」なんて日になっても、
一人でグローブとボールを持って
練習していたのです。
一人で練習、いったいどんなことをしていたのかといいますと、
壁に向かってボールを投げて、
返ってくるボールをキャッチする。
ただそれだけの繰り返しでした。
しかし、これもやりはじめますと
けっこう熱が入ってくるもので、
そのうち壁のある一画だけが、
色が変色してきたりして、
少年であった僕は、
「ふむ、我ながらよく練習したものだ。
そしてあのゾーンにだけ投げられるような
すばらしいコントロールが身についたものだ」
と、将に自画自賛。
カルビーのプロ野球スナックを食べては、
自らがそのカードに登場することを夢見ていた少年は、
日々、ひとりキャッチボールで汗を流していたのです。
ある日、
このひとりキャッチボールが原因で、
僕は親からこっぴどく叱られることになります。
そう、この練習をしった親は、
その壁の持ち主に謝罪すると同時に、
その原因を作った僕を叱ったのでありました。
そうか、この壁のお家の人に悪いことをしたんや。
その時まで、まったくそんなことを考えもしませんでした。
それでもって、その練習は中止になったのですが、
もし続けていたら、プロ野球スナックのカードになれたかしら?
風ですから山に穴を開けることができるのに、
ボールを使って壁に穴すら開けられなかったのですから、
きっとそんなことは不可能だったでしょうね。
さて、
昨今、住宅街などを歩いておりますと、
確かによく、壁に
「ボール投げ禁止」
などの貼り紙を見かけることがあります。
「あ~、今も昔も一緒やなぁ」
なんてノスタルヂックなことを思ってしまうのですが、
でも、この「ボール投げ禁止」の文言、
ちょっとキツイ雰囲気を感じます。
もう少し柔らかい表現はないもんかいな。
そう思いながら歩いておりますと、
神社にて見つけた貼り紙。

まりなげ!
これはいい!!!
何が違うのかわからんけど、これはいい!!!
思わず嬉しくなってしまったのでした。


