盲獣 | 記憶のための映画メモ

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こんにちは!
大好きな映画も数日で忘れてしまう我が記憶力。
ユルユルの脳味噌に喝を入れるための映画ブログです。


盲獣


1969年/日本/84分
監督:増村保造
出演:船越英二、緑魔子、千石規子、他
おすすめ度(5点中) → 3.6


――― あらすじ ―――――――
盲目の彫刻家・蘇父道夫は女性タレント・島アキを拉致し、彼女の彫刻を作ろうとする。初めは抵抗していたアキも、次第に彼との奇怪な同居生活にのめり込んでいく……。(allcinemaより)


―――  感想  ―――――――

異様なアトリエに代表される変な雰囲気が楽しめるし、何気にコント的な内容も愉快。登場人物が3人だけの三角関係は見ごたえありましたが、最終的に触角の芸術が性行為を経ることによって過剰なSMに発展していく部分には、そんなにノレませんでした。


アキは売れないファッションモデル。彼女はある先鋭写真家の作品にモデルとして出演。そして、その個展はイイ感じに反響があり、アキはその筋でちょっと知られる存在となる。



▲ある時、アキは写真家に会いに個展へいく。するとそこにはアキをモデルにした彫刻を執拗にさわる人間がいたのだった。これにより、アキは自分の体をまさぐられているような感覚に陥る。


▲後日、取材で疲れたアキはマッサージを呼ぶ。すると盲目の施術師がやってくる。

うーん、どうみてもマッサージに見えないんだなw。このへんからすでにコント臭がする。


アキはこのマッサージ師を気味悪がって追い払おうとするが、マッサージ師はアキを昏睡させ誘拐する。

そしてアキが目覚めると、そこには何とも奇妙な空間が広がっていたのだった。壁には人体をかたどったオブジェが一面に配され、巨大な裸体の彫刻がでーんと床にころがっていたりする。なんなんだこの空間は。


▲目



▲鼻


▲口


▲耳


▲脚


▲異常極まりないこの空間を作ったのは、アキを誘拐した道夫である。彼はアキをモデルに作品を作りたかったのだ。アキはもちろん抵抗するが、モデルをやってくれないと家に帰さないといわれ、やがて渋々引き受けることに(打算込み)。


▲当然、アキは隙をみて逃げようとするが、道夫&道夫の母親に阻まれ逃げられない。

この母親がいいんです。息子のためなら、何でもするスタンス。非常に危険ですなーw。


▲で、計算高いアキは従順にモデルをやるふりをしつつ、道夫を自分の思い通りに洗脳していく。道夫と恋人っぽい関係を築いてしまうんですねー。


▲この状況を母親は良く思わない。

この道夫を中心としたアキと母親の攻防戦が楽しい。


やがて母親は息子に悪い虫がつくという思いでアキを殺そうとするのだが(いったんは逃がそうとする)、すっかりアキのことを好きになっていた道夫はアキを守ろうとする。壁に跳ね飛ばされた母親は柱に頭を打ち付け死んでしまうのだった。


これにより、完全に2人だけの世界が出来上がる。最初こそ強姦に近い形で道夫に犯されたアキだったが、回数をかさねるうちに愛情が芽生える。


ずーっと真っ暗なアトリエの中でまぐわり続けた2人は、やがて触角の芸術と称しながら、互いを傷付け合うことを楽しみとするようになる。最初は叩いたり縛ったりだが、やがてナイフなどを使うようになり2人の体はボロボロに。あとは言わずもがなですかね~。


って感じの映画でした。



テーマ曲が印象的で食い入るように観ていたんですが、テーマ的なものはどんどん薄くなっていき、ひたすら不思議なものを観る好奇心だけで鑑賞しておりました。

できれば、初めて女を知った道夫の変化や、やがて現実世界に未練がなくなるアキの心の中をもう少し丁寧に描いてほしかった。そうすれば、とても好きな映画になっていた気がします。


レビューを観ると酷評だらけですね。僕は嫌いじゃないんですが(・∀・)