セブン
2008-06-30 21:52:52

ウルトラセブン  栄光は誰れのために

テーマ:ウルトラセブン

放映日/1968年4月28日



監修/円谷英二


脚本/藤川桂介
音楽/冬木透


出演/


中山昭二(キリヤマ隊長)


森次浩司、後の、森次晃嗣(モロボシ・ダン)
菱見百合子、後の、ひし美ゆり子(友里アンヌ)


石井伊吉、後の、毒蝮三太夫(フルハシ・シゲル)
阿知波信介(ソガ)
古谷敏(アマギ)  




山口暁、後の、山口豪久(青木)

鈴木邦夫(プラチク星人、スーツアクター)
宮川洋一(マナべ参謀)




上西弘次(ウルトラセブン、スーツアクター)
浦野光(ナレーター)

特殊技術/的場徹


監督/鈴木俊継



―今回はストーリーを結末まで紹介して、

  ネタバレします。未見の方はご注意下

  さい―


  

地球防衛軍 作戦室


 キリヤマ隊長は、ダン・ソガ・アンヌ・

フルハシ・アマギに、参謀室からの計

画を伝える。


 
 キリヤマ

 「只今、参謀室から野戦訓練の計画が発表された。
  明朝6時を期して星ヶ原一帯で作戦行動に入る。

  目標になる戦車隊がマグマライザーで、リモート

  コントロールされるようになっている。
  例え、訓練ではあっても気持ちを引き締め、実践

  のつもりで行動するように。」



 フルハシ・アマギの二人は、訓練に備え

て、屋外射撃場で射撃練習に励む。二人

が熱心に練習していると、


 「ハッハッ八。」


と大笑いする声が響く。声の主は、美男の青

年である。その目には爛々と闘志が輝いてい

る。


  青年「そんな撃ち方で敵が倒せるんです

      か?」


 
  フルハシ「何!?」



  青年「ちょっと失礼、二発下さい。」



 青年は、二発の弾丸を、クレー射的と空を飛

んでいた烏に、鮮やかに命中させて、大笑する。

フルハシ・アマギは彼の並々ならぬ実力に驚き

を禁じ得ない。


  青年「青木です、よろしく。」


 作戦室にフルハシ・アマギが戻ると、マナべ

参謀と一人の若者がいる。先程の挑発的な言辞・

態度を示した青年青木であった。



  マナべ「君達に紹介する者がいるんだ。」



  青木「先程は失礼しました。」



  マナべ「何だ、もう紹介は済んでるのか。」



 参謀は新人隊員の青木をウルトラ警備隊に預

け、野戦訓練で十分に鍛えてやって欲しい、と彼

の教育を要請する。



  青木「よろしくお願い致します。」


 

 その時、国籍不明機が上空を飛んでいるという

情報が入った。



  青木「たかが、一機の敵機なら、私一人で充分
      です。任しといて下さい!」
   


マナべ参謀はフルハシが補佐役に付くことで、青

木の侵入機探索を許可する。二人は地球防衛軍

戦闘機ウルトラ・ガードで飛ぶ。上空の侵入機は

吹き流しを付けており、訓練の為に飛んでいた。

操縦しているのもキリヤマ隊長とダンである。


 だが、青木は、ダン・キリヤマの乗った機の機

体に向けて、ミサイルを発射する。ダン・キリヤマ

は見事にミサイルをかわす。



  フルハシ「貴様、気でも狂ったか!?」



  青木「フルハシさん、あれは敵機です。打ち落と
      しても当然じゃないありませんか!?」



  フルハシ「貴様には、あの吹き流しが見えなかっ
       たのか?」



  青木「手心を加えろって言うんですか?私達は
      敵機の侵入を告げられて来たんですよ。
      そんな馴れ合いの訓練でお茶を濁して、

      何の役に立つんです?」




 参謀室

 マナべがダン・キリヤマに青木を紹介する。ダン

は青木に握手を求める。ダンの手を握った青木だ

が、その目には、凄まじいライバル心が漲っている。



  ダン「中中やるじゃないか。」



  青木「よろしくお願い致します。」



  キリヤマ「危うく殺されるところだったぞ。」

 

    
  青木「本当はウルトラ警備隊の欠員が二名出

      来るところでした。」


     
  マナべ「青木君!!(ダン・キリヤマに)こういう
       はりきり男だ、頼んだぞ」



  ダン「はい。」



  青木「(独白)今に見ていろ」



 星ヶ原一帯で震動が起こった。ダンは青木と共に

調査に向かい、「勝手な行動は許さないぞ」と注意

する。だが、ダンが車外に出た瞬間、「ダンより早く

事件をキャッチ出来る」と考えた青木は単独でポイ

ンターを運転して震源を調査し、林の中に宇宙船の

怪しい動きを発見して攻撃を始める。そこへダンが

駆けつける。



  ダン「青木、何をしてる?」



  青木「あの辺が怪しいんですよ。」



  ダン「何か見たのか?」



  青木「いや、別に。」



  ダン「馬鹿!相手がいるともわからないのに、

      攻撃して、何になるんだっ!」
     


 星ヶ原一帯の不審な動きを鑑みつつ、キリヤマは

実戦の準備もしながら野戦訓練に臨むことを隊員に

告げる。


PICT0007
 
 特殊地底戦車マグマライザーでは訓練に備えて

隊員が車内点検を行っている。そこへ青木が登場

する。



  隊員「青木さん、明日は頑張って下さいよ。」



  青木「殊勲賞はきっと取ってやるから、そう思え」



隊員が去ると、青木はマグマに発信装置を取り付け

る。


 
  青木「(独白)この発信装置で敵はマグマを襲って
      くるかもしれない。それを叩き潰すんだ!」

 


 無断で発信装置を取り付けたことは、マグマを敵に

狙われる危険に晒し、乗員に命に危険が及ぶことも

充分に推測される事柄である。だが、青木は仲間の

命に危機が及ぶことも承知の上で、敵を誘き寄せよ

うとする。その野心的で軽はずみな考えが、痛ましい

悲劇を呼ぶ・・・



 野戦訓練当日。



PICT0005

 青木の狙い通り、発進装置を付けたマグマライザー

は宇宙人プラチク星人に襲撃される。プラチクに乗員

は殺され、マグマも奪われてしまう。


 ダンと青木は、マグマの乗員が立ったまま死亡して

いる姿を発見して慄然とする。ソガ・アンヌは、マグマ

が実弾を発射して攻撃して、沢山の隊員が殺されて

いる事態をキリヤマに報告する。キリヤマは実戦体

制への切り替えを命じる。マグマや戦車隊の猛攻を

受け、防衛軍隊員全滅の危機が迫る。

  

   

  ダン「隊長、マグマを奪回して、高原から脱出
      しましょう!」


  青木「隊長、私にやらせて下さい!侵略者が

      誰だろうと、必ず倒して見せます。」


    

  フルハシ「貴様、思い上がるなっ!」



  青木「隊長!」



  キリヤマ「よし、行け」



ダン・青木はマグマライザーに近づく。



  ダン「青木、気を付けるんだぞ。」



  青木「俺一人、犠牲になったってやっつけて
      やりますよ。」



 戦車から攻撃を受け、ダンは気を失う。青木は
手榴弾を放って戦車を爆破する。

 


 青木「(独白)ダンに勝てた。
     栄光は俺がつかんだんだ!」



 だが、別の戦車から青木に向けて攻撃が放た

れ、青木は重傷を負う。ダンは意識を回復し、マ

グマライザーに乗り込む。



  青木「畜生!ダンに栄光を・・・」


 マグマライザー内においてダンは、プラチク星人
と対決する。プラチクはマグマの外に出て巨大化し、
ダンもセブンに変身して戦車外で巨大化して応戦
する。


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 プラチクはペコペコと頭を下げて許しを請う。

優しいセブンが許そうとして踵を返すと、プラチ

クはセブンに息を吹きかけ、彼の体を硬直化さ

せる。

 アンヌはセブンがやられた事に驚愕を受ける

が、セブンはすぐに復活・蘇生する。


 セブンとプラチクは激闘を展開する。



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 ついにセブンはエメリウム光線でプラチクを倒し、

プラチクの体は炎上して骨になる。




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 セブンはダンに戻って、青木の介抱に向かう。
青木の頬は流れる鮮血に染まっている。



  ダン「青木、青木、しっかりしろ!マグマも
      奪回したし、侵略者も叩き潰したぞ。」



  青木「私の為の栄光が欲しかった・・・
      ダンさん、私はあの時、

      林の中で見たんです。」

       
  ダン「何!?」



  青木「そのことさえ、報告しとけば」



  ダン「貴様、何故それを言わなかったんだ。その
     為に何十人という隊員が!
     馬鹿野郎!」
  

 ダンは重傷の青木を殴り飛ばす。



  青木「許して下さい。」


  ダン「青木、だったら、生きて償いをするんだ!」



 その時、骨になっても生きていたプラチク星人

が背後からダンを襲おうとしていた。瀕死の青木

は懸命に気力を引き絞って、ウルトラ・ガンでプラ

チク星人を射殺して、ダンの命を守る。



  「ダンさん。これが貴方への償いです。」


 この謝罪の言葉を語って、情熱の隊員青木は

死去した。



  ダン「馬鹿だな・・・貴様」


 アマギ・フルハシがかけつけ、青木の容態を

視線で尋ね、ダンは首を振る。


 アマギ・フルハシは、亡き青木に敬礼し、ダンは
ヘルメットを遺体の側に置く。








-栄光に、命燃やして-


 第30話「栄光は誰れのために」は、切なさが

極まる傑作で、見るたびに涙を抑えられない。


 藤川桂介脚本の緻密な構成と燃え盛る情熱、

鈴木俊継演出の重厚で深遠な世界、的場演出

の手に汗握る特撮の緊迫感。

 スタッフの熱い心が渾然一体となり、青年の

野望の悲劇を鮮やかに描ききった。


 そして、このスタッフの期待に応えて、青木役

を全身を挙げて熱演した、ゲスト山口暁(豪久)

の至芸。まさに命の根底から突き上げるような、

「魂の声」というべきものを感じさせてくれる大熱

演である。



 野心家で我が儘で、自己中心的で、他の隊員

の命も犠牲にして顧みない青木は、エゴイストと

言われても仕方がない存在である。だが、山口

の名演は、青木の栄光と名利を求めてやまない

生き方を熱く表現しながら、野望の底に潜んでい

た、青木の純情も見事に明らかにした。


 青木は描き方によっては「嫌な奴」になってしま

う可能性もあった。だが、山口の力演を見た後、

視聴者は彼を責められない。そうした共鳴・共感

を呼ぶところに、演技の「力」の大きさというもの

を改めて仰ぐ。


 山口暁(山口あきら、後に山口豪久)は、昭和

二十年(1945年)1月25日生まれ。沢山の特撮作

品で大活躍した名優である。


 円谷プロは、第30話放映の頃、金城哲夫をメイ

ンライターとして、フジテレビの作品で『戦え!マイ

ティ・ジャック』を準備していたが、山口の青木役の

起用は、『戦え!マイティ・ジャック』における今井

隊員役のテストの意味もあったようだ。


 『戦え!マイティ・ジャック』の準備で金城は多忙
になって、『セブン』の脚本を沢山書くことが難しく
なり、シリーズ後半は上原正三・市川森一の二人

が、数多くのエピソードを担当することとなる。


 脚本家のジェームス三木は、作劇に当たって、

「役者と役者の演技の激突」を想定しながら筆を

進めていることをよく強調している。芸と芸が激し

くぶつかり合うことによって、足し算からかけ算

になり、作品の迫力と凄みは増す。

 役者と役者が同世代ならば、良い意味でのライ

バル心も相乗して、激突で凄まじい熱気がドラマ

に生まれる。


 本作の藤川桂介脚本も、同世代の関係にある、

森次浩司(放映当時25歳)と山口暁(放映当時23

歳)の、火花散る演技合戦を絢爛と輝かした。

 


 放映当時の昭和四十三年(1968年)は、後に「革

命」の年と呼ばれた年である。若者達は既存の価値

観や社会矛盾に対して、懸命にぶつかった戦った。


 野望に燃える青木には、「時代」の若者の苦闘と

煩悶と呻吟がこめられている。功名を焦って暴走し、

彼の野心的計画はプラチク星人の攻撃を誘発し、

地球防衛軍に多大な被害を与える。それでも、青木

は野望に燃えた。

 

 「ダンに勝ちたい」


というライバル心を満たす為に。


 栄光や名利には、本来色も形もない。だが、何故

人間はこの栄光・名利・名誉欲を渇望してしまうのか?

 源信僧都は、『往生要集』において、



  出離最後之怨、莫大名利者也(1)
  

  <現代語訳>
  生死の迷いを離れて覚りを求める歩みにおいて、
  名利より大きな怨みはないものなのだ。



と鋭く指摘している。仏道を求める人間にとって、怨み
を呼ぶ根本には名利の迷いがある。名誉欲はあらゆ

る苦悩の源かもしれない。

                  

 青木が栄光の獲得に生き甲斐を見いだしたことも、

この名利の迷いによるものであろう。ここに青木の悲

劇があった。


 藤川はこれまで描かれなかったダンの姿を書いて

いる。青木を怒り叱責するダン。「先輩」「友人」として

の無念の思いがある。決して自身を高位において未

熟な青木を見下している訳ではない。青木に対する

厳格な怒りは、彼を救えなかった自身に対しても向

けられたものであったのではなかろうか?


 どうしてもダンに勝ちたかった青木。その彼が重傷

を負い、野望を求めることに空しさを覚え、ダンに友情

と謝罪を感じた時に、骨になったプラチク星人を発見

する。

 瀕死の状態となり、最後の最後において、初めて、

青木はダンの気づかなかったプラチク星人打倒に

成功する。


 名利への執着から超えてた時に、青木の力は、

ダンを超えたのである。


 この大詰めの場面は、切なさが極まる。


 青木を熱演し鮮烈な印象を与えてくれた山口暁。

 五年後の昭和48年(1973年)、『仮面ライダーV3』で
は、ライダーマン/結城丈二を熱演し、代表作とする。
宮内洋の風見志郎と山口暁の丈二は特撮の歴史に

輝く名コンビとなった。


 昭和六十一年(1986年)、4月9日、

山口豪久は肝臓癌で急死した。



41歳の若さであった。



 山口豪久の生涯は、41年という短い年月であった

が、その役者魂は特撮において熱く燃やされ、作品

に永遠不滅の輝きを与えたのである。
 



                        文中一部敬称略







註・出典

(1)『日本仏教の思想4』390頁
   1991年、岩波書店


参考資料 『ウルトラセブン』DVD.vol.8



コメント

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1 ■同感です!

山口氏の演じたヒーローは永遠に語り継がれていくのです。

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