2008-04-24 14:29:33

うつ状態とうつ病の違い

テーマ:うつ病、躁うつ病


診断書に「うつ状態」とか「抑うつ状態」と書くことがあるが、

これが「うつ病」と同じなのか違うのか、わからない人がいると思う。

「抑」の字にたいした意味はないので、うつと抑うつはまったく同じだが、

うつ状態(抑うつ状態)とうつ病は違っている。

それは○○状態と○○病の違いである。


たとえば、ある人がぐったりしていて「衰弱状態」であるとする。

これは表面的な観察からわかることだ。

しかし衰弱の原因はいろいろ調べてみないとわからない。

貧乏で食べるものがなく、ぐったりしているかもしれない。

働きすぎて、ぐったりしているかもしれない。

なにかの病気かもしれない。

その病気はただの風邪かもしれないし、肺炎かもしれないし、心筋梗塞かもしれない。


一見した衰弱状態の原因が、病気なのか病気ではないのか。

病気なら何の病気か、そこまでわかれば確定診断がついたということになる。

○○病という時には確定診断がついたということである。

うつ状態(抑うつ状態)とうつ病の関係もこれと同じだ。

うつ状態とは、要するに気分が落ち込み、気力がなく、悲観的になり

食欲もなくなり、疲れた感じで・・・という状態である。

しかし、これだけから病気か病気でないかをただちに決めることはできない。


仕事や勉強の失敗、人間関係の失敗、失望などから一時的に「うつ状態」になることがある。

これは正常な反応で、もっとも多いケースだろう。

正常な反応といっても、割り切りが早い人と、なかなか割り切れない人とでは

回復にかかる時間が違ってくる。

もともと感情的だったり、クヨクヨしやすかったり、心配症だったりすると、

ちょっとした失敗で「うつ状態」になりやすいかもしれない。

プライドが高すぎる人や自己中心的な人も

ちょっと意にそぐわないことがあると「うつ状態」になってしまうかもしれない。

(この場合は落ち込むだけでなく攻撃的になることもある)


性格によって「うつ状態」へのなりやすさと回復しやすさに違いはあるが

このような場合は基本的に正常な反応であり、病気ではない。

もし診断書を求められたら、どう書くだろうか?

きっぱりと「正常反応」と書く医師もいるかもしれないが、

それでは患者さんの立つ瀬がなくなりそうな時には「うつ状態(抑うつ状態)」とする。

性格の偏りが目立つ時には診断として「人格障害」を考える。

しかし診断書には診断事実を伝えるほかに、本人を守る治療的意味合いもある。

人格障害という診断で本人が社会的な不利益を受けそうな時には

あえて「うつ状態」だけにとどめておくことが多い。


やや横道にそれたが、うつ状態(抑うつ状態)という診断には

病気かどうか、さらに何病かの診断はまだついていないですよ、という裏の意味があるわけだ。

要するに、仮診断である。

そこまで説明されない患者さんは、たぶん「うつ病」と思ってしまうだろう。

これはもっともなことだ。

二枚舌を使ってはっきり説明しない精神科医のほうに責任がある。

ややこしいことに、抗うつ薬をもらったからといって、うつ病であるとも限らない。

抗うつ薬はうつ病以外の病気に使われることもあるからだ。


では本物のうつ病はどういうものか?

統一された診断基準はたしかにあるが、自己判断には限界がある。

実際に医師と対面して診察を受けなければならない。

診断には本人と会った印象が大きな比重を占めるからだ。

1回でうつ病と診断できることも、数回診察してみて診断できることもある。

1回で確定診断できない時には、やはりうつ状態(抑うつ状態)と仮診断しておく。

確定できたらはっきり「うつ病」と伝えることが多い。


ちなみに、正常な反応、うつ病のほかにも、うつ状態(抑うつ状態)になる場合はある。

統合失調症、パニック障害、社会不安障害、摂食障害、発達障害、認知症、脳梗塞など

数え切れないくらい。

うつ状態がきっかけで病院を受診し、診察の結果、これこれの病気であると判明することも多い。

このような場合、うつ状態は、家の入り口や玄関のようなもの。

中はいろんな部屋に分かれていて、それぞれに違った治療方針がある。



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コメント

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21 ■うつ症状と社会不安障害と診断されました。

ということは、うつ病ではないということですか?

20 ■貴重な説明ありがとうございました。

もっとも正しい説明をありがとうございました。

19 ■づる休みをしたくて・・・

うつ状態で1ヶ月の休職を要す と診断する医者もいる。 

18 ■うつ状態の診断書で明日から自宅療養です。

二度通院しカウンセリングを受け、今日の三度目の診察で“一ヶ月ゆっくり休みなさい”と先生に診断書を書いていただきました。“うつj病である事を自分自身で受け止められない”と言ったら“うつ状態”と先生が言ったので気になり、PCで調べようと思ったらこのページになりました。
分かりやすい説明をありがとうございます。

17 ■はじめまして

昨年暮れに仕事がうまくいかず、精神科にいったところ、不安障害からうつ状態と診断されました。カリフォルニアロケットと言う薬を処方せれ、
うつ状態からは直ってきたと感じられます。
うつ状態とうつ病の違いがはっきり分かって
すこし安心しました。有難うございます。

16 ■無題

これではっきりわかりました。私は最初診てもらった医師の診断書が「自律神経失調症」、でも鬱病の薬を処方されてました。今の医師の診断書は「うつ状態」。症状は不安感が強く、動悸や胸の圧迫感、胃腸障害があります。不安感が強くてパニック状態になってしまうことがあります。
要するに境界線なんですね。私の症状は。どの先生も社会的な保守のためにそれぞれの名前の診断書を書いて下さったのですね。でも今まさに胸の動悸や圧迫感が出てしんどいです。
もうこの病気になって7年。いつになったら治るのか光が見えません。

15 ■初めまして

検索からここに飛んできました。
大変わかりやすく、参考になりました。ありがとうございます。
わたしはうつ状態と診断されてから3年以上経っていますが、未だにそれ以上のことは言われていません。
なんというか、とてももどかしいです、変な話ですが、病名をもらって落ち着きたい、という気がしています。

14 ■はじめまして

私は高校3年生のじゅんぴむと申します。
今年の7月から心療内科に通院しています。
昨日診断を聞いたら「鬱状態」といわれました。
鬱状態は病気とか障害なのでしょうか?

返事待っています

13 ■私は、

や私は、約1年精神科に通っています
去年リスカ&アムカが止められなく、生きているのが辛くない受診しました。ついこの間までは、うつ病と診断されてきました。しかし、この間受診した時、私は、うつ病ではなく、うつ状態と発達障害と統合失調症といわれました。今障害者手帳を申請中です。最近またリスカが復活して、毎日タオルが血で染まるくらい切ってしまいます。私は、生きていて良いのでしょうか?何に対してもやる気がおきません。アドバイスを頂けないでしょうか?m(__)m

12 ■無題

今、友人が精神病になってから精神保険福祉士の勉強をはじめました。
とっても、とっても分かりやすくて勉強になりました。ありがとうございます(*- -)(*_ _)

11 ■無題

今、友人が精神病になってから精神保険福祉士の勉強をはじめました。
とっても、とっても分かりやすくて勉強になりました。ありがとうございます(*- -)(*_ _)

10 ■価値あるページ

このページは非常に価値のあるページだと思います。
とても分かりやすく、勉強になりました。
この情報を失わないためにも、ウィキペディアなどにこのような内容を記載することができれば、より素晴らしいことかと存じます。

ちなみに、グーグル検索ボックスに「抑うつ状態」と入力し、その関連候補「抑うつ状態 うつ病 違い」の検索結果の3件目でここへたどり着きました。

なお、自サイトとして入力したURLは携帯仕様となっております。

また、ツイッターはユーザー名「DoscoyT」でツイートしています。
よろしければ一見を。

9 ■パープルさん

ありがとうございます。現在、世間で「うつ」といっているものの大半は、病気としてのうつ病と違うと思います。このへんの誤解は、また別の視点でとりあげるかもしれません。

8 ■SHIZUKUさん

そうですね。「思いつめるとうつになる」というのは、病気としてのうつ病ではなく、どちらかというと「暗い心境」的なことでしょうね。

7 ■読ませていただき

ストーンと
モヤモヤしていた物が抜け落ちました。
凄く解りやすく、納得しました。
多分また、このエントリは何回か読ませていただきます。ありがとうございましたm(._.)m

6 ■さっそく

取り上げて下り、本当にありがとうございますm(._.)m

真剣に読ませていただきたいので、頭の中がスッキリしたら拝読させていただきます。
おがた先生
お忙しい中、本当に感謝致します。

5 ■うつ病

先日、ととろさん(臨床心理士)に、あることに対して「あまり思い詰めるとうつになるよ。」と言われて驚きました。
おがたさんのブログを読んで、うつ病と、うつ状態(ととろさんが言っていたのはこっち)との違いが分かって安心しました。
ありがとうございました。

4 ■サトちゃん

本やネットなどで調べて自己判断するのはやはり限界があるでしょうね。百聞は一見にしかずで、直接診察を受けたほうが早道であることが多いと思います。

3 ■ポラリスさん

ご本人に受診してもらうまでには、けっこう時間と苦労がかかることがありますね・・・強制的な受診はなるべく避けたいですし。

2 ■はじめまして

初コメントです。

うつ状態とうつ病の違いが、分かりやすくて、とても参考になりました。

私は、精神科にお世話になってますが、もっと早くうつ状態の時に、精神科で治療をはじめていれば…と思う時があります。
自己判断するよりも、専門医に診てもらい、きちんと治療することで、症状も軽くなりますからね。

1 ■勉強になりました

ものすごく良い勉強になりました。
ただ・・・・・夫が鬱状態にときどき陥るのですが精神科の受診を拒否するので困っています。
今は落ち着いていますが、いつまた再発するかわからず不安を感じています。

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