2011-10-27 18:12:16

変革活動と維持活動で仕事をする

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実際の改革を進める企業の中では、人は変革に対する恐怖を示すことが多いので、あまりにも変革、変革というと怖気づくことが多い。まず、変革活動と維持活動の双方のポートフォリオを組んで仕事をすることが明確になると、組織の人たちは安心して取り組めるようになる。今ある仕事を否定しないで、変革活動を進めていくということを表明すると、次第にスパイラル状に改革が進んでいくので、無理なく進めることができるのである。

私はスピードが重要であることを常に意識しているが、敢えて最初の頃はスピードを落として進むこともある。机上論で議論していると、実際に起こっていることは、実は物凄くスピードがゆっくり動いていることに気づく。このときに確認しなければならないことは、机上や頭の中で展開していることと、実践行動には大きなズレが生じていることということである。

イノベーションは新しいやり方、仕事のカイゼン、領域の創出活動であり、そこには、机上論は存在していない。

今ある仕事を大切にしながらも、同時並行で非連続的な変化を起こしていくというトレードオフにチャレンジすることが今求められている。

拡張していく機能と、拡張しながらも現状を保つという二つの実践行動を同時に進めることが、変革をより一層現実のものとする早道となるのだ。

2011-10-25 16:51:10

イノベーションのポートフォリオ

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 前回の原稿で、イノベーションの取り組みは誰も反対しないが、イノベーションという革新活動と現在維持している活動と組み合わせることに妙があることを指摘した。もう少しこの辺りについて言及してみたい。

そもそも現行の組織構造や運営は、「今ある仕事を効率よく、生産性が追求できるように」構造化されているといってよい。誰も指摘はしないが、改革や変革を進め易いようには設計されていない。つまり、現在の仕事を卒なく正確に業務処理をするようになっているのである。

私が変革活動を推進支援しようとすると、必ずと言ってよいほどに、「変革が必要なことは理解できるが、現在の仕事との関連をどのようにすれば良いのか」という疑問の声があがる。ある組織では、「現在の仕事が目一杯なのでとてもその時間がない」と訴える。外からみれば、変革に抵抗しているようにみえるが決してそうではない。現在の仕事で目一杯で、それを守る、維持することがミッションとして与えられているのだから、決して非難することはできないのである。特に、若い人たちにこの傾向が強いように思える。だからといって若い人たちは改革に消極的と捉えてしまうと、課題を見誤る場合が多い。

90年代と比較すると、仕事の業務処理が強固に固められていて、それにプラスしてコンプライアンス等々、厳守しなければならないことが増えているために、変革を実践するには遠い道のりが待っている。今のようながんじがらめの仕事から変革活動を行っていくためには、トップやそれに近い人たちが、これから会社をどうしていくのかというビジョンを明確にする必要があり、ミドルに対しても、変革と維持していく仕事を同時並行でやっていくのだという、仕事の進め方を伝えていく必要がある。

私はこれをイノベーションのポートフォリオと呼んでいる。つまり、イノベーションという変革活動と、現状維持の活動をポートフォリオのように組み合わせながら進んでいくことだ。創業間もないベンチャー企業でなければ、新しいことだけをやれる組織は滅多になく、維持していくことと同時にイノベーションを起こしていく必要があるのである。この双方を意識していくと、これまでの維持活動としての仕事に「工夫」が生まれ、更に効率化が高まり生産性が高まる。また、そのためのカイゼンが行われて、仕事に対する創意工夫が生じる。そして、その創意工夫をイノベーションという改革活動に向けることができれば、一石二鳥となる。

2011-10-09 11:33:53

実践から生まれるイノベーション

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前回の原稿で、イノベーションの実践が重視されていないと表現したのは、机上でイノベーションを考えることが多くないかということを指している。前回、例に挙げたグローバル展開においても、イノベーションの領域であることは理解しているが、それまでには「業務知識が不足している」「外国語に不安」「これまで国内から出ていない」といった、机上のプランには書けないことが足かせになっていることが多いのではないか。しかし、よくよく考えてみると、国を切り開いたのも、机上のプランのみがあったのではなく、実践したからの結果である。駅馬車から鉄道に変更となったのも、机上のプランはあったかもしれないが、実践があったからこそ生まれたその経験に学んで、発展していったのである。

為替の動向は専門ではないので言及しかねるが、この円高が高止まりすることも考えられる。また、国内の諸情勢をみても、今後のグローバル化は益々進展するだろう。そのときに求められるのは、実践力とスピードである。つまり、イノベーションすなわち、マーケティングやオペレーションが一体となった実践活動が重要となる。外国語ができなければ、通訳を付ければよい。その場にいれば、やがて日常会話はできるようになる。業務知識がない状態で実践してうまくいかなければ、次から嫌でも勉強するようになる。こういった実践の積み重ねが結果としてイノベーションに繋がるのである。

更に、重要なのは既存と新規の組み合わせだ。つまり、既存と新規の組み合わせで新しいイノベーションを創出するのである。例えば、既存7割・新規3割といった設定をして、既存の活動をやりながら、イノベーションを起こすことも可能である。次回は、もう少しイノベーションについて深く堀りさげていく。

2011-10-06 13:43:21

イノベーションを起こすには

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 イノベーションという言葉の響きはとても心地が良い。現在のように変革が求められているときには尚更である。「国家戦略イノベーション○○」「イノベーション2011○○」「イノベーター育成○○」等々のプロジェクトは耳慣れたものである。よくよく深く捉えてみると、枠組みは立派なものは多いが、イノベーションの実践について強い力が感じられるものは極めて少ない。

イノベーションについては、オーストリアの学者であるSchumpeter1926年に「経済活動の慣行軌道の変更が経済を発展させる。これが資本主義発展の源である」と述べたことに端を発する。ここでいう軌道の変更とは、例えば、駅馬車から鉄道への変遷のような質的な変化を指し、商店から百貨店への発展は、従来の軌道上であり、これはイノベーションとはいえないという定義である。

Schumpeterは、イノベーションを更に次の四つの側面から定義している。「従来からの生産方式の変更」「新市場の開拓」「新資源供給源の開拓」「新組織の開発」である。従来軌道の変更というと大きな断層を思い浮かべるが、四つの側面からは、従来のやり方を違った角度から見ると、全く新しい光が見えるということを示唆しているのである。例えば、「生産方式の変更」は、従来から私たちが徹底してやっている「仕事のやり方を創意工夫しながら変えていくこと」ということである。また「新市場の開拓」は、マーケティングでいう、市場を新しく創造しようということである。つまり、イノベーションは、マーケティングやオペレーションそのものにあるといってよいのである。

イノベーションを起こすには、違う角度から物事を視る必要がある。例えば、これまで接していた顧客のために「全く別の用事(ニーズ)」を発見する手助けをする営業スタイルに変換するといったことである。これまでの顧客を「既存」顧客として扱っているだけでは、イノベーションには至らないかもしれない。しかし、「既存」顧客といっても、顧客の全てを理解できている訳ではない。あくまで一側面から取引をして、仕事をしているのに過ぎないのだ。

Schumpeterが「新市場の開拓」をイノベーションといっているのは、「既存」顧客に対し、徹底してニーズを吸い上げて、それを手助けできる提案ができれば、そこに新しい市場が生まれる可能性があるということを示唆しているのである。

例えば、グローバル展開の中で、具体的に徹底して顧客のニーズを吸い上げれば、新興国で工場建設をする予定があることを探りあてることができるかもしれない。そして、その情報を切り口にして、新しい土地や国での工場建設に際して、お互いの知恵を絞り、実践することで、結果として新しい市場が開拓でき、それが従来のやり方を変え、イノベーションを創出することが可能となるかもしれない。



2011-09-16 17:58:52

顧客からスタートする経営

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 現代のビジネスにおいては、原因と結果にのズレが生じることを十分に頭に入れる必要がある。スピードの時代ではあるが、ある戦略を講じたとしても、その結果が出るのは数年後かもしれない。薬を飲んでも、それが効き始めるまでには時間を要するのと同じで、顧客との関係でやり始めたことの結果がでるまでには時間を要する。スピードを軽視している訳ではないが、組織が成長していくには時間がかかる。

 ゆっくりとした時代に戻ろうということではなく、顧客と自組織の複雑な相互依存性、そこから生み出される価値の繋がりを重視すべきである。ビジネスでは、顧客に対する「用事」(課題)を解決するために、組織内が深く連携して織り成すものが、その会社にとっての価値である。その過程に着目しながら、徹底して「考えるたら実践する、実践したら考える」組織を創っていけば、結果として業績に結びつくのである。

 管理会計は、資本主義では絶対に必要であることは否定の余地もない。しかし、それは結果であって「過程」を示すものではない。数字を結果でなく、生きた物語(ストーリー)として語れるようになれば、その「過程」も判るようになってくる。

つまり、結果から後追いするのではなく、顧客からスタートすることが肝要となる。顧客や現場に足繁く通うという基本を忘れないことである。

結果の経営は歪みを生み出す。そして、この歪みは、地震と同じでエネルギーの放出がいつ起きるか予測がつかない。「過程」の経営を重視しながら、一歩一歩進める必要がある。

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