2012-02-26 22:42:28

組織、社会を「人」から復活させよう

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 資本主義では、ヒトは人的資本として“モノ”として捉える。だから、人件費は経費である。先日、最高益のあるサービス業で、1割の人員削減を行う記事が新聞に掲載されていた。内容は、相次ぐ安価な競争者が現れ、グローバル展開が予想される中で、今後の経営の不透明感からとのことであった。また、経営者のコメントは「現状維持は許されず、これまでのやり方すべてを変える必要がある」というものであった。この企業は多くの点で今後に課題を残すことになるだろう。人員削減をすれば、残った人たちは、次は自分かと危機感を抱く。良い危機感と悪い危機感があるが、先が無いと見れば、組織にしがみ付くようになり、必然として皆が内向きになる。そして失敗を恐れ、次第に組織が収縮していくのだ。この経営者の言葉とは逆の動きが組織に芽生えてしまうのである。

この経営者の言葉は正しい。「すべてのやり方を変える」のであれば、人員削減の対象者である人的資源でイノベーションに挑戦しないのだろうか?「社員の人件費が高くて、世界では通用しないんですよ!」と言い、ギブアップ宣言をしているのと同じである。

これは、四半期決算を利用した経営者の思考と実践の停止を意味している。IBMは「5ヵ年計画」を策定して、四半期毎の発表をするが、長期的な利益目標が達成できるかに関心を促すようにしている。CEOのサミュエル・パルミサーノは「販売管理費や研究開発費を削れば、目標の数値は簡単にひねり出せますが、そんなことをしたら、必要としているイノベーションは実現しませんから」と語っている。  

 短期主義は必然であり否定はできないが、一方での横暴があることを忘れてはならない。私は厳しい競争を否定しているのではなく、むしろそれは成長の源泉であると捉えている。その社会を構成しているのはヒトだからである。

2012-02-24 11:20:13

資本主義が抱える課題

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 5年も前のことだが、私はある地方の企業再生に関わった。結果として、債務超過から脱出、業績は黒字転換し、キャッシュも増えて金融機関への返済も順調に行われている。支援としては少なく見積もっても、一定の効果はあったと思うし、組織は継続できた。

しかし、あれから5年を経た現在の私は、あのときの対応は企業を存続させるという点で仕方がなかったが、ヒトを活かすという点では落第点だったかもしれないと思うようになってきた。半数近くに及ぶ人員削減と、赤字事業を撤退させたからである。

元々はこの企業の経営改革が長い時間の中で遅れていたので、現社長は相当なご苦労をされて改革を断行した。正に時間との勝負だったのである。時間には間に合ったが、ヒトは清算の対象となった。スピードが企業を救ったといえるかもしれない。

 話は一転するが、資本主義は現在も多くの課題を抱えている。その一つが、四半期毎の決算である。当たり前になっているが、この四半期が及ぼす経営は賛否が分かれる。まずイノベーションの成果についてだが、四半期でイノベーションの成果は出ないだろう。また、ヒトが育成されるには時間が必要で、そのような短期間ではできない。

一方、投資家は四半期の利益を厳しく追求してくる。トヨタ自動車、現代自動車、アップル、インテル、アマゾン等々の繁栄している企業が成功するまでには数十年の時間を要している。四半期経営は必要かもしれないが、全てではない。経営のスピードを早めるのは結果としてのスピードであり、無理に出せば崩壊する。現在はこの極限に近いところまで来ているのではないだろうか。

 四半期決算の是非は問うことはできない。資本主義の一面だからである。したがって、この短期と中長期の課題をトレードオフに捉えずに同時並行に経営をすることが、これからの経営者、マネジャーに課せられた課題である。こうした意味では、冒頭に出てきた企業のリストラは致し方なかったが、厳しい状態になるまでに次第に進行していった悪い兆候をなぜ放置していたかが悔やまれる。落ち込み段階の企業において、まずは人から復活させることに、今後私は力を入れていきたいと思っている。

2012-02-02 20:02:17

組織の能力のストレッチを続けよう

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 組織の変革のスピードをあげる挑戦を続けていくことと同時に大切なことは、組織の能力(課題処理や実践力)をしっかりと認識することである。自分の守備範囲の仕事をやろうとすると、そこで成長はできるのであるが、守備範囲以上、すなわち無理な仕事をすると失敗してしまう。それは、組織の能力を理解していないからである。無謀な成長の論理である。ベンチャー企業であれば破綻してしまうだろう。例えば、ネジやディスクなど、ある物体をどこまでも高回転で回し続けるとやがては破壊してしまうように、組織も無謀なスピードと能力以上で仕事をやると壊れてしまうのである。大きな組織では、他からのヘルプがあったりして、その能力範囲がわからなくなってしまうことも多いが、結局は増収であっても大幅な減益という事態が発生するのは、その証左である。このときに、組織能力以上の仕事を続けて、「学ぶのか?」それとも、「勇気ある撤退をするのか?」は時の経営者の意思決定次第なのである。

しかし、もしスピードをある程度保てるだろうということを過去の経験から学んでいる組織であれば、やり続ける公算は高いかもしれない。しかし、経験がない組織であれば、それは大きな人的な損失を蒙る可能性も高い。

 イノベーションは絶対に必要である。企業は常に新しい創造に向けて進むべきであり、そこには、飽くなきチャレンジと志が必要である。同時に、目に見えない領域も見つめる必要がある。イノベーションは、その目に見えない領域を拡大することで成し得るのであるが、「1」の範囲をいきなり「5」には拡大できない。新興企業が1兆円になるのも、実は、「1」が「2」、そして「3」になっていったのである。「3」の段階に移行する時間が、経験と学習によって、次第に早くなっていったからである。これが「スピード」である。「1」はいきなり「5」にはならない。組織の能力のストレッチを伴いながら、崩壊しないで成功への細い道を歩んでいくことが求められる。イノベーションの旅は続く。

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