2016-09-10 12:46:43

糖尿病講座:インスリンの選択は犬だからNPH、猫だからグラルギン!?

テーマ:長谷川院長講座★

すごく久しぶりにこの講座の続編を更新致します。

これまでに大変多くの患者様からお問い合わせ、御来院を頂きましたことを改めて御礼申し上げますと共に、私としてもたくさん実践での経験をさせて頂き今後の糖尿病治療に参考とさせて頂きました。

 

その中で、最近考えていることを今回は1つお話したいと思います。

 

インスリンの選択は犬だからNPH、猫だからグラルギン!?

 

糖尿病講座を始めた頃と現在ではインスリンの種類がまた変わっています。

インスリン製剤の進歩は本当にめざましい物があります。

私も全てを使用してみているわけではありません。

現在当院で使用しているインスリンは5種類でこれを使い分けています。

血糖コントロールを開始する際のファーストチョイスとしては、原則として犬でNPH、猫ではグラルギンを使用するようにしています。

これでほとんどの場合コントロールが可能となるはずですので、是非これらのインスリンから初めて頂きたいと先生方にお願いしております。

しかし、中にはこれでは上手くいかない場合があり、一つの原因は食事との関連性です。犬でNPHを使用する根拠は食事を一気に食べることであり、猫でグラルギンを使用するのはダラダラと遊び食いするからです。

NPHインスリンは中間型インスリンと言われ、26時間ぐらいで効果のピークがあり、810時間までかけてインスリンの効果が低下していきます。これに対してグラルギンは持効型のインスリンとして、比較的一定した効果が1012時間持続します。つまり食事の摂り方に併せたインスリンということになるわけです。

ですから、遊び食いの犬、一気食いの猫では前述のインスリンが合わないことがあります。実際に犬でグラルギンやデテミルを使用したり、猫でNPHを使用することがあります。このため、血糖コントロール開始前には生活環境や食性をしっかりと伺うようにしています。

 

最近本邦で初めて動物用インスリン!!

 

ついに!猫用インスリンとしてプロジンクR(ベーリンガーインゲルハイム)が発売されました。とうとう動物の糖尿病にもスポットが当たり、インスリンが発売されたことに感涙を覚えています。このインスリンは遺伝子組み換えヒトPZIインスリンという製品で、インスリンとしては1つ前の世代のインスリンということになりますが、注目すべきは1ml40単位といわゆる“薄い”インスリンということで細かい調整がしやすいということです。早速、当院もラインナップしなければと考えています。今後も動物用インスリンのバラエティーが広がることを期待しています。

 

 

▽糖尿病講座

http://www.alma-ah.com/diabetes.html

 

 

 

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2013-11-17 11:26:40

糖尿病講座11

テーマ:長谷川院長講座★

忙しさにかまけてとっても空いてしまいましたが、久しぶりに開講です。

この間にもたくさんの患者様からお問い合わせを頂いたり、治療に来られるようになるなど、たくさんのことを勉強させて頂きました。



この間に依頼原稿として、

犬と猫の糖尿病 “インスリンが効かない”を“インスリン抵抗性”とする前に MVM 2012.11(Vol.21 No.137)

猫の糖尿病をコントロールする(前編) 猫の糖尿病の治療戦略—血糖曲線および各マーカーの使い方- CLINIC NOTE 2013.9(No.098)

猫の糖尿病をコントロールする(後編) 血糖コントロールの実際 CLINIC NOTE 2013.10(No.099)

を執筆させて頂きました。

若い先生にもわかりやすいように書いておりますので、手に入る方はご参考になって下さい。



糖尿病講座11

インスリンを邪魔する奴

-インスリン抵抗性って何? ホルモン編-

以前からお話していますとおり、インスリンは血糖値を下げる唯一といってもいいホルモンです。

これはもともと野生の動物は、食うや食わずの生活のため、いつも飢餓状態なわけです。それでも生体は低血糖とならないように、あの手この手で血糖を維持するようにしたのです。

たとえば、ホルモン1つをとっても血糖値を上げるホルモンは成長ホルモン、甲状腺ホルモン、グルカゴン、副腎皮質ホルモン、アドレナリン、生殖器ホルモン等いっぱいあり、人間も含めて動物は飢餓にとても強いのです。

しかし、現在人間やペットは飽食となっています。しかし、生体はこの状態を想定していないので、血糖値を下げるためにインスリンが一人で頑張らなければならないことになり、対処しきれずに色々な病気を引き起こすことになるのです。糖尿病はその代表的な病気です。

飽食の状態では血糖値を上げるホルモンはほとんど活躍の場がありません。逆にインスリンの働きを妨げる原因“インスリン抵抗性”となります。


クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)



副腎皮質ホルモンが異常にたくさん分泌する病気で、人や猫ではまれですが、犬には多い発症します。この病気に糖尿病が併発することが多く、現在通院している糖尿病症例の23割ほどがクッシング症候群に罹患しています。このため糖尿病の初診時には必ずこの疾患の有無を確認します。

クッシング症候群に対してはアドレスタンという比較的副作用も少なく、治療効果の高い薬があります。

しかし、この病気を治療するということは副腎皮質ホルモンの分泌を抑制するということなります。つまり、インスリンを邪魔していた奴をいなくさせるということで、次第にインスリンが効いてくることになります。

このため、インスリンによる血糖コントロールは不安定になりやすく、低血糖を引き起こす可能性もあるので、とても難しくなります。


発情期~黄体期



避妊していないメスの糖尿病では、発情により一気にインスリンが効かなくなることがあります。これは女性ホルモンが血糖値を上げるホルモンの一つだからです。犬では発情期の後に黄体期(人での妊娠状態と一緒で、妊娠していなくても必ずなります。) となり黄体ホルモンが分泌されます。これも血糖値を上げるホルモンですので、発情期から黄体期にかけての約2ヶ月間はインスリンが効きにくく、血糖コントロールが不安定になります。

当院には発情が始まると共に高血糖からケトン体を排出するようになってしまい、食欲低下となってしまった症例がいました。GI療法(グルコースとインスリンを同時点滴することで、肝臓のエネルギー産生系を活性化する療法)をしながら何とか発情期の終了を待ち、避妊手術を行なうことでインスリン抵抗性から離脱させ、もとの元気な状態へ戻すことができました。

人では妊娠性糖尿病という病態があります。これは妊娠期間中に分泌される黄体ホルモンのせいで、インスリン抵抗性となり糖尿病となるのです(因みに生まれる子どもは過大児になるそうです。)が、これと同じ状態が犬の発情期性糖尿病です。通常は発情期から黄体期が終了することにより糖尿病から離脱できることがありますが、真性の糖尿病になってしまうこともあります。

この場合には発情期中でも避妊手術をすることがあります。

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2012-05-18 15:40:24

アジソン講座2 がんばったチェリーちゃんの経過から

テーマ:長谷川院長講座★

アジソン講座2


がんばったチェリーちゃんの経過から



以下はフロリネフから当時海外で発売されたばかりのパーコーテンVに切り替えることによって症状が安定したチェリーちゃんの経過です。



治療は最初フロリネフを治療推奨量で開始した。1週間後一般症状は良好とのことであったが、多飲多尿、脱水そしてNa/K比(20.2:正常では2740)の低下が見られたため、フロリネフを1.5倍とした。それでも1週間後には多飲多尿と共に食欲の低下がみられ、Na/K比(20.0)が依然として低下し、さらには(腎前性)腎不全を併発していたため生理食塩水の皮下点滴を行ない、フロリネフを2倍にした。これにより5日後にはNa/K比(24.0)は低めであるものの症状は回復した。その後1日23gの食塩を食事に添加して与えるようにしたことで腎不全を引き起こすことはなくなった。しかし、これ以降も定期的な血液検査は必要で、多飲多尿が見られるときにはNa/K比も低下するなど推移は不安定(21.941.7)で、フロリネフの投与量は3倍の0.06 mg/kg/dayにまで増量することもあった(図1)。



アルマ動物病院からのお知らせ




このようにフロリネフの投与は高容量となっていたが、依然として電解質や尿素窒素が不安定であったことから、フロリネフをパーコーテンVに変更して治療開始量の2.2mg/kgを筋肉内投与した。これにより、投与当日に25.1であったNa/K比が10日後には37.430日後には33.2と正常範囲を維持していた。これ以降投与間隔を30日前後として2年が経過しているが、投与間隔、投与量に変化はなく、多飲多尿などの臨床症状は見られず、Na/K比(27.646.1)も良好に推移している(2)



アルマ動物病院からのお知らせ




糖質コルチコイドのプレドニゾロンはオーナーの希望によりパーコーテンV導入当初は併用しなかった。しかし精神的あるいは肉体的なストレスが加わると、元気消失、食欲廃絶、下痢、嘔吐などの症状を示し、血液検査ではCRPが著高した。しかしプレドニゾロンを投与すると著効することから、最低限量(0.2mg/kg)のプレドニゾロンを隔日で併用し、ストレスの加わることが予想される場合には倍量を投与することを勧めた。これにより同症状の再発を防ぐことが出来ている。

チェリーちゃんはこの論文発表後もパーコーテンVにより安定したコントロールを保ち、201110月、184ヶ月でこの世を去りました。

パーコーテンVは実に5年間投与していました。



現在当院では8匹のワンちゃんがアジソン病で通っておられます。

このチェリーちゃんのブログが縁となっておいで頂きました。

チェリーちゃんで培った経験を元に診察・治療をしています。


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2012-05-12 15:26:15

アジソン講座1 まずはじめにアジソン病の治療から

テーマ:長谷川院長講座★

アジソン講座 1




まずはじめにアジソン病の治療から





アジソン病を煩った“うちの子”の飼い主様は、まず“アジソンてなに?”ということでネット検索をするようです。これに対しての経験を踏まえた解説は後からしようと思います。

というのは当院にお越しになるほとんどの方はアジソン病の治療方法・経過に対する不安が動機になっているからです。

犬のアジソン病が増えてきたといっても、ほとんどの動物病院では初めて遭遇したという場合がほとんどで、専門書を紐解くことがほとんどとなります。そして治療に対しては、ほとんど糖質コルチコイドのプレドニゾロンと鉱質コルチコイドの酢酸フルドロコーチゾンを使用することになります。

プレドニゾロンは手に入りやすい製剤なのに対して、酢酸フルドロコーチゾンであるフロリネフは日本で購入すると非常に高価な薬剤です。幸い外国からの輸入により比較的容易に、安価に入手することができ、動物病院や飼い主様が直接購入して使用しています。

しかし上述のように飼い主様が治療に対して不安を抱く一番の要因が、このフロリネフによる治療効果が上がらずに症状が改善されない、あるいは不安定であることにあります。

本院では、このような症例に対してはフロリネフからDOCP(ピバル酸デソキシコルチコステロン)製剤であるパーコーテンV注射薬への切り替えを提案しています。この注射薬はミネラルコルチコイドホルモンのみを有する製剤で、筋肉内に注射することによって作用が25日前後持続します。

この注射薬に切り替えた症例は全例とも安定した効果が得られ、症状も改善します。さらにほとんどの例でフロリネフからの切り替えもスムーズです。

しかしこのパーコーテンVは現在日本で発売されておらず、その予定もほとんどないようです(仮に予定されたとしても、承認されるまでに数年を要します)。さらに、本製剤は外国で入手することになりますが、手間と時間を要するために常備している動物病院は少ないようです。




アジソン講座 2では、アジソン病で長年頑張ってくれたチェリーちゃんの経過の要約をお話します。



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2012-05-11 17:38:56

アジソン講座 開講です!!・・・プロローグ・・・

テーマ:長谷川院長講座★

アジソン病講座 プロローグ

この講座を始めるにあたって




糖尿病のワンちゃん・ネコちゃんの飼い主様向けに糖尿病講座を書いていましたが、その一方で最近副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や副腎機能低下症(アジソン病)の症例が多く来院するようになってきました。



とりわけ一昔前まではほとんど診ることがなかったアジソン病が(チェリーさんのサイトを見て来院されるケースが多いのですが)、とても多く来院されるようになりましたので、何回かに分けてアジソン病について解説します。



この講座をご覧になる方のほとんどは、アジソン病の犬を飼われている飼い主様がほとんどだと思いますので、その見地から書いていきたいと思います。


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