やってしまった。
あんなに余裕のないセックスは初めてだった。
童貞を捨てたときのほうが、まだマシだった。
初めてだから、小鳥をなでるような、優しいセックスがしたかったのに。
シャワーを浴びながら、ミハエルはため息をついた。
あんなに可愛い部分で、いじらしく自分のものを締め付けて喘ぐアルトの媚態に、つい自制がきかなかった。
実際自分自身を挿れてみたら、女とは違って狭くて気持ちが良くて、何よりアルトの中にいるかと思うと、我を忘れてしまった。
初めて目にしたときから、その圧倒的な美しさに目を奪われていた。
面白くないので、初めてアルトに声をかけたときはついからかうような物言いをしてしまった。
だがその瞬間すぐに後悔したのだが、アルトが面白いほど突っかかってくるので、以来顔を合わせればわざとアルトが嫌がるようなことを言ってアルトの関心を引いた。
アルトの反応が可愛かったし、たとえ憎まれ役であれアルトに自分の存在を示しているようで嬉しかった。
そう思った時点で、末期症状だという自覚はあった。
自覚してしまえば、もう恥も外聞もなく歌舞伎の女形をやっていたアルトの過去の映像を片っ端からかき集め、その姿を目にしたときは、その凛とした声や佇まいの妖艶さに息を呑んだ。
だが、それと同時に近寄りがたさも感じた。
あまりにも綺麗で儚げな生き物。
自分には手が出せない高嶺の花だと、本気で信じ込んだ時期もあった。
だが、一度快感を感じてしまったアルトはどこまでも感じやすくて、綺麗で、可愛くて、壊してしまいたいくらいの色香があった。
役者の仮面を剥がせば、雄の本能を直に呼び起こすような淫らで美しい生き物。
感じるところを突いてやれば、思った以上に締め付けてきて、艶やかな声をあげる楽器。
無意識に自分の腰へ足を絡めて誘ってきたときには、本当に壊してしまいたいくらいの乱暴な衝動に駆られたが、お互いすぐイッてしまったので事なきを得たのだが。
もっと、して。
そういわれたときには、完全にたがが外れた。
自分で言えといったものの、まさか言ってくれるなんて思わなかった。あの、プライドの高いお姫様が。
消え入りそうな声だったけれど、確かに聞こえた。
潤ませた瞳で、羞恥に睫毛を震わせながら恥ずかしい台詞を口にしたアルトに、ぎりぎりのところで踏みとどまっていたミハエルの理性は一気に吹き飛んでしまった。
優しくするどころか、激しくしすぎて中で出した挙句、失神させてしまった。
アルトが心配で目を覚ますまでずっと見ていたかったけれど、アルトの顔を見ているとまたむらむらしてしょうがなくなるので、シャワーを浴びることにしたのだ。
いや、というよりは、アルトの寝顔に欲情して一人で抜くはめになった、というのが正しい。
アルトの体を濡れたタオルで拭ってやっているうちに、改めて見るアルトの艶かしい白くて長い手足や、桜色の慎ましい唇や、影を落とすような長く密度の濃い睫毛に、くらくらした。
まだ中に出したものの処理が終わっていなかったけれど、そこまでやってしまってはガマンができそうにないし、自分のものをアルトの中に残したままにしておきたかったので、あえてそこだけ残してシャワーを浴びることにした。
兎にも角にも、あの艶っぽさは、犯罪だ。
あんなに感じやすい体で、今までよく男も女も知らずに生きてきたものだ。
いや、知っていたらそれはそれで嫉妬に狂いそうになるのだが。
男を知って、さらに色っぽくなったらどうしよう。
それで今まで以上に男が寄ってきたら・・・もちろん自分は絶対そんなことを許さない。
だが、万が一でも・・・。
・・・などと取り留めのないことをぐるぐる考えてしまう時点で、重症だ。
シャワーの温度を「冷」にして、頭と火照った体を冷やすと、ミハエルはまたため息をつき、部屋へ戻った。
ブログランキング↓応援よろしくお願いします★









