Gay Mix Party『the RING』のレジデント、今年でDJ活動20周年を迎え今なお大活躍のTOMO ASAHINA氏から新宿二丁目、ゲイシーンについてコメント頂きました。凄く興味深い内容になっております。是非ご覧下さい。
以下 TOMO ASAHINA氏 コメント。
The next step is something more global
この街は世界的に見てもとても珍しい街。音楽とデザインで表現することを仕事としている身として、
今日も世界中を歩きまわり、色々なものを見てまわっていますが、新宿２丁目という街は、世界中どこを探してもありません。
というのも、他の国に「ゲイタウン」というものは存在しません。たとえばニューヨークのチェルシーだったり、ロンドンのソーホーだったり、ゲイカルチャーやゲイコミュニティの多く見られる場所、というのはありますが、何件か店が並ぶ程度だったり、小さなストリートがメインになっていて、その周りに点々としてたりするだけ。街が丸ごと、全て全部ゲイ関連、というのは、僕の知っている限りでは「新宿２丁目」しかないでしょう。その特別な街だからこそ、お店やパーティは本当に多種多様で、本当に面白いものばかり。せいぜいロンドンのゲイパーティで行われているのは「BEAR'S NIGHT」くらいなのですが、ありとあらゆるフェチズムをテーマにした幅広いパーティを毎週毎日毎晩提供しているのは、恐らくこの街だけだと思うのです。
かれこれ11年前から、イビサというスペイン領の地中海の小島に毎年リサーチをしにいっています。このイビサ島には3000人以上収容するクラブが６つ以上あり、6月から９月まで全てのクラブが毎日毎晩パーティを開いています。もちろん昼間もビーチやプールサイドでパーティをしていますし、小さなクラブやバーも入れると、パーティの数も数えきれません。イビサはヨーロッパに住む人々のバカンス島なので、ドイツ、イギリス、フランス、ロシア、そして本国スペインから大量に夏の行楽をめがけて人で溢れかえります。
そんなイビサですが、面白い事に、メンオンリーのゲイナイトは存在しません。ひょっとしたら、ゲイナイト自体も存在しないかもしれません。ゲイが制作していたり、ゲイコンシャスなパーティだったりはありますが、あえて「ゲイのみ」という垣根を自ら作ったりはしないのです。音楽と空間、パフォーマンスを楽しむのに、セクシャリティの壁をあえて作る必要はないのでしょう。ゲイコンシャスな雰囲気のパーティでも、ストレートカップルが多く遊びに来ていますし、それを変な目で見る人たちも見受けられません。それは、まさに個人主義の究極であるヨーロッパならではなのかもしれません。楽しいものは楽しいし、美しいものは美しい。そこに垣根はいらないのだと。
いまメディアに色々なセクシャリティの人が、以前より多く登場するようになりました。確実に世の中は変わっていっています。自分と違う人間がいて良い、いてあたりまえ、というのが徐々にですが、浸透して来ているのではないかと思います。インターネットを境にスマフォやSNSで自らの表現を簡単に発表出来るようになり、趣味や趣向も明らかに出来るようになった。テーマ別にパーティを開き、そこで交流出来るようになったのは本当に素晴らしいことです。
「音楽や空間、パフォーマンスを楽しむ。そこには芸術性やファッション性があり、セクシャリティの壁なく楽しめることが出来る」
ぜひそんな遊び場だったりパーティだったりが、他のどこでもない、世界唯一の「ゲイタウン」である「新宿２丁目」よりお届けするのが、実は僕の密かな夢だったりします。いつかそんなパーティを作る事が出来たらなぁ、と、ずっとずっと考えています。独りじゃ絶対出来ないけど。苦笑 The next step is something more global。実現出来ますように！
TOMO ASAHINA (FIERCE ANGEL DJ / Graphic Designer)
桑沢デザイン研究所出身。ユナイテッドアローズ専属グラフィックデザイナーとして働く傍ら
2009年に英国ダンスミュージックレーベル「FIERCE ANGEL」のDJチームに加入。リミックスチーム「TOKYO ANGEL」の一員でもあり、FIERCE ANGELや他のアーティストのリミックスワークに参加。現在毎月最終土曜日開催のゲイミックスパーティ「The RING@FREQ」のレジデントDJをつとめる。今年でDJ活動20周年。