「インターネット見て電話してるんですが、飲み放題で4名予約したいんですが」

つい二日前そんな電話が若い女性から入った。
飲み放題は当店がオープンしてから2、3年まで用意していたメニューなんだけど、飲み放題用に用意した安価なお酒をベースに果汁100%のジュースを割りものにして提供していたんです。
テキーラを専門に扱うようになってからは、それ用の在庫がテキーラのストックスペース確保に邪魔だったのと、本当に美味しい酒を楽しんで欲しいので止めていた。
それと同時にインターネットに掲載されている飲み放題の表記は全て駆逐した筈だった。
でもどこかにまだ残ってたのか、こちらの不手際かもしれないから最後の飲み放題オーダーとして賜った。
そしてこの飲み放題は、100%アガベテキーラとフレッシュフルーツを使った本当に美味しいカクテルと、プレミアムビール「エーデルピルス」までもが無制限に飲める、最初で最後の特別プランにしようと決めたのだった。

当日約束の時間。

「ちーっす、予約入ってると思うんですが~」

勝手に女子4名の女子会と思い込んでたんだけど、来たのはうちには珍しいタイプの若い男性二人組…嫌な予感…

男1「今日はどんな感じで予約入ってるんすか?」

価格を説明すると、

男2「高くね?飲み放題で1000円超えるとかなくね?じゃー時間短い方で。」
バシッ!おけがわは30のダメージ

程なくして女性が合流。
どうやら合コンのご様子。
先ずはビールとカクテル3杯のオーダー。

おけがわ「三度注ぎでフカフカ泡のエーデルピルスです」
男2「泡多くね?(笑)」
バシッ!おけがわは10のダメージ

おけがわ「テキーラサンライズです」
女子1「わー、可愛い~めっちゃ美味しいんだけど!」
女子2「なんかここちゃんとしてるね~」
おけがわはHPが10回復した

男1「そんなに美味いの?どれ(グビグビ)マジで美味ぇ!マスターおかわり!」
バシッ!おけがわは10のダメージ

男2「つか美味いとか良いんだけど、でてくんの遅くね?」
バババシッ!痛恨の一撃おけがわは50のダメージ

男1「よし、ゲームしようぜ!マスターテキーラ4つ!」
ピロッおけがわは攻撃をかわした

男2「うわーマジか~!テキーライッキいきまーす…うわっ、マズッ!テキーラダメだわ~マスターウォッカ4つ~」
バシッ!おけがわは5のダメージ

僕「すいません、ウォッカこれしかないんですけど…」


おけがわはうやうやしくケテルワンを差し出した
男2「なにこれ?知らねーんだけど。ま、いいや。」
男1「うわー来た!罰ゲーム。いただきまーす!…なにこれ?!めっちゃ飲みやすいんですけど!これ、罰になんね~からテキーラに戻すべ。マスターテキーラ~!」
バババシッ!痛恨の一撃おけがわは40のダメージ

パリンッ!
男1「あっ、やべっ!すいませーんショットグラス割っちゃいました~」
イタリアで買ってきたグラスを割られた!おけがわは混乱している
おけがわは時間を気にしている

90分経過…
おけがわは混乱している
僕「はい!90分たったので終わりです!」
男2「え?マジっすか?最後に一杯ずつ良いですか?」
おけがわは混乱している
僕「ダメです!もうおしまいです!」
男1「乾杯したいんでショットで一杯ずつテキーラもらって良いですか?」
おけがわは正気に戻った
僕「承知しました。」

長い戦いは終わった…
瀕死の状態で乗りきったが、危うく第二形態ダークオケガワになるところだった。

良かれと思って取り組んだことが全て裏目に出ることもある。
入れ違いにやって来た常連のお客様を見て泣きそうになった。
常連様「なんかヤカラとすれ違ったんだけど、まさかここのお客さんだったの?(笑)だからおけさん、やつれてるのか~(笑)よし、テキーラで乾杯しよっ♪」

『嬉しいときもテキーラ、辛いときもテキーラ』である。

もう、二度と飲み放題やんないんだからっ!
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