2012-03-11 00:30:05
セミナー「オープンエデュケーションがもたらす人材革命」
テーマ:日記 Diary
これまで読んできた本の中でも、とくに刺激を受けた2冊の本の著者、「ウェブで学ぶ」の飯吉透先生と、「グローバルキャリア」の著者、石倉洋子先生がオープンエデュケーションについて対談をするということで、六本木ヒルズで開催されたセミナーに参加してきました。
ウェブで変わりつつある、教育の形。MITでオープンコースウェア(OpenCourceWare, OCW)の立ち上げや運営に携わった飯吉先生が、世界のオープンエデュケーションの現状と、日本の教育の課題について熱く語られました。両先生の教育に対する熱意、会場の教育と学習に対する熱意が絡み合って、とても刺激的で学びの多い2時間となりました。以下、レポートします。盛りだくさんの内容をできるだけ広く共有できるよう、聞きとれたことはできるだけ掲載し、付属する情報のリンク先もつけました。冗長かもしれませんが、お付き合いください。
ウェブで変わりつつある、教育の形。MITでオープンコースウェア(OpenCourceWare, OCW)の立ち上げや運営に携わった飯吉先生が、世界のオープンエデュケーションの現状と、日本の教育の課題について熱く語られました。両先生の教育に対する熱意、会場の教育と学習に対する熱意が絡み合って、とても刺激的で学びの多い2時間となりました。以下、レポートします。盛りだくさんの内容をできるだけ広く共有できるよう、聞きとれたことはできるだけ掲載し、付属する情報のリンク先もつけました。冗長かもしれませんが、お付き合いください。
【概要】
オープンエデュケーションがもたらす人材革命
~ウェブによって世界中の人々に教育の機会が開かれる意味~
http://www.academyhills.com/school/detail/tqe2it00000gwtn4.html
日時:2012年03月09日 (金) 19:00~21:00
会場:アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階)
プログラム:
①飯吉先生講演「オープンエデュケーションがもたらす人材革命」
②飯吉先生&石倉先生の対談およびフリーディスカッション
【オープンエデュケーションとは?】
講演の内容をレポートする前に、まずオープンエデュケーション(Open Education)という言葉がまだ日本では聞き慣れない言葉だと思うので、前述の本、「ウェブで学ぶ」からこの言葉の意味を拾います。
【①飯吉先生講演】
では飯吉先生の講演について、箇条書きでポイントをまとめてみます。
・「ウェブで学ぶ」から2年経って
2年前に梅田氏との共著「ウェブで学ぶ」を上梓したが、当時、オープンエデュケーションは日本では広まらないと思っていた。2年経ってみて、実際に広がっておらず、やはりそうだった、という思い。残念ではあるが、それでもあきらめずに、この素晴らしい教育システムを普及したいと思っている。
(注)本書の刊行は2010年9月。
・情熱増幅装置としてのオープンエデュケーション
オープンエデュケーションのさきがけ、MITのOCWでは、無料で誰もがMITの授業を見ることができる。とくにルーウィン教授(Prof. Walter Lewin)の物理学の講義は、楽しく情熱をもって学ぶことのできる良い例。ルーウィン教授は授業に多大な情熱をかけているが、ほかのプログラムも非常に優れている。
(注)Prof. Lewinの講義ビデオは以下。とても面白いです。日本の講義ではありえないスタイル。私も学部は応用物理学専攻でしたが、こんな授業を受けたかったです。
http://ocw.mit.edu/courses/physics/8-01-physics-i-classical-mechanics-fall-1999/
・格差超越装置としてのオープンエデュケーション
世界中で拡大しつつある貧富の格差は、地域内、地域間で社会問題を生む原因にもなるが、格差を完全に解消することは現実的ではない。全ての人が平等な富を共有する社会は実現できない。しかし経済的に恵まれない人(低所得層、貧困層)に、平等な教育の機会を与え、格差を乗り越えるしくみの実現が可能である。オープンエデュケーションにはその可能性がある。
・Khan Academy
Khan Academyは、MITの卒業生、サルマン・カーン氏(Salman Khan)が始めた、オープンエデュケーションサイト。もともと、インターネットを使っていとこの女の子に数学を教えていたところ、その友人たちに徐々に輪が広がっていった。カーン氏が一人でコンテンツを作成しているが、すでに3000本以上のコンテンツが用意されており、その教育熱は狂喜的。梅田氏とも「これはすごい」と絶賛した。
http://www.khanacademy.org/
・オープンエデュケーションの3つの構成要素
オープンエデュケーションは、①オープンテクノロジー(技術)、②オープンコンテンツ(内容:ここでは教師、テキスト、教育方法などを含む)、③オープンナレッジ(知識)の3つで構成される。つまりインターネットを介した教育を実現する技術をベースとして、知識を、教える側から学ぶ側に伝える一連の流れを作るものである。ここでは知識(情報)をただウェブ上に置いただけでは、教育として不十分であり、職業、文化、教育レベルなど、異なる属性を持ち、異なる教育の目的をもつ人たちの個々のニーズに合わせた、教育の機会を普及する必要がある。
・カーネギーメロン大学 Open Learning Initiative
カーネギーメロン大学のプログラムは、自らの学習に対してフィードバックをかけることができるシステムとして優れている。
http://oli.web.cmu.edu/openlearning/index.php
・Connexions
ライス大学のRichard Baraniukらが運営している、Connexionsは、様々なオープンな教育材料を共有して、自分用にカスタマイズすることができるユニークな機能をもつ。例えばウェブ上で公開されているいくつもの教科書から、自分の好きな部分だけを取り出して、並び替えて自分用の教科書を作ることもできる。これを製本することさえできる。
http://cnx.org/
・iTunesU
iTunesUは、多くの大学がコンテンツを掲載しており、教材が豊富。とくにスタンフォード大学は、2005年にスティーブ・ジョブズが行った卒業生向けの有名なスピーチを含め、3億回以上のアクセスを記録している。
http://www.apple.com/jp/education/itunes-u/
・TED
TEDでは世界中の様々な分野の人が、様々な内容についてレクチャーしている。一つの内容が15分であるので、英語に不慣れな日本人でも比較的ついていきやすい。
(注)後のディスカッションで石倉先生も、非常に面白い内容が多いので、よく見ているとコメント。
http://www.ted.com/
・学習空間を共有する場を作る
教育の知識だけではなく、教える側と学ぶ側の間に生まれる教育の熱(雰囲気)みたいなものも保存して、共有できるようにしたい。例えば、明治時代、慶応義塾大学を創始した福澤諭吉が持っていた情熱や、その場の学習の雰囲気みたいなものを、異なる場所、時代の人にも共有できるようなシステムを作りたい。
・E, O, D, 3つの時代の移り変わり
アメリカの教育環境は、ウェブの進化とともに以下のような変遷を遂げてきた。
<Eの時代:1990年代>
e-コマース、e-ビジネスなど、電子的(Electronic)な情報流通により、ビジネス、教育など、社会の情報インフラが構築され始める時代。
↓
<Oの時代:2000年代>
オープンソース、オープンシステムなど、ウェブベースの情報インフラに、オープンな情報の交換を行う場、プラットフォームが形成され、拡大する時代。
↓
<Cの時代:2010年代(これから)>
Collaboration(共同)、Collectivity(集合)、Commons(共有、共通認識)、Cloud(クラウド)など、オープンな情報インフラを利用して、志(ビジョン)を共有する者同士がプロジェクト的に共同して、活動をしていく時代。
(※偶然の頭文字のキーワードでくくることができる)
以上の状況に対して、現在の日本の大学教育は、10年、いや20年ほど遅れているといってよい。東京大学が9月入学制度で、大学教育の立て直しを図ろうとしているが、日本の大学教育の遅れの状況は、そのような次元の話ではない。ちゃんちゃらおかしい。(→会場、笑)
・最後に
次世代の教育環境として、オープンエデュケーションの環境を整えていきたい。
アメリカの教育者、ジョン・デューイの言葉を借りて、その可能性について、こんなことが言える。
【感想】
講演の後の両先生の対談、会場とのディスカッションは白熱。終了時刻の21:00を過ぎても、まだまだ続けられそうな勢いでした。ディスカッションの内容も掲載したいところですが、ここでは割愛させていただきます。
「ウェブで学ぶ」が刊行されたのが、2010年9月でした。私のブログを読み返すと、その1カ月後、本書を手にしていたことが記されていました(2010年10月25日記事 )。オープンエデュケーションの可能性に興奮を覚え、MITのOCWを観て、衝撃を覚えたことを今でも覚えています。
そのオープンエデュケーションの先駆者である飯吉先生の言葉は、とても情熱がこもっていて、この新しい教育スタイルが21世紀の教育方法の一つとして大きなポテンシャルを持っていることを改めて感じました。私はエンジニアを職としていますが、一人の学習者としてこの教育インフラを利用したいと思います。また子をもつ親としては、子供が自律的に学習するインフラとして使ってもらいたい、そのためのアドバイスをしたいとも思います。
私は荀子の言葉、「学不可以已(学以て已むべからず)」という言葉が好きで、座右の銘としています。セミナーの中でも、一生学び続ける姿勢を持つことの重要性が何度も語られましたが、オープンエデュケーションは世界中の向学心をもつ人々に機会を与える素晴らしいプラットフォームになるであろうと信じています。
セミナー後、再度、「ウェブで学ぶ」を読み返してみたところ、今回のセミナーの多くの内容が本書の中で触れられていることを確認しました。そういう意味では、刊行から1年半経ったものの、本書はまだまだその鮮度を保っており、とくにオープンエデュケーションの未開の地、日本においては、学ぶところの多い本です。セミナーで得た情報と本の情報から、自分のニーズに合いそうな点を抽出して、自分の学習に生かしていこうと思います。
今回のセミナーは有料でした。正直なところ、ちょっとお高かったのですが、十分にその価値のある授業でありました。オープンエデュケーションというバーチャルに関するお話しであったわけですが、飯吉先生、石倉先生という教育のビジョナリーにリアルな場で会うことで、学びに対する気持ちの高まりを感じました。これは皮肉なことに思えるかもしれませんが、むしろウェブの価値の一つだと言っていいと思います。
つまりリアルな場と、バーチャルな場がそれぞれ相互作用しながら、一つの方向性に向かって(ここでは「学びと教え」)、志を共有し、何かを成し遂げる力があるということです。最近はオープンイノベーションを事業のドライビングフォースとしているグローバル企業が多くありますが、この点でも遅れている日本の企業の中で、何かできることがないか、模索していきたいと思います。
【今日の本】
セミナーでも紹介されていた本2冊のほか、梅田氏と斎藤孝氏(明治学院大学教授)の教育に関する本と、柳川範之氏(東大教授)の独学に関する本もリストアップしておきます。
今回のセミナーのベースとなった本です。
【参考情報】
両先生のサイト、ツイッターも今後の情報の参考になりますので、掲載しておきます。
・飯吉透先生
公式サイト(英語): http://www.toruiiyoshi.com/en/Home.html
ブログ(日本語): http://d.hatena.ne.jp/toruiiyoshi/
Twitter: @iiyoshi
・石倉洋子先生
ブログ: http://yokoishikura.com/
※3月10日(翌日)に早速、セミナーのレポートが出ました。
Twitter: @yokoishikura
オープンエデュケーションがもたらす人材革命
~ウェブによって世界中の人々に教育の機会が開かれる意味~
http://www.academyhills.com/school/detail/tqe2it00000gwtn4.html
日時:2012年03月09日 (金) 19:00~21:00
会場:アカデミーヒルズ49(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49階)
プログラム:
①飯吉先生講演「オープンエデュケーションがもたらす人材革命」
②飯吉先生&石倉先生の対談およびフリーディスカッション
【オープンエデュケーションとは?】
講演の内容をレポートする前に、まずオープンエデュケーション(Open Education)という言葉がまだ日本では聞き慣れない言葉だと思うので、前述の本、「ウェブで学ぶ」からこの言葉の意味を拾います。
オープンエデュケーションとは、インターネットが普及しつつつある世界で現在進行中の、「学びと教え」を巡る素晴らしいムーブメントです。素晴らしい点は山ほどあるのですが、中でも「インターネットにアクセスできる人であれば、誰もがウェブによってもたらされた新たな学びや教えの可能性の恩恵を得られ、さらに互助的に貢献することもできる」という点が、何よりも希望に満ちています。「自分のおかれた環境で、利用できるもおのは何でも使って学んだり教えたりする」。これが、オープンエデュケーションの極意です。つまり、インターネットを基盤として、自由に広がる教育のプラットフォーム。またはそれを作る活動と理解すれば、良いと思います。
(「ウェブで学ぶ」P.11)
【①飯吉先生講演】
では飯吉先生の講演について、箇条書きでポイントをまとめてみます。
・「ウェブで学ぶ」から2年経って
2年前に梅田氏との共著「ウェブで学ぶ」を上梓したが、当時、オープンエデュケーションは日本では広まらないと思っていた。2年経ってみて、実際に広がっておらず、やはりそうだった、という思い。残念ではあるが、それでもあきらめずに、この素晴らしい教育システムを普及したいと思っている。
(注)本書の刊行は2010年9月。
・情熱増幅装置としてのオープンエデュケーション
オープンエデュケーションのさきがけ、MITのOCWでは、無料で誰もがMITの授業を見ることができる。とくにルーウィン教授(Prof. Walter Lewin)の物理学の講義は、楽しく情熱をもって学ぶことのできる良い例。ルーウィン教授は授業に多大な情熱をかけているが、ほかのプログラムも非常に優れている。
(注)Prof. Lewinの講義ビデオは以下。とても面白いです。日本の講義ではありえないスタイル。私も学部は応用物理学専攻でしたが、こんな授業を受けたかったです。
http://ocw.mit.edu/courses/physics/8-01-physics-i-classical-mechanics-fall-1999/
・格差超越装置としてのオープンエデュケーション
世界中で拡大しつつある貧富の格差は、地域内、地域間で社会問題を生む原因にもなるが、格差を完全に解消することは現実的ではない。全ての人が平等な富を共有する社会は実現できない。しかし経済的に恵まれない人(低所得層、貧困層)に、平等な教育の機会を与え、格差を乗り越えるしくみの実現が可能である。オープンエデュケーションにはその可能性がある。
・Khan Academy
Khan Academyは、MITの卒業生、サルマン・カーン氏(Salman Khan)が始めた、オープンエデュケーションサイト。もともと、インターネットを使っていとこの女の子に数学を教えていたところ、その友人たちに徐々に輪が広がっていった。カーン氏が一人でコンテンツを作成しているが、すでに3000本以上のコンテンツが用意されており、その教育熱は狂喜的。梅田氏とも「これはすごい」と絶賛した。
http://www.khanacademy.org/
・オープンエデュケーションの3つの構成要素
オープンエデュケーションは、①オープンテクノロジー(技術)、②オープンコンテンツ(内容:ここでは教師、テキスト、教育方法などを含む)、③オープンナレッジ(知識)の3つで構成される。つまりインターネットを介した教育を実現する技術をベースとして、知識を、教える側から学ぶ側に伝える一連の流れを作るものである。ここでは知識(情報)をただウェブ上に置いただけでは、教育として不十分であり、職業、文化、教育レベルなど、異なる属性を持ち、異なる教育の目的をもつ人たちの個々のニーズに合わせた、教育の機会を普及する必要がある。
・カーネギーメロン大学 Open Learning Initiative
カーネギーメロン大学のプログラムは、自らの学習に対してフィードバックをかけることができるシステムとして優れている。
http://oli.web.cmu.edu/openlearning/index.php
・Connexions
ライス大学のRichard Baraniukらが運営している、Connexionsは、様々なオープンな教育材料を共有して、自分用にカスタマイズすることができるユニークな機能をもつ。例えばウェブ上で公開されているいくつもの教科書から、自分の好きな部分だけを取り出して、並び替えて自分用の教科書を作ることもできる。これを製本することさえできる。
http://cnx.org/
・iTunesU
iTunesUは、多くの大学がコンテンツを掲載しており、教材が豊富。とくにスタンフォード大学は、2005年にスティーブ・ジョブズが行った卒業生向けの有名なスピーチを含め、3億回以上のアクセスを記録している。
http://www.apple.com/jp/education/itunes-u/
・TED
TEDでは世界中の様々な分野の人が、様々な内容についてレクチャーしている。一つの内容が15分であるので、英語に不慣れな日本人でも比較的ついていきやすい。
(注)後のディスカッションで石倉先生も、非常に面白い内容が多いので、よく見ているとコメント。
http://www.ted.com/
・学習空間を共有する場を作る
教育の知識だけではなく、教える側と学ぶ側の間に生まれる教育の熱(雰囲気)みたいなものも保存して、共有できるようにしたい。例えば、明治時代、慶応義塾大学を創始した福澤諭吉が持っていた情熱や、その場の学習の雰囲気みたいなものを、異なる場所、時代の人にも共有できるようなシステムを作りたい。
・E, O, D, 3つの時代の移り変わり
アメリカの教育環境は、ウェブの進化とともに以下のような変遷を遂げてきた。
<Eの時代:1990年代>
e-コマース、e-ビジネスなど、電子的(Electronic)な情報流通により、ビジネス、教育など、社会の情報インフラが構築され始める時代。
↓
<Oの時代:2000年代>
オープンソース、オープンシステムなど、ウェブベースの情報インフラに、オープンな情報の交換を行う場、プラットフォームが形成され、拡大する時代。
↓
<Cの時代:2010年代(これから)>
Collaboration(共同)、Collectivity(集合)、Commons(共有、共通認識)、Cloud(クラウド)など、オープンな情報インフラを利用して、志(ビジョン)を共有する者同士がプロジェクト的に共同して、活動をしていく時代。
(※偶然の頭文字のキーワードでくくることができる)
以上の状況に対して、現在の日本の大学教育は、10年、いや20年ほど遅れているといってよい。東京大学が9月入学制度で、大学教育の立て直しを図ろうとしているが、日本の大学教育の遅れの状況は、そのような次元の話ではない。ちゃんちゃらおかしい。(→会場、笑)
・最後に
次世代の教育環境として、オープンエデュケーションの環境を整えていきたい。
アメリカの教育者、ジョン・デューイの言葉を借りて、その可能性について、こんなことが言える。
“If we teach today as we taught yesterday, we rob our children of tomorrow.”これを学びになぞらえると、
「もし過去と同じように、今日も教えていたら、私たちは子供たちの将来を奪ってしまうだろう。」
“If we learn today as we learned yesterday, we rob ourselves of tomorrow.”となる。ぜひ教育者はオープンエデュケーションの普及に協力をしてほしい。また学習者はオープンエデュケーションで情熱をもって学習してほしい。
「もし過去と同じように、今日も学んでいたら、私たちは自らの将来を奪ってしまうだろう。」
【感想】
講演の後の両先生の対談、会場とのディスカッションは白熱。終了時刻の21:00を過ぎても、まだまだ続けられそうな勢いでした。ディスカッションの内容も掲載したいところですが、ここでは割愛させていただきます。
「ウェブで学ぶ」が刊行されたのが、2010年9月でした。私のブログを読み返すと、その1カ月後、本書を手にしていたことが記されていました(2010年10月25日記事 )。オープンエデュケーションの可能性に興奮を覚え、MITのOCWを観て、衝撃を覚えたことを今でも覚えています。
そのオープンエデュケーションの先駆者である飯吉先生の言葉は、とても情熱がこもっていて、この新しい教育スタイルが21世紀の教育方法の一つとして大きなポテンシャルを持っていることを改めて感じました。私はエンジニアを職としていますが、一人の学習者としてこの教育インフラを利用したいと思います。また子をもつ親としては、子供が自律的に学習するインフラとして使ってもらいたい、そのためのアドバイスをしたいとも思います。
私は荀子の言葉、「学不可以已(学以て已むべからず)」という言葉が好きで、座右の銘としています。セミナーの中でも、一生学び続ける姿勢を持つことの重要性が何度も語られましたが、オープンエデュケーションは世界中の向学心をもつ人々に機会を与える素晴らしいプラットフォームになるであろうと信じています。
セミナー後、再度、「ウェブで学ぶ」を読み返してみたところ、今回のセミナーの多くの内容が本書の中で触れられていることを確認しました。そういう意味では、刊行から1年半経ったものの、本書はまだまだその鮮度を保っており、とくにオープンエデュケーションの未開の地、日本においては、学ぶところの多い本です。セミナーで得た情報と本の情報から、自分のニーズに合いそうな点を抽出して、自分の学習に生かしていこうと思います。
今回のセミナーは有料でした。正直なところ、ちょっとお高かったのですが、十分にその価値のある授業でありました。オープンエデュケーションというバーチャルに関するお話しであったわけですが、飯吉先生、石倉先生という教育のビジョナリーにリアルな場で会うことで、学びに対する気持ちの高まりを感じました。これは皮肉なことに思えるかもしれませんが、むしろウェブの価値の一つだと言っていいと思います。
つまりリアルな場と、バーチャルな場がそれぞれ相互作用しながら、一つの方向性に向かって(ここでは「学びと教え」)、志を共有し、何かを成し遂げる力があるということです。最近はオープンイノベーションを事業のドライビングフォースとしているグローバル企業が多くありますが、この点でも遅れている日本の企業の中で、何かできることがないか、模索していきたいと思います。
【今日の本】
セミナーでも紹介されていた本2冊のほか、梅田氏と斎藤孝氏(明治学院大学教授)の教育に関する本と、柳川範之氏(東大教授)の独学に関する本もリストアップしておきます。
今回のセミナーのベースとなった本です。
- グローバルキャリア ―ユニークな自分のみつけ方/石倉洋子
- 世界で活躍できる人材になるためのヒントが散りばめられた良書。
- この本で石倉先生のファンになりました。
- 私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)/齋藤孝 梅田望夫
- 教育のあり方、学ぶ場の作り方に関する、齋藤氏と梅田氏の対談がベースとなった本。
- 仲間同士で学ぶことを楽しむ教室を「祝祭的な場」とした齋藤氏の考えに強く同意。
- 独学という道もある (ちくまプリマー新書)/柳川 範之
- 高校を卒業せず、大検を経て、大学に入り、ついには東大の経済学教授になった柳川教授の独学に関する思いを募った本。学びに対する強いメッセージがこもった一冊。
【参考情報】
両先生のサイト、ツイッターも今後の情報の参考になりますので、掲載しておきます。
・飯吉透先生
公式サイト(英語): http://www.toruiiyoshi.com/en/Home.html
ブログ(日本語): http://d.hatena.ne.jp/toruiiyoshi/
Twitter: @iiyoshi
・石倉洋子先生
ブログ: http://yokoishikura.com/
※3月10日(翌日)に早速、セミナーのレポートが出ました。
Twitter: @yokoishikura







