拝啓、ステージの神様。
楽しいけれど、ヒリッとするんです。
♪じゅういっぴ~きのネコ、じゅういっぴ~きのネコ、じゅういっぴ~きのネコが旅に出る~
観劇からだいぶ日数がたってもこのフレーズがひょいとしたときに頭に浮かびます。
こまつ座公演『十一ぴきのネコ』を観ました。
あの馬場のぼるさんの絵本「11ぴきのねこ」を原作にした井上ひさし作品を
長塚圭史さんが演出。
子どもとその付添いのためのミュージカルとタイトルされているが、私が観劇した日は
現役の子どもはおらず、元子ども、だいぶ元子ども・・・で満席(笑)。
十一人+一のネコを演じる役者さんたちは、「猫のホテル」の中村まことさんや市川しんぺーさん、
劇団☆新感線の粟根まことさんや青年座所属の蟹江一平さん、リリパットアーミー出身の山内圭哉さんなど
実に個性豊か。
特にリーダー役のにゃん太郎を演じる北村有起哉さんは、これまでの舞台を観て、
「この人、猫みたいだなぁ~」なんて思ったことがあるほどだったので、すんなりネコの世界に入り込まされてしまったわけです。
子どもも、元子どもも覚えやすい楽しい曲、マトリョーシカを開ける楽しみみたいに、重ねられる井上ひさしさん独特の言葉あそびが気持ちよく、
さらに、今作では近年の三谷作品に欠かせない作曲家の荻野清子さんが新曲や編曲した曲を自ら演奏されていました。
しかしながら、ただただ楽しいわけがありません。井上作品ですもの。
1971年に発表された作品なのに、人間の愚かさ、文明に麻痺する怖さは、今の日本に突きつけられているよう。だから、冒頭に書いたネコたちが歌う希望にあふれた楽しい「十一匹のネコが旅に出た」ソングが頭に浮かぶたびにその警鐘もセットになって鳴らされる。
井上ひさし生誕77フェスティバル と題し、年間8本の作品をさまざまな演出家が上演することが決定しているこまつ座。
そのオープニングがこれです。あぁ、先が思いやられる。
(つまり、全作観たくなってしまうではないか・・・という意味で。)
<公演日程>
2012年1月10日(火)~31日(火)
2012年2月5日(日)
2012年2月11日(土)~11日(日)