1977 スーパースピードウェイモディファイド シボレー・モンザ/レイ・ヘンドリックス
テーマ:セダンレースカー1977 SUPER SPEEDWAY MODIFIED CHEVROLET MONZA/RAY HENDRICKS
1977年と1978年の二年間、NASCARはスーパースピードウェイ・モディファイドというレースカテゴリーを開催した。ここで走ったレースカーはその名の通りスーパースピードウェイでの走行に特化したモディファイドカーというもの。
なおモディファイドカーというのはマイルオーバル以下、主としてハーフマイルやクォーターマイルのペイブド(舗装)コースやクレイ(固く締まった土の路面)コースを使って行われていたシリーズであり、そのレースカーは市販車の一部を使ったドンガラボディをマウントしていたものの中身がフレームからサスペンションに至るまで純レース仕様というもの。事実上の市販車の皮を被ったフロントエンジンフォーミュラというべき存在だった。
ただしショートオーバルメインというその性格上最高速度よりは中速域でのパフォーマンスを重視していたのは明らかであり、空力性能に劣っていたこともあってそのままでは最高速度が180mph以上にならんとしていたスーパースピードウェイを走らせるには無理があった。そこで通常のモディファイドカーとは別に空力性能の向上を目的としたボディカウルを採用していたのが特長である。
前後共にタイヤが剥き出しだったモディファイドカーに対してスーパースピードウェイモディファイドカーはベースとなったモデルを模したボディカウルをマウントすることで空力性能の面ではある意味ストックカー以上が確保された。このボディはその一部(ルーフやボディ後半など)にノーマルパーツを流用していたのはストックカーと同じである。
こうして何とか開始までこぎ着けたスーパースピードウェイモディファイドは、その大迫力の走行シーンと共にストックカーとはまた別の人気を獲得することとなった。何しろ当時のストックカーは最大358cu:inのスモールブロックエンジンしか認められていなかったのに対してこちらは460cu:inまでが容認されており、最高出力は550hp対700hpオーバーと大差があった。その上モディファイドカーゆえに車重は3000ポンド以下に抑えられており、空力的に優れたカウルをマウントした効果もあってその最高速度は時としてストックカーを上回ることとなったのである。
スーパースピードウェイモディファイドは、シャーロットをメインにデイトナ、ドーバー、トレントン、ポコノといったスーパースピードウェイを舞台に開催されることとなったのだが、翌1978年シーズン途中に思いがけない理由で残りのシーズンがキャンセルされることとなった。その理由とは「スピードが出過ぎたこと」である。軽量シャシーにモンスターパワーのビッグブロックゆえそのスピードは上昇する一方であり、NASCARとしては危険を回避する意味でシリーズを中止するしか無かったのである。
さて写真の個体だが、このレースカーはモディファイド界のスーパースターだったレイ・ヘンドリックスの手でシリーズを戦った最強マシンの一台だった。ヘンドリックスこそはその30年余りに渡るキャリアにおいてモディファイドを中心に700勝以上を記録したと言われているレジェンドであり、そのテクニックを買われて幾度となくグランナショナルへとスカウトされながら、頑なにモディファイドを戦い続けたスペシャリストでもあった。
現代、ヒストリックカーレースを戦うこのモンザの皮を被ったモンスターについて、そのバックグラウンドを知る人物は少ない。長いアメリカンモータースポーツの歴史の中でも超一級のマニアックな存在である。





