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2008-03-03 00:05:52

ダッジA100/L700

テーマ:ダッジ





1950年代までというもの、アメリカにおけるコマーシャルバンとは、あくまでピックアップトラックの派生型であり、そのボディスタイルはいわゆるボンネットバンだった。もちろん過去にはスペースユーティリティを追求する意味で、ピックアップシャシーにキャブオーバーやセミキャブオーバーのボディを架装したウォークスルーバンなども存在していたのだが、いずれも特殊用途のための少量生産モデルだった。


しかし戦後になってドイツからとあるキャブオーバーバン&ピックアップが輸入される様になったことで、アメリカ国内でもこうしたデザインが一躍注目されることとなった。そのきっかけとなったクルマとは他でもないフォルクスワーゲン・タイプIIである。軽量ボディと丈夫で手の掛からないエンジン、そしてコマーシャルモデルとしての使い勝手の良さとタイプIビートル譲りの優れたハンドリングとスタビリティ。タイプIIは早い時期にアメリカ社会に受け入れられていった。


こうなるとビッグスリーも次第に状況を看過できなくなっていった。「多くのアメリカ人はボンネット型のスタイルを好む」という事実こそ確固として存在していたものの、特にヨーロッパのカルチャーに憧れる若者の間でフォルクスワーゲンは紛れもないプレミアムブランドだったのである。


こうした状況の中、ついに1961年モデルからビッグスリーによるコンパクトサイズのキャブオーバーバンがリリースされることとなった。ここで登場したのはフォード・エコノラインとシボレー・コルベア・バン&ピックアップである。

これらはタイプIIよりパワフルかつやや大型であり、クルマとしての走行性能の面でも優れていた点も多かった。特に後者は空冷リアエンジンとタイプIIとの共通点も多く、荷台のサイドドアをそのまま道板とすることができるランプサイドピックアップをリリースするなど多彩なアイディアも垣間見ることができた。


残るはクライスラーのみ。こうして1964年モデルから投入されることなったのがダッジA100である。ボディバリエーションはピックアップ、後部荷室のウインドウが無いコマーシャルデリバリーバンの「トレーズマン」、リアウインドウを備えたパッセンジャーバンの「スポーツマン」、そしてウインドウ付きバンをベースにリアシートをセットした「スポーツマンワゴン」の4タイプ。シャシー自体は全車共通であり、ホイールベース90インチのものが使用された。


デビュー当初のエンジンはパッセンジャーカー用としてもおなじみだった170cu:in直列6気筒、同じく225cu:in直列6気筒の二種。しかし二年目の1965年モデルからは275cu:inのV型8気筒が加わることとなった。このエンジンラインナップにおいてダッジならではの特徴だったのは、もとより水平対向6気筒エンジン専用設計だったコルベアはともかく、同じくFRシャシーだったエコノラインには設定が無かったV8エンジンの選択が可能だったことである。そのため、早い時期からいわゆるホットロッドマニアが注目したことで、単なるコマーシャルモデルの域を超えたモデルとしてコアなファンを惹きつけて行くこととなる。


1965年、著名なドラッグレーシング・ドライバーだった「マーベリック」ことビル・ゴールデンは、ダッジA100ピックアップをベースとした一台のドラッグレーサーを製作した。モノコックだったA100のボディと古いドラッグスターのシャシーをドッキング、スーパーチャージャーをプラスしたA864レースヘミをミドにマウントしたその名も「リトルレッドワゴン」である。


ロサンゼルス周辺のダッジディーラーのスポンサードを受けたリトルレッドワゴンは、その短いホイールベースゆえのウィリー走行を披露したことで一躍人気マシンとなった。そしてレースの合間に大迫力のデモンストレーションを行う「ウィールスタンダー」として、ドラッグレースのビッグイベントに欠かせない存在となった。こうなるとA100自体が人気モデルとなるのは自明の理。ライバルのコルベアやエコノラインよりも遙かに個性的だったボディスタイルも良い方向に作用したことで、カスタムカーのベースとしてもメジャーな存在となっていったのである。


1967年モデルにおいてダッジA100は最初のビッグマイナーチェンジを受けた。ここではまずオプションのV8エンジンをそれまでの273cu:inから新型の318cu:inにアップしたこと、そして新たにホイールベース108インチのロングシャシーを投入したことが主要な変更点だった。


この108インチの新バリエーションは、新たにA108という型番が与えられた。ロングホイールベース化によって室内スペースが大幅に拡大したことで、従来のパッセンジャーバンベースワゴンを上回る余裕を得たことから、純正でポップアップルーフを備えたキャンパー仕様が用意された他、さらにそれをベースにカスタム化されたキャンパーが様々なコンストラクターからリリースされている。


また一段とトルクフルな318cu:inユニットを得たことで、この仕様は同年代のコンパクトバンの中では一番パワフルなモデルとしてマニアックな注目を集めたりもした。後年になって「マッスルバン」として高い人気を集めたのも318cu:inユニット搭載車である。


さて、一時はコンパクトサイズのバンの代表的な形態としてメインモデルの座にまで昇格していたキャブオーバーながら、次第にその存在はマイナーなものとなって行かざるを得なかった。理由は代表的なモデルの車型がどんどん大型化していったこの時代、ある意味スペースユーティリティを追求することが目的だったキャブオーバーの存在意義が希薄化していったことに他ならない。


従来はリアエンジンシャシーのコルベアをベースとしていたシボレーも、1965年モデルからはフォードとダッジと同様のFRコンパクトキャブオーバーバンをリリースしていたものの、フォード・エコノラインは1967年モデルを最後にフルサイズピックアップのシャシーをベースとしたセミキャブオーバーデザインへとフルモデルチェンジを受けることとなった。


この動きに対して、同じくキャブオーバーモデルの限界を感じていたダッジとシボレーも1970年代初めにフォードと同様のセミキャブオーバーデザインへと大きく様変わりを見せ、アメリカにおけるコンパクトキャブオーバーバンは10年を経ずして消え去ることとなった。ダッジA100とA108が生産されていたのは1964年モデルから1970年モデルまで。この間、ダッジブランドの他に少数のファーゴブランドモデルが生産されている。




また1966年モデルから1971年モデルまでというもの、Aシリーズのキャブを流用したミディアム&ヘビーデューティートラックのLシリーズも生産された。その中の最強モデルであるL700は、361cu:inのV8ガソリンエンジンに加えて185hpを発生するカミンズ製の直6ターボディーゼルエンジンも用意されるなど、オリジナルのA100とは大きくかけ離れたキャラクターとなっていた。仮にL700をわかりやすい例にたとえるなら、ライトエースのキャブをそのまま流用し4トントラックを作った様なものと言えば、そのユニークさがわかって貰えるだろう。


ダッジA100は今でも多くのファンが存在しているという意味では、このサイズのバンの中では異例なポジションにある。それもまたMOPARの一員ゆえと言ってしまうことが、このクルマを理解する一番の早道なのかもしれない。







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