昨日のBOOK1 に続いて、本日はBOOK2のご紹介。
- 1Q84 BOOK 2/村上 春樹
- ¥1,890
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気づいたので書いちゃいますが、本の装丁、BOOK1が緑でBOOK2は赤(オレンジ)となっていますが、これって、『ノルウェイの森』上・下刊と同じですよね。
『ノルウェイの森』はビートルズ、『1Q84』はオーウェル。
このあたりも似ています。
第1章
青豆は老婦人から子宮を破壊された少女がいなくなったことを知らされる。
おそらくは、犬の異様な死を知って、これ以上老婦人たちに迷惑をかけまいと自ら出て行ったのであろうと。
そして老婦人は、青豆と「さきがけ」の教祖が二人きりになる機会を作ることは可能であり、彼をあちらの世界に連れて行ってくれるよう依頼する。
青豆は、老婦人の雇人タマルに拳銃の調達を依頼する。
それは、教祖殺害の仕事に失敗した時の自決用にであった。
第2章
天吾の職場に牛河と名乗る男が訪ねてくる。
牛河は天吾に、彼がふかえりの「空気さなぎ」に関係していたことを知っている、とにおわせ、助成金として三百万円を受け取るよう告げる。
天吾はこの申し出を断る。
第3章
青豆はタマルから拳銃とポケットベルを受け取る。
新聞で警察官あゆみの死を知る。
ああ、やはり死んじゃいましたね、警察官あゆみ。
「さきがけ」がらみかと予想してましたが、今のところ関係ないみたいですね。
第4章
天吾は小学生時代の青豆とのことを回想し、再会したいと思う。
第5章
青豆のポケットベルが鳴り、仕事の依頼がくる。
今夜七時、ホテル・オークラ。
おお、ホテル・オークラ!
一昨年、キッザニア東京に行くために泊まったところではないですか。
そんな立派なところに泊まる必要性はまったくなかったのですが、ホテル・オークラの宿泊とセットになったプランしかキッザニアの空きがなかったものですから。
でも、食事なしの素泊まりでした(T_T)
第6章
夜、天吾のもとに電話が二本かかってくる。
一本目はガールフレンドの夫から。
「家内は既に失われてしまったし、どのようなかたちにおいても、あなたのところにはもううかがえない。」
二本目は牛河から。
「彼らの伸ばす両腕は心ならずもあなたに面白くない結果をもたらすことになるかもしれない」
このあたりの表現は、村上春樹くんの得意とするところですね。
ガールフレンドが「どのようなかたちにおいても」来ることができないのは、「さきがけ」とは無関係なのでしょうか。
第7章
青豆は、ボディガードの男たちに連れられ、ホテル・オークラのスイートに入ることに成功する。
第8章
天吾は、認知症の父を療養所に訪ね、「猫の町」という短編小説を読んで聞かせる。
父は、自分が天吾の本当の父親ではないことを暗示する。
「猫の町」は、魅力的な話ですね。
おそらく村上春樹くんの創作だと思いますが、あらすじだけでなく、ちゃんとした短編小説として読んでみたいです。
第9章
青豆は、教祖と対面し会話を交わす。
教祖は、網膜に問題があり、体の筋肉がしばしば硬直し麻痺状態になる。
その間、教祖はずっと勃起しており、複数の女性が身ごもることを目的に、彼に跨る。
筋肉の麻痺状態の後、教祖は激しい苦痛と疲弊に苛まれる。
それは、いかなる方法ー医学、漢方、整骨、鍼灸、etc.ーによっても解消不可能であり、青豆は「あなたにしかできないこと」をしてもらうために呼んだのだ、と告げられる。
第10章
天吾は、自分が、新しい自分になっていることに気付く。
やがて、行方不明のふかえりから電話がかかってき、彼女は天吾の部屋に住まうこととなる。
再び職場に牛河がやって来る。
牛河は天吾に、「あまり愉快とは言えない種類の天吾の母に関する情報」を渡すことができる、と告げる。
天吾は牛河の申し出に対し、最終的な拒絶の意思を伝える。
どうやら「さきがけ」は、ガールフレンドもう来れない事件とは無関係みたいですね。
すると、夫に何かされたのでしょうか。
「どのようなかたちにおいても来ることができない」
これは、夫が彼女を殺してしまった、とも読めるのですが。
第11章
青豆は、教祖の筋肉にストレッチを施し詰まりを解消していく。
ストレッチングを終え、教祖の首筋に針を突き立てて彼を別の場所に移そうとするが(それこそが「あなたにしかできないこと」なわけだが)、教祖は青豆がそうすることをあらかじめ知っており、しかもそうされることを望んでいた。
教祖は、肉体の苦痛の代償として与えられた特別な力ー置時計を手を触れずに持ち上げることーを青豆に見せる。
青豆は、教祖に死を与えることを止める。
彼は、苦痛にさいなまれぼろぼろになって死ぬべきだと考えたのだ。
第12章
部屋に帰った天吾は、夕食を作り、ふかえりと食べる。
ふかえりは天吾に、「こちらに来てわたしをだいて」と言う、「わたしたちはふたりでひとつだから」
第13章
だが結局青豆は、教祖に「自分が生きていればリトル・ピープルたちが天吾に危害を及ぼす、つまりは抹殺するだろう、だが自分が死ねばリトル・ピープルたちがそんなことをする理由はなくなる、しかしその場合、自分の作った組織が青豆を厳しく罰するだろう」と告げられ、彼をこの世界から排除することにする。
予想的中!
やはり、教祖はふかえりの父でしたね。
そうすると、母はどうなったのでしようか。
第14章
天吾とふかえりは結ばれる。
第15章
青豆は、ホテルからの脱出に成功し、老婦人が用意してくれた都内のマンションに潜伏する。
第16章
目覚めた天吾は、青豆を探すことを決心する。
だが、簡単にはいかない。
ふかえりは、「そのひとはすぐちかくにいるかもしれない」と言う。
第17章
教祖の死は「さきがけ」内部で秘密裏に処理されたようだ。
青豆は、部屋に『空気さなぎ』の本を見つけ読みはじめる。
第18章
天吾はふかえりとの夕食後、酒を飲みに出かけ、帰り道、公園の滑り台の上で空に浮かぶ月を見上げる。
そこには、もうひとつの月も浮かんでいた。
第19章
青豆は、『空気さなぎ』を読み、自分がその天吾が書いた物語の中にいることに気づく。
第20章
天吾は二つの月を見、すぐ近くにいるはずの青豆もこの月を見ているのだろうか、と考える。
第21章
青豆は、窓の外、公園の滑り台のてっぺんで月を見る天吾に気が付く。
急いで外に出、公園に駆けつけるがねその時には天吾はもういない。
ちょっとこのあたりのすれ違いは安易すぎる気がします。
今時「君の名は」はないでしょう。
第22章
部屋に戻った天吾は、療養所にいる父が昏睡状態に陥っていることを知る。
第23章
青豆はタクシーに乗り、再び首都高速道路を走らせる。
そして、かつて自分が非常階段を使って降りた場所に行き、そこから再び降りようと試みる。
そのことによって世界が入れ替わってしまったのなら、もう一度同じことをすれば、元に戻れるのではないか、と考えたのだ。
しかし、そこに非常階段はなかった。
出口はふさがれてしまったのだ。
青豆は、拳銃を口にくわえる。
物語の中でいったん拳銃が登場したら、それはどこかで発射されなくてはならない。
引き金にあてた指に力を入れる。
どうですかね?
青豆さん、間違ってる気がするのですが。
だって、高速道路の非常階段を降りることによって世界が入れ替わってしまったのだとしたら、元に戻るためには、非常階段を登って高速道路に出なければならないのではないでしょうか?
違うかな?
第24章
天吾は再び療養所に行き、昏睡状態の父(生物学上のではないとほぼ確信している)に、これまで送ってきた人生のあらましを語り聞かせる。
父に変化はなく、父が検査のため連れ出され、自分も食堂でお茶を飲んで病室に戻った天吾は、そこに空気さなぎを見つける。
その中には、10歳の青豆が目覚めの時を待ちながら眠っている。
天吾は、この二つの月がある世界を生き延び、青豆を見つけようと決心する。
完。
うーん、これで終わり?
結局リトル・ピープルとは何だったのか?
ガールフレンドの人妻は「どのようなかたち」になったのか?
教祖が死んだ「さきがけ」はその後どうなったのか?
サリン事件を起こすのか?
青豆は死んでしまったのか?
それでは天吾は、青豆を見つけ出せないのか?
また天吾は、手をつけたふかえりをどうするつもりなのか?
様々な疑問を残して、この秋刊行予定のBOOK3、BOOK4に続く!
……となってもおかしくないような、すっきりしない終わり方でしたね。
ストーリー展開はメリハリが効いていて、先を読むのが楽しみでしたが、さすがにBOOK3はもういいや、と思ってしまいました。
でも、もしこの先があるのなら、
①オウムをモデルにしたと思われる「さきがけ」について、教祖亡き後の活動(と滅亡)を詳細に書くこと
②リトル・ピープルについて納得できる説明を行い、再会した青豆と天吾が力をあわせてこれに立ち向かい、勝敗をつけること
③ふかえりの処遇をつけること
以上のことを望みたいと思います。
評価 ☆☆☆