衆議院選とビッグワード? | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

知人の娘さんが超わかりやすい経営学の本を出したので、今日はそのご紹介がメイン。
選挙と結び付けたタイトルは政治・経済ブログを意識したこじつけです。(笑)

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(本文ここから)

紹介するのは、普通のOLが一念発起してMBAで学んだことを解説したごく初心者向けの本だ。受講前は営業利益と経常利益の区別もつかなかった著者が、戸惑い悩み、同時に「分からなかったことが分かる」喜びを感じながら一生懸命に理解してゆく過程を描いている。

一番の特長はストーリーマンガの形になっていることで、読者は著者と共に講義に参加し、一緒に考えながら学んでいける。「超基本」とはいえ、若干の基礎知識がないと理解しにくいところもあるが、読み物としても面白いから初心者から現役のビジネスマンにまでお勧めできる。


例えば、第1章『クリティカルシンキング(批判的思考)』では、論理的な思考のスキルを身に着けるための基礎を学ぶ様子が描かれている。著者の了解を得て一部をご紹介しよう。


(クリックで拡大)


論理的思考と言えば良さそうなものをクリティカルシンキングなどというから余計に難しそうになる。ところが、先生の質問に答える営業マン君も「お客様に、従来よりもバリューのあるソリューションを提供するためのスキルを学びにきました』と長嶋イングリッシュで答えている。

それを横で聞いていて「わあ…かしこそう」と感心しているのが著者自身だ。しかし、そのかしこそうな模範解答は、先生の「その内容を具体的に」のひと言で、中身が何にもないことが一瞬にして露呈してしまう。「ひぇぇぇぇ…‥これがMBAか!?」

そして、このあと、「一見もっともらしく聞こえるが具体的に説明を求められると答えられない言葉」をビッグワード(Big Word)というと説明がある。この言葉は直訳すると「大言壮語」という意味だが、著者の学んだビジネススクール(グロービス経営大学院)ではもう少し広い意味でつかっている。

同ビジネススクールの先生のブログでそれが良く分かるので一部を引用させていただいた。

グロービス経営大学院 荒木博行のブログ
『Big Wordに要注意』 より (尚、太字強調は当ブログ)
(前略)
■Big Wordが発生する場面

では、どういう場面でBig Wordが発生するのでしょうか?
いくつかパターンがあると思いますが、代表的なものを3つほど。

-内容に対する理解不足-

このパターンが一番多いかもしれません。
自分がぼんやりとしか考えられていない。まったくイメージがついていない。そんなことをしゃべる時は、どうしてもBig Wordが多用されることになります。
例えば、冒頭の事例の「頑張ります」というのも、自分で何をすべきはまったくイメージができていないために、無意識に口に出てきてしまうのだと思います。

-相手に対する過信・希望的観測-

先ほど「Big Wordは文脈に依存する」ということを書きましたが、相手との前提が大きくずれていればBig Wordは発生しやすくなります。
つまり、「これくらいのことを言えば、相手は分かるだろう、分かってくれるだろう」という思いこみであり希望的観測です。

1点目の「自分がよく理解していない」ということが部下から上司へのコミュニケーションに出がちなことに対し、この2点目のことは、上司から部下へのコミュニケーションのときによく発生します。

よくありがちなのが、「お前ら、これくらいのことは分かって当然だろ」というマインドセットがある上司の場合です。
その手の上司がいる職場では、上司が使うBig Wordの解釈を部下が必死に考えることに時間を浪費する、ということが頻発し、生産性を著しく下げることになります。

-意図的な使用-

上記2点が自己認識がないということに対して、この最後のポイントは「意図をもって」Big Wordを使っている、というものです。
なぜ意図的に使うかと言えば、理由は簡単です。

具体的な言葉にすれば、それは自分にとっての逃げ場がなくなり、自分の首を絞めることにもつながるからです。
もしくは、誰か具体的な他人が明確に不利益を被ることになり、トラブルが発生することが目に見えるからです。

「売上向上に向けて頑張ります」という方が、「この3か月以内に売上昨対比20%伸ばします」というよりも気楽であることは間違いありません。
「収益が上がる体制を意識します」という方が、「この1年以内に不採算部門を決定し、2年以内に切り離します」としておいた方が間違いなく無難です。
後々いくらでも言い逃れができますから。

こういう場面においては「言葉を丸くする」という強力な引力が働き、抽象的な言葉で無難にやり過ごす、という誘惑に駆られます。(当然ながらツケは後ほど回ってくるわけですが。)
ここは思考スキルの問題というよりも、どれだけその事業を前進させたいかという意思の問題になるでしょう。


この後、講師の先生が、考えさせたり意見を述べさせたりしながら、学生の理解を深めてゆく様子が描かれている。この日のまとめは、『ビッグワードで表してしまうような「ぼんやりとした課題認識」で考え始めるのではなく、「問題意識=イシュー」を押さえたうえで考えはじめなさい』ということのようだ。(この説明では何のことか分からないと思うが、マンガで読むと良く分かる)

そんな感じで(これもビッグワードかw)「クリティカルシンキング」「マーケティング」「会計・ファイナンス」「ビジネス定量分析」「リーダーシップ」「志」の6つの章に分けて話が進む。
ちなみに、MBAとMLBの区別がつかないおばちゃんでも読んで「面白かった」と言っている

さて、話が変わって、今回の選挙でも様々なビッグワードが飛び交っている。小学生を装ったブログまで登場した「解散の大義」もその一つだ。しかし、なぜ解散の大義がないと言えるのか、そもそも解散の大義とは何か、過去の事例は何かなど、見たことも聞いたこともない。

まさに「一見もっともらしく聞こえるが具体的に説明を求められると答えられない言葉」なのである。
また、最近、民主党は「厚い中間層の復活」と言いだしているが、これもビッグワードになりそうな気配が濃厚だ。

海江田代表「厚い中間層復活の政策を」
NHK 11月22日
民主党の海江田代表は福岡市で開かれた党の会合で、衆議院選挙ではアベノミクスを転換して、厚く豊かな中間所得層を復活させる経済政策が必要だと訴えていく考えを示しました。

この中で、民主党の海江田代表は21日衆議院が解散されたことについて、「安倍総理大臣はアベノミクス解散と言っているが、『安倍のリスク隠しの解散』だ。安倍総理大臣はアベノミクスの道しかないとしきりに言っているが、ほかの道がある。この道しかないと思うところに大きな間違いがある」と述べました。
そのうえで、海江田氏は「ぶ厚い中間層を作るために労働法制を守ることや、子育て世代への支援をしっかりと行うことが非常に大切だ。さらに社会保障制度についても、今後20年、30年たっても持続可能になるよう制度を改定し、安心してもらうことが非常に大切だ」と述べ、衆議院選挙ではアベノミクスを転換して、厚く豊かな中間所得層を復活させる経済政策が必要だと訴えていく考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141122/k10013418581000.html

「分厚い中間層」を復活することは目標として妥当ではあるが、問題はどんな政策でいつまでにどの程度まで実現するのかだ。それを明示できなければ「従来よりもバリューのあるソリューションを提供」と少しも違わない。2009年の衆院選時の「予算の組み換えで16.8兆円の財源」と同じなのである。

「この道しかない」の「この道」の中身を具体的に示しているアベノミクスを続けるのか、中身のない「分厚い中間層」とか「本当の改革(江田)」「政治を変える(共産党)」のようなビッグワードを信じるのか。この選挙ではそこが一番問われている

(以上)

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選挙には直接関係ないが、MBAとMLBの違いが良く分からない人からビジネスの現場で活躍している人までお勧め。「為替相場は50円になる」とか「金融緩和では105円の円安が限界」などと具体的な数字のはいったビッグワードを使う経済学者や評論家は必読だ。