2005-04-30 23:43:03

民族の祭典

テーマ:生き方

0504リュウベース


 昨日の夜、リュウ(ONSENS第三の男)がきた。
「ベースを返しにいきます」
 なんて言っていたが、きさまの心は見えすいておるぞ。ライブのあとに仕事があったため泣く泣く帰ったリュウは、今度こそライブのビデオを見ながら打ち上げをしたいのである。
 ガソリンスタンドの仕事でくたくたなはずなのに2時間もかけて群馬からやってくるなんて、ういやつよのお。
 オレはコラム地獄と戦いながらもロールキャベツのパルミジャーノ・ソースやフライドチキンとブロッコリーのサラダをつくってやった。
 タケちゃんはタケちゃんで「浅草よしかみ」名物のチンザノ入りナポリタンを自分でつくってもってきた。
 リュウよ、おまえは愛されてるぞ。昨日のオレの日記が短いのもリュウのせいだし、500人の読者を悲しませてまでリュウひとりをもてなしてやろうという、ああすばらしきかなホモビタンD。
 リュウもオレたちの手料理に涙を流さんばかりに感動している。
「アキラさんも、タケちゃんも本当はやさしい人なんですねえ!」
「やっと気づいたか、We are born to love リュウを愛するために生まれてきたんだ」
 なごやかにライブビデオを見ながら酒を飲む。ラストの「Happy birthday」でリュウがとちるところで笑いころげる。
「がっはっは、このリュウの顔!」
 もう1度巻きもどして笑いころげる。ストップモーションで笑いころげる。静止画像で笑いころげる。
「あはは。もうこのへんで勘弁してくださいよお」
「がっはっは、このリュウの顔!」
 もう1度巻きもどして笑いころげる。ストップモーションで笑いころげる。静止画像で笑いころげる。
「ちょっとしつこいじゃないですか」
「がっはっは、このリュウの顔!」
 もう1度巻きもどして笑いころげる。ストップモーションで笑いころげる。静止画像で笑いころげる。
 かくしてリュウは人間愛の光と影を思い知るのであった。
「ちくしょう、絶対に復讐してやる」

 復讐のチャンスは早くも翌日におとずれた。(ここからはリュウの視点で書こう)
「リュウ、今日は天気もいいし、ミニゴルフでもやらない?」
 アキラさんの言葉に内心ほくそ笑んだ。
 前回は卓球でアキラさんに負けてしまったが、ゴルフなら自信がある。アキラさんやタケちゃんは打ちっ放しにもいったことがないと言うし、僕はカタールやアメリカの本格的なグリーンでプレイしたことがある。
「いいですよ。でも僕は経験者なんでハンデとかあげましょうか」
「いらない、いらない、だってオレがリュウに負ける姿なんてイメージできないもん。どうせリュウは最後にポカするし」アキラさんが答えた。
 ふふっ、なんて脳天気な人なんだ。「やっぱりハンデください」なんて、グリーンで泣いても知らないよ。
「タケちゃんはなんかスポーツやってたの?」
「ぼくは砲丸投げをやってました」タケちゃんが言う。
「オレは睾丸焼いたことがある」アキラさんが言う。(「COTTON100%」P222)
 まえからバカだと思っていたが、やっぱりバカだった。ゴルフというのはどう自分のプレーを組み立てていくかという構築的なスポーツだ。石油コンビナートの設計をやっていた僕に睾丸焼いて喜んでいる人が勝てるわけはない。
 日光市民ゴルフ場はゴールデンウイークにもかかわらずガラガラだった。 アキラさんとタケちゃんは左利きなので、左の9番アイアンとパターを選ぶ。
「ねえリュウ、これってどう握るんだっけ?」アキラさんが訊く。
 やれやれ、クラブの握り方から教えなくちゃならないのか。これだから素人はめんどくさいんだよな。
 コースは9つのホールからなっていて、パー3。1番ホールは119ヤードある。
 まずは僕からだ。ひざを柔軟にして肩の力を抜き、腰で打つ!
「うわっ一直線! リュウってすげえんだな」
 今ごろ気づいても手遅れさ。僕はいつも完璧を目指す。
 つぎのタケちゃんは空振りするし、アキラさんはむちゃくちゃなスイングで松の木にボールをぶつける。アキラさんは2打目も松の木にぶつけ、関係ない方向へ飛んでいってしまう。
 なんだか真剣にやるのがバカらしくなってきた。お先にキメさせてもらうよ。
 1番ホールを僕は5打であがり、タケちゃんは9打もたたいた。アキラさんはまぐれでロングパットを沈め7打で終えた。
 2番ホールで僕が打とうとすると、松ぼっくりが飛んできて僕の坊主頭に当たった。
「見たか、松ぼっくり打法!」アキラさんが腰に手をあてて笑っている。
「打法じゃないでしょ、打法じゃ。ただ松ぼっくりを僕にむけて打って、じゃましてるだけでしょ」
 いやいや相手の罠にはまったらいけない。ここは平静をたもってプレイに集中するんだ。またもや僕のボールはグリーンの真ん中をぬけていった。
 タケちゃんは2回も空振りするし、アキラさんはゴルフ場の金網を越えそうな球を松の木に救われる。さっきは邪魔した松の木を罵っていたのに、今度は救ってくれた松の木にあやしい祈りを捧げている。祈ってゴルフが勝てるならプロゴルファーはみんな坊主だぞ。
 2番ホールを僕は5打であがり、タケちゃんは7打だ。アキラさんはふたたびまぐれでロングパットを沈め僕と同じ5打で終えた。
 3番ホールを僕は4打であがり、タケちゃんは5打。タケちゃんの学習能力の速さには目をみはるものがある。アキラさんは最下位の6打だった。トップの僕とタケちゃんとの差は+7。アキラさんとは+4と楽勝ムードである。
 4番ホールで異変が起こった。
 僕はいつもの5打であがり、タケちゃんは8打もたたいたのに、アキラさんは4打できめてしまったのだ。なぜかアキラさんのパットは魔法のように吸いこまれていく。
 これでトップの僕とタケちゃんとの差は+10。アキラさんとは+3に縮まった。
 5番ホールを僕は4打であがり、タケちゃんは6打、やはりさっきのはまぐれだったのだろう、アキラさんは6打だ。
 トップの僕とタケちゃんとの差は+12。アキラさんとは+5にひらいた。
 もう勝利は僕のものだ。残り4つのホールで5打差を縮めるのは不可能だ。
 6番ホールを僕は5打であがり、タケちゃんはふたたび6打につけてきた。アキラさんはまたもやまぐれで4打。
 トップの僕とタケちゃんとの差は+13。アキラさんとは+4。まだまだだいじょうぶである。
 7番ホールでなにかが狂った。
 順調にグリーンにのせ、パットをきめようとする僕のうしろで変な歌が聞こえた。
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 アフリカともアマゾンともインディアンともとれる原始的なリズムでアキラさんが踊りはじめた。集中してパットをかまえる僕のまわりを奇声を発しながら踊りつづけるのだ。
「なんですかそれ?」
 こんなバカげた踊りで勝てるわけないと僕は吹きだしてしまった。
「民族の祭典。リュウのパットに呪いあれ、呪いあれ」
 アキラさんは「はねるのトびら」の秋山竜次をまねて拝んでいる。苦笑いをかみつぶして打ったパットがホールの縁をかすめ転がっていく。
 ちっ、はずした。
「マジでそういうの反則ですから」
「 呪いあれ、呪いあれ」
 うわっ、またはずした。
 しょうもない妨害で僕は7打も打ってしまった。タケちゃんは3ホール連続6打につけ、アキラさんは4打。
 トップの僕とタケちゃんとの差は+12。アキラさんとはたったの+1じゃん!。
 いや、ここであせっちゃだめだ。あんなアホらしい「民族の祭典」とかいう踊りに攪乱されてたまるか。残すはあと2ホールのみ。集中。集中。
 8番ホールでいやな予感がよぎった。
 僕は自宅に卓球台があり、子どものころから運動神経のいい家族との卓球で育った。自分は高校時代、183センチの長身を生かしてバスケットボール部で活躍した。卓球部も負かす実力だったが、スリッパをラケットがわりに練習したような温泉卓球のアキラさんに負けてしまったのだ。僕は必死で負けるイメージを振りはらい、勝利の称賛を浴びる自分を頭に描いた。
 僕は6打であがり、タケちゃんは4ホール連続の6打につけてきた。タケちゃんはあらゆる楽器を演奏するだけあって臨機応変な対応力が桁違いだ。
 背中の毛が凍りついた。
 ホールの中に磁石でもはいっているかのようにアキラさんのパットが沈む。この人の「まぐれ力」に心底ビビッた。
 同点である。
 アキラさんと僕がならび、タケちゃんとの差は+12。
 いよいよ運命の最終ホールである。
「どうせリュウは最後にポカするし」
 今まで僕はこの暗示にかかり、気持ちで負けてしまった。しかし今日から僕は生まれ変わるんだ。45歳の変人に体力全盛期の30歳が負けるわけはない。
 小気味よい手応えを残し僕のボールは青空に舞う。
 最高のショットだった。
 あわやホールイン・ワンと思われた球はホールのたった30センチよこでピタリと止まった。
「おめでとうリュウ、ついにオレの呪縛をふりほどいたな」
 アキラさんは第一打をなんとパターで打った。球は着実にグリーンへと近づいていく。しかし僕は2打目で確実にきめられる距離だ。
「悪いけど、この勝負はもらいました」
 かんたんにパットをきめようとする僕のうしろでまた歌が聞こえた。
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ふたたびアフリカともアマゾンともインディアンともとれる原始的なリズムでアキラさんが踊りはじめた。集中してパットをかまえる僕のまわりを奇声を発しながら踊りつづけるのだ。
「あきらめ悪いですね」
 民族の祭典がなんだ。生まれ変わった僕にそんなもんはもう通用しない。
「リュウのパットに呪いあれ、呪いあれ」
 パットがホールの縁をかすめ転がっていく。
 まっ、まさか!
 動転しながらもなんとか4打できめた。
 悪夢だ、アキラさんの3打目をホールが呑みこむ。
 負けた!
 民族の祭典に負けたのだ。
 トータルはアキラさんが44、僕が45、タケちゃんが62。
「リュウ、民族の祭典、おぼえたい?」
「お願いしまっす!」
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 僕たちはゴルフ場の芝生の上をアフリカともアマゾンともインディアンともとれる原始的なリズムで踊りつづけるのであった。
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
2005-04-29 21:33:26

コラム地獄

テーマ:文学
 「オラ! メヒコ」のためのコラム(400字)を10本以上書なばならない。
 コラムって編集者が書くもんだと思っていたのに、オレかいー!
 サパティスタの歴史を400字のコラムにまとめるなんて不可能だあー。
 おおっ、ふくらはぎが、こらむがえり起こした。
2005-04-28 22:50:00

さよならぼくの冷蔵庫

テーマ:生活
 冷蔵庫が死んだ。
 暑い夏も寒い冬もぼくの第二の胃袋として支えてきてくれた親友である。
 2メートルもある長身で、体重もぼくの3倍はあるビッグママだ。
 おふくろが生きているときからいたので推定年齢10~15歳くらいかな。
 移り変わりの早い冷蔵族のなかでは長寿をまっとうしたほうだろう。
 老体にむち打ち、
 夜中にもうなり声をあげながら、
 よく働いてくれた。
 「冷たいやつ」なんて言ってゴメンね。
 君の心臓であるモーターはいつでも暖かく脈打っていた。
 半額シールばかり買い集める僕の食料を入れるときも、
 腹へったーと開けるときも、
 君はぼくをワクワクさせてくれた。
 たとえホッケの開きが腐っていようと、
 荘厳な装飾を施された教会よりもすばらしい、
 ぼくの祭壇だった。
 たとえ納豆にカビが生えていようと、
 天使たちのコーラスが鳴り響く天国よりも愛しい、
 ぼくのパラダイスだった。
 5000円の処分代と領収書が君の天国への切符なのか。
 君は産業廃棄物の山に捨てられるか、
 強力な圧縮機によって粉砕される。
 それは悲しいことかもしれないけど、
 ぼくたちだっていつか焼き場の煙突から立ちのぼる煙になるんだ。
 さよならぼくの冷蔵庫。
 いつか形は消えていくけど、
 思い出だけは残る。
 さよならぼくの冷蔵庫。
 ぼくの胃袋は君を忘れない。
 ぼくもいつか消えていくけど、
 想いだけは残る。
 さよならぼくの冷蔵庫。
 さよならぼくの冬。 
2005-04-27 22:55:45

「VICE」マガジンインタビュー

テーマ:生活

0504VICE


 またもやアポを忘れるところであった。
 海外でカルトな人気を誇る「VICE」(ヴァイス)マガジンのインタビューなのだ。
 1994年にモントリオールで3人の麻薬中毒者がはじめたフリーペーパー「VICE」は、破竹の快進撃でアメリカ、カナダ、イギリス、スカンジナビアに支社をもち、 ついに去年の7月からVICE JAPANがオープンした。
 フリーペーパーの革命を起こし、今ではふつうのファッション雑誌くらいの厚さがある。おしゃれなデザインとディープな内容で、若者たちに絶大な支持を得る。広告が集まらずつぶれていく雑誌たちをしりめに、「VICE」にはギターのフェンダー社やFILAなどの大手企業もこぞって広告をのせているから驚きだ。
 精神病特集、セックス特集、ロックンロール特集などがあり、さてさて6月号はドラッグ特集ということでオレにお呼びがかかった。そうか、オレは「日本のドラッグキング」だったのか。
 わざわざ日光までやってきたのは日本育ちのアメリカ人エイブとアメリカ育ちの日本人カツだ。デブのエイブの日本語は完璧で、人柄、ユーモアもすばらしい。カツの英語も完璧で、ルックス、頭の回転もイケている。やつらは25歳くらいだが、ニューヨーク時代の悪友に再会したように意気投合した。
 オレはNY時代のヘロインやコカイン、アマゾンのアヤワスカ、メキシコのマッシュルームやペヨーテなどの実体験を話した。
 彼らもそこまで予想してなかったらしく、大喜びで帰っていった。
 今は健康的な生活をしてるんで忘れていたが、ドラッグの話ならいくらでもでてくんだよな。

 いいかい、くもりない目で、クリアーにものを見るんだ。
 教育やら情報で汚れちまったまぶたをぬぐってね。
 ジャンキーやケモノのように自分に必要なものだけを選びとるんだ!
(「COTTON100%」P61より)
2005-04-27 02:01:08

 ONSENSデビュー記念コンサートの記録

テーマ:音楽

0405前橋ライブ



 まずは前々日の夜、19歳のドレッドボーイ・信也が群馬からやってきた。去年の12月に信也は子宮筋腫で入院したお母さんに「COTTON100」と「神の肉」わたした。お母さんは涙を流して息子に感謝し、オレは信也に連れられてお母さんをお見舞いにいって似顔絵を描いてあげたことがある。(2004年12月21日の日記
 「COTTON100」をもってカンボジアへ旅立った信也はドレッドをバッサリ切ってしまった。
「あれ? 君は信也じゃないよね」タケちゃんが首をかしげる。
 そこでオレはすかさずこう言った。
「ああ、今日は信也の代わりに神野圭二くんがきてくれたんだ」
 すっかりタケちゃんはだまされる。
「ふうん、そうなんだ。じゃあ圭二、よろしくおねがいします」
 いねえよ、「神野圭二=神の啓示」なんて、すげえなまえのやつなんか。かくてタケちゃんは信也を圭二だと思いこみ、3日間ずっとだまされていた。

 前日は朝6時から器材の積みこみを開始……するはずが起きたら9時じゃん! やばっ、11時に群馬でスタッフやパーカッショングループたちと待ち合わせているのに。
 あたふたしながら車を飛ばし、12時ごろ沼田の山奥にある山荘に着いた。
 パーカッショニストの理恵ちゃんは早稲田の学生をしながらプロのバックミュージシャンとして活躍してる。
 ジャンベの成聖瑠(ナセル)は21歳でなんと5ヵ月後には父親になる。成聖瑠はこの運命を喜んで受けとめる大きな器をもっている。
 成聖瑠といっしょにバンドを組む21歳の友太はナイスなお調子者で、オレの「Happy birthday」をやけに気に入り、1時間も独りで歌っていた。
 夕方6時にガソリンスタンドの仕事を終えたリュウも合流し、全員がそろった。1ヵ月前はコードも知らなかったリュウはそこらへんのアマチュアなど足下にもおよばないほどすばらしいベーシストに急成長した。オレたちとの練習をビデオに撮って帰り、それで毎日練習したという。
 さすが恐怖の完璧男である。しかしリュウは完璧に近づけば近づくほど最後に大きなポカをやらかす。
「今回は最後まで完璧でとおします」
 やつの気合いをいれるため、坊主に頭を丸めてしまった。怖いぞ、ただでさえ怖い顔にスキンヘッドとは。はっきりいって同じ霊長類には見えない。

 当日は信じがたいほどの快晴である。
 真っ白い雪をかぶった尾瀬や利根の山々が朝日に煌めいている。雪山を愛した父があの世から祝福してくれるような気がした。
 昼の12時から器材を大蓮寺に運びこむ。
 もともとライブスペースではない場所をいちから作りあげなくてはならないので、3時からリハの予定が5時半にのびる。今回はタケちゃんが総指揮をとり、完璧な音響システムを作りあげた。
 PAのジェリーさんはオレとも面識があり、すばらしい手腕をみせてくれる。ライブ監督の神野圭二じゃない、信也は自分もミュージシャンであり、驚くほどの活躍をしてくれる。やはりミュージシャンのホッシー、早稲田のデコちゃんも心強いヘルプだ。
 野澤監督がクリちゃんとフクちゃんをつれて東京からやってきてくれる。リハの段階から撮影の構図を練り、プロの仕事を見せつけられる。
 現代書林のマコと石田さん、めるくまーるの太田さんが50冊ずつ「COTTON100%」と「神の肉」をもって参加してくれる。マコなんかパネルまでつくってきてすんごいヤル気だぜ。
 発案者のノリちゃん、みっちゃん&つきちゃん、東京スタッフのミチコ、ゴン、アユ、カオリ、ミッシェルも受付や物販など手慣れたもんである。リュウチームのケンジ、トモヤ、トモコもかけつけ、準備は整う。
 日本を徒歩で横断中の目と眉が4センチはなれてる大介が3日がかりでオレとタケちゃんとリュウに手書きのTシャツをプレゼントしてくれた。
「ゲゲッ、あの目と眉が4センチはなれてる大介が、具象画も描けるなんて!」
 オレのは赤字に龍、タケちゃんのは青地に虎、リュウのは黄色地にイーグルだ。すんばらしいぞ、目と眉が4センチはなれてる大介! 3人ともホモビタ友情に涙し、こう誓った。
「オレたちは命がけで目と眉が4センチはなれてる大介を応援するぞ。どんなことがあっても目と眉が4センチはなれてる大介を世界一のアーティストにしてやる。その暁に、その暁には……このTシャツ、高く売ろうっと」
 順調にスタートかと思いきやVJのヒロが交通事故に巻きこまれた。バックミラーを折られライブに間に合わないとのことだ。大蓮寺には映画上映用の大きなスクリーンがある。そこでオレはこう考えた。
「むむ、ステージの奥に控えるゴールデンブッダ(阿弥陀様)が、オレをかくすんじゃねーよとこの事故を起こさせたのかもしれん」
 いよいよ会場だ。
 前橋くんだりまで(市民のみなさん失礼!)、本当にお客さんがくるのだろうか?
 楽屋で待つオレたちのもとに信也が走ってくる。
「すごいお客さんですよ。うしろまで満員です」
 和尚の蓮池上人がユーモラスな舞台あいさつでオレたちを紹介してくれる。いきなり秘密兵器の新曲「背中」を歌い出す。

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

なぜ愛よりもひとりを選ぶの
母も僕もみんな あなたを求めてた

なぜ現実より夢を選ぶの
微笑みだけ残して

煌めく真冬の雪山
あなたは火を運びつづける
極め極めるほど
遠ざかる頂めざして

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

なぜ家族より仕事を選ぶの
母も僕もみんな 愛してほしかった

なぜ生きるより死を選ぶの
さよならも言わないまま

燃え立つ紅色の森に
あなたは風を巻き起こす
散れば散りゆくほど
想い出は心に降りつもる

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

もう一度生まれ変われたら
あなたとまた暮らしてみたい
あなたを許すときが
自分を許す日と気づいた

父よ 永遠に追いつけぬ孤独な背中よ
不器用で臆病で淋しい背中よ

憎んでも憎んでも愛していたんだ
愛してた それだけを言い忘れたんだ

愛してた 愛してた
愛してた 愛してた

 会場が水を打ったように静まる。オレは不思議な感慨に打たれていた。
 おかしい、ぜんぜんあがらない。
 いつもステージはドキドキなのに、なぜか落ち着いて歌えた。間髪を入れずタケちゃんが激しいストロークで「Be here now」を弾きはじめる。

まにあわないかもしれない
でも走らないではいらんない
Wake up be here now
今ここしかない

かなわないのかもしれない
でもやってみなくちゃわからない
Wake up be here now
今ここしかない

すりむいた傷
風が乾かし

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

過去も未来もありゃしない
あるのは連続する今
Wake up be here now
今ここしかない
Ah be here now

とどかないのかもしれない
でも歌わないではいらんない
Wake up be here now
今ここしかない

愛されないかもしれない
でも愛さないではいられない
Wake up be here now
今ここしかない

あふれる涙
大地に沁みる

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

昨日の鎖をふりほどけ
明日に夢を預けるな
Wake up be here now
今ここしかない
Ah be here now

空間を超え
時間を超え

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

君とめぐり会えた奇跡
この世に偶然などない
Wake up be here now
今ここしかない

ずっとずっと待っていたよ
きっときっと出会えるって
Wake up be here now
今ここしかない

 「リストカッター」を聴き、自殺を思いとどまった女の子の話をする。会場から鼻をすする音が聞こえた。

どうしようもなく自分が嫌い
だからこのまま消えてしまいたい

なんとなくみんなが恐い
だからこのままそっとしておいて

大人にもまだなれなくて
子どもにもかえれない

生きてるの? もう死んでるの?
それすらわからない

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
悲しいくらいに生きてる

たえがたく自分は醜い
だから愛する資格なんかない

やるせなくあなたが恋しい
だからこのままいてもいいですか

幸せにもまだなれなくて
不幸にもなりきれない

生きてるの? もう死んでるの?
それすらわからない

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
淋しいくらいに生きてる

わすれがたく空は澄んで
だからいつかは還ってゆける

かえがたく世界は在って
だけどいつかは笑ってくれる

ふつうにもまだなれなくて
狂うこともできない

生きてるの? もう死んでるの?
それすらわからない

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
愛しいくらいに

青いカミソリ 白い手首に
赤い血が走る
生きてる わたし生きてる
愛しいくらいに

 ギリシャの弦楽器ブズーキをタケちゃんが弾きはじめる。本堂の豪華な飾り付けとエキゾチックなブズーキの音色が、ギリシャ文明と仏教文化がガンダーラ(現在のパキスタン)が出会ったように和合する。「インラケチ」、マヤ語のあいさつで「わたしはもうひとりのあなたです」という意味だ。

わたしはおまえの影であり なお
おまえはわたしの影である そう
おまえはひとりぼっちなんかじゃない
インラケチ インラケチ

わたしはおまえの父であり なお
おまえはわたしの母である そう
すべての出会いが魂の家族
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

世界はおまえの夢であり なお
おまえは世界の夢である そう
覚醒したまま夢を見つづけろ
インラケチ インラケチ

太陽と月が結ばれる なお
天使と悪魔が口づける そう
愛と憎しみがひとつに溶け合う
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

わたしは名もない花であり なお
日であり美であり君である そう
すべてものに宿りながらひとつ
インラケチ インラケチ

わたしはわたしの神であり なお
おまえはおまえの神である そう
すべてはおまえの内に眠っている
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

愛がほしいとおまえが言う なお
恋をしたいとおまえが言う そう
まずは自分を愛してやることだ
インラケチ インラケチ

悟りをくれとおまえが言う なお
真理をくれとおまえが言う そう
無様なおまえがいちばん綺麗だ
インラケチ インラケチ

インラケチ インラケチ
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

おまえがおまえであればいい
おまえがおまえであればいい

おまえがおまえであればいい
おまえがおまえであればいい

おまえがおまえであればいい
おまえがおまえであればいい
夜明けは忍び足でやってくる
インラケチ インラケチ

 タケちゃんがグレッチのホワイトファルコンにギターを持ち替え、新曲「この世界が滅んでも」を歌う。

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが花をながめるとき
花もあなたを見つめている

あなたが鳥の歌を聴くと
鳥もあなたに耳を澄ます

 ミタクオヤシン 
 すべてのつながるものへ 
 ひとつひとつの命が 
 そっと寄りそい合う
 
この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんど傷ついたって
どんな馬鹿にされたって
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが風にふかれるとき
風もあなたを感じている

あなたが木々にふれるとき
木々もあなたにキスをかえす

 ミタクオヤシン
 すべてのつながるものへ 
 ひとりひとりの祈りが
 今ひとつになる

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんど裏切られても
どんなことを言われても
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが友をいじめるとき
友はあなたの鏡になる
あなたが火をもてあそぶとき
火もまたあなたに燃えうつる

 ミタクオヤシン
 すべてのつながるものへ 
 一粒一粒の涙が
 いつか時を変える

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんどすりむいてでも
どんなかっこわるくても
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

あなたが星を見あげるとき
星もあなたにささやいている

あなたがぼくに微笑むとき
ぼくもあなたに笑いかえす

 ミタクオヤシン
 すべてのつながるものへ 
 7つの世代を越えて
 夢を伝えていこう

この世界が滅んでも
声からして歌うから
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

なんど涙流しても
どんな孤独の中でも
ひとりぼっちじゃないと
君のために歌うから

 いよいよデビュー曲である「Born to love」だ。オレがピアノを弾きはじめるがピアノのチューニングがおかしい。Cのキーがフラットしているのだ。リハでは合っていたのに。原因はアップライトに突っこんだマイクが弦に触れていたのだが、気づいたときにはもう曲がはじまっている。お客さんに気づかせないようにタケちゃんがギターを重ね、オレもピアノの音量を抑えボーカルを前にだすようにして歌いつづけた。

青い青い青い砂漠にたおれ
最後の息で君を呼ぶよ
白い白い白い雲がちぎれて
君の笑顔になる

苦い苦い苦いことばかりで
生きてる意味さえわからなくなる
痛い痛い痛いほどの想いを
君に伝えたい

ぼくらはなんのために生まれてきたんだろう?
なくした言葉が聞こえてくる

We were born to love
We were born to love
ぼくらは愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

黒い黒い黒い闇を背負って
ぼくは今日まで生きてきた
いつもいつもいつも自分に嘘をつき
ひとりおびえていた

なにがなにがなにがしたいんだ
自分のことさえわからないから
せつないせつないほどの気持ちが
君にとどくかな

ぼくらはいつまで憎み合うのだろう?
遠い約束を思いだすよ

We were born to love
We were born to love
ぼくらは愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

赤い赤い赤い子宮のなかで
最初の夢を見ていたんだ
暗い暗い暗いトンネルをすべって
この世界と出会った

甘い甘い甘い唇かさねて
君の孤独を吸い出そう
寒い寒い寒い肌をからめて
深い傷をなめよう

ぼくらはいつのまに置き去ってしまったの?
裸の子どもが泣いているよ

We were born to love
We were born to love
ぼくらは愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

We were born to love
We were born to love
すべてを愛するために
生まれてきたんだ
We were born to love
We were born to love
君を愛するために
生まれてきたんだ

 ここで前半終了。
 ONSENSと入れ替わりに、Percussionの理恵、ジャンベの成聖瑠、友太、ベースのリュウが力強い演奏に観客が踊りたくてむずむずしているのがわかる。「しかしここはお寺の本堂なので失礼かもしれない」という声が聞こえてきそうだ。
 ONSENSが7分後にくわわり、後半がはじまる。照明のナオも自信に満ちたライティングをみせる。
タケちゃんのサンポーニャが郷愁へいざない、「Holy night」を歌った。

We dance in the holy night and sing in the holy night
We fly to the holy sky and swim into the holy lake

Put fires on let's burn down those stars
Everything in brightness and everything in darkness

We dance in the holy night and sing in the holy night
we drink up the holy wine and smoke out the holy grass

Take a shower of blood eat the meat a viegen
Everything in mindness and everything in madness

We dance in the holy night and sing in the holy night
We talk with the holy spirit and play with the holy ghost

Listen to the story from an old man get the knowledge from a crazy man
Everthing in discipliness everything in chaosness

We dance in the holy night and sing in the holy night
We sleep in the holy grave and dream with the holy babe

Let's forget it all and remenber it all
Everythin is beginningless and everything is endless

Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance
Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance

(日本語訳)

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる空を舞い 聖なる湖を泳ぐ

 さあ 火をもやせ 星々を焼きおとすんだ
 すべては輝きの中に すべては闇の中に

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる酒をあおり 聖なる草を吸う

 さあ 血のシャワーをあびろ 処女の肉を食らえ
 すべては正気の中に すべては狂気の中に

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる魂と語り 聖なる霊と遊ぶ

 さあ 老人の物語を聞け 狂人の知恵をつかめ
 すべては秩序の中に すべては渾純の中に

オレたちは踊る 聖なる夜に オレたちは歌う 聖なる夜に
聖なる墓地に眠り 聖なる赤ん坊と夢を見る

 さあ すべてを忘れ去れ すべてを思い出せ
 すべてははじまりもなく すべては終わりもない

 途中で信じられないことが起こった。
 和尚自ら観客を立ちあがらせ、踊ろうと誘っているのだ。感謝の念がこみあげ、終わりかけていた曲をふたたび盛り上げる。

Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance
Let's dance let's dance dan dan dan da da dan da dance

 ONSENSの歌の中でもっとも人気のある「旅立ちの歌」をみんなが待っていた。タケちゃんのイントロがはじまったとたん大きな歓声があがる。

もしも君が傷ついたり つまずいたり へこんだら
青いネガは部屋に捨てて 旅に出てみないか

空に抱かれ 海に抱かれ 陸に抱かれ 夢見る
見知らぬ街 見知らぬ人 見知らぬ自分

せまいせまい平均台 列にならんで
背中押されどこへむかう
落ちろ落ちろ! そして目覚めろ
地面が君を受けとめる

風のように 鳥のように 川のように歌うよ
へたくそでも君にとどけ旅立ちの歌

もしも君がひきこもって つらい思いするなら
冷めた涙雨に流し 旅に出てみないか

森と遊び 虹と遊び 影と遊び 見つける
変わる景色 変わる気持ち 変わる自分を

走る走る暴走列車止まらないなら
窓を開けて外へ飛びだそう
逃げろ逃げろ! そして旅立て
大地が君を歩ませる

花のように 草のように 月のように歌うよ
つたなくても君にとどけ旅立ちの歌

まわるまわる星のうえで旅をつづける
人生はめぐる輪のように
生まれ死んで 生まれ死んで 生まれ
もう一度君と出会うんだ

君のままに 在るがままに 愛のままに歌おう
不器用でも天にとどけ旅立ちの歌

へたくそでも君にとどけ旅立ちの歌

つたなくても君にとどけ旅立ちの歌

ラララ

 今回の立て役者である和尚がステージあがってくれる。
「ふだんこんなに力強い歌を聴いたことのない阿弥陀様もきっと大喜びですよ」
 和尚の美声に観客がうっとりしているのがわかる。イントロはお経でなく和歌にメロディーをつけた御詠歌だ。タケちゃんのノイジーなギターが闇を切り裂き、仏教ロック「南無邪華法蛇花夢」を歌う。

南無邪華法蛇花夢
南無病草乱夢花邪華 darkness
南無病草乱夢花邪華 silence
I find my self in 夢花邪華 lonelyness

We really lost the night of stars
We really lost the night of moon light
We really lost the 夢花邪華 paradise

南無邪華法蛇花夢 Let's chant with the secret words 
南無邪華法蛇花夢 You can talk with the universe

南無病草乱夢花邪華 strongness
南無病草乱夢花邪華 loudness
I find my self in 夢花邪華 battle field

We have to take back the blood of sunrise
We have to take back the blood of sunset
We have to take back the 夢花邪華 kingdom

南無邪華法蛇花夢 Get the knowledge of the secret words
南無邪華法蛇花夢 Get the power of the universe

和尚の平和祈願念仏「南無阿弥陀仏」がパーカッションやギターとからみ、クライマックスへとのぼりつめていく。

Oh what a peaceful sound straght through in my body and soul
Oh I am floating I am floating in her wave and water

南無邪華法蛇花夢 Let's chant with the secret words
南無邪華法蛇花夢 You can talk with the universe

南無邪華法蛇花夢 Get the knowledge of the secret words 
南無邪華法蛇花夢 Get the power of the universe

※日本誤訳

南無病草乱夢花邪華 暗闇
南無病草乱夢花邪華 沈黙
オレは自分を 夢花邪華 孤独の中に見つけた

オレたちは 本当に夜の星を失くした
オレたちは 本当に夜の月明りを失くした
オレたちは 本当に夢花邪華天国を失くしたんだ

南無邪華法蛇花夢 さあ 秘密の言葉を共に祈ろう
南無邪華法蛇花夢 天と語らうことができるんだ

南無病草乱夢花邪華 力
南無病草乱夢花邪華 騒音
オレは自分を夢花邪華戦場に見つけた

オレたちは朝日の血をとりもどさなきゃならない
オレたちは夕日の血をとりもどさなきゃならない
オレたちは夢花邪華王国を取り返すんだ

南無邪華法蛇花夢 秘密の言葉の知恵を使い
南無邪華法蛇花夢 天の力をつかむんだ

ああ なんて安らかな言葉がオレの体と魂をつきぬけていく
オレは浮かんでる 彼女の波と海の中に

南無邪華法蛇花夢 さあ 秘密の言葉を共に祈ろう
南無邪華法蛇花夢 あなたは天と語らうことができるんだ
南無邪華法蛇花夢 秘密の言葉の知恵を使い
南無邪華法蛇花夢 天の力をつかむんだ

 すばらしい演奏をしてくれたバックバンドに感謝する。とくにリュウのベースは完璧だった。忙しいガソリンスタンドの仕事をこなし、ひとり血豆をつくりながら猛練習に励んだリュウには頭がさがる思いだ。今までさんざんコケにしてすまなかった。ラストを飾る曲はリュウのベースを合図にした「Happy Birthday」だ。
 感謝に満ちたみんなの目がリュウに集中する。
 刹那、調子っぱずれなベース音が響いた。
 全曲を完璧にこなしたリュウが最後の最後で大ドジをこいたのである。
 やったー期待どおりの快挙、このミスでまた1年ぐらいリュウをいじめられる。オレは満面の笑みで「Happy Birthday」を歌い出した。

死んじまいたいこともあったし
生まれなきゃよかったと思ったし
それでも地べたをはいずり生きてる
これって奇跡なんじゃねえのかい

赤っ恥ばっかかいたし
青っぱなもかまなかったし
過去などティッシュに丸めて捨てちゃえ
これって楽チンチンじゃねえのかい

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
生まれたての君に乾杯

作り笑いもできないし
皮肉な笑みもいらないし
腹をかかえて笑おうぜ
これって幸せなんじゃねえのかい

だますよりだまされたいし
傷よりキスをつけたいし
ほんとは大好きだって叫びたい
意外に純情なんじゃねえのかい

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
生まれたての君に乾杯

※スタッフ紹介
Happy birthday 和尚  蓮池上人
Happy birthday ライブ監督 信也
Happy birthday 音響  ジェリーさん。星あらた
Happy birthday 照明  大平なおこ
Happy birthday すべてのスタッフのみなさん
Happy birthday パーカッション  宮武リエ
Happy birthday ジャンベ  ナセル。
Happy birthday ジャンベ  ユウタ。
Happy birthday ベース  真下竜介
Happy birthday ギター  小嶋剛成
Happy birthday ボーカル  AKIRA

おまえらなんでそんなやさしんだ
逆さに振っても金はでないぜ
残高ないけど友情貯金は
長者番付なんじゃねえのかい

君と出会えてよかったよ
腐れ縁は一生つづくぜ
みんなにありがとうってハグしたい
おまえらおんなじバカじゃねえのかい

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
生まれたての君に乾杯

Happy birthday Happy birthday
この瞬間に君は生まれ変わるんだ
Happy birthday Happy birthday
毎日が君のHappy birthday

 観客は総立ちでみんな素敵な笑顔をしている。
「起立、礼!」
 バックミュージシャンも和尚とハグを交わし、満足そうに手をふっている……リュウ以外は。
 アンコールの拍手とともにオレとタケちゃんが再登場し、コンサート実現のきっかけになった「レインカネーション 輪廻」を歌った。

遠い記憶の小道で
見つけた一輪の花
摘みとろうと引き返しもはや場所さえわからず
ひとり立ち迷う夕暮れ

 長い長い旅だった
 すぎていく無数の影たち
 臭いたつ肌からみつく髪
 笑い声だけを残し
 行きつもどりつ消えてゆく

限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
そこやあそこじゃない
永遠のここへと
限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
過去や未来じゃない
永遠の今へと

脳に描かれた壁画
狩りと祭と婚礼
雨風に消えゆけばなお
鮮やかさをます色彩
遠い遠い宴よ

 燃えさかってた怒りも
 煮え立つ涙も静まり
 引き潮に打ち上げられた
 貝殻だけがひっそり
 日々に洗われつづける

限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
そこやあそこじゃない
永遠のここへと
限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
過去や未来じゃない
永遠の今へと

傷ついた舟はすすむ
血液の河はうねり
遠い昔生まれ落ちた
なつかしいあの海へと
オレを連れもどす

 青い雲間を破って
 光りの梯子が降りる
 永い眠りにはいるとき
 見上げれば空一面
 降り注ぐ花 花 花

限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
そこやあそこじゃない
永遠のここへと
限りなく限りなく還りゆけ還りゆけ
過去や未来じゃない
永遠の今へと

 サイン会ではたくさんの人とハグし、泣きたいほどの笑顔パワーをもらう。
 ネアリカのときと同じことに気づいた。
 オレたちの歌が目的だったんじゃなく、
 歌という手段をとおして、
 みんなと「今ここで出会うこと」が、
 本当の目的だったんだって。

感想集と全歌詞はこちら
2005-04-22 19:12:56

満月のお寺で会いましょう

テーマ:音楽
 いよいよコンサートがあさってにせまった。
 昨日歌いこみすぎて声が枯れてしまった。
 マジでやばい。
 本番前まではのどを守るために無口な男になろう。
 なーんつって、今夜からスタッフがくるし、明日も前夜祭とかいって宴会になるに決まってる。
 明日の朝6時から器材の積みこみを開始して、9時には日光を出発しなければならない。
 12時にスタッフやパーカッショニストと前橋で落ち合い、沼田のはずれにあるリュウの山荘でリハーサルと最終ミーティング。
 たぶん宴会。
 当日は寺の都合で、12時から搬入、セッティング、3時からリハ、6時開場。
 6時半開演、8時終了。
 会場でサイン会、来てくれた人たちと懇談する時間もある。
 片付けがすんだら、9時半から近くのバーで打ち上げ。
 前橋市内にある健康ランドで温泉、仮眠室で就寝。
 月曜の昼くらいに帰ってくる。2泊3日の強行軍だ。
 現代書林とめるくまーるも本100冊もってかけつけてくれるし、野澤監督たちも撮影に来てくれる。NHKのディレクター・ヒロのVJもあるし、プロのパーカッショニスト・リエちゃんも共演してくれる。
 オレの妄想のためにこんなにたくさんの人たちがサポートしてくれるって、ありえない幸せだよな。東西南北どこへ足を向けても眠れないので、三点倒立で寝るしかない。
 ライブの日は満月だし、天気予報でも晴れそうだ。
 お寺に集まる死者たちが守ってくれる気がするなあ。なんか見えない力にバックアップされて、すんごいステージになる確信がある。
 なんせデビュー記念コンサートだし、これを見逃すと一生後悔するよん。当日券も同じ値段(1500円)だし、来てくれた人は絶対入れるから。
 あっ、ステージ衣装のパンツ、ボタンがとれちゃってたんだ。
 あいたらまずいだろう、「オープン・ザ・ドア」とか歌ってるときに。
 舞台裏はこういうチマチマした現実があるの。
 今からボタンつけよっと。
 んじゃ、満月のお寺で会いましょう。
 神懸かりなステージをお届けします。
 チャックが開かなければ。

※ここで会ったが百年目! ONSENSデビュー記念コンサート

「ねえねえ、根井野さん、チャック開いたらヤバイよね」
「チャック開いたら夜這いよね」(意味なし芳一、今日のひと言)
2005-04-21 21:39:08

生活の柄

テーマ:音楽
 高田渡さんも死んじゃったね。
 渡さんは70年代に「フォークの神様」と呼ばれ、「自衛隊に入ろう」、「自転車に乗って」、「コーヒーブルース」などで知られている。
 いつものように泥酔しながらコンサートを終え、様子がおかしいと言うことで北海道釧路市内 の病院に運ばれ、16日午前1時ごろ息を引き取った。
 56歳と聞いて驚いた。白ヒゲでアイヌのエカシ(長老)みたいな渡さんは70歳くらいに見えるからだ。
 渡さんが今市にきたとき、タケちゃんがPA(音響)をやったことがある。
 スタッフに「今日は酒を飲まないでください」と言われた渡さんは、トイレに行くと行方をくらまし、ふらふらに泥酔してもどってきた。いつものことだからとスタッフはあきらめて、渡さんをステージに上げる。
「この歌はいい歌ですねえ。誰がつくったんですか」
 真顔でとなりのギタリストに訊く。自分で作った曲もおぼえていないのだ。
「なんか合わないですねえ」
 つぎの曲の詩をまえの曲のメロディーで歌っていた。
 と、歌の途中で寝てしまう。
 渡さんのアル中は筋金入りだった。オレが思うにとてつもなく繊細で恥ずかしがり屋なので、飲まないとステージに上がれなかったのだろう。
「僕はものすごく臆病で学生運動なんか怖くてできなかったので、歌を歌いました」と言っていた。
 渡さんは偉ぶりもせず、強がりもせず、なにも飾らずに生きていた。渡さんを見てると、人間本来の姿のような気がする。
 本当のことを言えば、他人様の前で歌うなんてことは、もうしわけないほど恥ずかしいことなんだ。他人様にメッセージを言うなんて、もうしわけないほどおこがましいことなんだ。自分が生きているってこと自体、もうしわけないほどありがたいことなんだ。
  渡さんみたいに謙虚に年老いていきたいなあ。
 どんなはったりかましても、むりして偉ぶっても、どうせバレちゃうんだから。
 あと3日にせまったソロコンサートは、力ぬいていこうっと。

 そのまま、素のまま、我がままに(ONSENS「もしもぼくが死んだら」より)

 渡さんの歌の中でダントツに好きなのは「生活の柄」だ。山之口貘の詩を渡さんがアレンジして歌っている。この歌を聴くと、アメリカでホームレスやってたころを思いだすんだよなあ。

歩き疲れては
夜空と陸との隙間にもぐり込んで
草に埋もれては寝たのです
ところかまわず寝たのです

歩き疲れては
草に埋もれて寝たのです
歩き疲れ
寝たのですが
眠れないのです

このごろは眠れない
陸を敷いては眠れない
夜空の下では眠れない
揺り起こされては眠れない

歩き疲れては
草に埋もれて寝たのです
歩き疲れ
寝たのですが
眠れないのです

そんな僕の生活の柄が夏向きなのでしょうか?
寝たかと思うと寝たかと思うと
またも冷気にからかわれて

秋は秋からは
浮浪者のままでは眠れない

秋は秋からは
浮浪者のままでは眠れない

※生の珍獣を見に来なさい! ONSENSデビュー記念コンサート

「ねえねえ、根井野さん、ONSENSのソロコンサートまであと3日」
「Oh Atomic bomb!」(意味なしスーザン芳一、今日のひと言)
2005-04-20 22:52:25

ホモビタ合宿

テーマ:音楽
 最後のリハーサル合宿を終え、今帰ってきた。
 いい年こいて合宿ってもの楽しいぞお。野郎3人で自分たちの曲を「オレたちってすごくない?」とか、「オレたちって天才かも」とか盛りあがる。
 しまいにゃオレが「リストカッター」歌いながら泣いちゃって、タケちゃんとリュウまでもらい泣きしてる。
 もしこんなところに誰かがはいってきたら、あまりの怪しさに通報されるかもしれない。
「こりゃあ絶対泣くね」とタケちゃん。
「オレたちが」とオレ。
「で、お客さんはシラー」とリュウ。
「あっ、そういうこと言っていいの?」とタケちゃん。
「オレはレコード大賞をとって泣いた浜崎あゆみの気持ちがわかったよ」とオレ。
「どういうふうに?」とリュウ。
「あゆは……あゆは、みんなに、純粋に感謝したかったんだよお!」
「おおおおおー」
 体育会系の男3人が少女漫画の目になって、抱き合う。
 と、鍵がかかっているはずの玄関がいきなり開いた。
「おめえばっかじゃねいのー」
「はっ、根井野さん!」
 玄関にでたオレはあまりに根井野さんが根井野さんなので腰を抜かす。
「あ、あなたは画面で見る架空の人物つーか、ウェブ上でオレのつくった人じゃなかったの?」
「じゃ中田の?」
「やっぱり、本人だ!」(意味なし芳一、今日のひと言。長めバージョン)

※親の死に目に会わずとも必ず恋よ! ONSENSデビュー記念コンサート
2005-04-19 21:27:40

アーメンと無知

テーマ:生き方
 中国の反日デモすごいね。
 日本は日本で「毅然とした態度をとれ」とか息巻いている。
 中国に住む日本人も暴行を受けたり、日本に住む中国人宅にびんが投げこまれたり、国家の迷惑を受けるのはいつも個人だ。
 1986年に中曽根もと首相が「アメリカの白人は教育水準が高いが、黒人やヒスパニック系が水準を下げている。日本は単一民族国家だから」という暴言を吐いたとき、アメリカに住んでいたオレはスパニッシュにリンチされそうになった。
 国家というのはただの投げ縄である。
 びよーんと投げて中にはいった人はナントカ人。戦争で縄を広げてはいった人もナントカ人。決して縄の中に実体があるわけじゃない。
 縄を投げるカウボーイたち(=政治家)も国家を思ってやっているんじゃなく、一部の支配層に儲けさせるためだ。
 カウボーイが家畜をコントロールするためにはアメとムチが必要だ。
 アーメンと無知。
 宗教と教育である。天国への甘い勧誘、地獄への恐ろしい脅し、上からの命令に逆らわない道徳、自分で考えることは悪徳、本当のことを知らせないマスコミによる情報管理などなど。
 こうして羊のように従順なオレたちができあがった。
 みんな自分の意見で「中国に謝罪させろ」とか、「日本に謝罪させろ」とか言っていても、すでに洗脳されていることに気づくべきだ。
 人間はほかの動物に比べて母親への依存期間が圧倒的に長い。身体的な乳離れに4年、精神的な親離れに20年以上かかる。脳内のシステムが依存に対して快感を生みやすいのだ。
 生後まもなく服従教育ははじまる。
 親の言うことをきけばほめられ、きかないと叱られる。幼稚園から組み体操をさせられ、運動会の行進や団体行動を異常なほど教えこまれる。
 個を、知を、幸福を、徹底的に破壊されるのだ。
 支配層は、オレたちが個であることを望まない。オレたちが自分で考えることを望まない。オレたちが幸福であることを望まない。
 無駄な戦争や、やみくもな消費をさせて儲けている基盤が崩れてしまうからだ。
 本当は生きてるそれだけで幸せなのに、いつも心のどこかにもやもやした暗雲がたちこめている。いわれのない罪悪感や恐怖心、地位や名誉や金があったらもっと幸福になれるかもしれないと言うはかない願望などなど。
 どんな教育にも、宗教にも、文化にも、社会にも、民族にも、国家にも、思想にも、依存してはならない。
 どんなに怖くても自分の足で立ち、自分の頭で考え、自分の体で学び、自分の幸福をつかみ取ることだ。
 素っ裸で野にたち、風に抗い、犀の角のようにただ独り歩め。
 ちょっと寒ければ1枚だけコートを羽織り、渋谷のハチ公前でフラッシュ!
 あれれ、国家権力に逮捕されちゃったよ。
「おまわりさん、ちがうんです、ちがうんです、犀の角のように……」
「あんたペニスサックまでつけてんの。ずいぶん凝り性の変態だね」
 オレにだまされたことに気づいた君はヤケクソになってアタックナンバーワンの歌を歌う。
「苦しくったて~、悲しくったって~コートのなか中身は全裸なの」

※必見! ONSENSデビュー記念コンサート

「ねえねえ、根井野さん、ONSENSのソロコンサート初挑戦まであと五日よ」
「えっ朝鮮まではあ統一かよ!」(意味なし芳一、今日のひと言) 
2005-04-18 22:09:22

manma mia !

テーマ:文学
 ついに締め切り地獄を脱した。
 はじめは正直言ってなめていたのだ。
 写真が半分もある文庫だし、おもしろおかしく書けばいいや。それにメキシコのことは「神の肉」で書きつくしちゃったし、ギャグ路線でいこっと。
 1週間ほどまえに送られてきたランディさんの原稿があまりにすばらしかったので、愕然とした。
 やばい……、ふたりの文章に温度差がありすぎる。ぜんぜんかみ合ってない、つーか圧倒的にオレの文章が負けてる。
 バリ島へ行く前に書き上げた原稿200枚を怒濤の集中力で書き直した。せっかくの共著なんで、勝ち負けと言うよりも、ふたりの文章が響き合いながら大きなうねりをつくりだすように試みた。
 場末のカラオケでオレとランディさんが「銀座の恋の物語」を歌うようなもんである。
 昨日ランディさんに送り、さっきメールがきた。うれしいので無断でのせちゃう。

 全体のトーン、美しくハモってくれて本当にありがとう。
 二人のデュエットという感じが全面に出て、とてもいいですね、アミーゴな感じ。
 原稿も、楽しい雰囲気のなかにメキシコらしい哀愁が漂ってきてすごくよかったです。
 まとめて読むと、貫くひとつのテーマがあり、単なる旅行記ではなく、スピリチュアルでいい感じです。

 そうなのよ、この旅行記は画期的だよ。
 楽しいだけやスピリチュアルだけっていう旅行記はたくさんあるが、このふたつが絶妙のバランスで合体し、小説級のクオリティーさえもっているという芸当はAKIRANDYにしかできない。
 それにしても他人の文章に自分が書かれるってすごい不思議な感じ。
「ああ、こんな風に自分は他人の目に写っていたのか」と新鮮な驚きを感じてしまう。
 自分の自伝が映画化されて別の役者が演じているような、隠しカメラで撮られた自分の生態をテレビで見てるような、カセットレコーダーではじめて自分の声を聴いたときのような違和感とこそばゆさがある。
 たとえば君が殺人事件とか起こして、テレビ局が家族や友人や近所の人にインタビューする。
「この人はどんな人物だったんですか?」
「なにかのまちがいです。あんなやさしい子がこんなことをするわけがありません」と母が言う。
「学校では無口で、なにを考えてるのかわからないやつだった」とクラスメイトが言う。
「ちゃんとあいさつもしてくれましたしねえ。すごく温厚で真面目な方でしたよ」と近所の人が言う。
 よーするに君を知る100人の人がいれば、100人の君がいる。
 100人の君は別人なのだ。
 君が絶対唯一と信じている自分自身も101人目の別人にしかすぎないのである。
 君の人格が分裂しているというのではない。「主観の限界」というものが存在し、「客観的な人格」というものは存在しない。
 「本当の自分はこういう人物なんです」と100人に押しつけるのは無理だし、本人だって「本当の自分」がなにかよくわかってない。ほとんどの人が今の自分を「本当の自分」と思ってないし、設定値をすごい高いところに置いている。
 よく自己啓発本が「本当の自分をさがして」なんてやっているが、あんなのまやかしだぞ。自分自身が思いこんでる「本当の自分」というのもただのスーパーマンだぞ。絶対届かない理想だ。
 はじめから「本当の自分」なんてない。
 だったら「まんまの自分」でいればいい。
 「在るがまま」とか書くとまた理想化しそうなんで、どんくさいまんま、かっこわるいまんま、アホなまんまのほうがいい。
 それも同じ場所に座っているとあきてくるから、そのときそのときに合わせて心地いい「まんまの自分」を見つけることだ。
 さあ、「まんまの作家」も一段落したし、週末のライブにむけて「まんまの歌手」に変身するか。

※必見! ONSENSデビュー記念コンサート

「ねえねえ、根井野さん、ONSENSのチケットも締め切り間近よ」
「マジかよ!」(意味なし芳一、今日のひと言) 

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