New 天の邪鬼日記

小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。


テーマ:

魂友 佐藤誠司がカムイモシリに旅立っていった。
まるでオレが佐藤さんにラストライブを届けるのを待ち、
スリランカ行きといっしょに旅立ったかのようだ。
オレの心に悲しみも後悔もない。
大いなる勇気と生きる力をオレたちに与えてくれた勇者中の勇者に、畏敬と感謝だけが湧きあがる。
最後まで佐藤さんに寄り添ってくれた紅、それを支えたワニ、自発的に祈りプロジェクトをはじめてくれたのれん分けシンガーたち、祈りプロジェクトに参加してくれてみんな、佐藤さんから勇気を受け取ってくれた人すべてに感謝する。
さあ、勇者の旅立ちを祝う祝祭をはじめよう。
みんな佐藤さんに捧げる歌を歌おう。
スリランカから佐藤誠司セルフストーリーオペラ「そらのやくそく」の全脚本を贈る。

1、Shining soul
第一章        暴力の時代
2、愛を知らないこどもたち(ピアノ)

第二章        感電事故
3、勇者の石(ピアノ)

第三章 奇跡の生還
4、ハイボクノウタ

第四章 ドクターにもらった命
5、H(叡智)

第五章 俺を愛してくれた人
6、心がくしゃみをした朝

第六章 仲間との出会い
7、PUZZLE(ピアノ)

第七章 家族
8、家族(ピアノ)

第八章 世の中の壁
9、ウレシパモシリ(ピアノ)

第九章 約束
10、そらのやくそく
11、MOVE! MOVE! MOVE!
12.なんくるないさ
13. ありがとう(ピアノ)

Shining Soul

これは懺悔の歌 事故で意識をなくし
生死をさまようとき
まばゆい光のなか 自分の一生を見た
悲しい映画のように
自分を捨てた母を なじり恨み苦しめてきた
誰より愛したのに
暴力をふるう父を 恐れ憎み見下してきた
殺してやると殴りかかった
Shining Soul輝く魂が
Shining Soul微笑みかける
愛の導くままおまえの道をいけ
棘の道をいけ

麻薬に溺れたとき 盗み奪いだましとり
この世に地獄を見た
留置場の壁にむかい神を運命を呪いつづけた
こんなクズをなぜ生かす
どんな重い十字架もおまえ自身が生まれるまえに
自分自身で用意したもの
おまえをまちがわせた同じ力が正しい道へ
ふたたび連れもどすだろう
Shining Soul輝く魂が
Shining Soul微笑みかける
愛の導くままおまえの道をいけ
荒野の道をいけ

むだな出会いはない親も仲間も敵さえも
魂の家族だから
おまえの苦しみを 光に変えるとき
人の道を照らすだろう

Shining Soul輝く魂が
Shining Soul微笑みかける
愛の導くままおまえの道をいけ
光の道をいけ
Shining Soul Shining Soul
Shining Soul Shining Soul

G  B7 Em  G7
C  Bm7 A7-9 D7
G  B7 Em  G7
C  Bm7 Am7 D7 G

G  B7 Em  G7
C  Bm7 A7-9 D7
G  B7 Em  G7
C  Bm7 Am7 D7 G
CM7 Bm7
CM7 Bm7 E7
Am D7 G B7 Em
Am7 D7 D7+5

第1章 暴力の時代
俺の手は、人を殴るためにある。
人間なんて信じない、言葉なんて信じない、やさしさなんて信じない、俺が信じるものは、自分のこぶしだけだった。
中学2年時、先輩たちが血だらけになって帰ってきた。
ライバルの中学にやられたのだ。
先輩の復讐をしようと、俺たちはたった5人でのりこんでいった。
はじめは5対5だったが、俺たちがあっというまに5人をぶちのめしてしまったので、30人がいっせいに襲いかかってきた。
相手が何人いようと関係ない。俺のまえに立ちふさがる者は、すべて殴り倒す。
30人全員を病院送りにした。
数ヵ月後、ライバル中学に横浜をしきっていたワルが転校してきた。
やつは早くもその中学をたばね、こうほざいた。
「俺がもっと早く転校してれば、誠二なんかには負けなかった」
頭を金色に染めたその転校生がのこのことのりこんできた。
目は復讐の炎に燃え、必死ににらみをきかしている。
俺は口笛を吹き、自転車に乗ったままやつの顔面に蹴りをいれた。
吹き飛んだやつにのしかかり、ひしゃげたアルミ缶のようになるまで殴りつけた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「俺はあやまる人間が大嫌いなんだよ!」
やつの口の中に革靴をねじこみ、歯がボロボロになるまで踏みにじった。
よく喧嘩の仲裁にも呼ばれた。ふたつの中学から集まった500人が校門をはさんでにらみ合っている。
らちがあかないので俺たち4人が間に割ってはいった。
「そんなに喧嘩がしたいなら俺たちが相手になる。500人まとめてかかってこい!」
誰もかかってくるものはいなかった。せっかく俺たちが平和に解決させようとしたところに、機動隊がなだれこんできた。
時代は校内暴力世代だった。
区内には27校の中学校があるが、中学二年の時にはほとんど潰した。
テレビや雑誌で少年ヤクザと騒がれ、それを見た他の区県から喧嘩を売ってきた者もすべて潰した。
気づけば俺は何千人のワルたちのリーダーになっていた。

父から教わったコミュニケーションは暴力だけだった。
悪い事をしたり、門限を破っては殴られた。父親は手で殴ると痛いと言い、ホウキやゴルフクラブが折れるまで殴られた。
鼻や口から血が流れ、恐怖でオシッコを漏らしてしまう。また漏らしたことでたたかれる。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
泣こうがあやまろうが、折檻はゴルフクラブが折れるまでつづいた。
本当は殴られたくなかった。殴りたくなかった。
心を開いて笑い会える友だちがほしかった。でもどうやって話しかけていいかわからない。そんな自分に腹が立ち、気がつくと目の前の相手を殴ってしまう。
そんな自分が嫌いだった。
この世から消えてしまいたかった。
2、愛を知らない子供たち
「愛を知らない子どもたち」

いつもひとりぼっちだった 友だちなんていらなかった
ぼくはキッチンテーブルのしたで絵を描きつづけた
誰も愛をくれなかった親からも教わらなかった
ぼくは夕日が映る川面に石を投げつけた
せつなくて せつなくて 心が裂けてしまうそうだよ
愛したい だけどとどかない
愛し方さえわからない
愛されたい だけどしょうがない
愛を知らない子どもたち

いつも仲間はずれだった目立たぬように息ひそめた
ぼくは校庭のすみで自分の影を踏みにじった
信じるたびに裏切られた人間がいちばん怖かった
ぼくは夜中の信号機みたいに立ちすくんでいた
さみしくて さみしくて v胸がつぶれてしまいそうだよ
愛したい だけどとどかない
愛し方さえわからない
愛されたい だけどしょうがない
愛を知らない子どもたち

生きてく重さに耐えれない 存在の軽さに耐えれない
ぼくはひな鳥のように飢えてきみを待っていた
もう嘘はつきたくない 自分をごまかしたくはない
ぼくは病室のドアを破りきみに会いにいく
いとしくて いとしくて 声をからしてきみを呼んだよ
愛したい だけどとどかない
愛し方さえわからない
愛されたい だけどしょうがない
愛を知らない子どもたち

C G  Am F
C G  F C

C G  Am F
C G  F C

F C  F C
E7 Am  D7 G7

C F  G Am
C F  G C
C F  G Am
C F  G C

第2章 感電事故
俺がこの世から消える日がきた。
今から24年前の1987年7月23日、21歳の俺は、東京の銀座で高圧のケーブルの測定をおこなっていた。電気を止めての休電工事なので安全な作業のはずだった。
なぜか上司が高圧ケーブルの電源を入れてしまい、反対側にいた俺の目の前で6600Vがスパークした。ドーンという爆発音が家屋を揺るがし、火だるまになった俺は5メートルも吹き飛ばされた。
いったいなにが起こったんだ!?
近くに居たガードマンが水をかけてくれたとき、かろうじて意識がもどった。服も皮膚も黒く焼けただれ、沸騰したコールタールのような血がしたたり落ちてる。
しかし救急車にのせられたのに、何時になっても病院へむかわない。会社の人や近所の人がなぜ動かないか救急隊に訪ねると、近くに受け入れてくれる病院がないという。
こうして人は死んでいくのか。死の足音がひたひたと音を立てながら近づいてくるのを感じた。
最悪の人生だ。
たくさんの人を殴り、恐怖のどん底に陥れてきた罰だ。
子供のころ願っていたように、誰にも望まれない俺なんか消えてしまえばいい。
いや、たったひとりだけ、俺を必要としてくれる人がいる。
その子のためだけにも、俺は今死ぬわけにはいかない。
永遠とも思える40分がたち、受け入れてくれる病院がやっと見つかった。文京区にある救命救急センターだった。
必死につなぎとめた意識の中でドクターに言った。
「彼女がくるまで麻酔は待ってください」
「いや、もう一刻を争うんで、待てない」とドクターは言う。
死ぬ前にもう一度彼女と会いたかった。
「じゃあ、彼女に俺がありがとうって伝えてください」
ドクターは力強く俺の目をのぞきこんだ。
「いや、自分で言いなさい。必ずきみを助けるから!」
「約束だよ、先生」
「わかった。約束するよ」
それから約一ヶ月間、俺は意識を失った。
3、今日は死ぬのにもってこいの日だ

今日は死ぬのにもってこいの日だ
1
おまえが生まれるとき
世界は笑い おまえは泣く
おまえが死ぬとき
世界は泣き おまえは笑う

Today is a very good day to die
愛する恋人よ 旅立ちの時がきた

Today is a very good day to die
父なる太陽と 母の大地へ返る

What a peaceful mind 空は澄みわたり
What a beautiful world 風が歌いだす

おまえが生まれるとき
世界は笑い おまえは泣く
おまえが死ぬとき
世界は泣き おまえは笑う
2
Today is a very good day to die
愛する友たちよ 見送りの時がきた
Today is a very good day to die
今度も楽しかった つぎはもっとよくなるさ

What a peaceful mind 命は贈り物
What a beautiful world おまえにゆずろう

おまえが生まれるとき
世界は笑い おまえは泣く
おまえが死ぬとき
世界は泣き おまえは笑う

さよならなんていらない
いつか帰ってくる ここへ帰ってくる
さよならなんていらない
また憎み合うためにまた愛し合うために

今日は死ぬのにもってこいの日だ
生まれ変わるのにもってこいの日だ


第3章 奇跡の生還
「誠二、誠二、気がついたのかい?」
白い天井から目を移すとなつかしいおふくろの顔が浮かびあがった。
ここはあの世か?
いや、病院だ。数十本の点滴が俺のベッドをコの字に囲んでいる。
全身が包帯でおおわれ、自分の目で見える場所すべてに赤黒い血と黄色い膿ががにじみだし、消毒液がいやな臭いを放っている。
糸の代わりに使うホチキス、アポウズが全身に散らばり、両生類の卵のように光っている。
88キロあった体重が40キロに落ち、傷口が乾く前にまた手術がくりかえされる。全身の30%を火傷すると人は死ぬ。俺は全身に55%の火傷を負った。
世界中に前例がないのでまさか助かるとは誰も思わなかったという。
手首が動かないので尻の脇の皮膚と肉めくりあげ手首に植え付ける。
4週間後お尻から手首を切り離し、やっと手が自由になった。
と思っていたら、今度は反対の手首が植え付けられていた。また4週間だ。
自分の皮膚でも頭の皮膚はうまく移植できないという。
西部劇で賞金欲しさに頭の皮をはぐインディアンを見たことがあるが、俺は5回も頭の皮をはがされたのだから笑える。
もう半年もたつのに手も腕もろくに動かない。
関節が固まらないように看護師がリハビリしてくれるのだが、俺が踏みにじってきた人間の痛みとはこういうものだと知らされた。
せっかく乾いた傷口が割れ、踏み潰された蛆虫のように血がにじみ出してくる。
父親にゴルフクラブで殴られても我慢できたのに、情けない悲鳴が天井を震わす。
プライドを守るため、タオルを口に押しこんでもらう。よしこれで悲鳴をみんなに聞かれることはない。唾液でべとべとになったタオルがシャンパンの栓のように打ちあがり、負け犬の遠吠えが響き渡った。
やり場のない怒りが突き上げてくる。
高圧ケーブルの電源をいれてしまった上司は自分の責任じゃないと一度も謝らなかった。会社の社長は「いっそ死んでくれれば、まわりも楽だったのに」とおふくろに言ったそうだ。
「動かない腕なんかいらねえ、さっさと切り落としくれ!」
怒鳴りつけられた看護婦は涙を流しながらもリハビリをつづける。
「切り落とすのは簡単よ、だけどこれはあなただけの腕じゃない、佐藤さん、あなたの命はあなただけのものじゃないのよ!」
「いらねえ・・・こんな地獄のような人生を生きるなら、
命なんかいらねーよ!」
4、WAR

「war」
1
見たくもねえから目を抉る
聞きたくねえから耳を削ぐ
It’s a war it’s a war it’s a war 誰かオレを
It’s a war it’s a war it’s a war 止めてくれ

言いたくねえから舌をぬく
嗅ぎたくねえから鼻をもぐ
It’s a war it’s a war it’s a war 誰かオレを
It’s a war it’s a war it’s a war 潰してくれ

メサイアなんてこない 救いなんかない
おまえだけがおまえを 救うメサイア
2
触れたくねえから指つめる
持ちたくねえから腕はずす
It’s a war it’s a war it’s a war 誰かオレを
It’s a war it’s a war it’s a war 縛ってくれ
立ちたくねえから足を折る
泣きたくねえから胸えぐる
It’s a war it’s a war it’s a war 誰かオレを
It’s a war it’s a war it’s a war 裁いてくれ
メサイアなんてこない 救いなんかない
おまえだけがおまえを 救うメサイア
飛びたくねえから羽をもぐ
なりたくねえから夢壊す
It’s a war it’s a war it’s a war 誰かオレを
It’s a war
it’s a war it’s a war 殺してくれ
愛しているから傷つける
わかっているから自爆する
It’s a war it’s a war it’s a war 誰かオレを
It’s a war it’s a war it’s a war 抱いてくれ
抱いてくれ 抱いてくれ

第4章 ドクターにもらった命
救急救命室から形成外科に移っても、あのときの布先生に会えない。
彼が言ってくれた「必ずきみを助けるから!」という約束がどれだけ俺を励ましてくれたことか。心からお礼が言いたかった。
それなのに目を覚ましてから布先生には一度も会えなかった。
まわりの医師や看護師、家族に聞いても教えてくれない。
「今日は休みだから」とか、「今日は他の病院に往診なのとか」とかはぐらかされてしまう。
形成外科で手術をするので手術室に行ったとき、看護師さんがカルテの袋に書いてある主治医の名前を見て言った。
「佐藤さんは布先生に診てもらえたのね。やさしい先生だったよね」
えっ、意味わかんねーよ。なんでこの看護師は泣いているんだ?
手術が終わっておふくろにそのことをたずねた。
おふくろは「もうそろそろ大丈夫だね」と布先生の事を教えてくれた。
「布先生は誠二と約束してから3日3晩、つきっきりで治療にあたってくれたのよ。やっと腫れがひいて明日手術ができますって家族に手術の説明をして、今日は帰ります明日頑張りましょうと4日ぶりに帰り、駅のホームで倒れて亡くなったの」
俺は耳を疑ったと同時に、自分を恥じた。
救命センターで意識がもどるたび必ずほかのドクターがそばにいた。居眠りしているドクターに俺は「何さぼってるの」と冗談を言っていた。
しかし彼らは俺が急変してもすぐ対処できるように24時間体制で誰かがついてくれていたのだ。
亡くなった布先生の意志を継いだ若いドクターたちが俺の命を助けてくれた。
布先生は本当に約束を果たしたのだ。
それも自分の命と引き換えに。
俺は嗚咽をこらえながら心の中で叫んだ。
「俺の命は、俺だけのものじゃない!」
5、生命の樹

生命の樹(いのちのき)

君がいやいや生きてる今日は
誰かが必死で生きたかった今日だ

生まれたくて生まれたんじゃない
生きたくて生きてるわけじゃない
君が嘆く15秒に
またひとつ命が散ってく

たとえ夜空の銀河を
ぜんぶ集めても
君の命の重さには代えられない

君がいやいや生きてる今日は
誰かが必死で生きたかった今日だ
君の命は君のものじゃない
無数の愛が育ててくれた
Tree of life
君がいやいや生きてる今日は
誰かが必死で生きたかった今日だ

生まれたくて生まれたんじゃない
生きたくて生きてるわけじゃない
君が嘆く15秒にまたひとつ命が散ってく

たとえ夜空の銀河をぜんぶ集めても
君の命の重さには代えられない

君がいやいや生きてる今日は
誰かが必死で生きたかった今日だ
君の命は君のものじゃない
無数の愛が育ててくれた Tree of life

こんな親を選らんだんじゃない
こんな人生なんか価値はない
君が踏んだひな菊さえ
じっと愛される日を待ってた

そうさ落葉の恵みで 若い枝は伸びてく
君の命よ美しい花を咲かせ

君がいやいや生きてる今日は
誰かが必死で生きたかった今日だ
君の命は君のものじゃない
無数の愛が育ててくれた Tree of life

天にむかって 両手ひろげて
風に踊り 雨に歌う 喜びの歌

Key-D  capo2-C
C  /B  Am /G
Dm /D♭  Dm7 G7

C  Am  F Fm  G7
C  Am  F  G7
C  C7
F  C  F G7 
F  C  F G7

C  /B  Am /G
Dm /D♭  Dm7 G7
C  /B  Am /G
Dm /D♭  Dm7G7Fm
A♭B♭ C

第5章 俺を愛してくれた人
俺には16歳から付き合っていた彼女がいた。
5年間付き合っていたが、俺はいつでも男友達を優先し、彼女をほったらかしにして喧嘩に明け暮れる高校時代だった。
ほうっておけばいつかあきらめるだろうと思っていたが、俺が苦しいときも悲しいときもいつも彼女がそばにいた。
たくさんのヤクザからスカウトがくる俺を悪の道から救ってくれたのも彼女だった。
この子を幸せにしたい。
たったひとつの思いが俺の人生を変えたのだ。
俺は彼女と結婚するため、悪い仲間とはいっさい縁を切った。電気関係の会社に就職し、朝から晩まで働いた。
結婚を両方の親に相談すると、「お互い若いので1年一緒に住んでから、決めろ」と言われた。
東京の大森にある6畳一間のアパートで20歳の俺と18歳の彼女との同棲生活がはじまった。結婚資金をためようと、ふたりでいっしょうけんめい節約した。俺が化粧品や服を買えといっても彼女は何も買わず、貧しい生活に耐えてくれた。
月にたった一日だけ、給料日には外食した。「かに道楽」でフルコースを食べたときに、彼女は「ほんとにいいのう、こんなことしていいのう?」と聞いたので、「まるで犯罪でも犯すみたいだな」って言うと、ふたりで笑いした。
笑いすぎて彼女が泣いていると思ったら、まじめな顔でひざを正して、頭を下げた。
「こんなわたしと結婚するため、せいちゃんの人生をかけてくれてありがとう」
俺まで涙をこらえるのがたいへんだった。
彼女と暮らした1年は、ささやかで、どこにでもころがっている生活だろうが、俺にとってはどんな宝石よりも大切な時間だった。
あっというまに1年がたち、ついに俺たちは結婚式の相談をお互いの両親とする日にちを決めた。
そのわずか1週間前、ふたりの幸せを焼き尽くしてしまう事故が起こった。
救命センターに駆けつけた彼女は、俺の状態を聞いて気を失ってしまった。
俺は意識が戻り、毎日通ってくる彼女に「早く治して退院するから」とはげました。「手が治れば、顔の傷あとはいいよな」と聞くと、彼女は泣きそうな顔をむりやり笑顔に変えて言った。「せいちゃんは、もともと良い顔じゃないから大丈夫!」
火傷は時間がたつとだんだんひどくなる。傷が乾くと皮膚はちぢみ、関節は固まる。アゴは胸とくっつき、指、手首、ひじ、肩は曲がったまま動かない。自分のことが何もできない。横をむくにも人の手を借りないとむけない。食事、排泄さえも自分ではできない。18歳の彼女に身体拭いてもらい、排泄も手伝ってもらっていた。俺はただ芋虫のように包帯でぐるぐる巻きにされ、天井を見ることしかできなかった。
情けない。これじゃただの肉のかたまりじゃないか!
一度手術中に心停止し蘇生で助かったが、それを聞いた彼女は顔が真っ青になった。彼女には辛いこと、悲しいことしかしてない。彼女に会うのが唯一の俺の楽しみだったが、一生この子に俺のめんどうを見させるのか。
俺は何日も寝ないで悩みつづけ、ひとつの答えを出した。
「おまえはもう見舞いにくるな」
いつものように俺の世話をしてくれるためにやってきた彼女は、なにかの聞きまちがいだと思ってふりむいた。
「えっ、せいちゃん、なんて言ったの?」
「だから親切の押し売りはもうこりごりなんだよ。おまえの顔を見てるとムカつくから、もう見舞いにくるなって言ったんだよ」
翌日、彼女はなにもなかったようにあどけない笑顔であらわれた。
「なんの用だ、おまえはもう見舞いにくるなって言った……」
彼女はさえぎるように一枚の紙を俺の目の前に差し出した。
婚姻届だった。
彼女の欄だけぜんぶ記入されて、朱色の印鑑が押されていた。へたなくせにいっしょうけんめい書いた字を見ると、芋虫の体から涙がこみ上げてきた。
こんな怪物みたいに焼けただれた俺といっしょになろうというのか、
一生何もできない俺の面倒をみるというのか、
こんな自分勝手で、おまえにつらい思いばっかりさせている俺を愛してくれるのか。
「出てけー、今すぐこの部屋からでていけ、おまえの顔を見るのがつらいんだ」
彼女のこなくなった病室で、ヤンキーサンダルのようなコツコツと響く音を聞くと思わず廊下を見てしまう。薬を入れておく、スチール製の引き出しには彼女が置いていった婚姻届が半分未記入のまま眠っていた。
6、心がくしゃみをした朝

心がくしゃみをした朝

わたし幸せになる価値のない人
ずっとずっとそう思って生きてきた
君は傘をななめにさしてくれるの
自分の肩がびしょ濡れになのに
世界のすみっこで叫ぶ 君が大好きだよ
自販機から産み落とされた缶コーヒー
ほほにあてた淋しいぬくもり
必要ない 必要ない
おまえはいらない人間だ
そんなはずないそんなはずない
いらないものはこの世にない
心がくしゃみをした朝

わたし愛してもらう権利のない人
ずっとずっとそう感じて逃げてきた
きみはぎゅっとわたしを抱きしめながら
もっと素直になれって泣いた
世界のすみっこで叫ぶ 君が大好きだよ
雨の歩道 捨て猫の段ボールを
目をそらして走りすぎてた
必要ない 必要ない
おまえはいらない人間だ
そんなはずないそんなはずない
いらないものはこの世にない
心がくしゃみをした朝

世界のすみっこで叫ぶ 君が大好きだよ
明けゆく空始発電車が裂いてゆく
チェックのマフラー風に飛ばした
必要ない 必要ない
おまえはいらない人間だ
そんなはずないそんなはずない
いらないものはこの世にない

いてもいいの いてもいいの
わたしがわたしでいていいの
寒くないよ 寒くないよ
君がそばにいてくれたら
いてもいいの いてもいいの
生きていいの 生きていいの
心がくしゃみをした朝

Key-C
C C#dim  Dm /C#
Dm7 Fm  G7
C C#dim  Dm /C#
Dm7 Fm  C
F G7  C C7
F G7  Am A7
Dm G7  CM7 A7
Dm D7  G7
C E7  Am Fm
C E7  Am Fm
C G7  C

第6章 仲間との出会い
俺は愛する人を自らのエゴで切り捨ててしまった。
もうこれで一人ぼっちだ。一生俺を理解してくれる人はあらわれないだろう。そんなとき神様はちゃんと新しい出会いを用意してくれた。
「ねえ佐藤君、ちょっと相談があるんだけど」
看護師さんが相談にきた。
「16歳の男の子がバイク事故で大やけどしちゃったの。もう顔がもどらないこととか本当のことを言ったほうがいいのかな?」
8ヶ月前にはよくなると思っていた俺は自分の身になって考える。
「たぶん本当のことは言わないほうがいいんじゃいかな」
16歳の子が同じ病室にきた。俺が思っていた以上にひどい。21歳で将来を無くした俺、でもこの子は16歳ですべての希望を失ったのだ。
俺にとって16歳から21歳は、人生で一番楽しい時だった。それをこの子はできないのかと涙がこみあげてきた。
包帯でぐるぐるになった16歳の少年は、古市君という。
古市君は動かない手にスプーンをテープで巻きつけて、自分でご飯を食べようとしている。先輩の俺はえらそうに言った。
「看護師さん呼ぼうか、看護師さんにしてもらえばかんたんだよ」
しかし古市君はほとんどの飯粒をこぼしながらも言う。
「僕は早く退院をしなくちゃならないんです。ぼくは無免許で事故をおこし治療費を親が払っているので1日も早く退院したいんです」
俺はハンマーで殴られたような気がした。
俺は他人のミスで入院したので、労災保険がおりるし、入院費も治療費も気にしたことはない。
スイッチを入れた上司を憎みつづけていた俺は、自分とむきあうことがなかったのだ。
たかが16歳のガキには負けたくなかった。
スプーンを割りばしで50センチくらいに伸ばし、動かない手にテープで固定してもらい、十ヶ月ぶりに自分で食事をした。休み休み一時間もかけて、半分以上こぼしてしまったが、とても美味しかった。
ひな鳥のように口をあけたまま運ばれる食事は、味噌汁―おかずーごはん、味噌汁―おかずーごはん、というような「義務」だった。
それが自分で食べると、味噌汁―おかずーごはん、味噌汁―おかずーおっと味噌汁、味噌汁―ごはんーまたごはん、逆からおかずーごはんー味噌汁がきたーと、自分で食べたいように食べられる。そんな当たり前ことが無性にうれしかった。
それは自分で未来を選べるということに気づかされた革命だったのだ。
手術もドクターに言われてするのではなく、「ひじが曲がるようにして」とか、「箸がもてるようにして」とか、自分から頼むように変わった。
やっと上半身の包帯がとれたとき、胸を見て愕然とした。
「先生、、、乳首がない!」
ドクターはやれやれという顔をして言った。
「ぜいたく言うなよ。男に乳首はいらないだろ」
俺の視線はそのまま下半身にまかれた包帯におりていった。
「も、もしかして、下もですか?」
「あっはっはー、下は男として必要だろ?」
おそるおそる下半身に手をのばすと小さな手ごたえを感じた。
あったー!
「先生、古市君もあるんですか?」「あるよ」ざんねーん!
古市くんというライバルがきてから自分がどんどん前向きになり、看護師さんや患者と笑いあい、病室も明るくなった。
俺が古市君の車椅子を押してジュースを買いにいく。俺は小銭は入れられるけど、おつりがとれない。古市君は小銭が入れられないが、お釣りがとれる。2人でやっと一人前だった。
古市君と喫煙所にいって病院の敷地の外を歩く人たちをながめる。その足取りは俺たちの10倍くらい速く感じられた。
「一生病院か施設だね。みんなは退院できるけどドアの外は別世界だなあ」
俺がつぶやくと、古市君が屈託ない笑顔でこう言った。
「佐藤さん、火傷してよかったと思える人生にしようよ」
はあ? こいつやっぱあたまがおかしいと思った。こんなホラー映画の怪物みたいな俺たちが、「火傷してよかった」なんて日がくるはずねえだろう。
「この経験があるから、今の自分があるって思えるような人生にしようよ」
俺のために命をかけてくれた布先生の顔が浮かんだ。
「うん、約束するよ」
7、PUZZLE

「PUZZLE」

おまえはなにをしに この世にやってきた?
吹きくる風がぼくに問う
胸のすき間を埋める たったひとつのパズル
探しだすために旅している

ぼくらは世界の パズルのひとかけら
世界は宇宙のひとかけら
そして宇宙はぼくらの 胸のなかにある
出会いの数だけ銀河はある

ぼくは待っていた 千年も待ちつづけていた
おたがいの準備ができるまで 出会いは許されない
運命は決まっていないが 出会いは用意されてる
避けられぬ必然が

たったひとつのパズルが欠けても
今のきみはいなかった
たったひとつの奇跡が欠けても
ぼくはきみに会えなかった

きみはもうじゅうぶんに傷ついてきた
傷つけたよりも傷ついた
罪を許すんじゃなく人そのものを許してあげて
きみ自身を許してあげて
今の自分を愛せないことはすべての過去を否定すること
きみのおばあちゃんの恋 お母さんの恋無数の愛を
きみは受け継いで此処に在る

きみの流した涙が まなざしを深くする
きみを曇らせた雨が 笑顔を輝やかす
むだなパズルなんかない
まちがいは存在すらしない
不幸こそきみが試されるとき

たったひとつのパズルが欠けても
今のきみはいなかった
たったひとつの奇跡が欠けても
ぼくはきみに会えなかった

そうひとりひとりが 不完全だからこそ
ぼくらは求めあい そして愛しあう
きっとパズルは終わらない 永遠に完成などしない
愛に終わりがないように

たったひとつのパズルが欠けても
今のきみはいなかった
たったひとつの奇跡が欠けても
ぼくはきみに会えなかった

D DM7 D7 B7
Em  /E♭ DM7 B7
Em  A7  A6 
D  DM7 D7 B7
Em  /E  DM7 B7
Em Gm D  D7

G A7 Bm G A7 Bm
G A7 Bm G A7 D D7
G A7 Bm G A7 Bm
E7  A7
D  /D♭ Bm  /A
G  /F# Em  A7
D  /D♭ Bm  /A
G  A7 Gm  D

第7章 家族
おふくろは毎日のように病院にきてくれた。
俺が小さいころ、父親に殴る蹴るの暴力を受けていたおふくろの悲しい顔を見ていた。だから俺は女の人を殴ったことがない。
俺が殴られていても、おふくろは父が怖くって止められなかった。殴られたあと俺の鼻血をふきながらおふくろはあやまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
小さいながらも無理なのはわかっていた俺は、おふくろに心配かけないように「このくらいだいじょうぶ」と強がった。
中学の時に問題をおこすたび、おふくろは学校に呼び出され、何度も先生や殴られた生徒の親にあやまってくれた。するとまた俺のせいで父親に殴られる。
おふくろの人生はあやまってばかりだ。
あまりにおふくろがかわいそうなので、中学三年の時先生に頼み、先生とあやまりにいくようになった。
高校を辞め暴走族に入り、家に帰らない俺を探し歩いてくれた。その頃は親を憎み、親はいらないと思っていた。
18歳の時おふくろを殴る父を俺が止めにはいった。「今度おふくろを殴ったら殺す」と言った。それから父はおふくろを殴らなくなった。
やっと迷惑をかけなくなったと思ったらこの事故だ。
俺が意識をなくした1ヶ月間、病院の家族控え室に泊まり、何があってもすぐ会えるようにいてくれた。家族控え室はインターホンが鳴ると良くない連絡がくるので毎日祈っていたという。
約50回もつづいた手術にも必ずはげましにきてくれる。
「おまえみたいな強い子をもった私は幸せだよ」
親なんかいらないと思っていた俺が親をたよりにしている。親がいてくれることがなによりも心強かった。
父は昔かたぎの塗装屋で、ほとんど口をきかない。俺が火傷をしたあとも同情したり、やさしい言葉をかけることすらしてくれなかった。俺が退院するころ「新しい家を建てたぞ」と一言だけ言って仕事にいってしまった。
これからまたあの両親と暮らすのかと思うと気が重い。退院した俺はしかたなくその家に住みはじめた。
するとさまざまなことに気づいていく。2階につくられた俺の部屋には火傷による皮膚移植で体温調節ができない俺のために最新のエアコンがつけられ、ドアがまわすノブではなく押してはいるドア、水道は上下に押して使える蛇口だ。キッチンコンロもやはり押して火をつけるタイプになってる。
おやじは親戚の大工に相談して手が不自由でも住める家を貯金をはたいて建ててくれたのだ。寡黙なおやじの精一杯の愛情表現に俺はまた打ちのめされた。
障害の認定の時、おふくろが障害認定を取らないでくれと頼んできた。
「わたしは五体満足にせいちゃんを産んだんだから」
子供みたいなおふくろの要求に、涙があふれてきた。
「おふくろごめんよ、せっかく痛い思いをして、健康に産んでくれたのに。おふくろごめんよ、それをこんな化け物みたいな体にしてしまって。俺みたいな大バカでも、
おふくろ、産んでくれてありがとう。
おやじ、黙って見守ってくれてありがとう」

8、家族
家族

きみがこの世にやってきた日 ママは命をふりしぼった
うめき踏んばり 叫びながら きみを産み落とした

パパはおろおろするばかりでママの手をぎゅっと握ってた
きみと家族になれることがうれしくて泣いた

くりかえせ かえせ くりかえせる 螺旋の輪
くりかえし かえし くりかえして 学んでく

ぼくらは家族だね ぼくらは家族だね
近すぎてきみが見えなかった
わかりあえなくても 認めあえなくても
世界できみだけの家族

きみがこの世をうらんだときママは自分を責めつづけた
悩み とまどい 何があっても きみを守ってきた

家族はたがいの人生を 背負い歩いてくさだめなら
重く苦しい旅だったけど きみに会えてよかった

くりかえせ かえせ くりかえせる 螺旋の輪
くりかえし かえし くりかえして 学んでく

ぼくらは家族だね ぼくらは家族だね
ありがとうときみに言えなかった
傷つけあったけど 憎しみあったけど
世界できみだけの家族

ぼくらは家族だね ぼくらは家族だね
ぼくらは家族だね ぼくらは家族だね
ぼくらは家族だね ぼくらは家族だね
ぼくらは家族だね ぼくらは家族だね

きみがこの世にやってきた日 ママは命をふりしぼった
うめき踏んばり 叫びながら きみを産み落とした

パパはおろおろするばかりでママの手をぎゅっと握ってた
きみと家族になれることがうれしくて泣いた

きみと家族になれることがうれしくて泣いた

第8章 世の中の壁
「えっ佐藤さん、退院するの?」
古市君は鳩が豆鉄砲を食らったような顔で驚いている。
「でも佐藤さん、外は別世界なんだよ。ぼくたちは病院にいれば人間あつかいされるけど、社会に出たら化け物あつかいされるんだよ」
たしかに同じ病室に見舞いにきた人や外来患者の冷たい視線におびえていた。病院でもこんなに冷たい目で見られのだから世の中に出ればもっと冷たい目で見られるのはわかっている。
でも自分からはじめなきゃ何にも変わらないんだ。俺はせいいっぱい強がって古市君に言った。
「だって俺たち約束したじゃないか。火傷してよかったと思える人生にしようって」
事故からちょうど2年後の7月23日、俺はひさびさにシャバの空気をすった。
まず勇気を出して銀行にいってみる。帽子を深くかぶり、マスクをする。指が自由にならないからATMでもたついていると、ガードマンがとんできた。病院のくせで手伝ってくれるのかなと思ったら、まるで銀行強盗あつかいされた。
買い物をするのも苦痛だ。
コンビニでお金をわたしたとき、俺の手を見た店員が「きゃっ」と小さな悲鳴を上げ、思わず手を引っ込めてしまう。けたたましい音を立てて、小銭が床に散らばる。後ろに並んでいた客たちが俺のせいだといわんばかりに、顔をしかめる。
日本国憲法第13条には「すべて国民は、個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が与えられているという。
しかし一番辛い思いをさせられた相手はこの国そのものだった。
退院しても表に出られず、家で悶々と悩んでいると、労働災害保険の人から電話があった。
「25歳の若者がたかが火傷ぐらいでなにひきこもっているんだ。早く社会復帰しなさい」と言ってきた。
仮退院の俺はあぜんとして、「無理です」としか言い返せなかった。
労災は父の会社にも電話をした。
「親がそうだから、子供がたかが火傷でひきこもっているんだ」と強く言われた。
それを聞いた姉が怒って俺を家の近くの労災に連れていった。
教師をやっていた姉はいきなり俺の上着をはぎ取る。
「こんな体で何ができるの!」
労災の人は腰を抜かしそうになって、やっとのことで聞いてきた。
「い、いったい、どうなさったのですか?」
姉が冷たく言い放った。
「おたくが言う、たかが火傷です」
55%の火傷で両腕が残っていることは奇跡だった。ふつうは命を助けるため両腕を切り落とし、切り落とした腕の付け根に皮膚を移植するのが当たり前だった。
ところが俺の命と引き換えに亡くなった布先生は、俺の社会復帰まで考えて両腕を切り落とさない方法を選んでくれた。
この両腕は布先生のくれた最高の贈り物だったのだ。
病院にいるとき、兄が泣きながら言った。
「誠二、両手が使えなくなってよかったな。あのままいけばお前のこぶしは人を殺しているか、殺されていたんだから」
俺はこぶしをなくしてはじめて、人間を信じることができた。言葉を信じることができた。やさしさを信じることができた。
どんなに醜いやけどを笑われようとも、どんなに理不尽な差別をされても、俺はどんどん世の中に出ていこうと思う。
俺と同じ苦しみをかかえている人たちに伝えていきたいんだ。
今、けがや病気で苦しんでいる人、早く気づいて。あなたが心を開けば、世の中にはこうして理解してくれる人、やさしくしてくれる人がたくさんいるんだよ。
あなたの命は世界でたったひとつの宝物なんだよって。

9、あなたは大切な人です
あなたは大切な人です

あなたは大切な人です ぼくの宝物なんです
あなたは大切な人です だれも代わりなどいないんです

生きることがへたくそで いつもくよくよ悩んでる
そんなあなたが誰かの心 きっと照らしてる

自分を責めないで 誰かのせいにしないで
今のあなたが大好きだから ほら笑ってごらん

あなたは大切な人です ぼくの宝物なんです
あなたは大切な人です だれも代わりなどいないんです

あなたの笑顔は 涙を吸って咲いた花
見つけた人を幸せにする そんな魔法の花

自分を比べないで 誰かのまねをしないで
あなたのままであなたの花は こんなに綺麗だよ

あなたは大切な人です ぼくの宝物なんです
あなたは大切な人です だれも代わりなどいないんです

あなたの命が大切と たとえ100人が言うより
あなたは大切な人だと あなたにそう言ってほしい

あなたは大切な人です ぼくの宝物なんです
あなたは大切な人です だれも代わりなどいないんです

Key-E カポ4-C
サビ
C  /B Am /G
F /E Dm G7
C  /B Am /G
F /E Dm G7
Fm C

Aメロ
C Em Gm  A7 Dm /D♭
Fm CM7 D7 G7

C Em Gm  A7 Dm/D♭
Fm CM7 D7G7

第9章 約束
皆さん今日はほんとにありがとうございました。
コンビニさえいけなかった俺がこうして人前にでられるようになったのも仲間たちのおかげです。
俺が本気で自殺を考えたとき、古市君に「俺は生きてちゃいけない」って電話しました。
すると古市君は一言一言を噛みしめるようにこう言ったんです。
「わかった、じゃあ俺のために生きてくれ!」って。
障害や病をもっていても、生きづらさをかかえていても、みんなが楽しく生きられるような世の中にしたい。今俺は古市君たちとオープンハートの会という活動をしています。
古市君を通してAKIRAさんとも出会いました。
3・11があったときAKIRAさんは南米旅行の真っ最中でした。
早く帰ってきてくれないかなと思いつつ、いつでも迎えにいける準備をしていました。AKIRAさんは運転免許をもっていませんが、俺には布先生が残してくれた腕があるので運転できます。
それにしてもまさか成田から直接被災地に通うとはびっくりです。
AKIRAさんはどんなに疲れていても、歌いつづけます。宮城では朝から夜中まで一日で5箇所もライブをやったことがあります。
はじめはAKIRAさんの足代わりにと思っていたのに、この人はそれだけじゃすましてくれないんですね。
「佐藤さんは上司のミスで火傷をしたでしょ。東北の人も理不尽な運命によって被災したんです。彼らの苦しみを一番わかるのは佐藤さんなんです」
と、ライブのたびにステージに呼ばれ、話をさせられる。
するとみんなが俺の手を握り、ありがとう、ありがとうって言ってくれるんです。避難所を去る俺たちの車をいつまでも手を振って見送ってくれる。
自分の存在が、自分が生きていていることが、こんなに人を喜ばせるなんて夢にも思いませんでした。
それだけでも十分なのに、ニューヨークでギャングをやっていたAKIRAさんはさらに俺を追いつめます。
「佐藤さんのオペラをやりましょう」って俺に携帯で原作を書かせ、脚本を仕上げてきちゃったんです。
むかしのこぶしがあったら殴り返してやるのに。
今日は俺の人生で最高に幸せな日です。
だって俺は今、古市君と「火傷してよかったと思える人生にしよう」って約束した、、、
あの未来に立ってるんです!
きみを助けるって約束した布先生に命をもらって生きてるんです。
人を殴りつづけてきたこぶしで、みんなのあたたかい手を感じ、泣いてる人の背中をさすってあげられるんです。
俺はもう生きてることがうれしくてうれしくてたまりません。
どんなに苦しいことがあっても、生きるってことは喜び以外の何物でもないんです。
みなさん本当に俺のちっぽけな人生を聞きにきてくれてありがとう。
俺のようなだめ人間と出会ってくれてありがとう。
俺が布先生や古市君と約束したように、みなさんとここで約束しましょう。
「生まれよかった、出会えてよかった」って言える人生をいっしょにつくっていきましょう。
10、空の約束
そらのやくそく

思い出して 空の約束 きみは光 きみは命
思い出して 空の約束 あなたは虹 あなたは愛

いつかきみとここで会った 同じ空のしたで会った
なつかしいねきみのやさしさ なつかしいねきみのぬくもり
千の春も 千の夏も ずっと いっしょだった

思い出して 空の約束 きみは光 きみは命
思い出して 空の約束 あなたは虹 あなたは愛

いつかきみとここで会おう 同じ空のしたで会おう
忘れないよ きみの笑顔 忘れないよ きみの涙
千の秋も 千の冬も ずっと 待っていた

思い出して 空の約束 きみは光 きみは命
思い出して 空の約束 あなたは虹 あなたは愛imageimageimage

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