2012-01-19 23:45:28

自らの人生を語りだす日@宮城県石巻市&東松島市

テーマ:音楽
1月19日(木)
昼;宮城県石巻市渡波(わたのは)仮設第二団地集会所「古市佳央セルフストーリーオペラ」
夜;東松島市仮設住宅集会所

今日もハードだなあ。
早朝5時に盛岡を出発し、3時間半かけて石巻へむかう。
New 天の邪鬼日記-120119aasahi石巻市に昇る朝日

主催のレイアは芸能人の川崎マヨさんたちと渡波仮設住宅にボランティアとして炊き出しにきた。
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何度か訪れるたびに住民と仲良くなり、古市チームといっしょにくるようになる。
「たくさんのボランティアが来てくれましたが、あなたたちは何度も足を運んでくれる。古市さんたちが来てくれると心も体も元気になります」
去年古市さんが開催したクリスマスパーティには150人以上もの住民が集まってくれ、パーティーは大盛況だったそうだ。
レイアは渡波のみんなにもぜひ古市さんオペラを聞いてほしいと今日の会を主催をしてくれた。
今日も100人以上もの住民が集まってくれるとは驚きだ。
New 天の邪鬼日記-120119akankyaku

「○○さん、おひさしぶりですね~」
「年末のクリスマスパーティは楽しかったわ。ありがとう」
顔なじみとなったおばあちゃんやおじいちゃんたちと再会する。

オープニングに歌ってくれるミュージカル俳優阿部ヨシツグは、「レミゼラブル」などをはじめ、有名ミュージカルにほとんど出演し、たくさんのファンがいる有名俳優なのだ。
にもかかわらず、ヨシツグはオレのCDを全部買い込んで研究し、「これからは僕の劇団で好きなことをやります!」と宣言した。
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古市さんといっしょに埼玉や関東から参加してくれたスタッフ20名が炊き出しで300食のすいとん汁をつくる。熱々のすいとん汁に住民も大喜びだ。
鍋を持参してすいとん汁を寝たきりのお年寄りに配りにいくスタッフもいる。こうやって大人も子供もお年よりもつながっていく。
やはり競争から共生の「世界はここからはじまって」いるのだ。
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古市さんは大好きな渡波で念願かなってオペラができると語りにも力がはいる。
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ユカも渡波ではおなじみのメンバーだ。今日は登場人物役、歌手、そしてゲンさんの代わりにピアニストまでつとめるひとり3役だ。
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ものすごい集中力で物語に没頭していく観客に、オレは必殺「直感空気読み」で「雲のうえはいつも晴れだから」を歌う。
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毎回ブログを読んでいるみんなには同じに聞こえるかもしれないが、ここでのオペラもすごかったのよ。
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観客は古市さんがくぐってきた苦難と自分の苦難を重ね、会場中に嗚咽があふれていく。
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オレまで雑巾のしぼりかすになるまでサムシンググレートに酷使される。
もうオペラで完全燃焼してしまって、「真っ白い灰」になってしまった。
New 天の邪鬼日記-120119aakidame神様お願いだから、あやつらないでえー!

のに、のに、夜のライブもあるのよねー。
会場の東松島に到着し、「スマイルシード」のフジコちゃんと再会する。
フジちゃんは今朝、過労からひどい貧血で倒れて病院で点滴をうけていた。自分の睡眠時間までけずって、人々に奉仕するフジちゃんも限界に達していたのだ。
New 天の邪鬼日記-120119bfujiko

「AKIRAちゃん、聞いて。これから行く東松島はとっても悲惨な運命をたどったの。松島は、ほら松尾芭蕉の、なんだっけ?みちのく一人旅で有名でしょ?」
「おい、それって演歌だろ。奥の細道じゃん」
「それだれ?奥野細道さん?」
「ちげーよ、人の名前じゃねえよ」
「ああ、あれね!ああ松島や松島や~ね。その松島とちがって、東松島は農業と漁業くらいしかないさみしい町なの。それが1000人以上もの被害をうけてるのに、ボランティアは被害の少ない松島にいっちゃって東松島にはほとんど来てもらえなかったの。だから見捨てられた感があって、私が行った避難所のどこよりもとっても暗かったのよ」
「そうか。今夜はライブも盛り上がらなそうだなあ」
「あきらめないでよ!そこをAKIRAちゃんに盛り上げてもらいたいのよ!」
フジコちゃんの提案で、東松島は「不幸自慢ライブ」にしようと話していた。
「でもここで不幸自慢とかやっていいの?」
「ひとりひとりに自分のストーリーを語ってもらうことでそれを癒すことができるかもしれない」
そんなはかない希望があったのだ。
でも、百年に一度の災害をうけた人たちが語ってくれるのだろうか?
オレは不安に落ちつぶされそうになりながらステージに立った。
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まずは会場を用意してくれた東松島の大江さんに話してもらおう。
「わたしは役所で働いてます。不幸自慢と言われましても・・・。そうそう、仕事中に事務室の机にはさまれました」
笑いをさそう大江さんは東松島の肝っ玉母ちゃんだ。
大江さんはいつもフジコちゃんに言う。
「黄本さん、なんでそんなに頑張れるの?」
フジちゃんはそのたびにこう思う。大江さんこそいつも東松島のために走っている。寝たきりのおじいちゃんへご飯を届け、ひとり身のおばあちゃんの背中をさすり、仮設を走りまわる子供たちに声をかける。
休憩には大江さんチームの協力で手作りサンドイッチが用意された。
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心を閉ざした人たちのドアを開くために、秘密兵器は佐藤さんしかない。
New 天の邪鬼日記-120119bsato

60代の女性は家も農機具もすべて津波で流された。今は田んぼも畑仕事もなんにもしなくていい、これがいちばん嬉しいと冗談を言って笑わせてくれる。
仮設にはいると友達がたくさんできた。そばにある空き地には、津波で流れてきたひょうたんやカボチャの種がひとりでに芽をだし実をつけている。
孫が、「津波で流されてきたヤサイです」と写真を撮って新聞社に送ると、神戸の新聞に載った。1月に採れた冬瓜を神戸へ送ると、「みんなで食べました」と返事がきた。
震災がなければ知り合うこともなかった人たちとつながり仲良くなることができた。
この話に「雲のうえはいつも晴れだから」を歌った。

淡路島出身の岡野トモがスマイルシードのボランティアスタッフとして参加してくれた。阪神淡路大震災のときは地元、淡路島にいた。
「寝ているときに地震があり桐箪笥が体の上に倒れてきたんです。怪我はしたものの命は助かりました。あのときも多くのボランティアや自衛隊に助けられたことが忘れられません。その恩返しがしたくて、いまは東北にいるんです」
トモに「ギフト」を贈った。

78歳とはおもえない精悍な顔立ちをした男性が言った。
「俺は津波で家も家財道具もすべてを失ったんだ。避難所でホームレスみてえな生活を送りました。んでも、すべてのものを人様からもらわなければならねえ。助けてもらわなければ生きられねえ。
俺は悔しかった。これじゃまるでホームレスじゃねえか」
オレは聞いた。
「まだ福はやってきませんか?」
「そんなものは何もねえな」
農業で日焼けした顔をふせながら、しぼりだすように彼は言い切った。
そう、これが現実なのだ。
いくら「災い転じて福となる」という話をしてもらおうと思っても、実際にこれでもかこれでもかとのしかかってくる不幸に押しつぶされないように気を張っているだけで精一杯なのだ。
オレはおじさんにここから世界をはじめましょうと「Fin del Mundo」を歌った。

ライブ中に参加してくれたおじいちゃんが真面目な顔で聞いてきた。
「今聴いた歌もみんなすんごくえがった。あんたさっきアメリカ行ってホームレスやったって言ってだけど、ホームレスの人とは思えねえな。どこで歌を習ったんだあ?」
素朴だがあたたかな感想におもわず吹き出してしまった。
おじいちゃんに、「僕は歌だけじゃなくて、麻薬の売人もやったし、絵も描いたし、陶芸もやったんですよ」と説明すると、「まさにアーティストだすな」と感心してくれた。
おじいちゃんは最後にこう話してくれた。
「震災で私たちはまさにホームレスになったんだあ。避難所を転々とし、仮設にはいって、物乞いのように食料や着るものをもらった。何十年間も家族を支えてきた男のプライドがずたずたになった。だけども、全国のボランティアの方々や、あなたのような素晴らしい方たちから、たくさんの支援をいただいた。今回の震災がくれたものは、太い絆です」
このおじいちゃんに「絆」を歌った。
New 天の邪鬼日記-120119bakira

1、 Happy Birthday
2、 あなたは大切な人です(フジコちゃんの話)
3、 パズル(佐藤さんの話)
4、 雲のうえはいつも晴れだから
5、 レラ
6、 老人と星
7、 ハイボクノウタ
8、 ギフト
9、 Fin del Mundo
10、 ソウルメイト
11、 Hello my mam!
12、 絆
13、 家族
14、 MOVW! MOVE! MOVE!
15、 ありがとう
New 天の邪鬼日記-120119bhakushu

人類未曾有の悲劇をくぐってきた人は言葉をなくしてしまった。ましてや人前でその悲劇を話すなんて不可能に近い。しかし悲しみを内に抱えてるままでは先へは進まない。その悲惨さも含めて、彼らだけが知っている命そのものの力を伝えるきっかけを作りたかったんだ。
おじいちゃんもおばあちゃんも重い口を必死で開いて、大切な言葉をしぼり出してくれた。
被災地では絶対やってはいけない「不幸自慢」は新しい未来へつながる可能性がある。
New 天の邪鬼日記-120119bte

その一歩をオレたちは今踏み出したんだー!
New 天の邪鬼日記-120119bbanzai

それこそが子供たちに伝えられるオレたちの宝物じゃねえか?
New 天の邪鬼日記-120119bkodomokinen静岡のムーニーちゃんが送ってくれた毛糸の帽子
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