New 天の邪鬼日記

小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。


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2月25日(日)北海道ツアー打ち上げ

 すべてが終った。
 ……などと美しい感傷にひたっていたオレが甘かった。
 最後には打ち上げ宴会が待っている。すっかり自宅気分で居候させてもらっていたそういち家につぎつぎと仲間たちが集まってくる。
 のほほん工房のそういちさん、丸山さん、トムさん、ナオヤ、モンちゃん、倉ちゃん、原田さん。函館ライブの主催者のともちゃん。アキラ札幌応援団のジャーヒロさん、黒豆さん、規加、アコ。アイヌアートプロジェクトの太田さん、ジョニーさん。ミュージシャンのHAJIMEくん、孝勝寺の泰憲さん、恵子さん、3歳の純華、1歳の華蓮。気功師の宍戸さん。アーティストの福地さん。キンちゃん、早苗、きっこ、タック、イマっち、賢士くんなどなど、ちょっとしたライブ並の人数じゃん。
 そういちさんが朝から牛テールを煮込んでつくったカレーやアコの手作りチーズケーキ、規加のミネストローネとチャンチャン焼きなどに舌鼓を打ち、泰憲さんのどぶろくやみんなのもちよったワインとビールをいただく。
 気功師の宍戸先生がみんなに無料で施術してまわる。オレたち「病人」には本当にありがたいことだ。宍戸さんがゴッドハンドをかざすと、背骨から首筋にかけてすうっと疲れが抜けていく。
 いきなりナオヤが「Born to loveを歌いたい」と言った。
 この曲はオレのオリジナルのなかでもっとも難しい曲だ。ふつうの曲は1オクターブもあれば収まるのに、なんと「Born to love」は2オクターブ半もの音域にまたがる。プロの歌手でも歌いこなせないのに、ナオヤにできるわけはないと思った。ただオレは「~したい」と言う人にはノーと言わない主義だ。無謀なチャレンジだが、とりあえず2階へあがってナオヤと練習した。
 ナオヤは壮絶な両親との葛藤から精神を病み、今も地獄のどん底で戦いつづけている男だ。暴力に満ちた家族を憎み、差別だらけの社会を恐れ、やさしさがゆえに自分自身を傷つけてきた。

苦い苦い苦いことばかりで
生きてる意味さえわからなくなる
痛い痛い痛いほどの想いを君に伝えたい

僕らはなんのために生まれてきたんだろう?
なくした言葉が聞こえてくる

We are born to love
We are born to love
僕らは愛するために生まれてきたんだ
We are born to love
We are born to love
君を愛するために生まれてきたんだ

 オレはギターを弾きながら何度も突き上げてくる感情をこらえた。それは悲しみの涙なんかじゃなく、うれし涙だった。何度も自殺未遂をくりかえし、「頭のおかしい人」と人々から虫ケラのごとく扱われ、いやがおうにも「病人」として同情されてきたナオヤが、逆に人々を救済する歌を、言葉を、自ら伝えようとしている。ひとりの人間が地獄から必死で這いあがっていく奇跡のドラマをオレたちは目撃したんだ。
 みんなのまえで歌い終えたナオヤが言った。
「アキラさん、ありがとう」
 オレは胸が痛んだ。「ナオヤ、ちがうんだ。感謝したいのはオレのほうなんだ」。こう言いたかったのに胸に「コットン」がつまって言えない。オレはただ、ナオヤの手を痛いくらいに握すしかなかった。

 今夜オレたちはもうひとつの奇跡を目撃することになる。
 HAJIMEくんの生演奏だ。
 まずはHAJIMEくんのピアノ、ジョニーさんのギター、太田さんのパーカッションで、オレが「家族」を歌う。ほんとHAJIMEくんのピアノで歌うと、得体の知れない力にもっていかれるのよ。まるですばらしいシャーマンとキノコやアヤワスカのセッションをしたときみたいだ。
 HAJIMEくんは「神の肉」を読み、裏表紙に使われている「鹿のカムイ」を譜面台において作曲したことがある。しかし今日は写真ではなく本物のネアリカ「鹿のカムイ」があるのだ。オレは1,5メートルもの「鹿のカムイ」をピアノの譜面台にどんっとおいた。HAJIMEくんがそれをながめながら弾きはじめる。ウイチョル族が幻覚サボテンをつかって瞑想するように内相的なスタートだ。やがて聖地ウィリクタへ巡礼するときのように力強い足音が聞こえてくる。どんなに自らの文化を破壊されようと、傷だらけで守る魂がある。HAJIMEくんが片手を伸ばし、「鹿のカムイ」にふれながら演奏する。絵のなかの精霊が抜け出し、憑依し、驚異的な音に生まれ変わり、この世界に出産される。
 それは音楽というジャンルをはるかに超越した「祝祭」だった。
 「鹿のカムイ」の目が人々の闇を見つめ、ひとりひとりの生を祝福する。
 観衆は息をのみ、
 言葉を喪失し、 
 音楽の海に酔いしれた。
 オレたちは、何百万年もかけて「今ここ」くりひろげられる祝祭を目撃するためにここへ集ったのだ。
 
 夜中の3時もまわるころ、意識を失うように眠りに落ちた。
 ついに苦行僧のような北海道ツアーが終ったのだ。
 毎日毎日がとてつもない濃縮度をもってオレに襲いかかってくる。
 「神様つーか宇宙のポン引き野郎、いいかげんにしろよ」
 なんで47歳にもなってこんな進学校みたいなスパルタ教育を受けなくちゃなんねえんだよ。
 しかも列できてるときに「人間学」はやめてよ。
 オレ、もともと人間嫌いだしい~。(耕平の言葉より)
 ぜってーありえねーつーほど、すばらしい出会いの連続だった。
 学んでも、学んでも追いつかないくらい、学ぶべき人間が現れる。
 体力と思考の限界をとっくに越え、
 自我とコントロールを放棄し、
 真っ裸の魂で学ぶしかなかった。

 自分の愚かさと、
 人間の愛しさを。

 まさに魔法の一ヶ月だった北海道ツアーを一言で言い切ってみよう。

 「濃縮青汁みたいな青春」

 がっはっは、また6月に会おう、
 北のバカ友!
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2月23日(金)帯広 白樺高校

 朝9時に「お迎えの方がみえられました」と電話がある。5分で支度をして下へ降りると、見覚えのある人がいたー。2月2日の「みんたる」ライブにきた芦沢先生である。そこでオレの歌を気に入り、ぜひ高校の壮行会で歌ってくださいということになったのだ。
 白樺高校はスポーツの名門で、スピードスケートの清水選手をはじめ世界のアスリートを世に送りだしている。去年は甲子園にも出場し、一回戦で高知に10対9で惜敗したものの白樺高校の名を世に知らしめた。
 生徒たちのバンドやお笑いなどの余興がつづく。これもレベルが高いわ。
 オレが舞台の袖からのぞくと、芦沢先生の撮ったビデオが上映されている。教室や学校での日常を撮った作品だを卒業を控えた生徒たちがなつかしそうにながめる。ビデオと同時に芦沢先生がその場のパソコンで打ちこんだ文字がテロップで流れ、「ミタクオヤシン」がツボにはまるタイミングで流れると生徒たちは涙ぐんでいる。
「先生たちからみなさんへの歌のプレゼントです!」

 ワインレッドのビロードカーテンが開くと……
 うおおー、マジすげー!!
 目の前に450人の生徒が飛びこんできた。
「ええー、本物!」
 生徒たちからも驚きの歓声と拍手が起こる。
 同時に「祈りの歌」のサビをシャウトする。

1,祈りの歌
2,だいじょうぶマイフレンド
3,旅立ちの歌
4,Be yourself

 ああ、気持ちいい。
 音響もプロの業者だし、会場もすごく響くし、なにより450人の高校生たちが食い入るように聴いてくれる。
 本当はラストに「ミタクオヤシン」を用意していたが、時間切れのためにカットした。それにしてもいきなり「さあとどけ、祈りの歌」ではじまり、「Be yourself」の「神だ、神だ、おまえが神だ!」とかで終っちゃって、怪しい新興宗教とか思われなかったかなあ?
 などと心配していたが、チョー好評だったのよ。
 生徒たちから「スッゲー!」とか言われたり、握手を求められたり、芦沢先生も「マッジ、よかったっすよ」とか、「すごい人を連れてきましたね」とか、「旅立ちの歌で泣きました」とか、「先生、素敵な歌をありがとう」とか言われ、「おかげで僕の株がぐんと上がりました」とほくほくである。
 帰りはかなりあせった。
「また乗り遅れるかも」
 芦沢先生が暴走族に早変わりして、雪道を猛スピードですっ飛ばす。
「だめだー」
 と駅に飛びこんだ瞬間、札幌行きの列車がはいってきた。

 札幌駅からタクシーを飛ばし、すすきのにあるライブハウス「Jスクランブル」に到着した。
 リハではジョニーさんのドラムと太田さんのベースが入った。こんなときとーるがいればいいのになあ。
 開場時間になり、客がどんどん入ってくる。おお、今日も満員御礼だわさ。とか喜んでいると、カモがネギ、じゃない。仕事のはずのとーるがギターしょってやってきたではないの!
 すげーすげー、とーるの超絶ギターと天使のコーラスがあればバンドができるぞ。ギターを持たないで、ハンドマイクにボディーアクションで思いっきり歌えるのだ。いわば前半はAKIRAソロライブ、後半は札幌ONSENSバンドライブと、お客さんは1粒で2度おいしく楽しめるのだ。
 とーると会うのはまだ5回目くらいなのに、もはや10年来の親友状態である。TWOといえばCARなのですぐ二人乗りで爆走できる。とーるは1度も聴いたことがない曲を譜面上で打ち合わせして、ぶっつけ本番。
 アイヌアートプロジェクトの演奏がはじまる。会議室とかでやってもすごいのに、ライブハウスだから音量をセーブしないでできる彼らの演奏は圧倒的な迫力を増す。アイヌアートプロジェクトをふつうのバンドと思って聴きにくる人は面食らう。今までライブで経験したことのない別世界に連れ去られてしまうからだ。オレなりに彼らの音楽をひとことで言うとこうだ。

 血が覚えている。

 聴いたこともないアイヌの歌がロックという時代の音で表現された瞬間、
 血液が沸騰し、
 日常の意識が消し飛び、
 どうしようもないなつかしさに胸がかきむしられる。
 いったいなんなんだ、この音は?
 音楽というカテゴリーを悠々と飛び越し、
 冬の原野が立ち現れる。
 それはアイヌと縄文人とかの民族意識さえはるかに跳躍させてしまう前人未踏のジャンプだ。
 オレもいまだにこの感情を名づけることはできない。
 逆に聴けば聴くほど謎が深まるばかりだ。
 バンドの音楽を聴いたというより、アマゾンやチベットのシャーマン体験に近い感じがする。
 いやいや、オレの言葉では伝えられない。
 CDを「聴く」より、アイヌアートプロジェクトを生で「体験」してほしい。
 6月21日から一週間おこなわれる屈斜路湖のアースデイは、アイヌアートプロジェクトもオレも出演する。今から金をためて北海道に来い!
 オレはアイヌアートプロジェクトとまったくちがうスタイルなのにオレたちの音楽には共通する要素がある。
 キーワードは「神話性」。
 アイヌアートプロジェクトはアイヌの2大儀式で言うと「イチャルパ(先祖供養)」、
 オレは「カムイノミ(神供養)」かな。
 肉体として受け継がれてきた血、
 魂として受け継がれてきた想い。
 「アイヌ」という言葉は「わたしたち」という意味があり、
 「人間」という意味だ。
 個人主義を叩きこまれ、つながりを断たれた現代人は、「わたし」だけをよりどころにせよと教育されてきた。
 誰もが「わたしたち」という生きとし生けるものであり、「わたし」という人生の主人公なのだ。
 アイヌアートプロジェクトとオレはまったく対極的な入り口から「ひとつ」の神話を、音楽を通して伝えていく。
 オレの前半はピアノの弾き語りからはじまる。

1,fragile(ピアノ)
2,青空のむこう(ピアノ)
3,ソウルメイト
4,いたいのいたいのとんでけ
5,Born to love

 おおっ、あれは熊谷さんじゃねえの。「micro」や「ゼロポイントウエーブ」で共演してくれたあの熊さんである。ふとトイレに貼ってあったポスターで「熊さんもここでやるのね」と思っていたらまたもやカモがネギじゃない。クマがギターしょってやってきた。すかさずステージにあがってもらい、「瞬間燃焼」を歌ってもらう。

 これが最後のステージだと思って歌っているかい? 
 瞬間燃焼を生きろ

 オレもクマさんもそうやって歌っている。
 だって明日死ぬかもしれないんだもの。
 生きてるうちにきみに伝えたいことをマジで(本気と書いてマジと読む)伝えなければ、「いつか」や「この次」はないのよ。
 さあ、「変態アートプロジェクト」の登場だぜい。
 最強メンバーが演奏をはじめる。
 オレがハンドマイクをとり、ギターのとーるが激しい不協和音をかき鳴らし、ベースの太田さんが骨太の屋台骨を支え、、カホンのジョニーさんが観客の心をかき乱す。
 誰がなんと言おうとオレたちは、バ、ン、ド、だから。

見たくもないから目をえぐる
聞きたくないから耳をそぐ
It's a war It's a war It's a war It's a war
誰かオレを止めてくれ

6,WAR
7,ダンシング・ブッダ
8,ぼくの居場所
9,だいじょうぶマイフレンド
10,家族
11,祈りの歌

 一期一会とはいえ、いやいや、だからこそ、オレ自身がビビるほど最高の演奏だった。観客は息を呑み、4人が紡ぎだすサウンドに酔いしれた。
 オレはいつもライブが終ったあとに「今日の曲でどれがよかったですか?」とたずねる。みんなが口々に答えたのが、
 「WAR」だった。
 オレととーるは目を合わせ、にんまりと微笑む。
 「してやったり」。
 もっとも癒し系から遠い過激な曲をほめられたのはいちばんうれしい。とーるもジョニーさんも太田さんも「変態アートプロジェクト」デビューライブを飾るには最高の誉め言葉なのだ。
 最後の「祈りの歌」はソロでやるつもりだったが、いっきにバンドでいく。
 とーるのコーラス、ジョニーさんと太田さんのグルーブは一気に観客を天井界へと吹き飛ばした。
 「祈りの歌」は何十回となく歌ってるのに、祈りが「歓喜」にまで到達したのは、オレにとってもバンドメンバーにとっても、観客にとっても、はじめての至福体験だった。

2月24日(土)じあいネット

 いよいよ今日ですべてが終る。
 北海道ツアーは泣いても笑ってもこれで最後なのだ。
 音響の芳賀さんはこのライブをリアルタイムでネット生中継すると言う。
 すげーよ、どんどんみんなが好き勝手に暴走をはじめている。
 「ダンシング・ブッダ」に「エゴこそ力だ」というフレーズがあるけど、オレが目指しているのは個人の暴走だ。予定調和なんかクソくらえだし、みんなが思い思いに暴走したとき、「足し算が掛け算」になるのだ。
 「我がまま」であれ。
 我がままパワーがひとつに合体する瞬間、人間の力を越えた「進化」生まれるのだ。
 今回の選曲はベスト・オブ・ベストだったさあ。北海道ツアーの人気曲を絞りに絞った大吟醸って感じだぞ。

1,今日は死ぬのにもってこいの日だ
2,Unconditional love
3,旅立ちの歌
4,ミタクオヤシン
5,ぬちどぅ宝
6,Born to love

 休憩をはさんでスペシャルゲストの登場だ。
 北海道ツアーの総指揮官そういちさんの10年間治らなかった腰痛を治してしまった札幌の気功師、宍戸さんをステージに呼ぶ。観客のなかで末期ガンが全身に転移し余命一ヶ月を言い渡されたNさん(50歳女性)をステージで治療してもらう。
 Nさんはウイルス感染を防ぐためマスクをし、厚いコートを羽織ってイスに座る。宍戸さんが体には触れない怪しい手つきでNさんの「気を調節」する。
 Nさん自身の感想によると、「体が暖かくなり、やわらかい光に包まれているようだった」という。

 もうひとりのスペシャルゲスト、歯科医であり、バイオリニストの大久保さんの登場だ。
 自らガンと共存する大久保さんはさまざまなヒーリングセミナーに通った結果、とんでもない「自分セラピー」を発明してしまった。
 名づけて、「爆笑地蔵セラピー」である。
 笑いと言ってもただの笑いじゃない。山に登り、登山道の途中にあるお地蔵さんに笑いかける。笑いかけるというと、微笑みかけるみたいなイメージだが、お地蔵さんと正面切ってむかい合い、天にも響く大声で爆笑するのだ。
「それってガン治療と言うよりも、かえって危ない。ちがう意味の病気ですよ」オレが突っ込む。
 まあとにかく、それでガンの進行が止まったんだから少なくとも本人にとってはとても有効な治療法である。もし大久保さんが稲田さんのあとを引き継いで、
 「ガンの呪縛を解くパート2」
 サブタイトル「地蔵と笑う」
 とかがベストセラーになってしまったら、日本じゅうのお地蔵さんが笑い者にされる。JTBのガイドさんが旗をもって地蔵のまえに40人を引率して、「さあ、お地蔵さんと笑いましょう」と言ったとたん、大爆笑が大地を揺さぶり、お地蔵さんといっしょにみんなが笑いながら地割れに落ちていく。
 ううむ、恐るべきかな「爆笑地蔵セラピー」。
 常人の想像力をはるかに凌駕した「ガンの呪縛を解く」だわさ。
 勝手にオレの妄想がふくらんでしまったが、大久保さんはまじめなかただ。いやいや、すばらしいバイオリニストなのだ。大久保さんはソロ演奏をしたあと、オレとコラボレーションをする。
 譜面にコード進行まで書いてきてくれたので、オレがギターを弾き、大久保さんがバイオリンを弾く。そのまんま同じキーでオレの曲にはいる。
 「家族」のイントロと間奏とサビとエンディングに美しい「アベ・マリア」がはいるという、ありえない、つーか絶妙のコンビネーションだった。

7,家族
8,ハロー・マイ・マム
9,背中
10,祈りの歌

 「家族」で泣いていた人も多い。「ハロー・マイ・マム」では子どもたちがお母さんのひざにのり、「背中」では男性が涙をぬぐっていた。
 「祈りの歌」のまえに、現在病気と戦っている人に立ってもらう。
 彼らに対してみんなに祈ってもらいたかった。
 感謝をこめて最後の「祈りの歌」を歌った。
 祈りで病気が治るなんていまだにオレはわからない。
 ただただ、自分と奇跡的に出会うことができた
 君とつながりたかったんだ。
 ジョニーさんがミクシーでこんな内容を書いていた。

 オレたちは生きているというだけで、
 完璧に祝福されている。
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2月21日(水)北海道DARC

 今までさまざまな施設でライブをやってきたが、ついに「ふるさと」へ帰る。
 オレと同じ仲間たちがいる「DARC(ダルク)」である。
 DARCとはD:ドラッグ A:アディクション R:リハビリテーション C:センター。薬物依存症の回復施設だ。
 1985年、ダルクはもとジャンキーの近藤恒夫氏(現、日本ダルク代表)ともとある中の宣教師ロイ・アッセンハイマー氏によって東京日暮里に開設された。それから20年後の現在では北海道から沖縄まで40のダルクが全国にできた。関東と関西には各都府県にダルクがある。
 なかでも北海道ダルクは原点である。
 1980年に近藤さんは札幌地方裁判所で懲役一年2ヶ月を宣告され、その後札幌MAC(マック)の責任者になる。「MAC」とはメリノール・アルコール・センター。キリスト教の「メリノール宣教師会」がつくったアルコール依存者の回復施設だ。ここから近藤さんのダルク構想がはじまる。
 アルコール依存症の回復プログラム「AA」とは「アルコホリクス(アルコール依存者)・アノニマス(匿名の)」は有名だから知っているかな? 新潟「壊れ者の祭典」の月乃光司さんなどもはいっている。それに対して薬物依存者の「NA」は「ナルコティクス・アノニマス」という。30年前のニューヨークでオレもヘロイン中毒から逃れようとNAに通ってたことがあるのよ。
 今回ツアーのなかでダルクだけが唯一のボランティアライブである。
 なぜならオレがどうしてもダルクでやりたかったから。
 そういちさんからの「アキラ・ライブをやりたい」というオッファーにダルク側は最初しぶっていた。「うちのジャンキーは皮肉屋なので、もし歌い手に対して失礼な態度をとったらもうしわけない」とのことだった。
 あっはっは、そんなのオレがいちばんよく知っている。ジャンキーは人間の醜さを極限まで知り尽しているから好意の押しつけなどすぐ見ぬかれてしまう。
 ちがうの、ちがうの。オレ自身のわがままでやりたいの。同じ快感と苦痛を知り尽くしているジャンキー仲間と会いたい。ふるさとに帰りたいのよ。

 さてさて、皮肉なジャンキーたちがオレの歌にどう反応するか?
 オレはちょっとビビリながらもワクワクする気持ちを押さえられなかった。
「はじめまして、まちがってよくなった人たちのひとり、アキラです」
 ジャンキーたちからシニカルな笑みがこぼれた。
 今日の選曲は完全にジャンキーバージョンだ。ジャンキーにしかわからない心の琴線にふれる曲ばかりを厳選した。

1,青空のむこう
2,ぼくの居場所
3,NO EXIT
4,ダウン
5,存在の歌
6,人の一生屁のごとし
7,sorry
8,おまえの舌苔を陽にさらせ
9,だいじょうぶマイフレンド
10,生きてるって叫べ
11,家族
12,祈りの歌

 もし君がドラッグ経験者だったら、この歌詞を全曲集で読み返してみて。禁断症状の地獄や閉塞感、仲間の死やサバイバー(生還者)の喜びなど、かなり思い当たるはずだ。
 感情を直接表現しないジャンキーたちが魂の奥底でオレの歌を聴いている。
 薬物依存からの回復はアルコール依存よりはるかにむずかしい。しかも合法のアルコールとちがい違法の薬物使用者に対する世間の無理解は想像を絶するものがある。
 アル中に対しては「意志の弱い人」というレッテルが、ジャンキーにはもろ「犯罪者」になる。なぜならほとんどの人がドラッグを知らないからである。日本でのアルコール経験者1000人に対して、ドラッグ経験者は1人くらいだろう。
 世間の無理解はジャンキーの孤独を増幅させる。つまり極端な行動に走らせるのだ。
 ライブが終ってからスタッフや当事者たちからむっちゃおもしろいエピソードを聞く。
 シャブ中で3回ムショにはいったAさんは、やさしい笑顔からは想像すらできない全身刺青モンモンである。シャバに出て真っ先にしたのは「おまえの舌苔を陽にさらせ」ならぬ、シャブをつめた注射器を「おまえの舌に針を刺せ」だった。首筋からくるぶしまで全身の血管を刺しまくったオレでさえ舌に注射したことはない。
 Bさんはシンナーではなく「ガソリン・ジャンキー」だった。ビニール袋にいれた液状ガソリンを路上で吸い、ハイになると裸で歩きまわったという。
 Cさんはもとプロのレーサーで、レースのたびにコカインやシャブを使用していた。錯乱して家に火をつけ、焼身自殺を試みたが、ベランダから転げ落ちて一命を取り止めた。
 やっぱジャンキーの逸話はすさまじくおもしろい。
 オレはあまりの居心地のよさについつい腰を落ちつけてしまった。やっぱジャンキーは仲間だわ。

2月22日(木)白石まちづくりハウス

 今日のライブは2本立てだ。
 午後一時半からと夜6時の部がある。白石まちづくりハウスは精神障害者の施設で、一階にカフェやオフィス、2階に作業所や集会所などがある。
 ライブ会場には「AKIRA」と切り抜いた金色の紙が貼ってあり、こういう手作り感が最高なのよね。版画アーティストの福地さんも横でライブペインティングの用意をする。
 さすがにこれだけライブを重ねると新曲を入れられる余裕が出てくる。「ハレルヤ」は「Merry christmas children」をスローバラードに直したものだ。「コットン・ジェネレーション」はストーンズっぽいロックサウンドが合うね。

1,旅立ちの歌
2,ハレルヤ
3,コットン・ジェネレーション
4,心がくしゃみをした朝
5,ぼくの居場所
6,いたいのいたいのとんでけ
7,ベスト
8,だいじょうぶマイフレンド
9,ぬちどぅ宝
10,ハロー・マイ・マム
11,祈りの歌
12,おやすみ

 心配されていた集客も満杯で、みんなめいっぱい満足してくれたという。
つぎは午後6時からなので3時間も余裕がある。「札幌ウオーカー」ラーメン投票で一位に輝いた「五丈源(ごじょうげん)」へ福地さんとアコちゃんといく。味噌の多い名店のなかで五丈源は豚コツで勝負する。あっさりとしながらも奥深いスープ、ほどよくからむ麺のバランスは見事だ。パンチ力はないが、飽きのこない味はさすがである。

 夜の部も福地さんのライブペインティングとのコラボだ。のほほん工房のモンちゃんはここで掃除のアルバイトをしている。仕事を終えて客席に座っているので引っ張り出しちゃおう。

1,ミタクオヤシン

 モンちゃんのものまねは定評がある。オレが顔をゆがめて「ミタクオヤシン」を歌うさまを見事にパロディー化していて、観客は大爆笑だった。

2,ムーンタイム
3,チャーガンジュー
4,赤い糸の伝説
5,背中
6,家族
7,sorry(ナオヤ)

 ここでまたのほほん工房のナオヤに出てもらう。ステージをこなすたびにやつのスキルがあがっているので楽しみだ。かなり歌いこなしてきたナオヤの「sorry」は観客の心を強く打つものだった。
 客席に10年ぶりくらいに会う友人、直がいたのでステージに出てもらう。直はアイヌモシリ一万年祭で知りあい、インドに住んだり、今は結婚して無農薬野菜をつりながら悠々ライフを楽しんでいる。オレの「CACA blues(カカ・ブルース)」というスペイン語の曲に自分で歌詞をつけたものを歌ってくれた。これもギターとボーカルのキレがよいと好評だった。

8,CACA blues(直)
9,マヨネーズと電話帳
10,Be yourself
11,Born to love
12,Happy smile
13,天使のキス

 明日は帯広の白樺高校で450人の生徒をまえに歌う。
 こんな大観衆のまえで歌うのは高校のとき組んでいたバンドの解散コンサート以来だ。あのときは1000人もの客がきてくれた。今では100人集めるのも大変なのに。
 JR白石駅からひとりで札幌駅へむかい、深夜11時10分の帯広行き特急に乗りこんだ。
 3時15分に帯広で降りなければいけないので眠れない。もし寝過ごしたら釧路までいってしまうので、必死に睡魔と戦う。
 うわっ、帯広じゃん。危うく乗りすごすところだった。駅を出てすぐのホテルをとっておいてくれたというが、おい、「ホテル・ヒーロー」って。きっとこの名前を思いついた人はすっげーかっこいいと思ってつけたんだろうな。しかしヒーロー以外は泊まりにくいじゃん。風呂にはいってワインを飲むともう6時である。超人的なスケジュールをこなすオレも人間である。
 とか書いてないで、
 やばっ、寝ないと。
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