New 天の邪鬼日記

小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。


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0504リュウベース


 昨日の夜、リュウ(ONSENS第三の男)がきた。
「ベースを返しにいきます」
 なんて言っていたが、きさまの心は見えすいておるぞ。ライブのあとに仕事があったため泣く泣く帰ったリュウは、今度こそライブのビデオを見ながら打ち上げをしたいのである。
 ガソリンスタンドの仕事でくたくたなはずなのに2時間もかけて群馬からやってくるなんて、ういやつよのお。
 オレはコラム地獄と戦いながらもロールキャベツのパルミジャーノ・ソースやフライドチキンとブロッコリーのサラダをつくってやった。
 タケちゃんはタケちゃんで「浅草よしかみ」名物のチンザノ入りナポリタンを自分でつくってもってきた。
 リュウよ、おまえは愛されてるぞ。昨日のオレの日記が短いのもリュウのせいだし、500人の読者を悲しませてまでリュウひとりをもてなしてやろうという、ああすばらしきかなホモビタンD。
 リュウもオレたちの手料理に涙を流さんばかりに感動している。
「アキラさんも、タケちゃんも本当はやさしい人なんですねえ!」
「やっと気づいたか、We are born to love リュウを愛するために生まれてきたんだ」
 なごやかにライブビデオを見ながら酒を飲む。ラストの「Happy birthday」でリュウがとちるところで笑いころげる。
「がっはっは、このリュウの顔!」
 もう1度巻きもどして笑いころげる。ストップモーションで笑いころげる。静止画像で笑いころげる。
「あはは。もうこのへんで勘弁してくださいよお」
「がっはっは、このリュウの顔!」
 もう1度巻きもどして笑いころげる。ストップモーションで笑いころげる。静止画像で笑いころげる。
「ちょっとしつこいじゃないですか」
「がっはっは、このリュウの顔!」
 もう1度巻きもどして笑いころげる。ストップモーションで笑いころげる。静止画像で笑いころげる。
 かくしてリュウは人間愛の光と影を思い知るのであった。
「ちくしょう、絶対に復讐してやる」

 復讐のチャンスは早くも翌日におとずれた。(ここからはリュウの視点で書こう)
「リュウ、今日は天気もいいし、ミニゴルフでもやらない?」
 アキラさんの言葉に内心ほくそ笑んだ。
 前回は卓球でアキラさんに負けてしまったが、ゴルフなら自信がある。アキラさんやタケちゃんは打ちっ放しにもいったことがないと言うし、僕はカタールやアメリカの本格的なグリーンでプレイしたことがある。
「いいですよ。でも僕は経験者なんでハンデとかあげましょうか」
「いらない、いらない、だってオレがリュウに負ける姿なんてイメージできないもん。どうせリュウは最後にポカするし」アキラさんが答えた。
 ふふっ、なんて脳天気な人なんだ。「やっぱりハンデください」なんて、グリーンで泣いても知らないよ。
「タケちゃんはなんかスポーツやってたの?」
「ぼくは砲丸投げをやってました」タケちゃんが言う。
「オレは睾丸焼いたことがある」アキラさんが言う。(「COTTON100%」P222)
 まえからバカだと思っていたが、やっぱりバカだった。ゴルフというのはどう自分のプレーを組み立てていくかという構築的なスポーツだ。石油コンビナートの設計をやっていた僕に睾丸焼いて喜んでいる人が勝てるわけはない。
 日光市民ゴルフ場はゴールデンウイークにもかかわらずガラガラだった。 アキラさんとタケちゃんは左利きなので、左の9番アイアンとパターを選ぶ。
「ねえリュウ、これってどう握るんだっけ?」アキラさんが訊く。
 やれやれ、クラブの握り方から教えなくちゃならないのか。これだから素人はめんどくさいんだよな。
 コースは9つのホールからなっていて、パー3。1番ホールは119ヤードある。
 まずは僕からだ。ひざを柔軟にして肩の力を抜き、腰で打つ!
「うわっ一直線! リュウってすげえんだな」
 今ごろ気づいても手遅れさ。僕はいつも完璧を目指す。
 つぎのタケちゃんは空振りするし、アキラさんはむちゃくちゃなスイングで松の木にボールをぶつける。アキラさんは2打目も松の木にぶつけ、関係ない方向へ飛んでいってしまう。
 なんだか真剣にやるのがバカらしくなってきた。お先にキメさせてもらうよ。
 1番ホールを僕は5打であがり、タケちゃんは9打もたたいた。アキラさんはまぐれでロングパットを沈め7打で終えた。
 2番ホールで僕が打とうとすると、松ぼっくりが飛んできて僕の坊主頭に当たった。
「見たか、松ぼっくり打法!」アキラさんが腰に手をあてて笑っている。
「打法じゃないでしょ、打法じゃ。ただ松ぼっくりを僕にむけて打って、じゃましてるだけでしょ」
 いやいや相手の罠にはまったらいけない。ここは平静をたもってプレイに集中するんだ。またもや僕のボールはグリーンの真ん中をぬけていった。
 タケちゃんは2回も空振りするし、アキラさんはゴルフ場の金網を越えそうな球を松の木に救われる。さっきは邪魔した松の木を罵っていたのに、今度は救ってくれた松の木にあやしい祈りを捧げている。祈ってゴルフが勝てるならプロゴルファーはみんな坊主だぞ。
 2番ホールを僕は5打であがり、タケちゃんは7打だ。アキラさんはふたたびまぐれでロングパットを沈め僕と同じ5打で終えた。
 3番ホールを僕は4打であがり、タケちゃんは5打。タケちゃんの学習能力の速さには目をみはるものがある。アキラさんは最下位の6打だった。トップの僕とタケちゃんとの差は+7。アキラさんとは+4と楽勝ムードである。
 4番ホールで異変が起こった。
 僕はいつもの5打であがり、タケちゃんは8打もたたいたのに、アキラさんは4打できめてしまったのだ。なぜかアキラさんのパットは魔法のように吸いこまれていく。
 これでトップの僕とタケちゃんとの差は+10。アキラさんとは+3に縮まった。
 5番ホールを僕は4打であがり、タケちゃんは6打、やはりさっきのはまぐれだったのだろう、アキラさんは6打だ。
 トップの僕とタケちゃんとの差は+12。アキラさんとは+5にひらいた。
 もう勝利は僕のものだ。残り4つのホールで5打差を縮めるのは不可能だ。
 6番ホールを僕は5打であがり、タケちゃんはふたたび6打につけてきた。アキラさんはまたもやまぐれで4打。
 トップの僕とタケちゃんとの差は+13。アキラさんとは+4。まだまだだいじょうぶである。
 7番ホールでなにかが狂った。
 順調にグリーンにのせ、パットをきめようとする僕のうしろで変な歌が聞こえた。
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 アフリカともアマゾンともインディアンともとれる原始的なリズムでアキラさんが踊りはじめた。集中してパットをかまえる僕のまわりを奇声を発しながら踊りつづけるのだ。
「なんですかそれ?」
 こんなバカげた踊りで勝てるわけないと僕は吹きだしてしまった。
「民族の祭典。リュウのパットに呪いあれ、呪いあれ」
 アキラさんは「はねるのトびら」の秋山竜次をまねて拝んでいる。苦笑いをかみつぶして打ったパットがホールの縁をかすめ転がっていく。
 ちっ、はずした。
「マジでそういうの反則ですから」
「 呪いあれ、呪いあれ」
 うわっ、またはずした。
 しょうもない妨害で僕は7打も打ってしまった。タケちゃんは3ホール連続6打につけ、アキラさんは4打。
 トップの僕とタケちゃんとの差は+12。アキラさんとはたったの+1じゃん!。
 いや、ここであせっちゃだめだ。あんなアホらしい「民族の祭典」とかいう踊りに攪乱されてたまるか。残すはあと2ホールのみ。集中。集中。
 8番ホールでいやな予感がよぎった。
 僕は自宅に卓球台があり、子どものころから運動神経のいい家族との卓球で育った。自分は高校時代、183センチの長身を生かしてバスケットボール部で活躍した。卓球部も負かす実力だったが、スリッパをラケットがわりに練習したような温泉卓球のアキラさんに負けてしまったのだ。僕は必死で負けるイメージを振りはらい、勝利の称賛を浴びる自分を頭に描いた。
 僕は6打であがり、タケちゃんは4ホール連続の6打につけてきた。タケちゃんはあらゆる楽器を演奏するだけあって臨機応変な対応力が桁違いだ。
 背中の毛が凍りついた。
 ホールの中に磁石でもはいっているかのようにアキラさんのパットが沈む。この人の「まぐれ力」に心底ビビッた。
 同点である。
 アキラさんと僕がならび、タケちゃんとの差は+12。
 いよいよ運命の最終ホールである。
「どうせリュウは最後にポカするし」
 今まで僕はこの暗示にかかり、気持ちで負けてしまった。しかし今日から僕は生まれ変わるんだ。45歳の変人に体力全盛期の30歳が負けるわけはない。
 小気味よい手応えを残し僕のボールは青空に舞う。
 最高のショットだった。
 あわやホールイン・ワンと思われた球はホールのたった30センチよこでピタリと止まった。
「おめでとうリュウ、ついにオレの呪縛をふりほどいたな」
 アキラさんは第一打をなんとパターで打った。球は着実にグリーンへと近づいていく。しかし僕は2打目で確実にきめられる距離だ。
「悪いけど、この勝負はもらいました」
 かんたんにパットをきめようとする僕のうしろでまた歌が聞こえた。
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ふたたびアフリカともアマゾンともインディアンともとれる原始的なリズムでアキラさんが踊りはじめた。集中してパットをかまえる僕のまわりを奇声を発しながら踊りつづけるのだ。
「あきらめ悪いですね」
 民族の祭典がなんだ。生まれ変わった僕にそんなもんはもう通用しない。
「リュウのパットに呪いあれ、呪いあれ」
 パットがホールの縁をかすめ転がっていく。
 まっ、まさか!
 動転しながらもなんとか4打できめた。
 悪夢だ、アキラさんの3打目をホールが呑みこむ。
 負けた!
 民族の祭典に負けたのだ。
 トータルはアキラさんが44、僕が45、タケちゃんが62。
「リュウ、民族の祭典、おぼえたい?」
「お願いしまっす!」
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 僕たちはゴルフ場の芝生の上をアフリカともアマゾンともインディアンともとれる原始的なリズムで踊りつづけるのであった。
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
 ハンマッハッハ、ハンマッハッハ、フハーフハー
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 「オラ! メヒコ」のためのコラム(400字)を10本以上書なばならない。
 コラムって編集者が書くもんだと思っていたのに、オレかいー!
 サパティスタの歴史を400字のコラムにまとめるなんて不可能だあー。
 おおっ、ふくらはぎが、こらむがえり起こした。
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 冷蔵庫が死んだ。
 暑い夏も寒い冬もぼくの第二の胃袋として支えてきてくれた親友である。
 2メートルもある長身で、体重もぼくの3倍はあるビッグママだ。
 おふくろが生きているときからいたので推定年齢10~15歳くらいかな。
 移り変わりの早い冷蔵族のなかでは長寿をまっとうしたほうだろう。
 老体にむち打ち、
 夜中にもうなり声をあげながら、
 よく働いてくれた。
 「冷たいやつ」なんて言ってゴメンね。
 君の心臓であるモーターはいつでも暖かく脈打っていた。
 半額シールばかり買い集める僕の食料を入れるときも、
 腹へったーと開けるときも、
 君はぼくをワクワクさせてくれた。
 たとえホッケの開きが腐っていようと、
 荘厳な装飾を施された教会よりもすばらしい、
 ぼくの祭壇だった。
 たとえ納豆にカビが生えていようと、
 天使たちのコーラスが鳴り響く天国よりも愛しい、
 ぼくのパラダイスだった。
 5000円の処分代と領収書が君の天国への切符なのか。
 君は産業廃棄物の山に捨てられるか、
 強力な圧縮機によって粉砕される。
 それは悲しいことかもしれないけど、
 ぼくたちだっていつか焼き場の煙突から立ちのぼる煙になるんだ。
 さよならぼくの冷蔵庫。
 いつか形は消えていくけど、
 思い出だけは残る。
 さよならぼくの冷蔵庫。
 ぼくの胃袋は君を忘れない。
 ぼくもいつか消えていくけど、
 想いだけは残る。
 さよならぼくの冷蔵庫。
 さよならぼくの冬。 
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