June 30, 2011

SoundCloudでサンプリングフリーの音素材を共有

テーマ:sound
$松本昭彦 (Akihiko Matsumoto) Blog  Algorithmic Computer Music


http://soundcloud.com/akihiko


SoundCloudを密かにやっていました。

ここでは音楽作品ではなく、作品を作るにあたって作成した、もしくは福次的に生まれたオーディオ素材を沢山アップ(2011/6/30現在82ファイル)しています。
あくまで素材。
音楽未満の断片です。
SoundCloudではいわゆる素材のサンプリングCDのようなものを公開しています。

僕は常々サンプリング肯定派で、そこから使用料をとってやろうとは考えていません。
有名どころだとナインインチネイルズも素材をサンプリングして二次創作をしてもらってもいっこうに構わないといったコメントを出しています。

グランドマスターフラッシュ、シュガーヒルギャング、RUN-DMC、ビースティーボーイズ、プロディジー、ミニストリーなどサンプリングで音楽の新しい地平を切り開いたアーティストは多々いると思います。
古くはルネサンスのポリフォニーは定旋律にグレゴリオ聖歌を引用する決まりがありました。
過去の遺産と現在の個の対峙は考えなければならない問題です。
偉大な名作を全て無視し、完全に全てがオリジナルな芸術など存在するのでしょうか?
サンプリングにはリスペクトや独自の解釈、様々な現代の作者の思惑が見え隠れして面白いと思います。

自由な発想を著作権という権利で縛り付けてしまうのはもったいないところ。
近年はCC(クリエイティブコモンズ)等もありますが、音楽の世界ではインディペンデントや一部のアマチュアにしか浸透していないかと思います。

僕はむしろ建設的に自分のアイデアが派生して様々な方面で発展していく姿を見てみたいと考えています。作家のエゴかもしれません。
しかし、何かに素材としてサンプリング使用したい、映像のバックグラウンド音響に使いたいなどのご要望があればお答えしたいので、ご連絡ください。
48KHz / 32bitのwav素材で生データをお渡しできます。
もっと長尺で素材を用意することもできます。
ループ素材ですがポリリズミックに重なっている部分などは普通に10秒くらいの素材をループさせてもつなぎ目が目立ってしまうと思います。
何に使っていただいてもかまいませんが、何に使うのかを知らないと意味がないので使う際にご一報ください。

akihiko.japan[at]gmail.com
http://twitter.com/#!/Akihik0Ma


SAMPLING DICTIONARY 2008SAMPLING DICTIONARY 2008
定番のHIP HOP/R&Bクラシックスはもちろん、 2007年のシーンを飾ったビルボードヒッツ、 更にはKanye West、J Dillaといった今最も旬な アーティストから、依然人気の高いHyde Outや Plag Lsbelに代表されるいわゆるアングラ、西海岸、 果てはフィリー産マイナーミドルモノまで ネタというネタを完全網羅! 丸丸のワンループやドラムブレイクにとどまらず、 フックでコスリネタとして使用された1フレーズに至るまで 収めた、まさに痒いところに手が届く一冊! ディクショナリーというその名の通り、アルファベット順 インデックス機能も追加し使い勝手も向上。 再燃するサンプリングカルチャーを背景に 史上最多17000タイトルがA5ポケットサイズで新登場!

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March 15, 2011

.WAV, .AIFF, .AIFC オーディオファイルフォーマット

テーマ:sound
Screen shot 2011-03-15 at 12.28.17 AM

オーディオファイルには様々なフォーマットがあります。
音楽制作の現場で多く使われるもので見ていくと拡張子だけでも.wavと.aif、.aiffがあります。

--wav

.wavは、マイクロソフトとIBMが共同で開発した音声データ記述のためのフォーマットで、RIFFの一種と位置付けられています。wavはwebと区別するために、レコーディングスタジオなどではワブと発音されることがあります。
Windowsで多く使われるファイル形式で、OSX以降のMacでも多く使われるようになってきたフォーマットです。
.wavフォーマットでは、データ長が32ビット符号なし整数型で記述されているため、4GBを超えるファイルを作成できないという欠点があります。
この制限を越えるため、データ長を64ビット符号なし整数型で記述するWave64 (.W64) というフォーマットも存在しています。

--aiff

.aiff は、アップルコンピュータにより開発された音声データのファイルフォーマットで90年代あたりから音楽制作に使われていたMacintoshやAmiga上で使われるファイル形式です。
2000年あたりまではwindowsはwav、macはaiffという区分けが暗黙にあったように思いますが、現在ではむしろaiffのほうが劣勢で、wavのほうが多くの環境でサポートが行われている印象です。
ファイルに格納した場合の拡張子は、.aiff、.aifの2種類があります。
通常は非圧縮、リニアPCMのサンプリングデータ用のフォーマットとして扱いますが、.aifcという圧縮データ用のフォーマットも存在します。
AIFFの制限としては浮動小数点数であるfloatを扱えないというものがあるため、32bit floatのオーディオファイルを.aifで利用したい場合はAIFCとなるので注意が必要です。

私のソフトウェア環境では例えばMax/MSPのsfrecord~オブジェクトを使ってサウンドファイルを生成する場合に、32bit floatで音源を作るのですが.wavか.aifかオプションで選ぶことが可能です。.aifをファイル名に選択した場合32bit floatで書き出すと自動的にファイルフォーマットはAIFCとなっておりました。

(Max/MSP sfrecord~がサポートするビットデプス)
int8 int16 int24 int32 float32 float64 mulaw alaw


Screen shot 2011-03-15 at 12.42.15 AM

DSDからPCMのサウンドファイルにコンバートするKORGのAudio Gateを使った場合、32bit floatでPCMサウンドファイルを書き出す場合にはAIFFは選択することができず、wavを選択する必要があります。
この際、4GBを越える32bit floatのwavファイルを作成することはできないので注意が必要です。

ちなみに中身は無圧縮なためwavもaiffも音質は変わらないです。

32bit floatのfloat、すなわち浮動小数点数は 1.0 を超えるアンプリチュード(振幅)を表すことができる点が24bit以下のファイルと異なります。
32bit floatの場合、1.0 を超えていてもエラーとはならず、再生時は 1.0 を越えた部分が 1.0 に丸められるなどの処理が行われる場合が多いです。音響合成ソフトRTcmixなどではオプションで-1から1の値に丸め込むかなどを選択することが可能になっていました。
これが16bitの場合2の16乗 [-32768, 32767] が [-1.0, 1.0] にマッピングされる仕組みであるため、最小単位が 1/32767 (1/32768) 固定になります。

ビット数は高いほど波動の縦(y)の解像度が細かくなるため、精度が高いデジタルデータを作り出すことができます。
その反面、容量は大きくなりますし、CPUだけでなくHDDへの負荷が大きくなります。
32bitで4ch以上のリアルタイムレコーディングなどはHDDの回転速度が遅い場合(5400では厳しい)、書き込みが追いつかず音が途切れるということも経験があります。

これに対してサンプリング周波数とは波動の横(x)の解像度を示すものであり、一秒間に何回サンプリングを行い、波動を検知するのかということを決定するパラメータとなります。
サンプリング周波数は横軸の解像度だけでなく、ナイキストの定理とも深く関係があります。
例えば48KHzでサンプリングを行った場合、ナイキストレート24KHz以上の周波数の音が含まれていた場合、波動が折り返してしまう現象があります。
48KHzのサンプリング周波数で25KHzのサイン波を録音すると、23KHzの音に変化してしまいます。これを折り返しといいます。
通常はこの折り返しを防ぐために録音段以前にオーディオデータのフィルタリングが行われ、高い周波数を除去してしまいます。
つまり、サンプリング周波数は高いほど高音域の再現性も高いと言えます。

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March 03, 2011

音の空間性 / サウンドスケープ

テーマ:sound
010

まだ詳しくは明かせませんが、東京大学の池上高志さん、フォトグラファーの新津保建秀さん、サウンドアーティストのevalaさんらと沖縄県竹富島にサウンドの採取に行って参りました。
録音した素材以上に非常に大きな収穫がありました。
音への意識が非常に高まりました。
意識が薄かった空間性をかなり意識するようになり、サウンドスケープの考え方が変わったと言えるでしょう。耳が開く感覚とはまさにこのことです。

これまでフィールドレコーディングをするにしても、ある特定の素材を収集するためにマイクを向けたりしていましたが、考え方が180度がらりとかわりました。これまでサウンドスケープ上のノイズと考えていた交通の音や街中のBGM、それらはすべて立体音響として捉えることができるようになりました。
渋谷の109に行ってみたら超高密度の立体音響としてサウンドスケープを捉えることができ、自分の歩行による音響空間の遷移などを確認し、毎日これまでにないサウンド体験をしております。

サウンドアート系のトレーニングでよく行われることですが、現在鳴っている音をすべて紙に書き出してみるというものがあります。これを拡張し、何の音がどの辺りからどれくらいの放射角度で鳴っているのかなど細かく意識をするようになっています。
以前は何の音混ざり合ってサウンドスケープを構成しているのかという意識も大切ですが、物体がどのように運動しているのかという部分にかなり意識が高まりました。
世の中の音源は固定されているもののほうが少ないくらいで、その多くが何らかの運動をともなっています。運動が音を発することもあれば、それらが独立しているときもあります。
しかし、全く運動なしに音が発せられる現象を探すほうが実は難しいことがわかりました。

サウンドスケープへの意識、自分で集中して新しい境地を見出したというより、グラインダーマンとの仕事を始め、2月の多くの時間を共に過ごさせていただいたevalaさんとの音に関する会話から大きな影響を受けたのだと思います。サウンド、音色のことはおろか、作曲に関しても何か新しいものを掴んだ気がします。サウンドアートと作曲は繋がらないもの、全く別の文脈の芸術と捉えられがちですが、それらが混じり合う点は必ずあるのだと思いました。

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録音に関してですが、おなじみのKorg MR-2に加え、バイノーラルマイクを導入しました。
これは空間を捉えるのにとても良い機材です。1万円弱なのでフィールドレコーディングや映像、映画をやっている人も1つは持っておくことをおすすめします。
一般的な指向性マイクはマイクを向けた方向に集音範囲が狭められますが、バイノーラルマイクは集音のフレームが無いような感覚で、空間的に面白いサウンドスケープを捉えるのにも絶好のアイテムです。

SPAT_Player

DSDのレコーディングを始めてからですが、PCMにコンバートする際にかなりハイクオリティーなフォーマットで書き出せるため、音楽系のプロジェクトは 48KHz 32bitで行うようになりました。と言っても、このファイルフォーマットでプロジェクトを作れるDAWはまだ少なく、Protools9も24bit、Logic9も24ビットまでのオーディオファイルしか扱うことができません。
CubaseとNuendoは32bit floatでのレコーディングが可能なので、これからDSDユーザーはこういったDAWにシフトしていくのでしょうか。ableton liveも32bit floatのレコーディング、書き出しが可能です。

Max/MSPは以前から32bit floatをサポートしていたものの、DSDを手に入れてから始めて32bitで音響処理をするようになったのですが、16bitとの音質の違いに驚愕しました。
もはや16bitでの制作には戻れません。とくにグラニュラーやFFT系のミクロな波動を加工、分析するような音響処理ではビットデプスは高いほうが劣化が少なく、いかにもというエフェクト感、というより劣化感を抑えることができるため音の質感がきれいになります。
元がDSDでとられたデータなのでノイズが少ないというのもあるかもしれません。
しかし、いいことづくしの32bitにも弱点があります。
それは、ファイルサイズの大きさとメモリー消費です。これがけっこう予想以上です。HDDは7200回転のものでないと同時に複数トラック録音するにはサンプルの取りこぼしが厳しいでしょう。
メモリーも簡単に不足してエラーメッセージが出ます。用途にもよりますが4GBでは少ないくらいです。
今まで当たり前のようにやっていたサンプルの再生+音響処理のようなMaxパッチが32bitを扱ったとたんに動かなかったりします。
マシンスペックに依存する箇所なので、テクノロジーの進化とともにいずれ解消するでしょう。

ともあれ、
沖縄以降、僕の生活は日常からコンピュータ作業まで確実に大きな変化をとげています。

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