2009-02-23 23:55:00

WBC新ルールの謎[1/2]:週刊アカシックレコード090223

テーマ:野球

■WBC新ルールの謎~週刊アカシックレコード090223■
2009年のワールドベースボールクラシック(WBC)のシステムは、2006年のそれと違って、日米に有利なように(両国が決勝で対戦するように)できている。

_
【引き続き大量得票(ヱスビー食品、都築電気)】
前々回の記事「70年周期説~シリーズ『究極の解決策』(4)」( < http://www.akashic-record.com/y2009/ndlie.html#02 > )は配信直後の48時間に10票頂いたのみならず、前回記事配信前後の48時間にも約10票頂きました。やはり「ノーベル経済学賞受賞者と靖国神社の歴史認識が同じ」といった事実に対する読者の方々の衝撃が強かったということでしょうか。
ご投票有り難うございました。
m(_ _)m
福井医大4、図研6、三興メイビス(旧三興プログレス、伊藤忠グループ、中露越貿易)、富士通、コスモスイニシア(旧リクルートコスモス)、日本IBM、東洋ビジネスエンジニアリング、ヱスビー食品、都築電気(SI)2……小誌Web版にご投票下さった方のドメインは(一般の個人サイトと違って)職場(大学)が多く、海外にまでおよんでいます。皆様、有り難うございました。とくに福井医大、図研、都築電気からは複数のご投票、有り難うございました。
「ホームページランキング」はこのページ < http://www.akashic-record.com/ > のいちばん上の行をクリックしてご参照下さい。
m(_ _)m
【怪我人を想定しない布陣?】
2009年ワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表の候補選手(宮崎合宿参加選手)は33人でしたが、最終的に28人に絞られました(スポーツナビ 2009年2月22日「侍ジャパンが巨人に連勝 強化試合帯同の28名が決定 WBC」 <
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/jpn/headlines/20090222-00000018-spnavi-base.html > )。
が、そもそも33人の合宿参加選手のなかには守備の難しい二塁手と遊撃手(二遊間)を守れる選手がたった4人(岩村明憲、中島裕之、片岡易之、川崎宗則)しかおらず、この4人から1人怪我人が出ると、二遊間の控えはたった1人になって、たちまち内野陣は「首の皮一枚」の危機に瀕します。
プロの遊撃手が務まる選手は一塁手と三塁手もこなせるので、一塁手、三塁手に怪我人が出てもさほど心配する必要はありません。つまり、三塁手に怪我人が出た場合でも、補充すべきは遊撃手なのです。
アテネ五輪野球アジア地区予選(2003年11月)の日本代表(長嶋茂雄監督)では、二遊間を守れる選手は5人(二岡智宏、宮本慎也、井端弘和、松井稼頭央、木村拓也)、2006年WBC日本代表(王貞治監督)でも同じく5人(岩村、川崎、宮本、今江敏晃、西岡剛)、北京五輪野球日本代表(星野仙一監督)では6人(荒木雅博、中島、宮本、西岡、川崎、森野将彦)でした。
原監督はあとから(あわてて?)二遊間を守れる選手2人(西岡、田中賢介)を含む9人を一次登録選手に追加しましたが、この9人は合宿に参加しません(共同通信2009年1月20日「西岡、岡島、福地ら“予備登録” WBC1次登録選手発表」 < http://www.sponichi.co.jp/baseball/flash/KFullFlash20090120027.html > )。
なんで二遊間を守れる選手を4人しか合宿に呼ばないのか。米国で行われる第2ラウンド(R)初戦でその4人のうち1人が怪我をしたらどうするのか。補充される内野手(西岡か田中)は急遽日本を発って時差ボケで(第2R第2戦には間に合わずに?)代表チームに合流するうえ、ろくに連携プレーの練習もしていない相手と二遊間コンビを組まされることになるのに、それでいいのか。そもそもあとから加えた9人をなぜ最初から選ばなかったのか…………この点を見る限り、原監督の代表監督としての采配は心配です。
(>_<;)

【拙著に関する個人ブログの虚偽宣伝】
小誌の筆者・佐々木敏の著書を購入される方は必ず事前に、小誌サイト( < http://www.akashic-record.com/angel/cntnt.html > )など著者や出版社が直接内容紹介を行っているWebページをご参照のうえ、ご判断下さい。小誌の記事を無断で何行も転載(コピー&ペースト、コピペ)する違法な個人ブログ、ホームページが多数あり、その転載(盗用)箇所の前後には、ロボットSF『天使の軍隊』をはじめ、拙著の紹介文を含む「解説」が付けられていることが少なくありませんが、その種の解説の大部分は不正確なものです(どれも例外なく「小説と小誌は基本的には関係がない」という注意書きは転載されていません)。
一般に、読者の皆様がそのようないい加減な解説を信じて書籍を購入なさった結果、その内容が「期待はずれ」だったとしても、その責任はその書籍の著者にも出版社にもありません(無責任な無能者たちはしばしば自ら読んでいない書籍について事実無根の紹介文を書きます)。
_
【ご注意】
小誌へのご意見、投書は、投稿者氏名等の個人情報を伏せたうえで、小誌上で紹介させて頂くことがございます。あらかじめご了承下さいませ。本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第295号です。
本マガジンの送信を停止(開始)するにはこちら↓をご利用下さい。
          http://www.akashic-record.com/admin/regist.html
送信先アドレスを変更する場合もこちら↑でできます。お手数ですが、旧アドレスの「解除」、新アドレスの「登録」という2つの操作をお願い致します。
_
_
■WBC新ルールの謎~2009年WBC■
2009年のワールドベースボールクラシック(WBC)のシステムは、2006年のそれと違って、日米に有利なように(両国が決勝で対戦するように)できている。

_
【小誌2008年11月27日「究極の解決策~勝手にドル防衛?」は → < http://www.akashic-record.com/y2008/usdslf.html#02 > 】
【小誌2008年12月4日「イラク戦争は成功~シリーズ『究極の解決策』(3)」は → < http://www.akashic-record.com/y2008/usdirq.html#02 > 】
【小誌2009年1月8日「70年周期説~シリーズ「究極の解決策」(4)」は → < http://www.akashic-record.com/y2009/ndlie.html#02 > 】
【前回「逆ネズミ講~シリーズ「究極の解決策」(5)」は → < http://www.akashic-record.com/y2009/revers.html#02 > 】
_
_
日本のほとんどの野球ファンはご記憶だろう、2008年北京五輪野球で、星野仙一監督率いる日本代表(小誌の呼称では「星野JAPAN 1.1」)が銅メダルも取れずに惨敗したあと、渡辺(渡邉)恒雄・読売新聞グループ本社会長(ナベツネ)が、その星野を2009年のワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表監督にも続けて任命しようと考え「星野続投論」を唱えたことを(小誌2008年8月31日「星野続投反対!!~シリーズ『北京五輪』(4)」 < http://www.akashic-record.com/y2008/hjlost.html#02 > )。
_
星野JAPAN 1.1は、一部週刊誌が指摘するような星野の采配ミスで負けたのではなく、練習試合の質と量の不足で負けた、と筆者は判断しているが(小誌2008年8月31日「●3当2落」 <
http://www.akashic-record.com/y2008/hjlost.html#02 > )、いずれにせよ、北京五輪で失敗した星野を、WBC日本代表監督として「続投」させ、それでまた日本代表が満足な成績を上げられなかったら、監督を引き受けた星野も、その星野を監督に強く推したナベツネも大恥をかくことは間違いない。
_
2009年WBCで日本が満足な成績を上げられると決まっているわけでもないのに、2008年9月頃、ナベツネが星野を推す発言をし、それに対して星野がまんざらでもない発言をしていたのを聞いたとき、筆者は、2人とも耄碌(もうろく)してまともな判断ができなくなったのか、と疑った(小誌2008年8月31日「星野続投反対!!~シリーズ『北京五輪』(4)」 <
http://www.akashic-record.com/y2008/hjlost.html#02 > )。
_
しかし、その後筆者は考え直した。
ほんとうに2人は耄碌したのだろうか。とくに、80代(1926年生まれ)のナベツネよりはるかに若い、60代(1947年生まれ)の星野が、そう簡単に耄碌するだろうか。

_
+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+

        2009年以降、北朝鮮は豹変する
               ↓
    http://www.akashic-record.com/angel/cntnt.html

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+
【桶狭間】 → < http://www.akashic-record.com/angel/okehaz.html#mail >
_
●読売は主催者●
クイズ。
「2009年に開催される第2回WBCの主催者をすべて挙げよ」
_
米国の野球通ならこう答えるだろう、
「米大リーグ機構(MLB)とMLB選手会である」と。
_
しかし、実はまだいる。それは、WBC第1ラウンド(R)開催各国の主催者(厳密に言うと興行スポンサー)である。第1Rは東京、メキシコシティ、トロント、サンファンで開催されるため、日本、メキシコ、カナダ、プエルトリコの4か国(地域)は、第2R以降を開催する米国とともに開催国であり、各開催国で興行を仕切る団体は特別な地位にある。日本の場合、それは読売新聞社だ。
_
つまり、WBCの事実上の主催者はMLB、MLB選手会、および読売など第1R開催各国の団体なのだ。
_
ちょっとおかしくないだろうか。
米国側の主催者は、MLB、およびその支配下選手の労働組合という「特殊法人」(公益法人?)なのに、日本側の主催者が、日本プロ野球組織(日本野球機構、NPB)ではなくて、読売新聞社などという、株式の上場すらしていない一民間企業だからだ。
_
読売は2005年以降毎年、日韓台中の国内リーグ優勝チームを集めて行われている「アジアシリーズ」(NPB Web 2008年「アジアシリーズ2008」 <
http://asia.npb.or.jp/summary/ > )の主催者(厳密にはスポンサー)の一員であり、同社の幹部は優勝チームなどを表彰する閉会式のプレゼンターとして出て来るので、国際大会の(事実上の)主催者になるのは珍しくない。
_
【2005年11月13日、第1回アジアシリーズ閉会式には、読売巨人軍オーナーでもある滝鼻卓雄・読売新聞東京本社会長が登場し、優勝チームの千葉ロッテマリーンズを表彰したため、観客席を埋め尽くしていたロッテファンが「ウソだろ」と言わんばかりにどよめいた。当時、東京ドームで取材中、筆者はこのどよめきを目撃したが、1球団のオーナーがライバル関係にある他球団を表彰するのは、どう考えてもおかしい。】
_
しかし、WBCにおけるMLBのパートナーがNPBでなく、新聞社であるという事実に違和感を抱くのは、筆者だけではあるまい。
_
読売がWBCの事実上の主催者になることができたのは、第1回WBCの開催前、2004~2005年頃、NPBが大会収益の分配率などで難色を示したため、「野球大国である日本が参加しなければWBCの権威がなくなる」と恐れたMLBがNPBに影響力を持つ黒幕、すなわちナベツネに頭を下げたことにある、などと噂されているが、筆者はまだ確認していない(但し、2005年3月に第1回WBC開催を目論んでいたMLBの計画が、日本の反対でいったん挫折し、第1回が2006年3月まで延期されたのは事実である。読売新聞2004年8月11日付20面「野球再生・大リーグビジネス(5) スーパーW杯構想」)。

_
+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+

             かつての上司を逮捕せよ!?
                 ↓
       http://www.akashic-record.com/oddmen/cntnt.html

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+
【桶狭間】 → < http://www.akashic-record.com/oddmen/okehaz.html#mail >
【NHKで絶賛】 < http://www.nhk.or.jp/book/review/review/2004_b_0704.html >
_
●国際スポーツビジネスの洗礼●
読売は、傘下に日本プロ野球界最大の人気球団、巨人軍(読売ジャイアンツ)を持っていることを背景に、NPBを牛耳って来た。2000年のシドニー五輪野球にプロ野球選手の参加が認められたとき、読売は、そのシドニー五輪野球日本代表チームが巨人を上回る人気チームになることを恐れたのだろう。NPB傘下の球団のうち、とくに読売が影響力を行使しやすいセントラル・リーグの各球団が一流選手を五輪代表に出せないよう、必死になって妨害した。このため、当時プロ・アマ混成の日本代表を率いた大田垣耕造監督(東芝)が熱望した古田敦也捕手(当時ヤクルトスワローズ)の代表入りが実現しなかった(全日本野球会議Web 2000年「オリンピックシドニー大会」 <
http://www.japan-baseball.jp/nationalteam/2000/index.html > )。
_
しかし、その結果として、日本が五輪野球史上初めてメダルをのがし4位に終わると、読売に世論の非難が殺到し、読売は態度を変える。今後は、五輪などの国際大会の日本代表チームに、読売の息のかかった監督を送り込み、日本代表チームの人気を読売や巨人のために利用しようと考えたのだ。だから、2004年アテネ五輪野球日本代表監督は巨人OBの長嶋茂雄・元巨人監督、2006年WBC日本代表監督も巨人OBの王貞治・福岡ソフトバンクホークス監督(当時)で、どちらの代表チームでも選手は全員プロの一流選手だった。
_
つまり、2004年から、日本球界は、最高レベルの選手のみで編成された「A代表」を国際大会に送り込むという、サッカーの世界では何十年も前から行われている常識に、ようやくめざめたのだ。
_
他方、米国球界がめざめるのはもっとあとだ。
2000年シドニー五輪でも、2004年アテネ五輪でも(2008年北京五輪でも)、MLBは(ドーピング検査を恐れて?)メジャーリーガーの一流選手を五輪代表チームに参加させなかった(代表チームは、MLB傘下のマイナーリーグチームの選手のみで構成された)。
_
このため、MLBにとっては、2006年WBCが、一流選手で代表チームを編成して初めて臨む国際大会だった。
だから、MLBは、米国代表をどのように編成して、どのように戦えばいいか、まるでわかっていなかった。ただテキトーに強そうな選手を集めて代表チームを編成すれば、そこそこ勝てるだろう、と安易に考えていた。
その証拠に、第1R B組の「米国対南アフリカ」戦で、米国代表監督のバック・マルティネスはまったく緊張感のない態度をとった。なんと試合の途中から采配をコーチに任せ、監督自身は米国TV局の実況放送席に上がり込んで、ゲスト解説を始めたのだ(2006年3月14日放送のJSports『WBC米国対韓国』における実況アナウンサー・島村俊治のコメント)。
結果は「17-0」で五回コールド勝ちだったとはいえ、国際大会で指揮官がこんなに油断していては、厳しい短期決戦を勝ち抜けるはずはない。この度を超した油断は選手にも伝染しており、ケン・グリフィーJr.外野手(当時MLBシンシティ・レッズ)などは息子をバットボーイとしてベンチ入りさせ「家族団欒」を楽しんでいた(島村前掲コメント)。「日の丸を背負う重圧」を感じながら北京五輪野球アジア地区予選に臨んだ日本代表(小誌の呼称では「星野JAPAN 1.0」)とは対照的だ。

_
【2007年12月1日に台湾の台中インターコンチネンタル球場で開催されたあのアジア地区予選の初戦、星野JAPAN 1.0は格下のフィリピンを相手に「10-0」で七回コールド勝ちしたが、日本のサブロー(大村三郎)外野手(ロッテ)はヒットで出塁した五回裏、油断して牽制球で刺された。試合後、日本の宮本慎也主将(東京ヤクルトスワローズ)はサブローの緊張感のなさを厳しく叱責し、チーム全体を引き締めた。
この「喝」が利いて、翌2日の韓国戦ではサブローは同点打を打つなど活躍し、日本は韓国側の卑怯な「偽装スタメン」作戦に苦しみながらも韓国に勝つことができた(小誌2008年8月31日「●偽装スタメンの背景」 < http://www.akashic-record.com/y2008/hjlost.html#02 > 、2008年7月8日放送のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』「チームは、“背中”と“口”で引っ張る プロ野球選手・宮本慎也」 < http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080708/index.html > )。】
_
その後米国は第2R 1組に進んだものの、初戦の日本戦では、塁審が認めた日本の決勝点を、マルティネス監督の抗議を受けたボブ・デービッドソン球審が取り消した「疑惑の判定」のお陰でかろうじて勝ったのを始め、苦戦の連続だった(朝鮮日報日本語版2006年3月13日付「『明らかな誤審』に救われた米国」 <
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/03/13/20060313000035.html > )。
米国は日本戦に続く韓国戦、メキシコ戦に連敗し、勝率では日本、メキシコと並んで2位になったが、失点率で日本を下回り、結局決勝トーナメント(T)に進めなかった。
_
米国が国際大会にいかに不慣れだったかを如実に示す証拠は、アレックス・ロドリゲス(A・ロッド)三塁手(MLBニューヨーク・ヤンキース)を米国代表に入れたことだ。
彼は所属球団では四番打者であり、年間40本前後の本塁打を放つ「大砲」(ホームランバッター)で、米国籍を持っているが、親がドミニカ共和国出身であるため、WBCのルールでは同共和国代表として出場することも可能だった。

_
【カリブ海には、旧英国領のドミニカ国と、旧スペイン領で野球の盛んなドミニカ共和国とがあるが、ここでいう「ドミニカ」はすべて後者である。】
_
マルティネスは、A・ロッドを重要な戦力と考え、米国代表に加えた。しかし、A・ロッドは2006年WBCでは大して活躍できなかった。6試合に「主砲」(打順は四番、おもな守備位置は指名打者、DH)として出場したのに、1本の本塁打も打てず、米国敗退の一因となった。
_
なぜこんなことになったのかと言えば、米国が国際大会と国内リーグの違いを知らなかったことに尽きる。
日米のプロ野球で年間何十本も本塁打を打つような「大砲」であれば、韓国、メキシコ、キューバの代表チームの投手陣など、自国の基準では二流選手か「一・五流選手」にすぎない選手が多いため、「通常は」さほど恐れることはない。
そんなレベルの投手が相手チームの先発投手として出て来ても、(1試合に3~4打席対戦するとして)3試合10打席ぐらい対戦すれば、その間に球筋が読めるようになり、10打数3安打、つまり3割ぐらいの確率でヒットを打つことは十分可能だし、その3本のなかに本塁打が含まれることもありうる。
が、国際大会ではほとんどの場合、同じ投手とは1試合、3打席以下、最悪の場合は1打席しか対戦しない。つまり、球筋が読めるようになる前に、大会は終わってしまうのだ。
このため、一流の打者が二流の投手を打ちあぐねる、などという「番狂わせ」が頻繁に起こる。だから、たいていの国際大会の試合は投手戦になり、大砲が額面どおり本塁打を量産することはほとんどない。
_
国際大会で勝つには、本塁打は打てなくても出塁率が高く、少ないチャンスを確実に活かせる機動力(盗塁、バント、ヒットエンドラン)を使える選手と、そうやって取った少ない点数を確実に守り切れる投手力と守備力を持つことが、必要かつ十分なのだ。
したがって、日米のプロ野球の1軍(メジャーリーグ)ではほとんど通用しないレベルの二流選手ばかりをそろえた代表チームでも、事前の合宿や練習試合や、国際審判(のストライクゾーン)への対策がきちんとできていれば、一流選手をそろえた強豪国の代表チームに勝つことができる(その典型が、2006年WBCで米国に勝ち、2008年北京五輪本大会で優勝した韓国)。
2006年WBCでは、A・ロッドは守備力に問題があってDHにまわされ、機動力もあまり使えず、韓国戦やメキシコ戦の勝負どころではほとんど打てなかった。つまり、いちばん国際試合に向かないタイプの選手だったのだ。
_
そのA・ロッドが、2009年WBC代表候補選手のリストにもはいっている…………但し、こんどは米国代表ではなくドミニカ代表の候補だ。
つまり、前回A・ロッドを主砲として必要としていた米国は、こんどは一転して「要らない」と言った(米国代表にはいれと説得せず、本人の意志に任せた?)のだ。
_
この米国の豹変ぶりに、「いい意味でも悪い意味でも、米国は国際スポーツビジネスとしての野球にめざめたのだ」と筆者は感じた。

_
+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+

        警察小説・刑事ドラマ史上、初
               ↓
   http://www.akashic-record.com/fort/cntnt.html

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+
TEL/FAXで宅配(本体\1800+α) → < http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d03/tokyo/01.htm >
_
●めざめた米国●
「いい意味」とは、米国が国際大会の正しい戦い方を悟ったという意味だ。
2006年の失敗に懲りた米国は、2009年WBC米国代表監督には、デーブ(デービッド)・ジョンソンを選んだ。彼は、2004年アテネ五輪野球ではオランダ代表監督、2008年北京五輪野球では米国代表監督を務めており、国際大会の経験が豊富だ。五輪を知る彼なら、間違っても国際試合の最中に放送席に上がり込んだりはしない。
_
「悪い意味」とは、「国際大会の成績は、実力だけでは決まらない」という、国際サッカービジネス関係者のあいだでは周知の事実に、ようやくMLBの米国人経営者たちも気付いた、という意味だ。
_
たとえば、2002年ワールドカップ(W杯)サッカー本大会で韓国がベスト4にはいれたのは、実力によるのではなく、韓国有利の「誤審」が相次いだお陰である(最初の誤審が生まれる「韓国対ポルトガル」戦の前日、2002年6月13日に配信された小誌の予測記事「●いまこそ『奥の手』を~審判に『期待』」 <
http://www.akashic-record.com/y2002/wcup.html#04referee > を参照)。
また、W杯などの国際大会で出場チームの成績を左右する、一次(予選)リーグ(L)の組分け抽選が厳正に、公正中立に行われていないことは、過去のW杯や五輪の本大会や地区予選を見ればわかる(小誌2002年5月28日「組分け抽選の不正」 <
http://www.akashic-record.com/y2002/wcup.html#02 > を参照)。
_
国際大会で好成績を上げるには、自国を強くするだけでは不十分だ。ライバル国を不利な状況に置き、あるいは弱くする必要があるのだ。米国は2006年WBCでは、デービッドソンに頼んで急遽「誤審」をしてもらって日本戦に勝ちはしたが、その程度の場当たり的な策では、韓国やキューバのように国家的威信を賭けて準備して来る国には到底勝てない。
_
●ドミニカ潰し?●
WBCはMLBのシーズン開幕直前の3月に開催される。このため、WBCに出場するメジャーリーガーの選手は、その間、所属チームのキャンプやオープン戦に参加できなくなる。これは、シーズンに臨むうえで明らかにマイナスだ。
_
そこで、各国の代表候補選手に選ばれてもWBCへの出場を辞退する選手が出て来る。
たとえば、2009年WBC日本代表一次登録メンバーの候補に選ばれていた斎藤隆投手がそうだ。彼は、2008年までMLBナショナル・リーグのロサンゼルス・ドジャースに所属していたが、2009年にはいってから、MLBアメリカン・リーグのボストン・レッドソックスに移籍することが決まった。
移籍すると、監督も投手コーチも捕手も変わるから、斎藤は時間をかけて彼らとコミュニケーションをとって、チームの方針を確認したほうがいい。とくに、いままでほとんど対戦したことのないア・リーグの打者の攻略法を、斎藤はコーチや捕手と一緒に時間をかけて研究しなければなるまい。
このため、斎藤は、レッドソックス球団幹部と話し合った末に日本代表を辞退することに決める(読売新聞Web版2009年1月14日「レッドソックス・斎藤隆、WBC辞退」 <
http://www.yomiuri.co.jp/sports/wbc/2009/news/20090114-OYT1T00853.htm > )。
_
これは、ある意味で当然のことだ。斎藤の所得の大部分は所属球団から支払われる年俸であって、WBCのギャラや賞金ではないからだ。だから、球団幹部も、移籍1年目の斎藤を十分活躍させてあげたいという気持ちから、WBC出場辞退をすすめだろう。
_
しかし、すべてそうなのだろうか。
WBCの各国代表候補に選ばれながら(あるいは、代表レベルの実力を持ちながら候補に選ばれる前に)出場辞退を決めたメジャーリーガーのすべてが、自分自身や所属球団のためだけに辞退して(辞退させられて)いるのだろうか。
_
MLBには30球団あるが、そのうち29球団の本拠地は米国にある。したがって当然、球団オーナーの大半は米国人であり、彼らは米国に対して愛国心を持っている。彼らオーナー、あるいはその意を受けたゼネラルマネージャー(GM)が、WBCで米国を優勝させるため、という「悪意」に基づいて、自分の球団に所属する、米国のライバルになりそうな強豪国出身の選手に、WBCに出るべきでないという「助言」を与えることは可能だ。
_
そういう被害を受けた疑いがもっとも濃厚な国が、ドミニカだ。
2009年1月に発表されたドミニカ代表一次候補選手のリストには、MLBで年間30本前後かそれ以上の本塁打を毎年打っている大砲がずらっと並んだ:
_
アレックス・ロドリゲス(A・ロッド)三塁手(ヤンキース)
デービッド・オルティーズ一塁手(DH)(レッドソックス)
アルフォンソ・ソリアーノ外野手(MLBシカゴ・カブス)
ハンリー・ラミレス遊撃手(MLBフロリダ・マーリンズ)
アラミス・ラミレス三塁手(カブス)
_
ミゲル・テハダ遊撃手(MLBヒューストン・アストロズ)
ホセ・レイエス遊撃手兼二塁手(MLBニューヨーク・メッツ)
カルロス・ペーニャ一塁手(MLBタンパベイ・レイズ)
エイドリアン・ベルトレ三塁手(MLBシアトル・マリナーズ)
_
アルバート・プホルス一塁手(MLBセントルイス・カージナルス)
ヴラジミール・ゲレロ外野手(MLBロサンゼルス・エンゼルス)
_
しかし、このうち最後の2人は故障持ち、最初の5人は守備がうまくないことで定評のある選手だ。オルティーズは、レッドソックスを2008年のプレーオフ出場に導いた「主砲」だが、近年シーズン中はDHばかりでほとんど守備をしていないので、1つしかないDHのポジションは彼が取るだろう。そうすると、どうしても守備のうまくない5人のうちのだれかが守備に就くことになる。しかし、ソリアーノは二塁手としての守備がへたくそすぎて外野手にコンバートされた選手で、元々どこを守っても守備はうまくないし、ハンリー・ラミレスは毎年30本前後の本塁打を打つものの、それと同じぐらいの数のエラー(失策)をする。
_
国際大会は短期決戦なので、勝負どころでのエラーが大きく影響する。その重大性は、2008年北京五輪野球決勝Tで失策を繰り返したG・G佐藤外野手(埼玉西武ライオンズ)を思い出せば十分だろう。彼のエラーも一因となって、日本はメダルをのがしたのだから。
_
それでいて、このドミニカのリストには、MLBで最多勝や最優秀防御率のタイトルを争うような好投手がほとんどはいっていない。米スポーツ専門TV局ESPNは、2009年1月時点における各国の代表候補選手を分析し、日本の投手力を最高、ドミニカの投手力を最低に近いと評価した(all about 2009年1月26日「瀬戸口仁:ドミニカ強烈…WBC一次登録メンバー徹底分析」 <
http://focus.allabout.co.jp/contents/focus_closeup_c/baseball/CU20090126A/index/ > )。
_
どうもドミニカは(米国人オーナーたちの陰謀によって?)国際大会に必要な好投手や守備のうまい野手などを奪われ、代わりに守備の下手な大砲を集中的に押し付けられたように見えるのだ。

_
+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+

          恥を知れ、ぬすっとブロガー

         小誌記事をコピペすることは違法です

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+
_
【ちなみに、2008年北京五輪野球韓国代表の四番打者で、五輪本大会準決勝の日本戦で決勝本塁打を放ったイ・スンヨプ(李承ヨプ)一塁手(巨人)は、2009年WBCの出場を辞退する意向を表明している(毎日新聞Web版2008年11月10日「巨人:イ・スンヨプがWBC辞退の意向」 < http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/pro/news/20081110k0000m050065000c.html > )。この発言が、純粋の本人の意志によるものなのか、それとも、だれかの差し金なのかは不明だが、これによって2009年WBC韓国代表が弱くなったことは間違いない(中央日報日本語版2008年12月27日付「WBC 金寅植監督『李承ヨプ・朴賛浩を最後まで待つ』」 < http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109334&servcode=600&sectcode=620 > )。】
_
【李承ヨプが辞退したため、2009年WBC韓国代表チームで数少ない「海外組」の中心選手になりそうなチュ・シンス(秋信守)外野手(MLBクリーブランド・インディアンズ)にはチームリーダーとしての役割が期待されている。彼はMLBで2008年シーズン「打率.309、14本塁打、66打点」と活躍したので、当然だ。しかし、インディアンズ球団は彼のWBC出場について「韓国代表チームの合宿に参加しない(チーム合流は3月1日の東京入り後)」「外野手としてプレーできるのは(各ラウンド)1試合だけ」という条件を付けられた(朝鮮日報日本語版2009年2月4日付「祖国もチームもあきらめられない(下)」 < http://www.chosunonline.com/article/20090204000036 > )。
いくらなんでもこれは「やりすぎ」だろう。これは、インディアンズ球団が韓国代表監督の采配に介入した、ということだ(前者の条件は最終的に秋信守が拒否し、彼は合宿に参加した)。
第1R A組は東京ドームで行われるので、外野手が堅い人工芝の上でダイビングキャッチをして怪我をしたら、球団としては困る。だから、第1Rで外野守備に制限を付けるのはわからないでもない。しかし、サンディエゴの天然芝球場で行われる第2Rでも「外野守備は1試合だけ」というのは、球団側の要求として異常だ。日本代表候補のイチロー外野手が所属するマリナーズからなんの条件も付けられていないことと比較して考えれば、秋信守の起用法に課されたこの異様な制約は「日米が結託して韓国を弱くしようとした結果」と考えても、あながち邪推とは言えまい。】
_
約1000人いるメジャーリーガーのうち、ドミニカ出身者は100人以上で、しかも一流選手が多いことは米国の野球通にはよく知られている。だから、ドミニカ代表が必要な人選と準備をして臨めば、日米を倒して優勝する可能性はおおいにある。
_
しかし、ドミニカは貧しい国だ。もしそんな国が準決勝で米国を退けて決勝に進出してしまったら、どうなるか。
米国民は決勝戦に関心を失い、TV視聴率は低迷し、関連グッズや入場券の売り上げも伸びず、大会が盛り上がらないことは確実だ。
_
米国にとってもっとも望ましいのは、日米の2大経済大国が決勝で対決することだ。そうすれば、WBCは……いきなり「W杯サッカー並み」とまでは行かないにしても……国際スポーツビジネス界の堂々たる一角を担う存在になろう。
_
だからこそ、(事実上の)主催者には日米の団体や企業がはいっているのだ。これは「日米の日米による日米のための大会」であり、両国の「野望」のためには、ドミニカなど、日米以外の強豪国は早めに敗退してもらう必要がある。その日米の意図は、2009年大会から適用されるルール改正を見ると、もっとよくわかる。

_
_
【次回 < http://ameblo.jp/akashic-record/day-20090224.html > へ続く。】
_
(敬称略)
_
【一度投票したらもうできないと勘違いしている方がおられるようですが、「score!」は前回投票された方でも何度でも、記事ごとに投票できます(最新のscore!は投票後にWebでご覧頂くことができ、最新順位は翌月下旬に発表されます)。この記事がよい(悪い)と思ったら(ホームページランキングとは別に)「追伸」「Copyright」「メルマ!PR」の下、メルマガのいちばん下をクリックして「score!」ページの3段階評価もお願い致します。】
_
追伸:
本メールにご意見等を投書されたい方は本メールに返信する形で投書を下されば、スタッフ(編集部)によるセキュリティ等のチェックを経て、数日後に筆者に転送されます。
但し、melma.comのシステム上、誠に申し訳ございませんが、本メールに返信されても「退会」手続きは成立しません。
_
Copyright (C) 2001-2009 by Satoshi Sasaki
All rights reserved. 不許複製、禁無断転載
_
_
【この記事へのご意見等は、ブログの「コメント」としてではなく、なるべくメールマガジン( < http://www.akashic-record.com/admin/regist.html > )への返信としてお寄せ下さいませ。スタッフ(「週刊アカシックレコード」編集部)はメールマガジンを最優先に対応しておりますので、返信メールのほうが、佐々木敏本人の目に触れる確率が高くなり、目に触れる時機も早くなります。ただ、なにぶん頂くファンメールの数が非常に多いので、すべてにお返事を差し上げることはできません。あしからず御了承下さいませ。】

トラックバック

この記事のトラックバック Ping-URL :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/akashic-record/10212365465/47a61afb

Amebaおすすめキーワード