今回から数回に分けて統合失調症について解説をしてみたいと思います。統合失調症に罹患すると、感覚器が捕らえた周囲の情報を脳が受け取って理解する過程が影響を受けます。すると、自分の考えをまとめたり、周囲の人々と良好な関係を築いたりすることが困難になります。でも、多くの方は適切な治療を受けることによって、症状の改善をみることができます。まずは、症状を認識できることが症状緩和の第一歩です。そこで、今回は症状についてお話をしたいと思います。

統合失調症

1.症状について
 一般的症状について「陽性症状」「陰性症状」「認知症状」を順番に解説していきたいと思います。

「陽性症状」
 現実には起こっていないような考えや信念、感覚などを意味します。

 真実ではないことを信じてしまい、理由はわからないけれど、後をつけられている、傷つけられる、あるいは殺されるといった恐怖を感じます。
こうした症状を妄想(もうそう)と呼びます。

 他人が経験していないような音や声が聞こえたり、ものが見えたりします。
こうした症状を幻覚と呼びます。
 騒音がいつもよりうるさく聞こえて、会話に集中できなかったり、他人の話が理解しにくかったりします。色がいつもより明るく見えることもあれば、影が見えることもあります。

 具体的に挙げてみましょう。

(過剰な猜疑心)
・傷つけられたり殺されたりするという恐怖を大いに感じる。
・人が私を陥れようとしている。
・誰かが私を見張っている。
・誰かが私を毒殺しようとしている。
・後をつけられている。
・誰かが私をだまそうとしている。
・人が私について話したり馬鹿にしたりしている。
・誰かが私の持ち物を調べたり動かしたりする。

(妄想)
・私には特別な力や知識がある。
・時折、人の考えを読み取ることができる。
・私の考えを他人が読み取ることがある。
・テレビから出演者が直接私に話しかける。
・私の考えや行動を、他人がコントロールすることがある。
・体の中の何かが動いて外へ出ようとしている。
・著名人と特別か関係がある。

(感覚の過剰刺激)
・ある種の色をうるさく感じるー明るすぎたり強すぎたりする。
・騒音や音が多すぎるー聞きたいことに集中できない。
・騒音がいつもよりうるさいことがある。
・明かりにとても悩まされるーまぶしすぎる。

(幻覚)
・私の後をつけている人の目を感じる。
・幽霊のような人影を見る。
・他人には聞こえないような声が聞こえる。
・私のことを話している二人の声が聞こえる。
・私に命令する声が聞こえる。
・私の食べ物や飲み物は、まるで毒が入っているような味がする。
・胸がむかつくほどの甘い匂いがする。
・皮膚の上を何かが張っている感じがする。

「陰性症状」
 気力ややる気が欠落している状態です。元気だった頃はよくしていたことをする気がなくなります。

 次のようなものがあります。

・他人と付き合うのが困難なことがよくある。
・たいていは、一人でいる方が好きである。
・どんな仕事も計画したり始めたりするのがおっくうである。
・一日中寝ていたいと思うことがしばしばある。
・体を洗ったり、髪をとかしたり、服を着たりするのがいやである。
・他人と話したいと思うことがめったにない。
・楽しみがほとんどない。
・顔や声に表情・感情がないと人から言われた。
・何もしたくない。

「認知症状」
 学習や集中力に問題がある場合です。読書やテレビに集中できない、たとえば初めての場所へはどう行けばよいか、新しい情報を習得するのに困難を感じます。他人の話に集中しにくかったり、自分の思いを説明するのにうまく考えをまとめられなかったりします。

 具体的に挙げてみましょう。

(集中力の低下)
・注意力が長時間持続しない。
・考えることが多すぎて、頭がパニック状態になることがある。
・考えが混乱したり支離滅裂になったりすることがある。
・読書や映画の筋を追うのが難しいことがある。
・人の話に集中できないことがある。
・考えをまとめにくいときがある。
・周囲の騒音を聴きとれないことがある。
・話の筋道がそれることがある。

(対話の困難さ)
・会話を始めるのが困難である(言うことがみつからない)。
・自分の考えを表現するのが困難である。
・人の話が理解できない。
・対話が困難である。
・自分が言おうとしていることを相手が理解できないときがある。

 このような症状が認められた場合、統合失調症によるものかもしれません。人がなぜこうした症状を経験するのかについて多くの理論がありますが、一つの説明として、脳内の化学物質がバランスを欠いたときに症状が発現するという説があります。成人の百人に一人がこうした病気を患っているのです。なぜ人によって罹患したり罹患しなかったりするのか、その理由は不明です。
 症状緩和の最善策の一つとして、脳内化学物質のアンバランスを正すために役立つ薬物療法があります。服用を続ければ、症状の改善が大いに見込まれます。先に挙げた症状でお悩みの方は、早めに専門の医療機関を受診されることをお勧めいたします。
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