“男女の結婚における最大の障害はその親たちである”

せっかく縁を紡いでも、
どちらかの親のエゴによって破談になってしまうことが、
しばしば起こります。


あるカップルは、本人同士、結婚する気満々なのに、
女性側のお母様が「どうしても承諾できない」と。


理由は男性の勤務先が「気に入らない」とのことでした。

男性がお勤めする会社は日本を代表する某巨大メーカーです。


その創業者は永年「経営の神」と称され、
これから先、何百年も偉大な「歴史上の人物」として、
その功績を語り継がれる存在です。


たまたまここ数年、経済をとりまくあらゆる要件が重なり、
業績不振に陥っていますが、

仮にももしこの巨大企業に何かあるとしたら、
それは日本経済そのものの危機です。


「今、あれだけ危ないって騒がれている会社に勤めている人を
ウチの娘に会わすなんて、あなたは何を考えているんですか?」


お母さんの辛辣極まりないその言葉に、一瞬めまいがしました。


「お母さん、何を根拠にそんなことをおっしゃるのですか?」


「何を根拠って、新聞やテレビでも言っているじゃないですか、
すごい赤字を出して、大勢の社員をリストラするって…。

その人だって、必ずそうなりますよ!

とにかく、この縁談については、
親として認めるわけにはいきませんので、
それだけははっきり申し上げておきます!」


“その人だって必ずそうなりますよ!”とは、
本当に聞き捨てならない言葉です。


娘さんの将来を案ずる気持は分かりますが、
お母さん、いったい、あなたが社会のこと、世の中のことを
どれだけ知っているんですか?


一昔前までは、許婚(いいなずけ)といって、
ある階級に属する人々にとって
家同士の発展や存続の手段として、
親が子供の婚姻を決めることが常識でした。


愛し合う男女が、親や家の都合によって引き裂かれるという悲劇は、
物語の定番でした。


そのような家柄、家系を守るという義務もない、
ごく普通の家庭に生まれ育ちながらも、
親の束縛や固定観念によって、
ご破算になっていく縁を見るのはいたたまれません。


こうした、特に母親が娘の結婚を壊す場面に遭遇するたびに、
声を大にして言いたくなります。


「たとえかけおちしてでも親から離れないと、
あなたはいつまでも結婚できないよ」と。


もちろん、そんなアドバイスを誰にもしたことはありませんし、
できませんが、本当にそうしないと幸せになれない。


現実として、そんな親を持つ娘さんたちは大勢います。