電離の直接障害と酸化ストレス障害 | タイ語、単語帳の素材?

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備忘録。

2015年5月下旬にタイトル変更。
ここは、site δ です。

 黄金週間も開けかなり暖かくなったので、ブログの記事内容も少しモードを転換していこうと思う。

 さまざまな症状が何故現れるのかを考えるためには、●が生体にどのような影響を及ぼすのかを知っておく必要があるだろう。そこで今回は、

 放射線被曝は、(1) 電離の直接損傷による障害と(2) 誘発された酸化ストレスによる障害とを招く

ということを解説してみたい。この文を読んでピンと来た方は、退屈だろうから読み飛ばして欲しい。

 先ず「原子力百科事典 ATOMICA」を引いてみると、

放射線影響と放射線防護の<中項目> 放射線による生物影響の<小項目> 生物効果の基礎原理
放射線の直接作用と間接作用 (09-02-02-10)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-02-10 (リンクはココ

 生物に対する放射線の影響を分子レベルで見た場合、放射線のエネルギーがその分子に直接吸収されて障害をおよぼす直接作用と、他の分子がエネルギーを吸収し活性生成物を作り、それが標的分子と反応して標的分子に障害を及ぼす間接作用に分けることができる。
 直接作用は乾燥状態の物質に対するときに起こる。生体(細胞)では放射線の水分子(細胞の80%を占める)への作用の結果、生成したラジカルや分子生成物が生体内成分に障害を引き起こす間接作用が中心となる。(強調は引用者)

影響には2種類ある、と分類できるらしい。直接作用と間接作用。また、生体には水が多いので、間接作用が障害を引き起こす中心になるらしい。ちなみに、ここに出てくる用語「ラジカル」とは、遊離基のことであり(http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=709。リンクはココ 。原子力百科事典 ATOMICAから)、

ラジカル
 1個またはそれ以上の不対電子を持つ原子または分子をいう。ラジカルは一般に不安定であり、単離できるものは少なく、反応や分解の中間体として存在していることが多い。ただし、稀に溶液中で安定に存在するものもある。

 まとめだけだと分かりにくいかもしれないので、図解しておこう。

●の影響-X線の作用

             図 DNAに対するX線の直接作用と間接作用 (冒頭リンクの図1から)


 直接作用についての解説を冒頭リンクから抜粋すると、

 放射線のエネルギーが標的分子に直接吸収されて障害を及ぼすことを放射線の直接作用という。乾燥状態の純粋な物質に放射線を照射したとき、放射線のエネルギーは標的分子に直接吸収されると考えられるので、この作用は直接作用である。
 直接相互作用により標的分子は励起あるいは電離し、余分なエネルギーを持つため不安定になる。この余分なエネルギーを放出する過程で標的分子の共有結合が切れて2つのラジカルになることがある。これが直接作用の実体である(図1)。(強調は引用者)


 他方、間接作用についての解説を冒頭リンクから抜粋すると、

 標的以外の分子が放射線のエネルギーを吸収しラジカル等の活性体をつくり、その活性体が標的分子と反応して障害を及ぼすことを間接作用という(図1)。水溶液では放射線のエネルギーはまず水分子に吸収され、その後次項に述べるように、ヒドロキシルラジカル(HO・)、水素ラジカル(H・)、水和電子(eaq-)、H2、H2O2[過酸化水素]などのラジカルあるいは分子生成物が生じる。そして、それら活性体が水中を移動して標的分子と化学反応をおこして作用する。・・・

 [このようなラジカル又は分子生成物]が溶液中の溶質と反応することにより化学的過程が起こる。HO・及びH2O2は酸化力が強く有機物と反応して間接作用の主因をなすと考えられる。(強調は引用者)

この酸化力の強いラジカルあるいは分子生成物(HO・及びH2O2)は、最近の流行だと「活性酸素」の一種とも言われている。従って、活性酸素による酸化力が間接作用の主因である、とも言い換えることができる。また、この活性酸素による酸化力は、生体を傷つけるストレスでもあるので、「酸化ストレス」とも呼ばれている。つまり、酸化ストレスが間接作用の主因である、とも表現することができる。

 以上のことから、放射線被曝は、(1) 直接作用と(2) 間接作用とを招く、とも言えるし、ちょっと用語をおきかえると、

放射線被曝は、(1) 電離の直接損傷による障害と(2) 誘発された酸化ストレスによる障害(oxidative stress damage)とを招く

とも言えることが分かるだろう。さらに、生体内には水が多いので、後者の障害が主体と言えるらしい。

 次の回では、酸化ストレス(あるいは活性酸素)が生体にどのような障害をもたらすかを考えることとしたい。(続きはココ


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注) ・5/9 誤字訂正。
・5/11 続きリンク貼り。