被災地へ行く PART14 ⑥〜岩手にて〜 | あいうえおのブログ

被災地へ行く PART14 ⑥〜岩手にて〜

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前回記事


被災地へ行く PART14 ⑤~気仙沼から岩手へ~


の続きです。


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DJ YASUSHIくんのご実家は岩手県大船渡市


沿岸部ではなく内陸部にあります。


山に囲まれているため津波の被害はありませんでした。


(もちろん地震はすさまじいものであったはずです)






まず驚いたのが、お母さんの地震直後の対応力。




地震が来てすぐに電気が危ないからロウソクを用意する。


ラジオを用意する。


水を確保する(山から水をひいているけど濁るかもしれないので)。


暖をとったり料理のため薪を用意する。


などなど…





積雪のときのために蓄えているとは言え、


ここまで的確に「次はこれ、次はあれ」と動けるのは


なかなかできるものではないと思います。




お母さん実は過去に大津波を経験していたのです。


避難した高台から大きな渦を巻きすべてを飲み込む


津波を見たそうです。


(※1960年5月23日チリ地震津波のことだと思われます)




さらに遡ると赤十字で災害対応のお手伝いをしていたことも。




そんな経験(もちろん意識の高さもありますが)から、


いち早く近所の方々をまとめ沿岸部の人達のために


炊き出しを行ったそうです。




本来災害時の炊き出しなどの活動は許可が必要だけども


「そんな場合じゃない」との自主的な判断で行ったとのこと。







もうね、うなりっぱなしですよ。


同じだけの行動ができる人がどれだけいるだろうか。




結局3~4時間聞いていたのですが


その間様々なお話がありました。






全ては書ききれないのでひとつだけエピソードを紹介します。






お母さんのご友人(以下"男性"とします)が


3/11の大地震の直後、奥さんの身を案じ


職場から沿岸部の自宅へ車で向かっていたそうです。






きっとこの後津波が来る。その前に奥さんの元へ。






あと少し、あと少し…っ






そして自宅のすぐ近くまで来たときのこと。






津波がすぐそこまで来ている!!


これ以上行ってしまっては津波に流されてしまう!!






「奥さん、ごめん!!」






自宅にたどり着く前に方向をかえ高台に向かったそうです。




自宅は津波に飲まれ、奥さんは行方不明に。





男性はその後あちこちの避難所を探し回りました。


三日三晩。






きっと生きている、どこかに避難しているはずだ。


まだみつからない、もしかして…




そんな不安につぶされそうになったとき


車の窓をコンコンとノックする音が。





そう、奥さんです。






奥さんも避難していて津波から逃れ、


男性と同じように探し回っていたのです。






感動の再会!!




…というよりホッとした方が強かったようです。





奥さんは足があまりよくなく、歩き回ったせいで


その後不自由な生活になってしまったそうです。




他人がこんなことを言うのは失礼かもしれませんが


それでも生きて再会できてよかった。


聞いていてそう感じました。






これは感動のエピソードとしてではなく


あの震災のリアリティそしてあるひとつの教訓が


詰まっているお話として紹介します。






災害時や緊急時、どうしようもないときは


家に戻ったり逃げずにとどまるのではなく


身の安全をまず考えてとにかく逃げるべき


ということなんです。





宮城県女川町に立てられているいのちの石碑


でもこうつづられています。


(※こちらの過去記事を参照)






「逃げない人がいても、


無理矢理にでも連れ出してください。


家に戻ろうとしている人がいれば、


絶対に引きとめてください。」






このお話では男性も奥さんもそれぞれに


津波に飲まれないよう高台へ避難したことが


最大のポイントになっています。




あいうえおの活動を通じてこれまで聞いたお話でも




「たとえ誰かの身を案じたとしても


沿岸部に向かうのではなく各自で高台へ逃げる」




これが教訓になっているようでした。






実は今回の先発隊はスケジュールの関係で


ほとんど視察ができないまま帰ることになっています。




特に先発隊ははじめてあいうえおに同行してくれる


人が多かったのでそこが心配でしたが




そんな中でもこの夜の貴重なお話を聞けたことで


それぞれにたくさんの思いや気持ちを抱え感じることが


できました。






何度も東北へ行っているメンバーも


はじめて聞くようなケースがあったり


これまで聞いてきた話とリンクしてつじつまが合ったり


とても有意義でした。






DJ YASUSHIくんにはイベントを紹介してもらったり


車を出してもらったり実家に泊めてもらったり


それだけではなくご両親のお話も聞けて


頭が上がりません…


ありがとうございました!!




ご両親もありがとうございました!!








さぁ、翌日も朝早いので就寝しましょう。




さらにモリモリで有意義な1日になることでしょう!!






つづく