でんでん虫
の
かなしみ。
ある ひ
その でんでんむしは たいへんな ことに
きが つきました。
「わたしは いままで うっかりして いたけれど、
わたしの せなかの からの なかには
かなしみが いっぱい つまって いるのでは ないか」
と その でんでんむしは おともだちに いいました。
「わたしは なんと いう ふしあわせな ものでしょう。
わたしの せなかの からの なかには かなしみが
いっぱい つまって いるのです」
すると おともだちの でんでんむしは いいました。
「あなたばかりでは ありません。
わたしの せなかにも かなしみは いっぱいです」
こうして、 おともだちを じゅんじゅんに たずねて いきましたが、
どの ともだちも おなじことを いうので ありました。
とうとう はじめの でんでんむしは きが つきました。
「かなしみは だれでも もって いるのだ。
わたしばかりでは ないのだ。
わたしは わたしの かなしみを こらえて いかなきゃならない」
『新見南吉 でんでんむしのかなしみ』 より抜粋






