先日もある方からの実生活に密着した質問を受け、それに対して自分なりに実践していることを改めて考えてみたのですが、それにはたくさんの選択肢を持って、その時に一番適した方法を選んでいくことが不可欠のように思いました。
その一つの選択肢が、「苦しみは相対的なものだ」ということでした。
その時、その人にとっては大変辛い状況だったとしても、その人よりずっとずっと苦しい状態の人は存在しています。
先日、久しぶりにネパールの友人と話したのですが、それを如実に感じたのでご紹介します。
数年前にネパールを訪れた時のショッキングな光景をご紹介したことがありました。
http://www.joyus.jp/hikarinowa/shrine/0025.html
ここに書きましたように、ネパールは水力発電のみのため、水が不足すると電力が供給されず、強制的な停電措置がとられるのです。
私が最後に訪れたのは2008年でしたが、この時の停電は毎日8時間。
その後も停電はずっと続いています。地球温暖化の影響で、ヒマラヤの雪解けが進み、慢性的に水が不足しています。昨年は1日8~18時間の停電だったのですよ!
夏ごろは、4時間ほどになった(雪がとけたため)と喜んでいましたが・・・。
みなさん、どうですか!
毎日18時間も停電したら、日本人はパニックになってしまいますよね。昨年の東北大震災の影響で、東京も輪番停電との発表に、私たちも慌てて準備をしたのは記憶に新しいことでした。
昨年は1日18時間の停電がとても多かったのですよ。しかし、彼らはそれが日常なので、慌てたり怒ったりしることなく、淡々と受け止めていました。 もちろん商売人やホテルなどは自家発電を備えていますが。
今年はネパールも寒いようで、すでに南の地方では凍死者が出ているとか。本当にいたましいことです。
私が訪れた時、2月の寒空に、裸足で物乞いしている母子を見た時、言いようもない悲しみに襲われました。
灯油は高いし、何時間並んでも買うことができなかったりしているのは昔と変わりません。
しかし、友人からは、また驚くべきことを聞きました。
「ネパールはさぞかし寒いでしょう。暖房はどうしているのですか?」と聞くと
「暖房は一切入れられません(電気も灯油も不足しているからです)。寒くても我慢します。夜は寝袋だけだと寒いので、厚いジャンパーを着込んで、靴下もはいて寝ます。」
ネパールのカトマンズは盆地のため、冬寒く、夏は蒸し暑いのです。
※友人が送ってくれたマナンという町からの山々です
夏に「熱いでしょうが、冷房は?」と聞いた時は 「入れられません。どんなに熱くても我慢します」と言っていました。
入れられないのですから、我慢するしかないのです。
どうです、みなさん!
震災後も節電しましょう! とのスローガンはありましたが、東京では停電するほどではないですし、寒いからとついつい暖房を入れてしまったり、外に行けば暖かいお店でゆっくりとお買い物などしていませんか。
冬は雪が溶けないので、一層停電が増すのです。この悪循環。 小さい子供やお年寄り、病人には過酷な環境ですよね。
一般家庭には洗濯機はあまり普及していないですし、第一、水不足ですから、日本のような全自動洗濯機や水洗トイレは顰蹙ものでしょう。
お風呂にお湯をためて入ることも(私の友人は)ないようでした。
これは生活の一例ですが、これだけでも、私たち日本人がいかに恵まれているかがわかりますよね。
自分の苦しみやちょっとした不満などはいかに贅沢な悩みであるか。日本人は私たち出家者でも彼らから見れば王侯貴族のように恵まれた生活なのです。
以前友人が「日本では24時間、いつでも水がでるのですよね? いつでも電気がつくのですよね?」と聞かれて一瞬絶句してしまったことがありました。 その時はまだネパールの現状をよく知らなかったからです。
人の視点は自分が中心になります。自分より恵まれない人のことを考えたり、生きること自体が必死な人達もいるということを認識して、苦しみを相対化して、苦しみを消滅させ、更にすすめて自分の今の環境全般に感謝を持つことが、三仏心経の「万物感謝」に通じると思います。
みなさんもぜひ実践してみてください。


