「グローバル社会における学生の在り方」 西川様 インタビュー(2)
2012-02-20 14:16:42
テーマ:ブログ
「西川さまの取り組み「Salon de Eigo」から留学時代の経験まで」
西尾:西川さまはグローバル人材の育成を支援するため「Salon de Eigo」(以下、SdE)を始められたのでしょうか?
西川さま:グローバル人材にとって、英語が全てと言うつもりは毛頭ありませんが、グローバル・コミュニケーションのツールとして英語は非常に重要です。SdEを始めた理由は、まずは底辺の底上げです。つまり、社内に最低限度の実用英語が出来ない社員がいなくなるようにしたいということです。従来、商社には国内の事業だけやっている部隊もあり、英語ができない社員がいてもいいのではないかという風潮がありました。しかし例えば、そんな人たちが役員になり、投融資審議会や経営者会議の当事者になれば「英語はできません」では済みません。これまでは、何とかなっていたとしても、これからは、それではすまない時代になっています。そこで全体の底上げが必要になってくるのです。
どの企業の人事部もいろいろな対策を実施しています。例えば、多額の金を投じて社内研修を開催したり、社外でレッスンを受けさせたり、多様な研修制度を構築していますが、それでもまだまだ足りないと私は思っています。やる気のある人は、どんどんやるのですが、必要性を感じていない人も多くいます。時間がないという理由で動かない人もいます。
しかし、昼食時の一時間くらいなら誰でも時間がとれるだろうと思ったわけです。そして、英語だけではなく、異文化理解を含むグローバルなコミュニケーション能力を身につけ、そこからさらに飛躍して欲しいと思っています。
SdEの場を利用して社内での交流も始まります。普段は全く会わないような人たちがSdEでたまたま出会って、事業部の垣根を超えてコミュニケーションの輪が広がって欲しいとも考えています。SdEをスタートラインとして、どんどん社内全体のコミュニケーションの量と質を上げていければいいと思ったのです。
仕事におけるコミュニケーションというのは本当に難しいと思います。薄っぺらなコミュニケーションなら誰でもすぐに出来ますが、一歩踏み込んだ本当に意味のあるコミュニケーションを英語でできるようになるには大きな壁があるような気がします。
社員の中には、欧米の大学などへの海外留学経験者は多くいますが、そんな人たちでも、お互いの利害が複雑に絡む実際のビジネスの場で、様々な国籍の人たちと深いレベルで交流するとなると、相当苦労したり、話にならなかったりということもあります。その難しさは、自分自身も海外に出て痛感しました。
私も高校時代に1年間ですが米国にAFS交換留学生として行ったことがあり、多少は英語ができると思っていたのですが、商社に入社後、実際の国際ビジネスの場では相当苦労しました。また、相手が話している内容を理解していないことを認識できていない商社マンも見てきましたが、それはグローバルな仕事をする上での大きな障害になります。
~Salon de Eigoに関して~
Salon de Eigoでは、ファシリテーターとして参加者の面倒をみる社員ボランティアが9人います(今年2月からは英国人、ロシア人が加わり12人)。そのうち5人は外国人おり、国籍も米国、英国、豪州にインドと多彩です。今後は、もっと別の国籍のファシリテーターも探しています。また日本人ファシリテーターも、本格的な帰国子女で英語は当然できるし海外生活も長く経験しています。これからSdEを、様々なタイプの英語と文化を同時に学べる場にできればと思っています。
SdEは、基本的には週2日(今年から週3回)ランチタイムで開催し、毎回、外国人と日本人のペアでファシリテーターをやりますが、日によってはファシリテーターが4人も集まり、先生の数が生徒数を上回ることもあり、とても贅沢な環境です。これを外部業者に委託すれば相当な費用がかかりますが、それを社員に無料で開放しています。協力してくれているボランティア社員には感謝しています。
SdEは昨年6月にスタートして以来、しばらくは限定的に実施していましたが、12月からは社内全体に声をかけて実施する様になりました。
こうした環境の中で、若手社員が1年間でも本気でコミュニケーション能力の習得に取り組んでくれれば、相当な力と自信が身に付くと思っています。
社員の採用を英語力だけで判断している商社はありませんが、入社時の社員の平均的な英語のレベルは相対的には高いと思います。公式な数字ではありませんが、最近の大手総合商社の新入社員のTOEIC平均点は860点くらいという話もあります。新入社員の2~3割くらいは900点レベルを持っていると思います。また、TOEIC 400点でも入社はできますが、そういう人も、全員ではないにしても、3年後には900点くらいには伸びる潜在能力を持っていると思います。
商社は、英語力だけでなく、将来伸びる素質をもっている人が欲しいのです。新入社員全員が外国語や国際ビジネスを専攻していても困るわけで、スポーツでも趣味でも勉強でも、何かに本気で打ち込んだ経験を持つ多様な人材が欲しいのです。
稲垣:そうした素質の判断はどのようにされるのでしょうか?
西川:それが採用担当者や面接官の腕の見せどころであり、採用のプロセスで、ディスカッションや面接を繰り返し行っていく中で、少しずつ人物像が見えてきて絞り込まれていくものだと思います。その意味では、応募者以上に採用面接官の質、能力や責任感が大きく問われますので、企業側の努力と判断が本当に重要になると思います。
(続く)
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西川裕治様プロフィール
ABIC(国際社会貢献センター)会員
広島大学工学部卒業:高校時代にAFS交換留学生として渡米し、はじめて外国の文化に触れる。大学ではESSでディベート、ディスカッションなどの活動に打ち込む。 1976年に日商岩井(現・双日)に就職し、機械・プラント、ODAプロジェクトなど海外営業に20年間従事。その間インドネシア、スリランカに計8年間駐在。次に広報室で9年間、メディア対応、個人投資家向けIRなどに従事。人事総務部では、渉外やグローバル人事を担当。2007年から3年間は社団法人日本貿易会(商社の業界団体)に出向し、CSR、法務、情報システム、内部統制、広報(日本貿易会月報・編集長)などを担当。 現在は双日・広報部でCSR・社会貢献を推進する傍ら、若手社員を中心にグローバル・コュニケーション・スキルを身につけてもらうため Salon de Eigo という活動を立ち上げ展開中。
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西尾:西川さまはグローバル人材の育成を支援するため「Salon de Eigo」(以下、SdE)を始められたのでしょうか?
西川さま:グローバル人材にとって、英語が全てと言うつもりは毛頭ありませんが、グローバル・コミュニケーションのツールとして英語は非常に重要です。SdEを始めた理由は、まずは底辺の底上げです。つまり、社内に最低限度の実用英語が出来ない社員がいなくなるようにしたいということです。従来、商社には国内の事業だけやっている部隊もあり、英語ができない社員がいてもいいのではないかという風潮がありました。しかし例えば、そんな人たちが役員になり、投融資審議会や経営者会議の当事者になれば「英語はできません」では済みません。これまでは、何とかなっていたとしても、これからは、それではすまない時代になっています。そこで全体の底上げが必要になってくるのです。
どの企業の人事部もいろいろな対策を実施しています。例えば、多額の金を投じて社内研修を開催したり、社外でレッスンを受けさせたり、多様な研修制度を構築していますが、それでもまだまだ足りないと私は思っています。やる気のある人は、どんどんやるのですが、必要性を感じていない人も多くいます。時間がないという理由で動かない人もいます。
しかし、昼食時の一時間くらいなら誰でも時間がとれるだろうと思ったわけです。そして、英語だけではなく、異文化理解を含むグローバルなコミュニケーション能力を身につけ、そこからさらに飛躍して欲しいと思っています。
SdEの場を利用して社内での交流も始まります。普段は全く会わないような人たちがSdEでたまたま出会って、事業部の垣根を超えてコミュニケーションの輪が広がって欲しいとも考えています。SdEをスタートラインとして、どんどん社内全体のコミュニケーションの量と質を上げていければいいと思ったのです。
仕事におけるコミュニケーションというのは本当に難しいと思います。薄っぺらなコミュニケーションなら誰でもすぐに出来ますが、一歩踏み込んだ本当に意味のあるコミュニケーションを英語でできるようになるには大きな壁があるような気がします。
社員の中には、欧米の大学などへの海外留学経験者は多くいますが、そんな人たちでも、お互いの利害が複雑に絡む実際のビジネスの場で、様々な国籍の人たちと深いレベルで交流するとなると、相当苦労したり、話にならなかったりということもあります。その難しさは、自分自身も海外に出て痛感しました。
私も高校時代に1年間ですが米国にAFS交換留学生として行ったことがあり、多少は英語ができると思っていたのですが、商社に入社後、実際の国際ビジネスの場では相当苦労しました。また、相手が話している内容を理解していないことを認識できていない商社マンも見てきましたが、それはグローバルな仕事をする上での大きな障害になります。
~Salon de Eigoに関して~
Salon de Eigoでは、ファシリテーターとして参加者の面倒をみる社員ボランティアが9人います(今年2月からは英国人、ロシア人が加わり12人)。そのうち5人は外国人おり、国籍も米国、英国、豪州にインドと多彩です。今後は、もっと別の国籍のファシリテーターも探しています。また日本人ファシリテーターも、本格的な帰国子女で英語は当然できるし海外生活も長く経験しています。これからSdEを、様々なタイプの英語と文化を同時に学べる場にできればと思っています。
SdEは、基本的には週2日(今年から週3回)ランチタイムで開催し、毎回、外国人と日本人のペアでファシリテーターをやりますが、日によってはファシリテーターが4人も集まり、先生の数が生徒数を上回ることもあり、とても贅沢な環境です。これを外部業者に委託すれば相当な費用がかかりますが、それを社員に無料で開放しています。協力してくれているボランティア社員には感謝しています。
SdEは昨年6月にスタートして以来、しばらくは限定的に実施していましたが、12月からは社内全体に声をかけて実施する様になりました。
こうした環境の中で、若手社員が1年間でも本気でコミュニケーション能力の習得に取り組んでくれれば、相当な力と自信が身に付くと思っています。
社員の採用を英語力だけで判断している商社はありませんが、入社時の社員の平均的な英語のレベルは相対的には高いと思います。公式な数字ではありませんが、最近の大手総合商社の新入社員のTOEIC平均点は860点くらいという話もあります。新入社員の2~3割くらいは900点レベルを持っていると思います。また、TOEIC 400点でも入社はできますが、そういう人も、全員ではないにしても、3年後には900点くらいには伸びる潜在能力を持っていると思います。
商社は、英語力だけでなく、将来伸びる素質をもっている人が欲しいのです。新入社員全員が外国語や国際ビジネスを専攻していても困るわけで、スポーツでも趣味でも勉強でも、何かに本気で打ち込んだ経験を持つ多様な人材が欲しいのです。
稲垣:そうした素質の判断はどのようにされるのでしょうか?
西川:それが採用担当者や面接官の腕の見せどころであり、採用のプロセスで、ディスカッションや面接を繰り返し行っていく中で、少しずつ人物像が見えてきて絞り込まれていくものだと思います。その意味では、応募者以上に採用面接官の質、能力や責任感が大きく問われますので、企業側の努力と判断が本当に重要になると思います。
(続く)
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西川裕治様プロフィール
ABIC(国際社会貢献センター)会員
広島大学工学部卒業:高校時代にAFS交換留学生として渡米し、はじめて外国の文化に触れる。大学ではESSでディベート、ディスカッションなどの活動に打ち込む。 1976年に日商岩井(現・双日)に就職し、機械・プラント、ODAプロジェクトなど海外営業に20年間従事。その間インドネシア、スリランカに計8年間駐在。次に広報室で9年間、メディア対応、個人投資家向けIRなどに従事。人事総務部では、渉外やグローバル人事を担当。2007年から3年間は社団法人日本貿易会(商社の業界団体)に出向し、CSR、法務、情報システム、内部統制、広報(日本貿易会月報・編集長)などを担当。 現在は双日・広報部でCSR・社会貢献を推進する傍ら、若手社員を中心にグローバル・コュニケーション・スキルを身につけてもらうため Salon de Eigo という活動を立ち上げ展開中。
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