【帚木448-2】「なほ」の文脈判断☆ | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

【帚木448-2】「なほ」の文脈判断☆

源氏物語イラスト訳のあいですラブラブ

 

では今日も行ってみましょう♪

ヽ(○・▽・○)ノ゙

 

これまでのあらすじ

 

天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏

ただ今、「2.帚木(ははきぎ)」の巻です。頭中将たちとの雨夜の品定め(=女性談義)の翌日、正妻葵の上の住む左大臣邸から、方違えのため紀伊守邸に泊まった光源氏。そこで出逢った伊予介の若妻(空蝉)と強引に契りを結んでしまいます。空蝉のことを忘れられない光源氏は、弟の小君を手なずけ、使い走りをさせますが、何度手紙を送っても、空蝉は心を許しません。とうとう光源氏は、方違えの日を口実に、再度紀伊守邸に泊まり、空蝉との逢瀬をとりつけることを計画しました。


 

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今回の源氏物語

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夢のやうにて過ぎにし嘆きを、またや加へむ、と思ひ乱れて、なほさて待ちつけきこえさせむことのまばゆければ、


帚木448のイラスト訳はこちら

 

 

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大学入試古文 問題例☆

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夢のやうにて過ぎにし嘆きを、またや加へむ、と思ひ乱れて、なほさて待ちつけきこえさせむことのまばゆければ

問題)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から選べ。

1.光源氏の逢瀬の機会を待ちわびているとはいうものの、それでもやはり自分をこんな目に遭わせた光源氏に対して憎らしく思っている。

2.自分がこんなにも拒否し続けているにもかかわらず、それでもやはりずっと待ってくださる光源氏の愛情がまぶしく心に染み入っている。

3.自分はもはや光源氏との過去の逢瀬に対して何の未練もないのに、しかるべく待ち続けてくださっている光源氏に対してきまりが悪い。

4.光源氏との逢瀬を重ねることでまたもや悲しみが募ることを恐れつつも、やはりこうして待ち受けてしまっている自分が情けなく恥ずかしい。

5.光源氏が何度も手紙をくれたので、なおいっそう期待が大きくなり、またの逢瀬を待ち続けてしまっている自分に目を背けたくなっている。


    アップ

「まばゆし」といった重要古語は、

文脈判断で、幅広く意味のとらえ方が変わってくるので、

 

難関大学でもけっこう出題されますね。

ヽ(゚◇゚ )ノ

 

 

まばゆし【眩し・目映ゆし】
 (ク活用形容詞)
①まぶしい
②まぶしいほど美しい。際立ってすばらしい
③恥ずかしい。きまりが悪い
④目を背けたくなる。見ていられない


 *「学研全訳古語辞典」より


 

出てきたものからインプットして、

こうした問題を解くことで

アウトプットしていけたら、

 

古文読解の国語力も

ぐんぐん上がっていきますよ♪

('-^*)/



 

 

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古文読解ポイント①主語の把握☆

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「まばゆし」の文脈判断の前に、

 

まずは主語の把握☆

('-^*)/

 

ポイントは、「きこえさす」です。

 

 

 

きこえさす【聞こえさす】

(他動詞:サ行下二段活用)
①申し上げる(「言ふ」の謙譲)
②手紙を差し上げる

(補助動詞:サ行下二段活用)
…お~申し上げる(謙譲の補助動詞)

(自動詞:サ行四段活用)
…申し上げるのを途中でやめる(「言ひさす」の謙譲)

(連語:謙譲「聞こゆ」+使役「さす」)
…(人を介して)申し上げさせる


 *「学研全訳古語辞典」より

 

待ちつけきこえさせ
   アップ

なので、今回は

「―きこえさす」という補助動詞です。

 

「―きこえさす」は謙譲の補助動詞


 

謙譲語ということは、

主語は、身分の高くない空蝉で、

 

光源氏の訪問を「待ちつけきこえさす」

という文脈です。

ヽ(゚◇゚ )ノ

 

 

1.光源氏の逢瀬の機会を待ちわびているとはいうものの、それでもやはり自分をこんな目に遭わせた光源氏に対して憎らしく思っている。⇒「なほ(やはり)」の文脈逆×

2.自分がこんなにも拒否し続けているにもかかわらず、それでもやはりずっと待ってくださる光源氏(×)の愛情がまぶしく心に染み入っている。

3.自分はもはや光源氏との過去の逢瀬に対して何の未練もないのに、しかるべく待ち続けてくださっている光源氏(×)に対してきまりが悪い。

4.光源氏との逢瀬を重ねることでまたもや悲しみが募ることを恐れつつも、やはりこうして待ち受けてしまっている自分(○)が情けなく恥ずかしい。

5.光源氏が何度も手紙をくれたので、なおいっそう期待が大きくなり、またの逢瀬を待ち続けてしまっている自分(○)に目を背けたくなっている。

 

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古文読解ポイント②「なほ」の文脈☆

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なほ【猶・尚】
 (副詞)
①依然として。相変わらず。やはり
②何といっても(やはり)。それでもやはり
③さらにいっそう。ますます
④ふたたび。やはりまた


 *「学研全訳古語辞典」より

 

上の選択肢も、

「やはり」の意味は外していません。


 

が、

選択肢そうはいってもやはり」と

選択肢さらにいっそう、ますます」とでは


 

文脈の解釈が、まるっきり違いますよね!

っ(((((゚Д゚ ;))))


 

では、本文を見てみましょう。

( ̄▽+ ̄*)

 

 

夢のやうにて過ぎにし嘆きを、またや加へむ、と思ひ乱れて、なほさて待ちつけきこえさせむことのまばゆければ

 

 

空蝉は、光源氏との一夜限りの逢瀬を、

「夢のやうに」と表現しています。

 

そして、その逢瀬は

もやは過ぎ去ってしまった過去のもの…


 

もう今は、「夢」の中でしか、

光源氏とは逢えない…

…嘆かわしさ…


夢のやうに

 

そんな悲しい想いを、

今宵、逢瀬を重ねることで、

再び繰り返すことになるのだろうか…


 

空蝉は、そう思い悩んでいます。


またや加へむ

 

しかし…

それでもなお…


 

光源氏の訪問を、

待ち受け申し上げている自分――

 


なほさて待ちつけ


 

 

4.光源氏との逢瀬を重ねることでまたもや悲しみが募ることを恐れつつも、やはりこうして待ち受けてしまっている自分(○)が情けなく恥ずかしい。

5.光源氏が何度も手紙をくれたので、なおいっそう期待が大きくなり、またの逢瀬を待ち続けてしまっている自分(○)に目を背けたくなっている。



 

 

「なほ」の文脈、つかめましたか?

(^-^)/


 

 

正解は……
 

 

第2帖「帚木」の巻

 

「帚木」の巻 ~第1章~

 雨夜の品定め 光源氏と頭中将

「帚木」の巻 ~第2章~

 雨夜の品定め 左馬頭の女性論

「帚木」の巻 ~第3章~

 左馬頭の女性体験談

「帚木」の巻 ~第4章~

 頭中将・式部丞の女性体験談

「帚木」の巻 ~第5章~

 光源氏17歳 空蝉との出逢い

「帚木」の巻 ~第6章~

 光源氏17歳 空蝉との逢瀬

「帚木」の巻 ~第7章~

 光源氏17歳 空蝉への恋慕


 

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