【帚木412-3】「とみに」
源氏物語イラスト訳のあいです
さあ!今日は重要古語!
毎日、少しずつ入れていきましょぉ♪
(ノ´▽`)ノ
【今回の源氏物語】
殿に帰りたまひても、とみにもまどろまれたまはず。またあひ見るべき方なきを、まして、かの人の思ふらむ心の中、いかならむと、心苦しく思ひやりたまふ。
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今回出てきた古文単語
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■【殿(との)】…光源氏の居所、二条院のこと
■【―たまふ】…作者⇒光源氏への尊敬
■【て】…単純接続の接続助詞
■【も】…強意の係助詞
■【とみに】…急には、すぐには
■【も】…強意の係助詞
■【まどろむ】…うとうとと眠る
■【れ】…可能の助動詞「る」の連用形
■【―たまふ】…作者⇒光源氏への尊敬
■【ず】…打消の助動詞「ず」の終止形
■【また】…再び
■【あひ見る】…逢って契りを結ぶ
■【べき】…当然(可能)の助動詞「べし」の連体形
■【方(かた)】…方法
■【なき】…ク活用形容詞「無し」の連体形
■【を】…対象の格助詞
■【まして】…それにもまして。なおさら
■【かの人】…あの人。伊予の若妻(空蝉)のこと
■【の】…主格の格助詞
■【思ふ】…思い悩む
■【らむ】…婉曲の助動詞「らむ」の連体形
■【いかなり】…どのようだ
■【む】…推量の助動詞「む」の連体形
■【と】…引用の格助詞
■【心苦し】…痛々しい。つらい
■【思ひやる】…思いを馳せる
■【―たまふ】…作者⇒光源氏への尊敬
↑単語の意味と文法的説明です。
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1.今日の古語 「とみに」
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「最近、頓に考えることがあるんですけど…」
「とみに」という言葉。
現代でもちょくちょく用いるのですが…
いやぁ~ないない~
って言われそうですねー(;´▽`A``
古文で、「とみに」という副詞は、
今回のように、下に打消の語を伴う場合が多かったんです。
(o^-')b
(副詞)
…急には。すぐには
(多く下に打消の語を伴う)
*「学研全訳古語辞典」より
「とみにもまどろまれたまはず」は、
下の打消「ず」と呼応して、
「すぐにはうとうと眠りなさることができ ず」
という意味になります☆
こういう記述を見ると、
平安当時は、
男が女の所から明け方帰って来て、
家に帰ったら、通常すぐに寝るらしい
ということがわかりますね~♪
σ(^_^;)
前に、
「『源氏物語』って、恋愛しか出てこない。仕事は?」
などといったコメントをいただいたことがありましたが、
やっぱり、恋愛オンリーじゃね?
って気がします。
(;゚;∀;゚;)
近年、恋愛しない若者が増えたということが
話題になっていますが、
四六時中、異性のことを考えて、
夜、逢うことだけを生きがいに過ごす
という、平安貴族の恋愛観は、
なかなか感情移入できないのではないかと思います。
(*_*)
ですが、そう。
自分と違う価値基準だからこそ、
学ぶ意義があるんですよね!
ヽ(゚◇゚ )ノ
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漢字検定1級 例題
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ところで、漢検1級の練習問題にこんなのがありました。
1.開発事業が頓挫する。
2.頓に人口が増える。
3.頓に恋い焦がれる。
現代語にも「頓に」という言葉が
普通に使われているんですね。
(・∀・)
ちなみに、2と3、
どちらが、「とみに」と呼ぶのでしょうか?
これは、きちんと意味を考えて解答する問題なんですね。
2では、
「急に―人口が増える」
うんうん。意味が通じます。
3では、
「急に―恋い焦がれる」
うーん; ちょっと…
急に恋するフォーチュンクッキー?
`;:゛;`;・(゜ε゜ )ブッ!!
それよりも、もっと適当な読みがあるんです。
(ナリ活用形容動詞)
①ひたすらだ。一途だ
②(下に打消を伴って)いっこうに。まったく
*「学研全訳古語辞典」より
送り仮名に、同じ「に」がついていますが、
2の「頓に」は、副詞(急に)
3の「頓に」は、形容動詞(ひたすらに)
となります。
(ノ´▽`)ノ
漢検も、1級レベルになると
思考力を求めてきます。
幅広い見地から、文脈を読み取る思考力を養っていきたいものですね。
「受けないから要らない」ではなく。
日々精進!
生涯学ぶ!
の姿勢で(^-^)/
正解…
1.とんざ
2.とみに
3.ひたぶるに
【今回の源氏物語】
殿に帰りたまひても、とみにもまどろまれたまはず。またあひ見るべき方なきを、まして、かの人の思ふらむ心の中、いかならむと、心苦しく思ひやりたまふ。
● 過去記事リンク
■たまふ
■ても
■も
■まどろむ
■れ・られ
■見る
■まして
■か・かの
■人
■心
■いかなる
■心苦しげ
■思ひやる
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今日もご訪問ありがとうございました☆
お役に立ちましたでしょうか?(o^-')b