【桐壺178-②】古文解釈~「奏上する」とは?
こんばんはあいです。
【古文】
后の宮の姫宮こそいとようおぼえて生ひ出でさせ給へりけれ。 ありがたき御かたち人になん」と奏しけるに、
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【これまでのあらすじ】
時の帝は、桐壺更衣という妃一人に愛情を注ぎすぎ、更衣は横死してしまいます。月日が流れても、帝は桐壺更衣のことを忘れられずにいます。典侍は、先帝の四の宮の美しかったことを思い出し、桐壺帝に奏上しました。
今日は、「奏す」のお話です。
「奏す」については、以前にもお話しましたが、
「啓す」と合わせて、対象の決まっている最高敬語です!
■ 【奏す】(サ行変格活用動詞)
…天子(帝、上皇など)に 申し上げる
※「上皇」…天皇が位を退いてからの尊称
■ 【啓す】(サ行変格活用動詞)
…三后(太皇太后・皇太后・皇后)や東宮に 申し上げる
今回は、「奏す」の解釈のしかたです。
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「奏す」は、「言ふ」の謙譲語であって、
「申し上げる」という訳出をしますが、
前述したように、敬意の対象が特定されるんです。
なので、大学入試で「奏す」の訳出問題が出たとき、
単に「申し上げる」だけでは、減点される恐れがあります><
きちんと、「帝に申し上げる」と、対象まで書いてくださいね♪
(o^-')b
あっそうそう!
今回は、「帝(桐壺帝)」という敬意対象でよかったですが、
『源氏物語』の話が進んでいくと、法皇や上皇という形で、
最高権力者が何人も登場してきますので、
お気を付けあそばせ♪
(((( ;°Д°))))
【帝(みかど)】…天皇陛下
【上皇(じょうこう)】…皇位を後継者に譲った天皇。太上天皇の略
【法皇(ほうおう)】…出家した上皇。太上法皇の略
また、帝の位を退いた上皇、法皇、女院を、「院(いん)」と称します。
これらの名前と意味は、覚えておきましょうね♪
(o^-')b
入試問題で、前書きにこういう人物が出てきた時には、
必ずチェックを入れて、「奏す」の敬意対象を押さえましょう!
また、今回のように、帝しか最高権力者が出てこない場合には、
「奏上する」という訳出が便利です♪
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これ、現代でも天皇に使われる言葉なんですよ!
(o^-')b
◇◆今回の古文解釈◆◇
「奏す」は、「言ふ」の謙譲語ですが、
帝や院に対する最高敬語です!!
「奏上する」という訳出も使えるようにネ♪
あいでした