☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*seiさん☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆一周年おめでとうございます*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
いつもお世話になりっぱなしな素敵な魔人さまに
ドボンという名の小話を捧げます。
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柔らかな日差しに惑わされてはいけない。
12月だというのに、外の気温は2月と同様。
寒い寒いと思うから寒いのではなく、本当に寒い。
蓮は突き抜けるような青空を横目に、用意された朝食に手をつける。
温かい食事はそれだけで身体も、心も満たされるのだが・・・・
一度感じた薄ら寒さは、彼の心と身体にしつこく残っている。
「キョーコ、寒いね」
「そうですね、12月ですし。ほら、早く朝ごはん食べないと、社さん来ちゃいますよ?」
「まだ時間あるから、大丈夫だよ」
「駄目です。あぁ、もう!くっつかないで下さーい」
「暖をとろうと思って」
「お部屋は暖かいでしょ」
「くっついてないと寒い」
「・・・・・これから、お仕事でしょう?」
「ですよ」
「お食事冷めます」
「くっついたまま食べれば良い」
「お行儀悪いです」
「寒くて死んじゃいそうだから、許してよ」
「人はこの位じゃ、死にません」
「キョーコ、甘くみちゃいけない」
「へ?」
「人はちょっとの寒さでも、ちょっとの寂しさでも死ねるんだ」
「・・・・・・」
「キョーコとくっついてご飯を食べたら、寒くも寂しくもないから、俺は頑張れる」
「・・・・駄目なひとですねぇ」
「君がいないと、もっと駄目なひとだよ」
「日中は敦賀蓮をちゃんと保ってくださいね?」
「それはキョーコ次第かな?」
「・・・・・・質問に質問で返すのは良くないです」
「ふふ。キョーコのおまじないがあれば、ちゃんとするよ」
「・・・・・・」
「敦賀蓮の素が俺だってバレたら、騒動だよね」
「寂しがり屋の甘えたさんってことですか」
「うーん、それだと新しいファン層出来そうじゃない?」
「アグレッシブに考えすぎです。通常仕様でいかないと、社さんが泣きますって」
「だから、ね?キョーコの魔法が必要だと思うんだよ」
キョーコは面白そうに瞳を輝かせる蓮に気付かれないよう、心の中で溜息をつく。
社が到着するまで、あと1時間もない。
膝の上に抱きかかえられているこの光景を見られるのは、憤死ものだ。
でもだからといって、必要以上に甘やかすと、今以上を求められることは目に見えている。
それでも、時間は容赦なくキョーコを攻め立てて、逃げ場をなくす。
逃げ場がないか考えて、現状を打破する為に諦めるまで、ほんの僅か。
そして大好きな人が寒さと寂しさで、死んでしまわないように、とびっきりの魔法を考える。
「大好きな久遠が、今日も一日頑張れますように」
「うん」
「愛する久遠が、寒さと寂しさで死んでしまわないように」
「うん」
「敬愛する先輩が、暴走することなくきちんと先輩でいられるように」
「うん、頑張ります」
朝の時間帯にふさわしい、触れるだけのキスをして。
魔法は完了。
「さぁ、ご飯を食べて支度をしましょう」
今日という日は始まったばかりなのだから。
二人だけの空気に浸ってしまっては、それこそ・・・・・日中、寂しくて寒くて、消えてしまいそうになる。
会いたくて、会いたくて。
そんな気持ちにならないようにと、キョーコは即座に切り替えようとする。
「キョーコ」
「はい?」
「大好きなキョーコが、今日も一日頑張れますように」
「・・・・・」
「愛するキョーコが、寒さと寂しさで死んでしまいませんように」
「・・・・・」
「大切な後輩が、少しでも俺を求めて暴走してくれますように」
「それは、ないです」
「そう?まぁ、魔法だから」
朝の時間帯にふさわしく、おでこに軽くキスをして。
魔法は完了。
「・・・・・お仕事行きたくなくなっちゃいます」
「俺はとっくに家から出たくないよ」
「・・・・・駄目なひと」
「キョーコ限定でね」
「今日は、早く帰ってこられるように頑張ります」
「うん、俺も頑張る」
「他の人に迷惑掛けちゃ駄目ですよ?」
「・・・・・信用ないね」
「当然です」
感じていたはずの薄ら寒さは、甘い空気に溶けきって。
変わりに生まれた、離れがたい想い。
別の固体だからこそ、分かち合える素晴らしさを知ってはいる。
それでも、一つに溶け合ってしまいたくなる時は多くある。
「キョーコ、愛してる」
「私も、です」
現実が足音を立てて迫り来るまで、甘い空気に浸ってしまおう。
そしたら夜まで、寒くも寂しくもならないかも・・・・しれない。
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あれ、告白・・・・?←
久し振りに風呂敷拡大!
どーしても今日中に上げたくて、黒ワルを差し置いて作成!!
甘めに出来たと小躍りしてます←
一周年、おめでとうございます♪
これからも罠からの卒業を目指して頑張ります!←