道なき道の激道中 9
テーマ:旅の話この機械工。
実はなかなかの腕利きだった。
溶接機を持ってきたかと思えば
すぐに車の下にもぐりこんだ。
あっけないほど簡単に応急処置は終わった。
なんとか明日の見通しがたったところで
俄然おなかが空いてきた。
薄暗い食堂に戻る。
「何か食べるものある?」
「Caril de Cabrito」
カブリート?

カブリートのカレー?
「メェー メェー」
食堂のおばさんが笑いながら、
手であごをさわっては下にのばす。
ヤギだ。
道路わきに放し飼いされていたあのヤギ達だ。
あのヤギ達は食用だったのだ・・・・
「・・・他には何かある?」
「これだけよ。」
そういって、おばさんは壁にぶら下げられたスナック菓子の子袋を指差した。
「じゃ、カレーを」
しぶしぶ、恐る恐る口に入れたヤギの肉は
やわらかく、クセのない牛肉のようだった。
それでも、なぜかなるべく肉を避けて
ソースとしろご飯だけを口に入れる。
道路わきにいたヤギ達が
目の前にチラチラするのだ。
チラチラしていたのは
ヤギだけではなく先入観もだった。
食べるものではないという思い込みが
気もそぞろに食事を終わらせてしまった。
食が満たされると
今度は寝場所の心配が頭をもたげてきた。







