2人が行ってしまった。
辺りは静けさと暗さを増したようだった。
男たちはまたビールを飲み始める。
食堂には1人、2人と客らしき人の姿も見えるが
やはりテーブルに置かれているのはビールだけだった。
昼ごはんを食べた記憶も定かでなかったが
空腹は全く覚えなかった。
食堂の前の薄暗い小さな電気バルブの下で
身を丸めて車を眺めていた。
「いろいろ部品が取られないように
しっかり見張っておいて」
友人はそう言い残して行った。
テールランプカバー、ワイパー、ドアミラー、バンパー、マフラー
そんな部品がついていることさえ意識さえしなかった様なものまでが
盗みの対象になる。
しかし、そんなものはどうでもよかった。
「自分を守る」
それ以外に重要なことはなかった。
どうすれば身を守れるのか?
武道か武器か
懐疑か信頼か
笑顔か威嚇か
私のこの恐怖感は
日本で同じ状況に置かれたときに感じるものと
同じだろうか?
周りの人が、モザンビーク人でなくても
同じ恐怖を感じるのだろうか?
・・・・・
カタカタカタ・・・・
暗闇に一筋の光が見えた。
2人が帰ってきた。
手には約束どおりの溶接機が携えられていた。