長野県で来年生産するコメの生産目標数量が決まった。今年は過剰生産で価格が下がったため、県内各地で生産調整が必要になる。


 コメの市場化が進む中、消費低迷などコメを取り巻く環境は相変わらず厳しい。生産者がやる気を失わないか気にかかる。


 農林水産省は08年産米の全国の生産目標数量を815万トンとし、都道府県別の生産目標数量を発表した。長野県は前年比0・5%減の20万6910トンとされた。


 これを受け、県内は10地方事務所別に配分を決定。地域で農業に取り組む集落営農化が進んでいる松本、上伊那など3地域以外は、前年より目標数量が減っている。


 コメ政策は改革の真っただ中にある。国が減反によって行ってきた生産調整は、04年の改正食糧法施行で農協や農家など生産者サイドが自主的に行うように改めた。


 05年の改正農地法施行で株式会社の農業参入が可能になり、今年からは一定規模以上の農業の担い手に支援を集中させる政策も始まった。コメを「作る自由」が認められ、市場化が進んでいる。


 ところが、今年は目標に対して実際の収穫量が26万トンも多くなり、米価が急落。政府が余剰米を買い取る緊急対策で価格の下落に歯止めをかけざるを得なくなった。


 やる気のある農家を育てるという点で、「作る自由」を認める方向性に異論はない。だが、今年の価格下落で需給調整の難しさが露呈し、生産者を混乱させた。


 価格が下がれば小規模農家以上に、大規模生産者に深刻な影響が出る恐れもある。担い手がコメ作りの意欲を失っては元も子もない。


 夏の参院選で、民主党は全農家を対象とした戸別補償制度を訴え、農家から支持を集めた。一方、危機感を募らせた自民党は、小規模農家への支援も含めた農政の見直し案を決めている。


 需給調整をどう図るか、担い手をどう育てるか、消費者にとって魅力あるコメをどう作るか、販路をどう拡大するか-。政治、行政、生産者それぞれの課題は重い。


 長野県は高齢化が進み、中山間地も多いため、小規模農家が多く、きめ細かな施策が必要になる。県民が問題意識を共有したい。


 肝心なのは生産者が安心して農業に取り組める環境をいかに実現するかだ。腰を据えた論議が求められる。改革によるコメの将来が見通せない中、生産現場を混乱させることだけは避けたい。

12月9日(日)

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