食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

読んだ本の勝手な感想を中心に、日々の行動のあれこれを綴る。
フレンチレストラン・カザマのお料理ご紹介。


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そういえば、最近読書感想文の記事が少ないな、と反省。ま、反省するほどのコトでも無いけど、このブログは本来読書記録が目的で始めたので(^-^; 本は相変わらず結構読んでいるので、ブログ記事待ちの本が机の片隅で山になっとるのだわ(笑) その内、内容を忘れて再読したり。

なんで、ボチボチ本来の目的に立ち返ろうかとニヤニヤ

 

本書を買ったきっかけは、中島京子さんのおかげ。いや、別に中島京子さんに勧められたと言うわけでは無い。中島さんの本を読みたくて、ネットで何冊か買い物かごに入れたけど薄い文庫本が多くて金額も小さめだったので、他に一緒に買うものはないかなあ、と検索。

SFを読みたい気分だったので、この本をチェックして。

作者は知らなかったが、翻訳が酒井昭伸さんだったので。酒井さんはねえ、はまりにはまったダン・シモンズの「オリュンポス」や「イリアム」を手掛けていて、その文体が大好き!特に登場人物による会話文の書き分けが最高。で、酒井さんの訳なら間違いなく面白いわ、と買ってみた次第。

 

間違いなかった。はまった!

 

現実逃避のために読書するタイプの自分であるが、そのためにはSFは打ってつけ。

広大な宇宙を飛び回り、星々をめぐる冒険、ロマンティックな人類の末裔たち。

本書も、せせこましい自分の小さな人生から大きな世界へ連れ出してくれ、そしてなんとも変わった魅力の持ち主、主人公の「悪徳商人タフ」やその他の登場人物たちが、奇想天外な物語を紡いでくれている。

全7話が1と2の2冊に収められているが、この文庫版は元々の発表順ではなく、ストーリー上の時系列順に編集されているので、大変お話の流れが掴みやすい。

 

短いプロローグから始まり、第一話の「禍つ星」でタフがどのようにして「EEC(連邦帝国環境工学兵団)の生物戦争用胚種船」を手に入れたのか、というストーリーが語られる。

この船は非常に巨大な宇宙船で、大兵団を抱えつつ大規模な生物工学ラボを備え、時間の流れを早められる装置の中で世代交代をスピーディに繰り返し、様々な特性を持つ新種の生物をこさえられる、といったもの。もちろん船内で自前の食料も生産できる、伝説の宇宙船なのだが、連邦帝国自体が滅亡した遥か未来の世界において、この船もまた既に無いものとされていた。しかし、ある科学者がそれを見つけ出し手に入れようと探索チームを組み、小さなポンコツ宇宙船「良い品を安くお分けする豊穣の角」号を持つ貿易商人にして船長のタフを雇ったのだった。

 

探索チームのバラエティに富んだメンバーといい、商人タフの慇懃無礼な話し言葉、人より猫を愛するタフの人を喰った行動、この一話だけでも3回は読んだか(笑)

やっぱり酒井昭伸さんの会話文の書き分けは素晴らしい!なんて面白いのデレデレ

 

結局はまった自分、まず「タフの方舟 1 禍つ星」を読了後、「2 天の果実」を入手しようとネット検索を掛けたのであるが、「禍つ星」がいくらでも新刊本があるのに「天の果実」は見つからず、結局中古本出品者から購入することになった。そして、自分の読書人生初の「古本なのに新刊本より高値が付いている」中古本を買うという体験をしたのであった。元値の2倍くらいしてたのよ。なぜなのかしらねぇ。

ともかく自分は迷わず買い、そして面白くて満足したのだからヨシとしよう。

 

さらに作者であるジョージ・R・R・マーティンの著作も買いあさり、この方が大変な人気作家であるとようやく分かったのだ。今、スターチャンネルで放映中の連続ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作者だと、知ったわけ。あ、ドラマはチラリとしか観たことないけど、きっと大人気ドラマなんでしょ。やみくもに買った本の中に原作本もありまして。まだ未読だけど(^-^; 文庫だけどお弁当箱みたいな厚みのある本なもので、ちょっと後回しね。

 

商人タフの宇宙船に乗って時々楽しい宇宙旅行を楽しもう。現実の世界からすぽーんと連れ出してくれる、タフ。

タフの請求書は莫大だけど、自分のお代は特別に¥840(「1 禍つ星」新刊本のお値段)だから!

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昨年読んだ本のほとんどをブログにアップできなくて、色々な作業のスピードが落ちているな、と実感です なんといいますか、これもまた老人力アップのなせる技なんでしょうか。いやはや(^-^;

本書も昨年だと思うけど、一度読んだままになっておりました。けれど、なんといっても伊藤計劃の本なのでなんとか感想を書きたい。でも、内容を忘れてしまっている(笑) ということで、再読致しました。やっぱり面白い 伊藤計劃ってスゴイ作家です。本当にその短い人生が惜しまれます・・・。

ある未来にて。核爆弾が世界のあちらちらで炸裂し、滅亡しかかった地球人類。それを<大災禍>と歴史に記して、そこから立ち上がり平和でユートピアのような社会を築き上げました。思いやりと慈しみに満ちて、おせっかいなまでに他人に優しく、人間は社会の資源、大切なリソースであるから、決して傷つけてはいけないし、健康な肉体と健全な精神を保って生きなくてはならない。酒や煙草はもちろん禁止、カフェイン入り飲料はかろうじて許されているものの、白い目で見られる。大人になると、WatchMeをインストールして、それは体内を絶えず監視し異常があればすぐさま排除する。そうしてこの世界には病気というものもなくなってしまった。.
そんな社会がだんだん息苦しくなってしまう人々もおり、自殺者は増加しつつあった。

病気にならないのはありがたいし、毎日の食事メニューは、身体を平均的体格に収められるように、WatchMeと連動して必要なカロリーと栄養を計算したものが送られて来ます。苦労しなくてもダイエットできてお肌もつやつやを保てるんですってよ!酒が飲めないのは、ちと困りますけども~。
そういえば、自分、タブレット端末を持ち歩いていたら、ひと月に歩いた距離が勝手に表示されてビックリしました(^-^; これは、GPSの位置情報で移動の距離が計算され、その移動に掛かった時間から徒歩または自転車による移動距離と算定され表示される仕組みです。そのうちモバイルツールに、適正体重を目指してもっと走れとか、レストランでステーキを食べようと思ったら、蕎麦にしなさいと指示されたりするかもしれませんねえ。

そんな便利で平和な社会なんですが、真の平和なのでしょうか。ある日、数千人の人々がいっせいに、操られたように自殺をする事件が起きました。ネットワークにつながれた人々の意識をコントロールして自殺の衝動を起こさせた犯人がいるのです。それはどんな人物で、その目的は何なのでしょうか。

ストーリーは波乱万丈で魅力的なヒロインが、その謎を追いかけて活躍し、とっても面白くて自分も没頭して読みふけりましたよ。が、結末はなかなか難しいといいますか、人間の意識をテーマとしたもの。終盤に向けて、だんだん哲学的(哲学って良くわからないのですがね(^-^;)になっていきました。
SFは外宇宙だけじゃないですものね。人間の内宇宙も実に謎ですねえ。
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虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)/伊藤 計劃

確かこの本は去年購入して、以来なかなか手に取れずにいたのでした。

「ゼロ年代ベストSF第1位」受賞作であり、また作家ご本人が亡くなられたこともあり、遺作を含めて文庫や単行本が複数出版されて、各書評欄でも話題になっていたので、ネットですぐ取り寄せました。しかし、なかなか手に取れなかったのは、やはりこのちょっと恐ろしげなタイトルや装丁、始まりの数ページの内戦による民間人の悲惨な死体の描写などによるものでしょう。


しかし、今こうして読みとおして持つ感想は、決して固い怖いイメージではなく、むしろ繊細で易しい文体の力か、するすると入り込んでくる世界観の面白さです。


9・11後の先進諸国は、テロ対策のため徹底的な個人情報管理を行っていました。どこへ行くにも、何を買うにも、ピザのデリバリーにも個人認証が必要な息苦しい社会。けれども人々はテロに合わないために、それを受け入れて暮らしています。一方、世界の後進国では激しい内戦が起こり、民間人が処刑される大量虐殺が頻繁に起こっており、主人公の米軍大尉クラヴィス・シェパードは虐殺を実行している対象人物を暗殺する任務に従事していました。そこに見え隠れする謎の人物、ジョン・ポール。大量虐殺が行われている国の政治中枢に必ず存在しているジョン・ポールとは何者でしょうか。クラヴィスは彼を追って、チェコへ、インドへ、、、。


この小説は、間違いなく面白いのでこれ以上ネタバレに通じるような紹介や感想は遠慮しておきましょう。

伊藤計劃氏は、2009年に34才の若さで亡くなられていると知り、このような才能持っている方を襲った病魔に一読者として、本当に悔しい思いがします。世界のどこかで、生まれ変わって、またスゴイ小説を書いて欲しいものです。

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2022年のクリスマスイブ、ハワイの海底で、グレゴリオ聖歌を正確に繰り返し歌うザトウクジラが発見された・・・・。そして100年後の日本、不老不死の遺伝子を巡り、ある少年の冒険の旅が始まる。

(本書単行本帯の惹句より引用。)



グレゴリオ聖歌を歌うザトウクジラ? なんとも魅力的な導入部である。そのクジラを研究すると、不老不死を実現する遺伝子を持っていることがわかりそれを人間に注入することにより、ついに人類は不老不死を手に入れることができるようになったと説明される。もちろん、不老不死の特権に預かれるのは、限られた選ばれた人々のみである。ノーベル賞を受賞するような優秀な人々や政治家、人類社会に多大な貢献のできた人々など、、。

そして、社会は大きく動き、最上層階級から最下層階級まで住み分けが進み、ごく限られた自分の生きる小さな社会しか知らないでいる人々がほとんどの未来となった。


そんな時代に、最下層社会に生まれ育った少年タナカアキラの人生に変化が訪れた。彼の住んでいるのは「新出島」と呼ばれる小さな島で、そこは性犯罪を起こした犯罪人とその子孫のみが住む、いわば性犯罪者専用の刑務所といってもいいような場所である。


そこで少年の父親は、データベースを管理する管理官として働いていたのだが、ある日幼女に性犯罪を働いた罪で死刑にされる。死ぬ直前の父親の遺言により、彼は重大な情報の入ったチップを足首に埋め、「ヨシマツ」という人物にそれを届けるため、島を出た。


村上龍さんは好きな作家の一人で、著作は全部とはいえないがかなりのものを読んでみた。辟易するほどの暴力描写や、サディスティックな性行為、幼児や少年の売春など、読んでいて気分の悪くなる小説も多いが、それでもダイナミックにストーリーが展開する「希望の国のエクソダス」や「半島を出よ」、「ヒュウガウイルス」などなど面白くて夢中になって読んだ本も多い。


本書も、近未来において不老不死が実現し、戦争や内乱をなくすために徹底した階層分けをした理想社会を目指した結果、人類はどう変貌していったかが、最下層から様々な社会を巡る旅をするアキラの目を通して描かれ、大変興味深い物語ではある。

様々な階層の人々の暮らしや言葉使いを通して、ある意味退化した人々や特異な姿に変化してしまった人々をかいまみたが、、、長編の最後まで読み終わり小説としては面白くない、という感想を持った。

けれども、本書が大長編の序章というならば、うなづける。アキラと彼が知りあった人々の本当の冒険が、本書のラストから始まるというのならば、大きな期待を持ってつづきを待ちたい。

つづきが、我々を待つ本物の未来社会でなければいい、と思うけれども(^_^;

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シンギュラリティもコンクェストもなんのことやら、、、と思いつつ読み始めました。あんまり難しいSF用語は分からないんです(-ー; でも、このお話はスター・ウォーズとか他の宇宙ファンタジーものみたいに、とても楽しく読めます。


ある時、地球から見る空が禍々しい紫色に染まってしまいます。物理学者、科学者たちが色々と調査した結果、平行宇宙のなんらかの行為の結果が影響しているらしい、このまま放置すればこちらの地球も滅亡に至る、との結論が出ました。そこで、滅亡を回避するための方法をみつけなければなりませんが、人類の頭で考えていてもらちが開かないので、人工知能を開発して演算させようではないかという事になりました。

そして、最高速の演算能力を持つ人工知能「メサイア」と、美少女の姿を持つ人工精神「アマテラス」が完成し、どちらが人類の未来を任せるに足る存在か、あるいは機械など信頼できないからあくまでも人間の脳で考える、という派閥に分かれたのですね。


人工知能または人工精神、どちらも素晴らしい演算能力を持ちますが、そこで問題になるのがシンギュラリティの概念です。シンギュラリティとは、技術的特異点と訳されるそうですが、科学や技術が進歩していった結果、ある時点からそれまでの人類の考え方や状態がガラッと変わってしまう事を意味するみたいです。自分も良く分からないのですが・・(^_^; そして、コンクェストは克服するという意味ですから、その特異点を人類が制御できるかどうかということでしょうか。


このお話には、スーパーコンピューターに人類を支配されるのではないかという心配と、それを克服するにはどうすれば良いか、というテーマがあります。人工精神アマテラスには誰にも愛されるような可愛らしい見かけの身体と皮膚感覚も与えられ、それらより人類に対する愛情と一体感を持てるように作られました。このアマテラスが人類を守りたいという思いで戦う活躍で楽しめる宇宙活劇となっていますが、なかなか含蓄のある深い世界観があり面白いSFでした。技術が進んだ結果、映画のターミネーターみたいな機械に人類が支配される未来が来ては、困りますからね。



賄い:たらこのパスタ。
食べて飲んで観て読んだコト-たらこのパスタ

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皆さま、こんにちは。ご無沙汰しておりました。ちょっと現実逃避の旅に出ておりましたものでしてね。


行き先はオパリアという惑星なんでしたけども、なかなか面白い所でしたよ。広大な森が広がる低地帯と、断崖で隔てられた高地帯に分かれておりまして、高地帯には入植者のための半透明のドームが幾つも連なっています。オパリアの空気は人類にも呼吸可能なんですが、低地帯の植物が生み出す化学物質がちょっとばかり有害なもので、ドームで隔離してるんですよ。高地帯と低地帯の間には常に厚い雲がかかっておりまして、それは神秘的な眺めでありました。そして雲の下の森林は、様々な植生が混とんとした世界で、動物や昆虫などの生き物はいっさいおらず、自らが作りだす化学物質で会話する植物の天下なのです。


この惑星では「オパリア低地性森林熱症候群(OLFFS)」という病気があり、これは森の発する化学物質に暴露することにより幻覚や酩酊感、意識障害などをひきおこします。従来の症状より重篤な昏睡状態、高熱による脳へのダメージなどが起こる、新型OLFFSの発症が急に増加したことから、オパリアの危機が起こりました。


森の化学物質に目を付けたアストラジェニック社は低地帯の開発権を高額でオパリア自治政府より買い取り、化学物質による医薬品の生産で莫大な利益をあげ、その結果オパリアはアストラジェニック社の支配下にあるも同然の状態におちいってしまいました。星間評議会機構の危機管理局は、新型OLFFSの調査のために調査官を派遣して来ましたが、その裏には多数の惑星での薬物汚染の問題も絡んでいるようです。アストラジェニック社には何か怪しいものがありますね!


生態学者のシギーラとオパリアの検疫官ザキル、危機管理局調査官ジーマの調査を中心に惑星オパリアを冒険する旅は、現実逃避としてはなかなか楽しいものがありました。パラグライダーでオパリアの空を滑空し、厚い雲を突き抜けて森林の樹環の上を飛ぶ爽快なスカイダイビング。脳に入れたインプラントでデータスフィアにアクセスし仮想空間でのミーティング。植物の逆襲。人間が中に入ってインプラントにより一体化して操縦する8本脚の乗り物、アラクネ。


シギーラが昔感染したOLFFSによる記憶障害のために、忘れていたかつて恋心を抱いた人物は誰かと想像・推理するのも楽しかったですが、その答えが分かったときもパズルの最後のピースがはまるように、物語が落ち着くところに落ち着いたようなステキなエンディングで満足な読後感となりました。



ああ、また次の旅に出たい・・・

イタリアの新酒:近所のBarにてメルロのノヴェッロを頂く。こちらのエスプレッソはちょー旨い!オーナーもイケメンなので、今度激写して来たいです(笑)
食べて飲んで観て読んだコト

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「天地明察」を読んだら、また沖方丁のSFに目が行ってしまい、、

「微睡みのセフィロト」は、著者の原点たる傑作SFハードボイルドということで、大変ロマンティック。いえ、残虐シーンもあるのでご注意。

従来の人類である感覚者(サード)と超次元能力を持つ感応者(フォース)の戦乱。あんまりよく分からないんだけど(^_^;、従来人類がとんでもないやり方でめちゃくちゃに殺されたらしい。あげくの果てに、感応者の女王がイタリア半島を道連れに超人類とともに異次元に行ってしまった、、、のかな?そしてそれは空に浮かぶ黒い月となって見えている。その月からは何か不思議なパワーみたいなのも降って来るらしい。

で、戦乱から17年後、感覚者も感応者もお互い憎みあったりしながらもなんとか共存する世界で、異端な感応者が起こす凶悪な事件が起きた。世界連邦保安機構の捜査官パット(シュワルツネッガーみたいなタイプ)は、
感応者の美少女ラファエルとともに捜査にあたる。


こんな殺し方が!なんて作家の想像力に感心しつつの久々ロマンなSFを堪能。



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ハイニッシュ・ユニヴァース・シリーズの一つで、前回読んだ「辺境の惑星」の姉妹編と言えるような背景の作品。

そして、表紙イラストはまつざきあけみさん。1990年発行のハヤカワSF文庫である。これも図書館で借りたが、そういえばSF本はたいがい西岡図書館の蔵書である。各図書館である程度の役割分担があるのかな。SF文庫が20年くらいも大事に蔵書されているなんて、すごい。


「辺境の惑星」で、人間と原住民が結びつく未来が示されていた。そして長い年月が過ぎその子孫たちが新たな惑星の住人として繁栄し、失われたテクノロジーを再構築し、再び宇宙を旅することができるようになった頃の物語。「辺境の惑星」に取り残された人間の子孫たちは、なぜ「エクーメン連合」は自分たちを見捨てたのか、故郷の地球はどうなっているのかを解明するために、精鋭が宇宙船に乗り組んで、地球を目指した。


ということは、後で分かるのであるが、ホントSFって気の長い物語・・・

森の中の館に暮らす少人数の人々。今や地球人は数も減り、広大な大地のあちらこちらにポツンポツンと集落があるような凋落した存在だ。「シング」という、侵略者に支配され、もはや地球を奪還する術もない。

館ににある日、地球人ではないと思われる容貌をした青年が記憶喪失の状態で森からあらわれた。記憶も言葉も何もかも失くした青年を館に迎え入れ、フォークと名付け、人間のやり方を教え絆が生まれた。しかし、長老は青年に本来の自分を探す旅に出るよう告げたのだ。


シングの都市を目指すフォークの苦難の旅、フォークを利用するために彼を探し都市に誘導するシング。シングの目的が明らかになっていくスリリングな過程も興味深いし、フォークが自分を取り戻すためのシングとの精神的な戦いも緊迫感があって面白く読める。

はるか未来にこんなに精神的に進化する生き物になれるのか、人類って?今のてんやわんやの地球を思えば、夢あるSf世界への現実逃避だなあ(^_^;



そろそろ:お節やお雑煮、外食でフレンチなどの食生活が続いたら、食べたくなるのがカレーライス(笑)
食べて飲んで観て読んだコト-カレーライス 全然お洒落じゃないただのカレー、これが食べたかった~





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1989年発行ハヤカワSF文庫版ということで、楽天にもamazonにも在庫なし。図書館サイトで検索をかけるとありました~。やや紙が黄ばんでいるものの、きれいな本である。


表紙カバーのイラストは、岡野玲子。

昨年「闇の左手」を読んで以来、ル・グインにはまってしまい、買えるものは何点か購入し、絶版のものは図書館で借りて読み始めた。その内の幾つかの表紙が漫画家の手によるイラストになっていて、いずれもSFやファンタジーものの作品がある女性漫画家であり、その方たちがル・グインの読者であるのがうなづけるというもの。


「辺境の惑星」はル・グインの「ハイニッシュ・ユニヴァース」シリーズの一つで、宇宙連盟エクーメンより来た人間たちが龍座の第三惑星に取り残されて、原住民と交流を深めてゆく過程の物語。連盟との通信手段を失った人間たちは長い間に文明の道具や知識をも少しずつ風化させてゆき、一方独自の生活スタイルを守る遊牧民の原住民の中には人間と交流を持つ新しい世代が出始めた頃。人間の男と原住民の娘が恋に落ちた。

そして、原住民の他民族が大挙して略奪に来るという事態が起こり、人間たちは結束して立ち向かおうとするが、、


といったお話は、「アバター」と似たようなシチュエーションであるな。というか、「アバター」が先達の色々なSFの要素を取り込んでいるということではあるが。まあ、ホントこれもたいそうロマンティックなお話で、人間と原住民といってもおそらくは祖先は一つ、長い長い時の間に遺伝子が変化し見かけや文化が異質なものになっている。この世界では人間たちは「心話」ができる。テレパシーで話ができるということね。原住民はそれができないのであるが、恋に落ちた娘が呼びかける恋人の名前が男の胸に響くシーンは、本当にみずみずしい。


この惑星のさらにずっと未来の物語が「幻影の都市」ということで、次回はそれを。

読書も映画もSFで、現実逃避が過ぎるかも(笑)



去年最後の賄い:時間は遡るが、アルバイトさんたちとの最後の晩餐の食卓。楽しい賄いだったが、今月からはまた二人きりの賄いに、、(^_^;

食べて飲んで観て読んだコト-賄い

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SF界の大御所、ル・グインの代表作の「闇の左手」を読んだかどうか記憶が無かったので、行きつけの書店の平棚に文庫があるのを見つけて、購入。まったく記憶のない物語でありました。読んで良かった~。

遥かなる過去に放棄された人類の植民地、雪と氷に閉ざされた惑星ゲセン。<冬>と呼ばれているこの惑星では、人類の末裔が全銀河に類をみない特異な両性具有の社会を形成していた。この星と外交関係を開くべくやってきた人類の同盟エクーメンの使節ゲンリー・アイは、まずカルハイド王国を訪れる。だが、異世界での交渉は遅々として進まない。やかで彼は奇怪な陰謀への渦中へと・・・・・ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞の傑作

(ハヤカワ文庫版裏表紙より引用)


光と闇。太陽と影。男と女。生と死。恐怖と勇気。背信と忠誠。左手と右手。対立する二つのものが、常に語られるゲセンでの社会と、辺境の氷に覆われた平原の時に影すらなくなる無の世界。もう無茶苦茶ロマンティックなSFで久々に、現実を遠く離れて浸りました~。


まず一つの興味には、ゲセンの人間が両性具有であるということ。生殖における一風変わった風習(かたつむりみたいに生殖行為において女性になったり男性になったりランダムに変わる)にも引かれるが、一人の人間が父親にも母親にもなりうるので、我々世界におけるようなジェンダーの問題が無いという社会のありようが面白い。男性でも女性でもなく、単性の役割を押しつけられることがないのだから。


地球の歴史上の中世を思わせるゲセンの社会において、人々の権力争いはなじみのあるもの。そこに異世界からたった一人訪れたエクーメンの使節ゲンリー・アイの苦難はなみたいていでは無かった。唯一アイの使命と彼が代表する宇宙的連合のエクーメンを信じたカルハイド王国の宰相エストラーベンが共にした、氷原を超える冒険は圧巻で、深い友情が芽生えていく旅には読者も深く入り込まずにはいられない。


ル・グインのファンタジーの代表作「ゲド戦記」にも共通するような教訓的な語り口や神話的な伝説もあり、読後体内が浄化されるようなスッキリ感あり。

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