食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

読んだ本の勝手な感想を中心に、日々の行動のあれこれを綴る。
フレンチレストラン・カザマのお料理ご紹介。


テーマ:
マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙-サイレンス」を観たいなと思い、その前に原作も読んでおこうと購入。早速読んでたいそう面白い読書であったものの、信仰を持たない自分には、なかなか宣教師や信者の人々の内面が理解できない。という事が分かった複雑な思いの感想である。映画も、3時間近い大作で、上映時刻との兼ね合いでなかなか観に行く時間を取れる日が無く、いずれDVD鑑賞になるかなあと、ちょっと残念。出演の俳優さんたちも興味深い方々なので、ぜひ観たいのは山々なれど、、、(^-^;
 
信仰とはなんであるのだろうか。生まれ落ちた頃から日々、刷り込まれなければ身に付かないものなのだろうか。生きていくうえで、心の拠り所になるものの一つなのだろうけれど、それを信ずる事で命の危険があっても貫けるほどの信じられる神とは。現実には、その辛い目からは、全く救ってくれず沈黙を続ける神。その伝道師たる宣教師たちにも、彼らをこの現世においては、何もできない厳しい現実の中で黙って死んでゆく信者たち。彼らは死後、本当に花咲き乱れ蜜の流れる天国へ導かれているのだろうか?
信者では無い自分には全く想像の及ばない、我が国における痛ましい迫害の歴史である。
 
信仰を持たない自分とはいえ、なんとなくこの世界には何か神秘的な生きとし生けるものを静かに見ている存在があるような気はしている。だからといって、毎日祈りを捧げているわけでもないし、ご先祖様や亡き父にも時たま季節の節目や命日などに簡素なお参りをする程度な不埒な日々だ。お正月に神社に出向いて参拝するのも、信仰というよりは習慣のようなもの。けれとども、何か大きな存在はあるかもね。
 
この感覚は、北海道の先住民であるところのアイヌ民族の方々が言う、全てのものにカムイ(神様)が宿る、という考えが一番しっくりするかなと思うこの頃。自然にも、植物にも、動物にも、万物に宿る神々がそばにいる。そういう世界の一員として、静かに生きて死んでゆくのが生き物であろうか。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

 

「村上海賊の娘」和田竜

 

「のぼうの城」など大変楽しんで読んだ和田竜さんの著書で、2014年度の「本屋大賞」も受賞している。もちろん以前から読みたかった本であるが、例によって文庫版が出るまでお待ちしていた自分だ(^-^; 書店の平台に見つけると文庫全4冊の長編、とりあえず「一」を購入して読み始めたが、当然のごとくはまってしまい翌週書店に駆けつけ残り3冊も確保し、血沸き肉躍る読書を満喫したのであった(笑)

 

時代は、元亀元年から天正8年(1570年~1580年)にかけて行われた、浄土真宗本願寺勢力と織田信長の戦い、石山合戦。本願寺法主の顕如が石山本願寺に立て籠もり、織田軍に包囲されて本願寺は兵糧入れを毛利家に依頼した。毛利輝元は要請に応じ、村上水軍を主力とした船団を大阪海上に差し向け、織田軍に大勝して本願寺に兵糧・弾薬を運び入れた第一次木津川口海戦を舞台にしたストーリーである。

上記は大部分をウィキペディアから拝借しました。いつもお世話になってますので、今回の寄付募集に少額ながら応じましたのでお許しください(^-^;

 

村上水軍の中でも当時独立していた能島村上の当主武吉の娘、景(きょう)をヒロインに海戦で活躍する荒くれものたちを活写して、大変に気持ちが高揚する読書だ。

自分、かねてより「強い女」が出てくる小説や映画が大好きで、それは自分が弱っちい奴だからこその裏返しであるとも言えるのであるが、この能島の姫様にはもう参りましたね!

日本人離れした南蛮人顔(それゆえ醜女と言われるが)、すらりとした上背、長い手足、張った胸と尻、シックスパックの腹、そして並外れた度胸と剣の腕。海賊働きでは、悪者を切り伏せる残虐な容赦のなさ。最強ヒロイン登場だ!

 

合戦ものであるからして、景姫が属す村上水軍に肩入れしながら読むのが通常ではあるが、この小説では敵方になる織田方の真鍋水軍の大将・真鍋七五三兵衛(しめのひょうえ)始め、どちらのキャラクターたちもみんな魅力的なので、感情移入の対象が一つに定まらないのが困った。真鍋家や沼間家の泉州侍たちの言動は、「面白い(おもしゃい)奴」を評価する、大阪気質といいますか、これまた底抜けに個性的な面々たちだ。初対面でのガンの付け合いのようなシーンは、昔愛読していた「ジャンプ」や「マガジン」で読んだ高校生の悪ガキたちのマンガを思い出させてくれる。

それはそれで、それぞれの陣のカッコ良い武将たちにワクワクどきどきしながらの格別に楽しいひと時を過ごさせてもらったのである。

 

戦は困る。平和が良い。現実世界では、もちろん当たり前のこと。なんのために戦うのか、国を守るため、家を守るため、平和を守るため。美辞麗句を並べても、戦はいや。痛いのはいや、殺されるのもいや、兵といえども、士気が下がり、恐怖のあまり後ずさり逃げ出すこともある。それでも、今戦わねばならぬとしたら、それはもう大将の意気一つにかかってくるものだ。兵を鼓舞し、先頭に立って、強さと心意気を見せつけること。

 

武器を持たない戦の場でも、やっぱりリーダーとは下の者を鼓舞して引っ張ってくれる人物でないとね。日本水軍のリーダーも、しっかりね!

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

テーマ:

あきない世傳の続きが出ました。

前作の源流篇のブログ記事はこちらです。

http://ameblo.jp/agneau/entry-12173305834.html

 

源流篇に続き、早瀬篇というサブタイトルが付いています。子どもだった幸が周りの変化につられて小さなしぶきを上げながら、成長していく様子が描かれます。

前篇の最後に、番頭の治兵衛が「幸を四代目の後添えに、、、」と思案する姿がありまして、まだ子どもの幸を廓通いが趣味の男になんて、そんなひどい事を!と幸の身の上を案じながら、続きを楽しみにしていた自分です。ひどいと思いながらも、そうでなければ一生お店の奥で女中仕事をするだけ、幸の才能に掛けた番頭さんの思いでしたから。

 

早瀬篇では、やはり呉服商五鈴屋・主人徳兵衛の後添えとして、ご寮さんとなった幸ですが、女衆あがりでまだ身体も未成熟の幸を相手にしない徳兵衛は、女遊びもやめず相変わらず仕事にも身が入らない。五鈴屋は商才あのる次男坊・惣次の働きによってかろうじて持ちこたえています。幸は、夫である徳兵衛に無視されているのを有難く思い(夜のお相手も免れられて(^-^;)、商いの勉強に精をだしておりました。ところが、番頭の治兵衛が病で倒れ、五鈴屋を引退することになったり、徳兵衛が反物を横流ししたり、あげくに手代たちがそろって辞めたりと、厄介ごとの連続です。

 

めまぐるしく色々なことに振り回されながらも、幸は成長し17歳となりました。商品の知識を吸収したり、呉服商のあり方を実地に学んだり、賢さは次男の惣次も認めているようです。

そして、いつの間にか体つきもふっくらとし、胸もふくらみ、美貌に磨きがかかって来ました。幸の成長に気づいた徳兵衛、ああ、幸の貞操の危機!

 

ハラハラしているところで、なんと徳兵衛、突然の事故死。

徳兵衛は、いつか幸に心打たれて改心でもするのかと思いきや、死んでしまいました∑(゚Д゚)

これはまた、幸の身分はどうなるんやろか。そこにまた、新たな男、登場!そして、つづく!

 

はあー、またこれは首を長くして「三」を待たねばなりませんかがな。

今度の男は、前のよりはマシかも知れないけれども、いずれにしても、幸の気持ちは問題にもされないことでしょう。この時代の結婚は、本人の、ましてや身分の低い女の子の意思など大切にはされなかったかも知れませんが、二度もこんな結婚をせねばならないとは、、、いや、もしかしたら三度目もあるかも知れませんね。

 

ともかくもこの続きでは、いよいよ幸の商才を見せて貰える展開が予想されるので、ぜひ頑張って欲しいな、幸! 

「不景気で物が売れない時代」と現代の世相を重ねながらの物語、不況を吹き飛ばす景気の良いお話しを早く読みたいものです(^-^)

 

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

テーマ:

「みをつくし料理帖」シリーズで、続きの本が発売されるのを待ち首を長くさせられたものですが、大団円の最終巻を読了後は満足とともに淋しさを感じていたのは他の多くのファンの方同様です。

 

そして、また新シリーズが始まりました!といっても、本書は2月に出ていたのですが、自分で読む前に母(80代)に貸し、その後妹(50代)たちの間を回っていて自分が読むのが遅くなりました。手元に戻って来てからも、他の読書に夢中になっていたりして、しばらく手に取っていなかったのですが、ようやく読み始めて、、、。

またしても、けなげで賢く、しかも今回は美少女とのこと、このヒロイン幸にすっかり参ってしまいました(笑)

 

学者の父とその後継者である優秀な兄とを流行り病で失い、飢饉で苦しむ生まれ故郷に母と妹を残して、大阪天満の呉服商「五鈴屋」に奉公に出た幸。女衆は裏で働くだけで商いには関われないと知りつつも、男の丁稚たちが学ぶ商いの勉強に興味津々。優しいお家さん(店主の祖母)や親切な番頭・治兵衛はじめ、周りの人々に馴染んで懸命に働きます。

 

学者の亡き父は「商は詐(いつわり)なり」と主張し、商人を嫌っておりました。けれども幸は商いの現場に身をおいて、商品を右から左へ動かすことにより利を得る仕組みを理解しようと努めます。そんな幸を治兵衛は、心の奥で育ててみたいと密かに思うようです。

 

「五鈴屋」は、享保の改革のあおりを受けて、ぜいたくな反物が売れず商いは傾きかけております。そこへもって跡継ぎの長男が、商いに身を入れず女道楽、せっかく迎え入れたお嫁さんも子どもが出来ないまま、実家に戻り離縁。商いに才覚を見せるのは次男ですが、跡取りにはなれないため、長男とは馬が合いません。三男は、家業より本が好きという変わり者。

 

こんな問題を抱えて青息吐息の「五鈴屋」を立て直すのは、きっと幸。まだまだ子どもの幸ですが、これからどんな手腕を見せてくれるのか、読者の自分も期待にワクワクです(^-^)

 

「買うての幸い、売っての幸せ」、早く続きを読ませて下さい!

 

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

「お針子おとせ吉原春秋」の副題のように、吉原の遊女屋「海老屋」にお針子として住み込み奉公をしている「おとせ」が主人公の人情時代小説。おとせは、岡っ引きの親分をしていた夫を亡くし、息子が世帯を持つことをきっかけに、この仕事を始めた。得意の針仕事を生かすためと、狭い裏店では息子の嫁に気兼ねをするからだった。

宇江佐真理さんが亡くなってからも、「追悼」の帯を巻いて文庫化される本が続々と書店に並ぶ。もちろん文庫新刊も限りがあることではあるが、まだしばらく宇江佐さんの世界に浸って楽しむことができるのは読者に取り、幸せなことではある。本書も、人と人との心の交流に温かい気持ちになったり、遊女の切ない恋心に目をうるませながら読ませて頂いた。

遊女屋を舞台にしているので、針仕事をするおとせの目から見た苦界と言われる場所の描写が興味深い。その世界には縁のなかった町の奥さんの視点で、遊女の普段の生活なども生き生きと描かれている。季節の移り変わりに合わせて行われる吉原の行事や、遊女屋のしきたり、格式の違い、最高位の花魁から子どもの見習いの禿(かむろ)までの階層、三味線芸者や遣り手、妓夫(ぎゆう=客引き)、など遊女屋に働く人々にまで光を当てながら、人々の織りなす物語が綴られる。

そして、36歳というおとせ。現代ではまだまだ若い年齢であるが、時代小説の中ではもう女の人生が終わりに近づいたかのような扱いをされる。でも、おとせはほんのりとした「恋」をするのだ。しかもお相手は、引手茶屋「花月」の主であり、幇間でもある花月亭凧助、もう60近い年齢の妻子持ち。凧助の人柄に惹かれて、色々と相談事ができる良き友人のようなお付き合いであり、おとせはもちろんそれが色恋であるとは考えない。

この大人のお付き合いが、また。しみじみ良いですねえ。おとせは、お針の仕事を持つため、遊女がまとう豪奢な着物を縫い上げることもあるし、服装には見識が高いのだろうと思う。凧助が職業柄、粋な装いをしているのを見てほれぼれしたりもする。幇間らしい冗談のような口説き文句を言ったりする凧助の様子も、その中に真摯な気持ちも見えかくれして、控えめな大人の恋の始まりが魅力的なのだ。

このお二人の恋の着地点はどうなりますか。ぜひ、お手に取ってお読みになってみて。
不倫ではない、大人の恋のお手本の一つかも。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

名もなき日々を

髪結い伊三次捕物余話

 

昨年亡くなられた宇江佐真理さんの人気シリーズの13作目にあたります。文庫版が出るごとに手にとってきた愛読シリーズですが、この後もう一冊単行本として出版されている「竃河岸」が最後になるということです。

 

本業の髪結い仕事をしながら、同心の小物を務める伊三次と深川芸者のお文の恋物語を軸にお江戸の世相を人情たっぷりに語ってきたシリーズも近年は世代交代が進み、彼らの息子や娘たちが主になるストーリーが展開しています。ずっと読者としてお付き合いしてきた、伊三次や同心の不破家の人々は、まるで自分の知人の家族たちのように心に馴染んでいます。

 

子どもたちが生まれるときの、若い親たちの心情から子育ての苦労や喜び、それぞれ成長して自分の行く末を自分で見つめて、迷いながらも一所懸命生きていく彼らに起こる一つ一つを一緒に喜び、心配したり、時には涙をこぼしたりしながらの読書でした。

 

絵師を目指す伊三次の息子の伊与太と不破友之進の娘の茜の淡い恋は、二人の住む世界が違ってきている事からどうなるのだろうと、気を揉むワタシはまるで近所のオバサンです(笑)

 

登場人物の一人ひとりの性格が粒だって光り、食や美術、芸能、武家社会や町人の暮らしぶりが見事に浮き上がるこのシリーズが大好きです。いつかの後書きで、宇江佐さんご自身がこのシリーズには終わりを作らずずっと書き続けると宣言して下さっていたので、安心して読んでいました。それが突然にお別れが来てしまい、とても哀しい思いですが、宇江佐さんが残して下さった数々の温かい物語はずっと愛読者たちの宝物としてあり続けることでしょう。

 

シリーズ最終話も楽しみにして、読みますね、宇江佐さん!

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

2009年に刊行された第1作の「八朔の雪」を手に取った時からはまった「みをつくし料理帖」シリーズがついに最終巻となり、物語が完結となりました。
友人・知人たちも多くの方がはまり、近所に住む母(80代)もはまり、沢山の方々とともに、主人公の澪とその周辺の登場人物たちの人生に一喜一憂する楽しい読書が続けられましたが、ついに最終回。なんと淋しいことでしょうか

読者としては大変淋しいれども、物語の中の人々はみな落ち着くところへ落ち着き、それぞれの幸せを手にして、大団円というところでしょうか。
料理屋「つる家」で働く女料理人の澪が主役ですから、たっぷりと登場する美味しそうなお料理の数々に彩られたこの物語、どのお料理も食べてみたいもの。巻末にレシピもついているのですが、自分で作ってみるのは、、、(^-^; 決して豪華な料理ではないのですが、丁寧に手間をかけて作らねばならないような料理です。どこかの和食のお店で、「澪つくし お食事会」なんて再現料理の会を催してくれたらな。絶対、参加します!(笑)

ずっと母が抱いていた懸念。澪の幼馴染の野江ちゃん、吉原であさひ太夫と名乗る花魁となっているのですが、幼馴染を落籍するために四千両のお金を貯める目標を掲げた澪。いくら腕の良い料理人で、高い値段を付けられるヒット作も考案できたとはいえ、女一人でそんな大金をどうやって稼ぐのか。一生かかるのでは意味がないその目標、かなえられるわけが無いと、母は眉をひそめながら心配していました(笑) 
そんな母の懸念も一蹴した素晴らしいアイディア!

ずっとワタシが疑問に思っていた、野江ちゃんの心の内。大金持ちでもない幼馴染に、もし大金を作れたとしても、落籍してもらうことを承知できるわけが無いだろう、という懸念。それもまた、一蹴されました!納得の解決!

さらに、澪の結婚問題。以前に二人の男性の間で揺れたこともあり、どちらも捨てがたい素敵な男性でしたので、読者としてもやきもきしておりましたが、こちらもスッキリの幸せいっぱいの澪となりました おめでとう、澪ちゃん!

ということで、全てがいいところに納まり、素晴らしいラストなんですが、、、、天邪鬼の偏屈読者である自分(^-^; ああ、もううまく行きすぎじゃーーーん!世の中こんなにうまく行くもんかーー。と、黒い心をちょっぴり持ちましたが、まあこの「三方よし」ともいえる、このラストはひとえに澪自身のお人柄によるものでしょう。真摯に、料理のことと、周りの人々の幸せに心を砕いて生きている澪には、どんな人も(きっと人の評価には厳しい豪商たちたでさえも)、協力してあげたくなる心もちにさせられるのでしょうね。
やっぱり「いい人」一人勝ちの世の中である方が、正しい世の在り方といえることではありましょう。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

蜩ノ記 (祥伝社文庫)/祥伝社

豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へと遣わされる。秋谷は7年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探究が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるようになり・・・・。凛烈たる覚悟と矜持を描く感涙の時代小説!(祥伝社文庫版表紙より引用)

平成12年直木賞受賞作として話題になり、読みたかった一冊。
凛として生きる武士を描く物語は自分、とても好みのテーマで、、、憧れの生き方なんである。もちろん自分とかけ離れた生き方であるからこその憧れなのは当然のコト(^-^;

人は誰しも、いずれ自分の人生に終焉が訪れ死んでゆくことは知りつつ、生きている。けれどいつ死ぬかということは分からないわけで、通常は死とは遠い先にあるものとしてふわふわとした捉えどころのないものと思っている。しかし、寿命が定められたものとして通告されたとしたら、限られた命をどのように生き抜くか、あるいはその寿命に抗おうとするか、人それぞれに違う考えを持つとは思うが、いずれにしても死期を知るのは辛いことではあるだろう。

藩主の命により死を定められた一人の武士、戸田秋谷の静かなゆらぎのない生き方に感銘。またその元になった事件の背景と事情を探る若い檀野正三郎の思いと成長に、心を動かされる。死ぬこと、生きること、ともに人の命の重みと自身の生に向かい合う自分自身の姿勢をも正されるような気がする。まあ、一瞬なんだけどね(^-^; 凡人はそういう凛としたものが、長続きしないのよ(笑) けど、この悲しいけれども潔よいものに、清々しい読後感があり、質の良いお話を読んだ喜びがある。読書はいいなあ、、、
あと、秋谷の息子の友だちである村の子ども、源吉がけなげで泣けた。けなげな子どもが出てくるのは、もうズルいと思うくらい泣けてしまう今日この頃。年を取ったせいなのか(-_ー;)

で、本作も映画化である。今年の10月公開予定とのことであるが、読みながら秋谷を演ずるのは、きっと役所広司だろう、それしかないなと思いながら読んでいたが、やっぱりそうだった。イメージぴったりだけど、自分の予想を超えるような他の可能性も探りたかったところである。 
いずれにしても、映画も楽しみではある。

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

テーマ:


自分の母(80代)より、メールあり。
「高田かおるの銀二貫読んだ涙したさ」 そして、玄関に本が届いていました(^-^)

高田郁さんは、大ヒット作の「みをつくし料理帖」シリーズで人気の作家さんですが、「みをつくし」以外の本を読んだのは、自分初めてです。やはり、食べ物、料理をテーマに市井の人々の喜怒哀楽を描いて、読者の心をワシヅカミ!母も自分も、涙、涙(T-T) 一章に1~2回は泣けます(^-^;

安永七年(1778年)、寒天問屋を営む和助は、大阪天満で起きた大火で焼失した大阪町民の心の拠り所「天満天神宮」に寄進するための銀二貫を持参する途中、仇討の現場に遭遇しました。そして、一人の武家が切り殺されるのを目撃し、まだ幼いその一人息子を助けるために、その銀二貫を差し出して子どもの命を救い、自分の店に引き取ったのでした。
松吉と名付けたその子どもの、商人としての成長と、寒天商いを描き出す、高田さんならではの時代小説です。

第二章の「商人の矜持」では、なんと今世間を騒がせている「食品偽装」事件がえかがれております。高級料理屋で、伏見の寒天を扱う和助の店の商品を仕入れながら、時の将軍がお墨付きを与えたという伊豆産の寒天を使っていると「偽装」したという設定です。もちろん高田郁さんがこの小説を書かれたのは、しばらく前のこと、こんな風に偽装がニュースになるとは思っておられなかったことでしょう。しかし、一貫して「食」とそれを取り巻く人々のお話を書いてきた高田さんならではの、鋭い嗅覚なのでしょう。驚きました。

そして、神戸や東日本の震災、台風被害、幾多の試練に合っている人々に重ねるように、この時代の大阪での度重なる大火に打ちのめされる人々の描写。しかし、倒れてもまた起き上がり、身体や心におった傷に耐えながら、たゆまぬ努力を重ねて幸せをつかみ取る登場人物たちに、感に堪えません。
誠実と工夫の商い、あきらめない心、月並みですが、本当に励まされます。

大阪で商いをする和助にとり、天神さんに寄進するのは命をかけるような大切なことなのですが、銀二貫を貯めるのは始末を重ねても容易ではありません。何年も何年も掛かってコツコツ貯めるのですが、松吉を買うためや世話になった仕入れ先を助けるためなどに、使ってしまったりなかなか寄進が実現できません。松吉が立派な商人に成長して、それが実現できた時の和助はもう人生の終盤に差し掛かりましたが、どんなに幸せを感じたことでしょうか。そして、松吉と引き換えに銀二貫を得た仇討を果たした侍の、そのお金の使い道も明かされて、、、なんと心地よい小説でしょう!
このご時世にひと時、明るく清々しい気持ちにさせて貰い、読者冥利につきました。
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:
夜の橋 (文春文庫)/藤沢 周平

買い置きしておいた藤沢周平さんの本2冊を、間に宇江佐真理さんをはさみながら、続けて読みました。

うーーーん、久しぶりの藤沢さん、堪能しましたラブラブ! この文春文庫版には、帯に宇江佐さんの惹句が入ってました。

曰く、藤沢さんの言葉のひとつひとつ、作品のひとつひとつが私を慰めてくれる

本当でした(^-^) 最近、自分癒されるものに囲まれているような気がします。


食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ
仮想空間での島暮らしもその一つ(笑) 水平線を眺めながらぼんやりしていると癒されますねー。将来の夢、ペナン島ロングステイに思いを馳せつつ・・・ラブラブ!


かなりお気楽な暮らしぶりの自分ですので、あんまりストレスをためることもなく、それほど癒されたいと思う日常では無いのですけどね。そんな自分でも藤沢作品を読むと、心が柔らかあくなったような気がします・・・。


だからといって、まろやかな手触りのよい物語というわけではありません。ちょっと辛い人生を送っている人やら、博奕のようなもので自分をダメにしたり、世間に普通にいる人々の暮らしがあって、そうしてそんな人たちへの藤沢さんの行き届いたまなざしが快いんですねえ。


「鬼気」 剣の腕前に自信のある若手の武士たちが、「凄い使い手」という噂のある男に挑戦してみるお話。「凄いらしい」というだけて、誰もその剣を見たことがないかつての名人は、今もう中年となり腹も出て凄味のあるところは少しもない。その噂が本当かどうか、暗い夜に若手たちは男を待ち伏せるのだが。真に極めた強い男はまさに、能ある鷹は爪をかくす。いざという時にはその目、言葉、気迫だけでびひらせる。カッコいいですね!


「夜の橋」 博奕のために女房に去られた錺職人の男。少し寂しいながらも、博奕に文句を言われない一人暮らしも気楽でいいや、と思っている。そこに別れた女房から再婚の相談を持ちかけられる。まずまずのお店の番頭だというので、良い話じゃないかと返すが、モト女房は男にやや未練がある様子。ところが賭場でその番頭を見かけて、元女房が心配になった男は、、、。ギリギリのところで、危ない世界から引き返せた男と、待っていた元女房。良かった。身内の話のようにほっとしました(^-^;


全10編のいずれも粒ぞろいで藤沢ワールドに浸れました。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)