食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

読んだ本の勝手な感想を中心に、日々の行動のあれこれを綴る。
フレンチレストラン・カザマのお料理ご紹介。


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浅田 次郎
椿山課長の七日間

だから、イヤだったのに。

浅田次郎は読んでみたいな、と思う本がいっぱいあるけど、ずっと敬遠していたんだ。何故かと言うと、ずっと以前だけど週刊文春で「壬生義士伝」が連載されていた時読んでいて、毎週毎週泣かされていたのだもの。泣ける小説が嫌いな訳でもないのだけど、浅田次郎には泣かされすぎる。グスグズに泣いてしまうんだなー。


浅田 次郎 壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2


「椿山課長の七日間」は、46才で突然死したデパートの婦人服売り場に勤める課長の椿山和昭が、やり残したことが多すぎると、美女の姿となり現世に戻ってくるお話。コメディっぽいストーリーかなと思って、それならそんなに悲しいお話じゃないかもと手にとってみた次第。だが、やっぱり・・・人の情に、愛に、勇気に、散々泣かされてしまったのだ(T-T)


人が死んで、気が付くと冥土への道を歩いていて行き着く先は「スピリッツ・アライバル・センター(通称SAC)」というお役所である。ここで現世で罪を犯した者は講習を受けて、反省ボタンを押せば極楽に行けるという夢のようなシステムになっている。椿山は指摘された自分の罪にも納得が行かないし、最愛の若い妻や小学生の息子、呆けた父親のことも心配で、現世に戻る事を申請して認められる。他にも、ヒットマンに標的を間違えられて殺されたヤクザの親分は、子分たちのことが心配で往生できない。本当の親を探して会いたい男の子も、現世に戻ることになる。


椿山は39才の美女「和山椿」となって、家族や、デパートの部下、昔のガールフレンドに会いに行く。デパートでは「初夏のグランド・バザール」の初日、課長である椿山が責任者として、過大な売り上げ目標に向かって戦いが始まったばかりであったが、この夜に倒れてそのまま死んでしまったのだった。売り上げ目標が達成できたかどうかが、気になる椿山、自分がいなくてどうなっていると、心配だ。部下の嶋田をつかまえて、問いただすと売り上げは目標を110%クリア、「どうしてこんな事ができたか、わかるか」と嶋田。「課長の弔い合戦なんだ。自分も女子店員たちも派遣の販売員も部長も、みんな課長が大好きだった。課長が命を賭けたこの予算をどうしても達成したかったんだ。デパートマンの供養なんてそれしかないんじゃないか」

面と向かって(部下の嶋田は椿山本人とは夢にも思ってないが)こんな事を心から言われるなんて、どうだろう? 感無量ではないか?(T-T)


椿山は美女の姿を借りて、生きてる時には分からなかった家族の一面や、昔のガールフレンドの本当の心の内、みんなの口から語られる自分自身の客観的な姿に気づき、そして家族への愛や周りの人々への心からの感謝を持つ。ああ、心打たれてまた(T-T)


間違って殺されたヤクザの親分は、もちろん自分の死に納得などできないし、実の子ども同然に躾けて仕事を教え、可愛がってきた子分たちの行く末を案じて、それぞれに会いに行く。親分を慕う子分たちの切ない哀しみと、他人の姿をしながら密かに励まして、別れを告げる親分の大きな愛情にまたまた(T-T)


本当の両親に会えた男の子のけなげさと、それを手助けしたとても高潔で立派な椿山の父とクレバーな息子のエピソードにだって(T-T) 

とにかく、最後まで泣きながら読んだ、素晴らしくも切ない愛のお話であった。



夕食:貝柱の出汁のお粥 かに玉 ほうれん草の(軸の)お浸し

試飲:Beaune 1er cru Teurons 2001 Paul Pernot  香り立つ

反省:うーん、インクジェット用ハガキとウチのプリンタは相性が悪いのか?


Beanue teurons






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東京でフリーでwebデザインのお仕事をしているKさんが、カレシといらした。何年か前に、出張の折に来店頂いて以来、来札の際にはたいがい寄ってくださる。仕事も出来るが、料理も大好き、しかも美人という、天はいったい幾つのいい物をあなたに与えたもうたの、と文句?の一つも言いたいような方である。しかもだ、年下でイケメンのカレシまでゲットしたのだ、もう何をかいわんやだ。が、お二人ともに、性格まで良いのだから、大好きにならずにはいられないのも事実です・・・(^_^;


さて、今日も大いに飲んで(しかもKさんは酒が強い!毎日ワインをガンガン飲んでるのに、ガンマGTPは正常という宇宙人のような人だ)、たっぷりと食べて頂き、話もはずんで、楽しいひと時を過ごして、カレシと二人タクシーに乗って夜の街へと消えて行った。自分の手元には、Kさんから頂いたお土産が残った。札幌に来る前にご実家の弘前へ寄ったということで、弘前のお菓子屋さんのものである。甘いものは大好きなので、早速包み紙を開けてみると、「銘菓いなみやバナナ」であった。

バナナのお菓子 バナナの形をした最中の中に、バナナの香り(シオリには「南国の 香り 豊かな」というコピーが書かれている。南国だ・・・遠い眼)の白餡が入っている。バナナ好きの自分には大変嬉しいお菓子、というか珍しいお菓子、というか記憶に残る菓子コレクションに入れたいお菓子である。記憶に残る菓子ナンバー1は「鶏卵素麺」であるが、この「いなみやバナナ」は2番にしてもよい。というか、このコレクションには未だ「鶏卵素麺」しかなかったし(^_^; いそいそとデジカメを取り出して激写し、早速2個食べた。深夜に2個も・・・。それほど自分には衝撃的なお菓子だったのである。

Kさん、本当にありがとう。ごちそう様、美味しかったです(^-^) ・・・また、太るよ。



夕食:えのきご飯 向かいの岡田商店採取のキノコでキノコ汁 ポークソテー

晩酌:Bourgogne Rouge La Vignee 2003 Bouchard pere et fils

反省:今日はオマエが反省しろ!!←って誰に言ってると思う?もちろん・・(笑)

《ワイン王国5っ星★★★★★》ブルゴーニュ・ピノノワール“ラ・ヴィニュ”[2003]ブシャール・...

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森本 梢子
ごくせん 12 (12)

新刊が出たらすぐ買う、愛読のシリーズだ。仲間由紀恵主演でドラマ化されて大ヒットした、極道の黒田一家で育って教師となり、不良高校生相手に毎日大騒動の熱血ヤンクミ先生のお話。この12巻の表紙になってる主人公久美子の育て係りで、喧嘩の師匠である京さんも大好きなキャラクターだが、このマンガでは主な登場人物一人一人のキャラがすべて大変個性的で、いわゆるキャラが立っているってやつ? みんながする事なす事、大いに笑えて、自分はたいがい本屋で購入した後、待ちきれなくてカフェなどに入ってすぐ読み始めるのだが、もちろん恥ずかしいから表紙には本屋のカバーを掛けて貰って、何を読んでるか分からないように隠して読むのだが、思わずこみ上げる笑いは止めようも無い(笑)


12巻では、黒田組の跡目を誰が継ぐかの継承問題、久美子が憧れる弁護士篠原先生に女がいた?!問題、故郷小樽に一時帰った篠原先生を追いかける久美子と久美子を心配して追いかける生徒達の大騒動などが繰り広げられる。生徒達は旅の途中で久美子の事を忘れて札幌・ススキノに向かい、たぶん大通公園辺りでは無いかと思われる場所で地元の高校生と大喧嘩になる始末。JR札幌駅の絵をありがとうございます、森本センセイ。それと生徒達が保護された道警のとある警察署の絵はどことなく、昔交通関係でお世話になった南署のたたずまいに似ておるなあ。


家に戻った久美子の帰りを一門の姐さんたちが待っていた。タンカとケンカは威勢が良いが、男にはカラキシの久美子に男と女のコトを教え込もうというらしい。天海親分が浮気した時、姐さんは入浴中の親分の所にドスを持って行き、ナニをつかんで「女と切れるか これを切られるか 二つに一つ お選び下さい」 他でも聞いたような決めゼリフだが、この親分と姐さんのキャラでやられると・・・好きだなあ、このタンカ。


マッカリーナ朝の空 真狩の朝の風景、清々しい~


夕食:マッカリーナ のお野菜たっぷりディナー

マッカリーナアミューズ 真狩の野菜やシェフが採った風船茸などのアミューズ

飲物:Alsace Grand cru Riesling Schlossberg 1999 Paul Blanck

反省:助手席ってどうしてこんなに眠くなるのだろうか。


【ポール・ブランク】シュロスベルク・リースリング [1999](白)



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石田 衣良
LAST (ラスト)

ワインを飲んでいて残りがボトルの半分くらいになった時、一人が「ああ、もうこれしかない!」と言うと、別な一人は「まだ、半分もある」とニッコリする。通常の解釈では、「まだ、半分もある」と考える人の方がポジティブ・シンキングな人で世の中を渡って行きやすいという事になっている。そりゃもう、何事も暗く取るよりは、明るく考えた方がいい。けれど自分は最近、この説はまずいんじゃないかと思うようになった。


「LAST」には、崖っぷちに追い詰められてもう後が無い人たちのヘビーな7つの人生が納められている。例えば最初のLAST RIDEでは、街金からの借金を重ねて追い込みを掛けられて、妻と娘を差し出すか自分の命で借金をチャラにするかギリギリの選択を迫られる。お金のことばかりでは無いが、主人公たちはいつの間にか歯車が狂ってしまい、どうにもならない立場に立たされる。どうしてこんなハメになったのか、何が悪かったのか、考えてみる余裕も無いだろう。自分が悪いのか、他の誰かか、あるいは政治が悪いのか。


ワインが残り少なくなったなら、「まだこんなにある」と思っている内に、気が付いたらカラッポになっていて、それから慌てても遅い、ということもあるのかも。


夕食:S取さんに山ほど貰ったバジルでスパゲティ サラダ

飲物:Bourgogne Rouge 2001 Paul Pernot

つまみ:オニオングラタンスープ・フレーバーのポテチ

反省:中年太りの腹 まだ大丈夫と思っている内に取り返しがつかない○○腹に~(T-T)

ブルゴーニュ ルージュ[2001] ポール・ペルノー
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村上 龍
昭和歌謡大全集

「半島を出よ」の前哨編といえる、「半島」における重要登場人物イシハラとノブエの20代の頃の出来事を描いた物語。「半島」があまりに面白かったもので、ぜひイシハラとノブエの青春時代を読みたくなってね。


イシハラやノブエを始め数人の若者が集まって開くパーティーは、だんだん熱が入って人気の無い海岸での変態的なカラオケ大会となる。これといった目的も無く無為に暮らしているような若者たちは、お互いにコミュニケーションをとるでもなく、まあ風変わりな連中だ。


一方、「ミドリ」という共通の名前を持つというつながりのオバサンたちのグループ「ミドリ会」メンバーも時折集まっては親睦を深め合っていた。この「ミドリ会」と「若者たち」のグループの抗争が発展して、モノスゴイ事になるのだが。発端は、若者の一人、スギオカがミドリたちの一人のオバサンを通り魔的にナイフで殺してしまう事だった。ミドリたちは、スギオカを探し出し復讐を遂げ、若者たちも、また。


さて、ミドリさんたちはオバサンと言われるが、年は30代後半とされている。この年代、オバサンといえばオバサンだけど、自分くらいの年齢の者から見れば、まだまだ若いと思うし、この年代の女性はとてもキレイで魅力的だ。実際そんな年でオバサンなら、この自分はオバサンを自称しているが、それもおこがましいのではないか。もう、「オバアサン」を肩書きにしなくてはならないのだろうか?(^_^;

自分のことはともかく、このミドリさんたちはとにかくオバサンである。「人の言うことを聞いていない」ミドリさんたちは、かみ合わない会話を平然と続けている。確かに、これはオバサンの特徴だ。他ならぬ、この自分もいつもそうらしい。よくダンナに「人の言うことをちっとも聞いていない」と非難されている(笑) 

しかし、お話が進み、一致団結して復讐を実行してゆくミドリさんたちは、そういうオバサンらしい所から徐々に脱却してゆくのだ。復讐を成し遂げたミドリさんたちは、自信を持ち魅力的な女性になっていた。


主人公はイシハラとノブエだろうが、当然ながら、自分はミドリさんたちに感情移入してこの本を読んだ。同性がカッコいい事をやらかすんだからもちろんなのだけど、この人たちは昭和20年代最後から30年初めに生まれた人たちということで、まさに自分と同世代なのである。復讐して、復讐し返され、ハラハラする物語に自分はミドリさんたちの無事を祈るようにして、読み続けたのであるが・・。


ところで、最初の復讐に成功したミドリさんたちはお祝いに、成城石井で買ったシャトー・ラトゥール87年ものと、シャブリのプルミエ・グランクリュを回し飲みするといったシーンがあるが、シャブリのプルミエ・グランクリュって??(笑)



夕食:コピティアムで、バクテー チキン・ポリッジ ナシゴレン ミーゴレン サテー

uniuniさんは今週末マレーシアだそうだが、自分はここでマレー料理(笑)

飲物:(当然)タイガー・ビール

反省:気が大きくなれば、(当然)梯子酒に、人も呼び出す。自分は大いに楽しかったが・・・?

タイガー ビール
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辻 仁成
いつか、一緒にパリに行こう

パリがせめて香港くらいの距離にあったなら・・・

そしたら、行けるかも知れない。12時間も飛行機の狭いエコノミーシートに

閉じ込められて、2回もトランジットしたり、前泊や後泊で無駄な時間を

過ごしたり、休みのやり繰りをしたり、ああ大変。成田行きの飛行機が

雪で欠航にでもなったら、どうしたらいい。

パリが香港にあったなら、2泊3日で食べ歩きもできるんだがなあ。


結婚してパリに住んで、奥さんはパリで出産もしちゃったし、パリ暮らしを満喫しているらしい辻仁成の「パリでぼく達はこんなに楽しんでるよー」とパリ好きの読者を羨ましがらせるエッセイ本だ。レストランや美術館、デパートやバカンス、出産のことまで、辻仁成自身が面白がることや興味のあること好きなものがいっぱい。彼から見たフランス人気質や日本人と違うものの考え方や習慣などにも言及。数日間の滞在しかできないような旅行者に役立つ本では無いけど、読者が同じ興味を持つ部分があれば、楽しく読めることだろう。


「ビズの肌触り」という章では、こんにちはや、さよならの時にホッペとホッペをくっつけあう習慣(これをビズというそうだ)について書いている。辻仁成は自身のビズ体験を語り、知人の日本人が10年もフランスに住んでいるのに、未だビズをされた事がない(本人はとてもビズをしたがっているらしい)という話を引き合いに出して、ビズを経験してはじめてフランス人社会に受け入れられるのだとレクチュアしてくれる。


「招き上手、招かれ上手」では、とても楽しくおもてなし上手なフランス人のパーティを絶賛。有名シェフのホームパーティーに招かれて、それがどんなに素晴らしかったかもさりげなく言及して、もう、そんなに読者を羨ましがらせてどうするの(^_^;


ほんとに短い日数の滞在しかした事のない自分は、やれやれとため息ついて本を閉じたくなるけど、最終章の「パリの裏道、散歩道」では、最初にメトロ1番線に乗って、バスチーユ駅で降りマレ地区のヴォージュ広場から始まる所で、機嫌を直した。マレの安宿に泊まって、歩き回ったあの辺りは自分もとても好きな場所だ。ようやく辻仁成と同じ楽しい気分になって、他の行ったことのない辻お勧めの散歩コースを今度パリに行ったら歩いてみようとニコニコして思ったが・・・いつのことやら(笑)



夕食:ムール貝のスパゲティ 秋刀魚の香草パン粉焼き、トマト・ソース

飲物:Clos Saint-Denis 1973 Chanson これはお相伴に預かったワイン(^-^)ごちそう様ですー。

反省:普天王が初日、横綱朝青龍に勝った一番を見逃すなんて!!2日目は見た!また、勝った!!

1973 クロ・サンドニ  シャンソンClos St Denis
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江國 香織
つめたいよるに

uniuniさんへ。

(uniuniさんへの私信といったスタイルをとってみましたが、あくまでスタイルですので、もちろんどなたもお読み下さいね(^-^))


台風が来たり、夏日になったり、気まぐれなお天気が続きますが、それでも日ごとに秋が深くなってきましたね。昨日はつなぎ蜻蛉がたくさん飛んでいました。

お勧めの江國香織「つめたいよるに」を読みました。土の匂いや風の色合い、雲間からこぼれる光線のことなど語りたくなるような読後感でした。ちょっぴり詩的な物思いにふけってみたりするひと時。

(江國香織を読んだら、こんな文体になってしまいましたよ、へへへ(^_^;)


「デューク」いきなり、やられました。飼い犬デュークの死にぽろぽろと涙を流し続ける21才の女の子の前に現れて一緒に一日を過した少年は、「今までずっと、楽しかったよ」とその事を言いに来たデューク。思わず熱くなる目頭。


「草之丞の話」ある日、お母さんから「草之丞さんといってね、お父様ですよ、あなたの」と武士の幽霊である父親を紹介された僕。とまどいながらの父子の交流。息子の成長を見届けて「しかし、これからは子守唄だけでもうたっておあげ。私はもうここにはこないから。れいこさんは、風太郎にまかせる」と言って去る父。草之丞は煙のように消えたりはしない。普通に玄関から出ていって、それきりだ。武士はやっぱり潔いな。


「スイート・ラバーズ」心臓が悪くなって入院したおじいちゃんを毎日見舞う麻子。麻子が生まれる前日に亡くなったおばあちゃんは、ずっとおじいちゃんを見守ってきた。どこで?おじいちゃんがとうとう亡くなって、ぼうぜんと死に顔を見ていた麻子の後ろから「さよ、もう出ておいで」とおじいちゃんの声がした。麻子の口から麻子ではない人が答えた。「ほほほ。あなたのそばにいたくて、いたくて、ここにいたんじゃないですか」いいですねえ、おばあちゃん。そばにいたくて、いたくて。おかげでおじいちゃんは浮気のひとつもできなかったそうな。「ええぞぉ、夫婦は」っておじいちゃんは、麻子に言って、おじいちゃんとおばあちゃんは行ってしまった。こんな夫婦ならね。


「晴れた空の下で」おじいちゃんは最近ごはんを食べるのに二時間もかかりよる。食べることと生きることとの、区別がつかんようになったのだ。

自分は何が怖いって、年取って呆けるのが何より怖い。呆ける前に病気で死にたいと思うほどだ。でも、このお話のおじいちゃんのように、ふとしたら死んだ人とゆっくりごはんを食べていたり、ゆったり笑いながら散歩していたり、思い出の中で気が付いたら20年も30年も時間が滑っていたりするのなら。


子どもの冒険心や、せつないおじいちゃんやおばあちゃんの人生、優雅で強い女の人、普通の生活ににじみ出るおかしみや、ほろ苦さをするりとすくい上げて、ちょっとキラキラする粉でも振りかけたようなごく短い短編の数々。うまいもんですねえ。人気があるのも分かります。

さすがにuniuniさんのおすすめ、とっても楽しめましたー。また他の作品も読むかも知れないです。でも、こっそり告白するとね、江國香織ってわりといいよ、とは言えるけど、江國香織が好きって大きな声では言えないような気がする(^_^; あんまりキレイすぎて。素敵すぎて。照れますよ、やっぱりー(笑) 自分の美意識として、自分に似合うものと似合わないものをしっかり区分しよう、というものがありますの。似合わないものを身に付けるのは恥ずかしい。例えば、この年と外見で、リボンやレースやフリルがたくさんついたお洋服は絶対着ない、というのとやや似たニュアンス、かな。


それでも、誰かのおすすめに従って読んでみるのは楽しいもの。ふだん読まない作家を知るいいチャンス、また色々おすすめして下さいね。石田依良も買ってあります。読んだらまた感想をお知らせしますね。

これからも、どうぞよろしく。

秋が深まるとともに、寒さも増してゆくことでしょう。風邪など召しませぬよう、お気をつけてお過ごし下さいませ。



夕食:カツカレー

晩酌:飲み残しのワイン

ツマミ:ロックフォール、自家製イチジクとヘーゼルナッツのパン、クミンのパン

反省:準備しておけば需要が無いのに、準備の無い時にいきなり来る。これもマーフィーの法則(懐かしい(笑))だな。





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桐野 夏生
アイムソーリー、ママ
「グロテスク」、「残虐記」と実際の事件を下敷きにした作品が続いていたので、これもそうかと思っていたけど違ってたかも?
先日獄中で死亡していたというニュースが流れたばかりの「福田和子」がモデルなのかと思いこんでいた。57歳で脳梗塞が死因とのこと。それを知った2,3日あとに、図書館から予約していたこの本の順番が来たことの電話があり、「おおっ!」と思ったのだ(って、何の因果関係も無いのだが)。

この本の主人公の「松本アイ子」は売春宿に捨てられた子どもで、苛められながら育った不幸な生い立ちを持つ殺人鬼。金を盗るため、あるいはむかついた相手を何のためらいも無く殺すことの出来るというのは、どういう人間なのか。生き延びるために、盗み、利用し、殺し、逃走し、本能のままに行動しているような「松本アイ子」はとても、おぞましい。それでも、自身の母親を探そうとするのが哀しい。


ストーリイも面白かったし、登場人物たちのアクの強さ、汚さ、醜くどこかいびつな人々をこれでもかとぐいぐい描写する桐野夏生の筆もすごい。一気に読了。・・・なのに、なんだか物足りないのは何故だろうかな。「OUT」や「柔らかな頬」ほどの満足感が、ちょっと足りない。長編ではないからだろうか。ともあれ、次の「魂萌え!」に期待。



夕食:「モンティパイソン」で前菜盛合わせ、生野菜たっぷりのサラダ、ボンゴレ・ビアンコ、鴨の炭火焼

飲物:Reisling Grand Cru "Florimont" 2001 Paul Zinck

反省:地下街で、久しぶりにC葉シェフに会ってビックリ。それからワインショップFでM裕さんに会って、生まれたばかりのお子様のことをたずねてメロメロに笑み崩れたお顔を拝見。ほほえましい(^-^)。老舗の刃物やKにも寄って店長さんにご挨拶。パソコンに向かってお仕事かと思いきや、N氏の飲み歩きブログを見ていた(笑)。女友達3人で行ったモンティではオーナーS取さんとも会えたし、先日お邪魔したイタリアンのKちゃんとE美ちゃんにもばったり。たくさんの人に会えて嬉しい、たまには出歩かないとなー。といって、その後「ドゥ・エルミタアジュ」と「セプ・ドール」の梯子はいかがなものか。うまい酒ばかりで、飲みすぎ~

ポールジンク リースリング グラン クリュ フロリモン  2001

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さあ、帰ろう!とチャリにまたがり走り出して、、、あれれ?

なんかガタガタする・・・「アッ、パンクだあぁ~っ」

このショック、脱力感をお分かり頂けるだろうか。とりあえず走るとマズイ気がするので、チャリは置いて歩いて帰ることになる。後日、時間のある時にパンク修理をしなければいけない。


最寄りの自転車屋さんは、医大前にある「加藤商会」である。わりと近いので、パンクした自転車を押して歩いて行ってもそう時間はかからない。

加藤商会

「加藤商会」は昔ながらの自転車屋さんだ。もちろん新車の販売をしているから、店先や店内にも自転車は展示されているけれど、壁側に置かれた年季の入った作業机と数々の修理の道具類が目を引く。店主も年季の入った方だ。寡黙な職人。お店の引き戸を開けて、「すみません、パンク修理をお願いします」と、声を掛けると、打てば響くような返事とともに奥から現れて、さっさと自分の自転車を土間に引き入れた。動作はてきぱきとしていて、仕事は大変早い。見る間にチューブを出して、穴の開いた箇所をみつけてふさぎ、水槽につけて他に穴は無いか確認すると、手際よくタイヤに収めて空気を入れて、出来上がり。その間、こちらから話しかけない限り無駄口は叩かない。話しかけても、返事は大変に簡潔である。笑顔も無いが、別に不機嫌なわけでも無い。お代は1000円。


こちらでは自転車の修理で何度かお世話になっている。そして行く度に、ああ、まだやっていた、と安堵するのである。後継者もいない様子の店主が、いつか引退を決めたら自分は自転車が壊れたとき、どこへ行ったら良いのだろうか。まだまだ現役を張れるとお見受けするが、これからも健康に気を付けられて、長く営業を続けて欲しいものだ。・・・パンクした自転車を押して歩ける距離はここが限界だし(^_^;



夕食:トマトのスパゲティ 牛頬肉の赤ワイン煮 サラダ

飲物:2002 ヴュー・シャトー・サンタンドレVieux Chateau Saint Andre

Montagne Saint-Emilion

サンタンドレ Merlot 100% 柔らかい口当たり、甘やかなアフター。

反省:通り掛りに見かけたパン屋さんに、つい入り。おやつの食べ過ぎ(^_^;

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山岸 真
90年代SF傑作選〈上〉
中学生の頃SFを読み始めたけれど、その頃は宇宙や惑星での冒険だったり、地球の我が家にいても裏庭に面したポーチに異形の宇宙人が訪問して来たり、あるいは過去に飛んで恐竜絶滅の謎を探ったり、未来のタワーが林立する都市にふっと現れたり、なんとも心躍る世界で遊んでいたものだ。

ダン・シモンズの「フラッシュバック」という短編が収録されている。ダン・シモンズといえば、「ハイペリオン」「エンディミオン」シリーズだ。SFの様々な要素を網羅したような、とてつもなく面白い物語。文庫化されてからだけど、一気に夢中で読みふけったものである。

ダン シモンズ, Dan Simmons, 酒井 昭伸
ハイペリオン〈上〉

本書の「フラッシュバック」とは、アメリカで大流行のドラッグで、服用すると自分の望む過去の体験を再現できる。若かりし頃の恋のときめきや、スリリングな事件で興奮したこと、あるいはもう一度違った風にやり直したいあの事。何度フラッシュバックしてもやり直す事は適わないのだけれど。人々はみんな過去の体験の再現にふけり、仕事は滞り、経済も人心も退廃している。実は、このドラッグを密かに供給している黒幕がいる。ネタバレで大変申し訳ないが、それは日本人である。

この作品が書かれたのは、1990年代はじめ、バブルがはじけるあたりだが、当時はまだ強い経済力で世界を席巻するかに思えた日本だった。黒幕として登場する日本人は、えたいが知れず、頭が冴えて、狡猾で冷徹、そんな風に描かれている。最近の小説では、没落した日本、経済も落ち目で外交も下手、世界中から相手にされない、そんな可愛そうな日本の姿も見受けられるので、おやおや、かつてはこんなに強い日本のイメージがあったんだなと、懐かしく思ったことである。


もう一編、イアン・R・マクラウドの「わが家のサッカーボール」はとてもいいお話だった。誰でもが好きなように変身できる世界での、心温まる家族の物語。通勤時は馬になって、ソファでくつろぐときはラブラドルレトリーバーになり、友達とケンカの時にはグリズリーになり、もちろんきちんとする時には人間の姿に戻ったり。楽しそうな世界である。ある日、お母さんは心の病から、「なまけもの」になったきり、人間の姿に戻れなくなった。お母さんの病の原因はなんだったのか。ぼくが物置にしまってあったサッカーボールで友達とゲームをしたのが、発症の引き金だった。このボールがお母さんの長い間の秘密だった。お母さんの秘密を家族みんなが受け入れたとき、お母さんの心の病は癒えて、人間の姿に戻ることができた。ラストシーンは、家族旅行で行ったビーチで、みんなでイルカになってサッカーボールをつついて遊ぶのだ。いいなあ。自分なら、猫になって日がな一日出窓で昼寝だ(笑)



夕食:イサキのムニエル、ラタトゥイユとポテトピュレ添え

飲物:Muscadet

反省:グラス1個破損。  

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